htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者 作:通行人 放浪
尚、短めです
過去の欠片
ある一人の青年が居た。
その青年は、堅気ではない世界に足を突っ込んで『いた』。
『いた』と、強めたのは、もうその世界から、足を洗っていたからである。
が、そんな怪しげな経歴を持つ人物を使ってくれる仕事なぞ、滅多にありはしない。
ただ、秀でていたのは、多少の植物好き、という個性だけだった。
そんな青年は、あるブロンド髪の、少女と出逢う。
「んー...」
私は、暖かい光を感じて、目が覚めた。
とっても暖かくて、ずっと寝ていたいけど、起きなきゃ駄目だから。
目を開くと、そこにはお気に入りのうさぎさんのぬいぐるみ。
御父さんのお手伝いさんに貰ったプレゼント。
私は、このうさぎさんが、とっても好きだった。
うさぎさんに、半目のまま微笑んだ後、布団を取り、私は、柔らかなカーペットが張られた床に、足を付け、ゆっくりと立ち上がる。
ちょっと、お腹が空いてる。
少しだけ眠いのを我慢しながら、私は部屋から出た。
部屋から出ると、キッチンで、お母さんと、お父さんが、お皿にご飯を盛り付けているところだった。
お皿に乗っているのは、私の大好きなオムライス。
私に気付いたのか、お母さんとお父さんが、此方を振り向く。
「おはよう、ミオン」
「よく眠れたかしら?」
いつもの優しい笑顔で、私に微笑んでくれた。
「うん、おはよう」
私も、お父さんとお母さんに、眠さに目を擦りながらも、笑い返す。
でも、辺りには、いつも研究部屋に籠っている、お父さんの、お手伝いさんの姿がない。
「ねぇ、ユキお兄さんは?」
うとうとしながら、私は、二人に質問した。
お父さんが、小さく笑みを浮かべて、机の方を指差す。
そっちの方を見ると、そこには、私なら目が回る程に束ねられた、一杯の紙を、物凄い勢いで読んでいるお手伝いさんが居た。
お手伝いさんの近くの机に、綺麗に何も乗っていないお皿があることから、もう食べ終わったんだと思う。
――ユキお兄さんは、楽しい人だけど、あんな風になっちゃうと、周りが見えなくなる。
皆で一緒に食べたかったんだけど、仕方無いよね。
「ミオン、自分の分のお皿、持っていってくれるかしら?」
「うん、分かった」
私は、少しだけ寂しい気分になりながらも、自分の分のオムライスを、机に持っていくと、私の席に置いた。
ご飯を食べ終わると、また、堪えがたい眠さが襲ってくる。
やっぱり、お腹が一杯になると、眠くなるよね。
「ふふ、もう一度寝てきたらどう?」
眠さでぼやけた視界のなかに、私を撫でながら、お母さんは、二度寝を誘う。
私は、お母さんの言う通り、もう一度布団に入ることにした。
うつらうつらしながらも、私は自分の部屋の扉のノブを、睡魔で震える手で、掴み、回した。
あのとき食べてたのってオムライスでしたよね?