htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者   作:通行人 放浪

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キングクリムゾンッ!長々とした前置きを書いたという経緯を吹き飛ばし、書き終わったという結果だけが残るっ!


―ということで、今回短めで始めますね。


亡霊

なにこれこわい...

 

幾ら塊の目に撃っても、銃弾が、まるで霧を通り過ぎるようにすり抜けるだと...

 

 

資料には心臓部と書かれていたから、多少なりとは効くと思ったが、実は塊自体は裳抜けの殻なんじゃ...

 

 

 

溜め息をつこうとすると、おぞましい気配に、全身に悪寒が走った。

 

 

気付くと、塊から発せられる視線は、ミオン達は眼中に無し、という程に、俺に集中し、『好奇心』から『殺意』へと変貌していた。

 

あの赤い目を見ているだけで、吐き気を催しそうになる。

 

まるで、人の負の感情を、固めた幽霊のようだ...

 

 

そして、『悪魔』が、吼える。

 

まるでこの世の物とは到底思えぬ、不気味で、おぞましくて、甲高く、耳をつんざくような叫び。

 

 

姿を見ていても、咆哮を聞いていても、気が参りそうだ。

 

 

やっぱり、あのミオン似の遺体を、人食い植物に食わせてやるか、グレネードで消し飛ばすしかないのか...

 

しかし、あんなところまでは届かないし、どうしたものかな?

 

 

 

俺が考え込んでいると、不意に地面が、軽く揺れ始めた。

 

その振動はどんどん強くなり、強いて言えば、自分の足の下から来ている気がする。

 

 

「...嫌な予感」

 

 

こういうときの勘というものは、よく当たるものだ。

 

素直に信じた方がいい。

 

 

直感を信じ、銃を落とさないように、確とツカミナガラも、後ろへと飛び退いてみる。

 

 

 

その直後、恐ろしく鋭くなった木の根のようなものが、先程まで俺が居た空間を、貫いた。

 

 

縦に三メートル程の長さの木の槍か...恐ろしい。

 

一撃でも受けたら、百舌鳥の早贄のようになりかねん。

 

 

俺が、『悪魔』の攻撃を見て、感嘆していると、役目を果たした木の根は、滑るように地面へと吸い込まれて行く。

 

 

成る程、このままじゃあ宿主を落とせない上に、俺が御陀仏だ。

 

 

これを引っくり返すのは、俺の力じゃ無理だろう。

 

だが、俺はこの状態を崩す切り札があるのだ。

 

 

 

「影蛍ッ!あの死体に纏わりついた蔦を何とかしてくれ!」

 

 

 

叫んだ直後、また地面から突き出される根を、紙一重で、ステップで躱す。

 

少し、回避が遅すぎて、頬の薄皮を切った。

 

 

鋭い痛みが走るが、この程度、あってないようなもの。

 

 

 

ふと、跳ねたときに影蛍が、壁を伝っていくのが目に入った。

 

死体って言っただけだが、通じたらしい。

 

 

ならば、遺体が落ちてくるまで、粘ろうじゃないか。

 

 

 

今回ばかりは銃も役に立たない、自分自身の体力との勝負ってか...

 

 

 

いいぜ、やってやるよ。

 

俺みたいなカスが死んでも、ミオンさえ生き残れば蛍らが何とかしてくれるだろうからな...!

 

 

 

 

 

ぼとり、という鈍い音が、背後から響く。

 

後ろを振り向くと、予想通り、あの遺体が地に落ちていた。

 

 

これを担いで、人食いに食わせれば良いのだろう。

 

そう思い、遺体を力一杯担ぎ上げる。

 

 

だが、遺体はとても軽い。

 

まるでなにも入っていない枕のようだ。

 

 

これならば、直ぐに持っていけると思った矢先―

 

 

 

 

―突如、塊が咆哮を放つ。

 

先程よりも更に気味が悪く、まるで生物の断末魔のような、そんな聞いてるだけで、頭のネジが吹き飛びそうな程に、恐ろしい叫び声だった。

 

 

それと同時に、近くの地面が、奇妙にもこもことめくれ上がる。

 

 

気味悪く感じた俺は、離れつつも、めくれた地面を見ていると、まるで人の手の形になった、木の蔦が俺に襲い掛かった。

 

 

正確に言うと、奴が襲い掛かった対象は俺ではない。

 

狙っていたのは、あくまでも俺が担ぎ上げた遺骸なのだ。

 

 

地面を崩しながら、かつぎあげた遺骸に、まるで生きているかのように追ってくる。

 

 

その速度は、今の担ぎ上げている俺よりも早く、頑張って走っても、人食い植物まで間に合わない。

 

 

 

―走れば、だが。

 

 

「何かわからんが喰らえっ!」

 

 

ついつい噛ませのような言葉を発しながらも、走りを助走として、速度を利用し、俺は―遺骸を、人食い植物へとぶん投げる。

 

軽い遺体は、巧く放物線を描き―

 

 

 

―スタンバイしていた人食い植物の口の中にすっぽりと、頭から入った。

 

 

めりめり、という生理的に受け付けない、骨と肉を食い千切る音が、人食い植物の口から発せられている。

 

 

だが、それでも、人食い植物の口元には、人間にあるはずの出血が出ていない。

 

それがまた、かえって恐ろしかった。

 

 

 

完全に補食しきられたのを見たからか、『蔦の手』は、諦めたかのように、地に、土竜のように潜り、帰って行く。

 

 

...ふぅ、乗り切ったか。

 

 

運良く、一段目の扉を乗り越えたことを確認した俺は、額の汗を手の甲で払う。

 

だが、安心したのも束の間だった。

 

 

『――ッガァァァァァ!!!』

 

 

目に、殺意どころか、最早完全に『消す』という、怒りの焔を目に宿した『塊』は、我を忘れたかのように吼えた。




正月前で忙しくなりますよ...

暫く書けなかったらすみません。
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