htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者   作:通行人 放浪

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前回は、大変失礼しました。

原作ファンの御方に、頭を擦り付けるように土下座致します。


ぬいぐるみの1-3編、始まりまーす。




謎の声

「...ここまで来ると、ゴミとは思えん大きさになるな...」

 

『不法投棄の極みだね』

 

俺達が、何故こんなことを驚愕の色を見せながら呟いたかというと、目の前に、山積みにされたごみの高さは、俺の身長の何倍もの高さがあったからだ。

 

しかも、全てが何かの機械類の破片や部品なので、重量、鋭さ共にこれが崩れたら、人間を殺めるのには充分すぎるだろう。

 

先程から幾つか梯子を昇っていて、全く梯子の道が終わる気がせず、地味に苛立ってきていた俺だが、このゴミ山の壮大さに、怒りを忘れてあっけらかんとしてしまった程である。

 

 

―我に帰ると、てけてけ、という効果音が似合いそうなかんじで、ミオンはゴミ山に駆け寄り、一部分をじっと見詰めていた。

 

「危ないぞ」

 

万一の怪我を起こさない為に、俺は、ミオンの方に歩き寄った。

 

しかし、ミオンは俺の言葉に微塵も反応しない。

 

どうやら意識は完璧に、視線の先にあるようだ。

 

どれ程の物か、と興味本意で、ミオンの視線を両目で追った先には―

 

 

 

俺の足下辺りの高さに、ゴミのなかでは珍しく、ピンク色の膨らんだ布地の何かが他のゴミに埋もれていた。

 

余り離れていないため、目を凝らして見てみると、それの正体が、ぬいぐるみであることがはっきりと分かった。

 

俺は、蛍の方に、ぬいぐるみに親指を突きつけた後、アイコンタクトで目配せをする。

 

『...見たことないわ』

 

アイコンタクトの意味を理解してくれた蛍がまるで、かぶりを振るように、光の残滓を幾重にも残し、左右に揺れた。

 

 

ミオンが取りにいくと危険なため、俺自身が、ぬいぐるみに近付いた。

 

そして、近くの邪魔なごみを安全なところに蹴飛ばしつつ、ぬいぐるみを引っこ抜くことに成功する。

 

 

―見れば見るほど、何の変鉄もない、兎のぬいぐるみだ。

 

塵を払った後にも見えるほどの、使い込まれた跡位しか、俺には見当たらなかった。

 

「ほれ」

 

じっとぬいぐるみを興味深そうに見詰めていたミオンに、ブロッククッキー宜しくぬいぐるみを投げてやる。

 

ぼふっ、という布特有の空気が抜けたような音とと共に、今度は、巧く受け止めるのに成功していた。

 

「...なんだか、暖かい」

 

そして、嬉しそうに、そのぬいぐるみを、さも大事そうに抱き締めた。

 

『...いいものだな』

 

「あぁ...」

 

無垢なミオンの幸せそうな笑みに、思わず和みを見せる蛍二人と俺。

 

だが、次の瞬間―

 

 

 

『私の物に触るなッ!』

 

 

 

―強烈な少女の、大気が震えるような怒声が響いた。

 

俺は、咄嗟にナイフと銃を掴み、辺りを睨みながら見回す。

 

が、ミオンと蛍二人組は、何も聞こえていないかのように、平然としていた。

 

更に、驚きは加速する。

 

 

「え、え?」

 

狼狽えたように慌てた声を出すミオン。

 

まさか、ミオンを狙いに来たのか?

 

更に焦燥を強くされた俺は、瞬時にミオンの方を振り向く。

 

 

彼女に抱き締められていたぬいぐるみが、少しの音も立てず、足下から、砂のように崩れていっていた。

 

数秒とたたず、ぬいぐるみは完全に無と化した。

 

 

『な、何が起きているの?』

 

『私にも判りかねる...』

 

蛍二人にも、何が何だか分からないようだ。

 

 

「...」

 

ミオンは、酷く落ち込んだように肩を落としていた。

 

そりゃまあ、気に入ったのかどうか知らないが、抱き締めていたぬいぐるみが目の前で霧散したら、落ち込むわな...

 

少なからず、俺は、ミオンに同情した。

 

 

...ぬいぐるみが霧散する前に、聞こえた、謎の少女の怒声がトリガーとなって、ぬいぐるみが塵となったようにしか思えない。

 

しかし、蛍達にも、ミオンにさえも聞こえていなかったように俺は見えた。

 

 

そして、聞き覚えのある少女の声。

 

その声は、怒声のせいで、原型は分からなかったが、幼さを残したもので、且つ、俺が、もう聞き慣れていた声。

 

...そう、一番、あの声に近いのはミオンだ。

 

だが、ただの、”声の”空似かもしれない。

 

判断するには、余りにも情報が足りなさすぎる。

 

やれやれ、と思いながら、俺は、意気消沈したミオンを引っ張って、次の梯子を昇り始めた。

 

 

 

梯子を昇り終え、少し歩いた先は、開けた、広いトンネルのような一本道の通路だった。

 

天井は無論無いが、ここは、研究所と言える形を、他よりも強く残していた。

 

残念ながら暗く、そこまで遠くは見通せない。

 

しかし、辺りには幾つもの砂袋の山等といった資材があちこちに有り、先程よりも、人の手が見受けられる。

 

―埃を被ってるし、人がいるとは到底思えないが。

 

警戒しつつも、俺は、余裕綽々ぶりを見せながら、のんびりとした足取りでシガレットをくわえ歩く。

 

ミオンも、俺と同じく、ゆるりと歩いていた。

 

しかし、蛍二人は違った。

 

忙しなく動き、まるで何か恐ろしいものが来る前の村人のような挙動不審さがあった。

 

『...ここは』

 

『うん、不味い』

 

その声にも、何処と無く焦りが感じられる。

 

嫌な予感が俺を襲った、その時。

 

 

―ドスン、ドスン、と、重厚な足音が、背後から響いた。

 

 

俺は、嫌な予感が恐らく的中したのを歯噛みして悔しがりつつ、銃を取りだし、足音の方に向ける。

 

やがて、”それ”は漆黒の中から姿を現した。

 

 

俺の3倍は有りそうな丈の四つん這いの影。

 

見るだけで嫌なことを思い出す、紅く光る両眼。

 

 

俺は、その”何か”に、明らかな敵意が有るのを感じていた。

 

こういうときは、もうやることは決まっている。

 

脆い人間の考えは、いつも、ひとつ。

 

 

「―逃げるんだよーッ!」

 

「ひゃっ!?」

 

唖然としていたミオンの手を取り、一目散に”何か”から背を向け、全力疾走した。

 

蛍二人も、俺に並走するように、逃げ始める。

 

―ミオンが手を取るとき、驚愕の小さな悲鳴をあげた気がするが、気に留めない。

 

気にしてのんびりしてたら、あの”何か”に殺られる事は、勘で理解していたからだ。




ミオンちゃん、蛍のキャラが描画無いのもあって、捉えられてないな...このままでいいのだろうか?

さて、次回もサービスサービスゥ!
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