htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者   作:通行人 放浪

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ボスへのお膳立て編、始まりますよ!




災厄の種

始めに言っておこう。

 

あの影の波は、とてつもなく巨大であった。

 

影の化け物共は銃弾で斃す事が出来たが、この波は、斃れる所か、銃弾を『飲み込んだ』。

 

それは、まさに海の大津波の如く。

 

 

しかも、逃走経路の至るところに、人食い植物が生えている。

 

銃弾自体は、まだまだあるが、余り無駄撃ちはしたくないし、もし弾切れや、ジャムを起こしたときには目も当てられない。

 

 

あまつさえ、この洞窟が暗闇と言う始末である。

 

蛍が居なければ、視界に経路を捉えることさえ、儘ならないのだ。

 

 

道なき暗闇を、ただひたすら進んで行く。

 

そうするしか無いから。

 

そうしなければ、無垢な命まで奪われてしまうから。

 

 

 

そんな、ふざけた事、させてたまるものか―

 

 

 

俺は、自分の心の中で、底知れぬ、この世界に対しての怒りを燃やし始めていた。

 

 

 

だが、その逃走劇は、唐突に終わりを告げる。

 

 

 

―目の前に広がる、先の見えない暗闇に覆われた大穴という行き止まりによって。

 

 

「ゆ、行人お兄さん...」

 

 

怯えた目で、俺の服の裾を掴み、震えるミオン。

 

後ろの波を見せていない、としても、俺が、余程鬼気迫る表情を浮かべていたのだろう、心底怖がっていた。

 

 

最早、ここまま波に飲まれるしかないと思ったその時。

 

 

 

『行人君...一番良い方法があるよ。危険だけど』

 

 

 

影蛍が、焦燥を抱えた震え声で、呟いた。

 

 

それを聞いて、俺は、矢も盾もたまらず、怒鳴り散らすように影蛍に叫ぶ。

 

 

「勿体振るな!さっさと言いやがれ!」

 

 

だが、おずおずとした態度の影蛍から返ってきた解は―

 

 

 

 

 

『...この崖から、飛び降りるんだ』

 

 

 

 

乱心したかと勘違いするほどに、無鉄砲なものだった。

 

 

どういうことだおい...アイキャンフライして死ねってことですかそれ...

 

俺という緩和材を使っても、ミオンちゃんは脆いんですよ?

 

 

 

いや、まてよ、影蛍が言うことは、大概間違ってはいなかった筈だ。

 

隠し事はあるみたいだが。

 

しかも、あの蛍が、口を出さない。

 

もしかすると、ここを飛び降りることは、言わば『決定事項』では...

 

 

 

ええい、ままよ!ここで燻っていても、影に飲まれて御陀仏だ!

 

 

それならば―

 

 

「ミオンちゃん、許せよ!」

 

 

「えっ...」

 

 

俺は、ミオンの身体を抱き抱える。

 

落ちたときに、怪我しないよう、お姫様抱っこのような形態で。

 

 

―地味に、蛍達の視線が痛い。

 

 

そして、蛍達を引き連れた俺は、少しでも影の波に離れられるよう、力強く跳躍した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして、■■■■■■は其処にいるの?

 

 

どうして、■■■■■■は『アイツ』の傍にいるの?

 

 

なんで、『アイツ』は、お父さんも、お母さんも、大好きだった、■■■■■■も、みんな奪っていくの?

 

 

許せない...

 

 

『アイツ』ばかり、『アイツ』ばかり...

 

 

こんな『世界』も、あんな『世界』も、全て壊れてしまえばいいのに。

 

 

 

 

 

...私から、もう奪わないでよ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ドクン。

 

 

 

 

俺は、何かが脈動するような、耳障りな音で、意識を覚醒させた。

 

 

 

朦朧とする意識の中、俺は、拳銃を取り出し、ミオンと蛍達を探すために周りを見回す。

 

 

辺りの地形は、樹木の根っこのようなもので構成されているようで、でこぼこや、枝のようなものがあちこちにある。

 

出入り口のようなものは―無い。

 

何故か、部屋の端に、幾つか人食い植物が生えていた。

 

そっとしておこう...

 

そして、一つ気になるのは、この部屋の中心に、みのむしのように吊るされている栗のような、刺々しいところがいくつもあり、中央に大きな切れ目が入った、どでかい茶色の塊。

 

あの塊の切れ目から、妙な脈動音が聞こえてくるようだ。

 

...ん?あの塊、資料のどっかに載ってたよーな...でも、なんか目っぽい部分が足りないような―

 

 

 

『目を覚ましたみたいね...自分を緩衝材にするなんて、無茶するわね』

 

「ゆ、行人お兄さん、大丈夫?」

 

 

記憶を掘り起こしていた最中、不意に耳許で、聞き慣れてしまった声が聞こえる。

 

頬を撫でる、暖かい光。

 

思考を中断し、光の方を向くと、そこには、蛍と影蛍、そして、その二人の蛍を中心に、おどおどしたミオンが、体育座りで、固い地面に座り込んでいた。

 

ミオンは大丈夫そうだな、と、俺は、安堵の息を吐く。

 

 

―にしてもだ。

 

 

先程から、謎の塊の脈動する音が気味悪くて仕方無い。

 

まるで、巨人の心臓が近くにあるように気味が悪いな。

 

 

ここで、俺は、あることに気付く。

 

 

 

塊から発せられる脈動が、少しずつ大きくなっているのだ。

 

ドクン、ドクンという命の鼓動は、次第に気味悪さを増して行く。

 

 

気分の悪さに耐えきれず、俺は、塊の切れ目を凝視する。

 

 

 

―その切れ目の中には、先程まで無かった、『深紅に光る何か』が、目とおぼしき輝きを覗かせていた。

 

 

その『眼』と俺の視線が、重なりあう。

 

 

『眼』は、全く身動ぎせず、不敵に、ずっと此方を見詰めていた。

 

 

「...き、気持ち悪い...」

 

 

ミオンが嫌悪と、恐怖が入り交じった表情で、俺の後ろに隠れる。

 

 

ぶっちゃけ、俺もあの『眼』に捉えられたくないんですが...

 

 

 

 

―その眼を見て思い出した。

 

資料に載っていた中で、最も、でかでかと描かれていた生物...生物?

 

 

まぁ、生物としておこう、一応。

 

 

本命の資料には、この謎の塊そっくりのスケッチがかかれており、説明も綴られていた。

 

 

 

『この植物は、『意思』を持つ植物で、とてつもなく大きい。その大きさは、一つの森に匹敵し、中に人工物を作っても、まだまだ足りる程に巨大だ。』

 

『この個体は、一言で言うと、『失敗作』である。だが、それと同時に、とても危険だ。それは、ある幾つかの物体を自身の宿主とする、という部分にある』

 

『普段は温厚であるが、緊急時の防衛本能が著しく尖っており、この植物の心臓である、茶色の吊り上げられた玉のような塊の周囲にある宿主を切り離そうとしたものなら、明確な敵意を持った植物の根が、襲いかかる(実際の経験あり、切り離しても、直ぐに宿主だったものを対処せねば、あろうことか、回収されてしまう)』

 

『この核部分の周囲には他に、外敵用に、生やされた人食い植物が巣くっていることがある』

 

『この人食い植物は、特にこの植物と関わりが無いのか、宿主だったものを切り離した時、人食い植物が宿主を食い切ったり、宿主を焼却したりして消し去った場合、この植物の核は宿主を見つけられず死亡する』

 

最早、信じられない、と言いたい程に、ファンタジー染みているが、この状況では、信じるしかない。

 

 

そして―何の因縁か、上辺りで蔦に絡められているのは、ミオンに似た死体が4つ程。

 

 

 

 

「蛍...ミオンを頼んだ」

 

 

俺は、一瞬蛍を視界にいれると、直ぐ様謎の塊を睨み付けた。

 

 

―ミオンとおぼしき足音が、遠ざかって行く。

 

 

それを聞き終えた俺は、銃を構え、塊の『眼』に銃を向け―引き金を引いた。




このボスの設定は後悔もしてるし反省もしている(絶望)


先に注意書きしておきますね。


注意・ボス戦はぐだくだの極みになります、御注意下さいッ!
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