htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者 作:通行人 放浪
更新遅れてすみません。
ほんと真面目に。
外は闇
「ふぁ...」
大きな欠伸を一つして、ミオンは、目を擦りながら身体を起こす。
そんなミオンを、私は、心の中で、微笑みながら見つめていた。
上から足音が聞こえてきて、音の方向をみやる。
そこには、何時ものように自由奔放ぶりを見せながら悠然と歩く青年と、青年の影に佇む影蛍の姿。
だが、行人は、何か考え込んだ表情をしていた。
「行人御兄さん、おはようございます」
眠たそうに、ふらふらと階段を上がり、危なげながらも行人の前に行くと、眠いからか、ぎこちない笑顔で、彼を出迎る。
その光景に、見慣れていた筈の私も、つい、一瞬心を許して和む。
誰も口にしなかったが、和気藹々とした空間が、そこにはあった。
だが、数秒後、雰囲気を割って、神妙な顔に戻った行人が口を出す。
「ミオンも起きたし探索に行きてーんだが...ひとつ問題があってな」
舌打ちし、親指をくいっ、と階段を昇った先を指差した。
上から見えるのは、漆黒の闇、闇、闇...
普通なら、階段の上から見えるのは、光。
私達は、常に闇に包まれているのは知っているが、彼から見れば異様なはずだ。
『あの場所は、ずっと暗闇なのよ』
宥めるような口調で悪態をついている行人に話しかける私。
何故私が、わざわざ言ったかというと、そうでもしないと、いつもの軽い調子に戻らないのではないか、という程に、思い詰めた目をしていたのだ。
何か、悪い夢でも見たのだろうか?
「...じゃ、行くか」
一瞬虚空を見詰めた後、彼は、私の話を聞いたか否かは分からないが、ミオンの肩を軽く叩いて、階段を昇り始める。
「あ...待って!」
急に軽く触れられて呆然としていたミオンは、何時ものようにシガレットをくわえて階段を昇っていく行人を、足早に追っていった。
何故だろうか?
悠々と歩いている筈の彼の姿は、今回に限り、何か、少しだけ、余裕がないようにも見えた...
行人は、怯えるミオンを守るように前へ出ると、怪訝な表情で、鬱蒼とした暗闇の森林に囲まれた空間を、警戒しながら見回す。
今回も変わらず、辺りは真っ暗闇に包まれている。
私の光で、漸く辺りが視認できる位だ。
「やだねー...暗いね...灯りの代わりがあればなー...」
前言撤回、この男は適当の極みだった。
先程の考え込んだ表情は微塵も見えやしない。
思わせ振りに、ちらちらと私の方を、悪い笑みを浮かべて見てくる様は、最早腹立たしささえ感じる。
『...先導するわよ』
ついつい反射的に、心の中で、舌打ちが出てしまった。
私は悪くない。
『蛍...』
いらいらしているのを見てか、若干苦笑気味の視線も感じるが、気のせいだろう。
なんだろう、命がけの道なのに、この行人という青年と居ると、ペースが狂わされっぱなしだ。
「ほたるさん、道を教えてくれて有り難う」
辺りに怯えながらも、にっこりと微笑んでくれるミオン。
...やっぱり、ペースの合わない青年がどうのこうのより、ミオンを守ってくれるなら、どんな人材でも有り難いと思わないとね。
蛍さんが突っ込み役になってしまってる...