htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者 作:通行人 放浪
拙いながらも、頑張ります。
やはり現れた。
行人君が紛れ込んだことで、現れない可能性がある、と思いかけていた私は、自分自身を恥じた。
こいつら影は、人間のように、肉体が見えない。
影でしか存在を認知できないのだ。
私達は、過去の輪廻では、ひび割れた天井等を、影を伝い、私が破壊し、利用して無力化出来、その方法を、ずっと使ってきていたのだが。
今回も、そうやるのが、一番の方法と、私は思っていた。
が。
ふと見れば、行人君は、ミオンの手を離して、とんでもないものを右手に持っているではないか。
―食いちぎるように、口でピンを外し終わった球状のものが、その手に握られていた。
細かい種類は、私のような、しがない元研究員には分からないが、球状のものが、俗称として、何と呼ばれているかは、流石に知っていた。
軍隊などで使われる、投擲用の爆弾である、手榴弾。
なんでそんなものを持っているんだ、この青年は?
そんな悠長な事を考えることは、今は出来ることではなかった。
「ここから先はR指定...ってか?」
愉快そうに笑みを浮かべながら、行人君は、手榴弾を影の化物に向かって、トスした。
手榴弾の影は、自然な放射線を描きながら、かなり離れている化物の影に触れる。
この時、ピンを抜いてから、4秒弱だった。
―凄まじい轟音とフラッシュと、土煙が起き、化物の叫び声が木霊し、ミオンが驚愕に身を竦めてしまう。
が、行人君は、ミオンの首根っこを乱暴に掴み、自分の手元に寄せると、鉄骨の時のように片手で抱き抱えた。
もう片手には、黒光りする拳銃。
「あれだけであのデカブツは気絶もしない、単なる足止めだ!」
まるで、今の私の警戒が薄れたのを気配で感知したかのように、軽く人睨みすると、化物の方に銃を向けた。
―彼の予想通りだった。
サンドバックを凄まじい威力で殴り飛ばすような音が、再び訪れていた静寂を砕き、蛍の方に、砂袋の残骸が飛んできた。
それを、巧く蛍は躱すと、ふと思い出したかのように、叫んだ。
『ここらは足下が緩い!油断しないで!』
メキッ!
「...もう遅いみたいだぜ」
情けない、しかし、少し嬉しそうに、行人君は笑った。
『...この姿じゃ無ければ...』
『まだここらは、ミオンが落ちても動けるくらいの高さだから良かったね...はぁ』
二人の蛍は、自分が人の肉体を持っていないことを、更に悔やんだ。
『無事で何よりだよ』
「おうよ」
私は、落ちても全く動揺せず鼻唄混じりに逃げつつ、銃を撃ち、弾切れしたらすぐに慣れた手際で装填する行人君を見て、凄く頼もしさを感じていた。
こんな普通では考えられない事態でも、ここまで驚きを見せない人間は、ここぞというときの強さがある。
それを、私は思い知らされた瞬間だった。
「行人お兄さん、大丈夫?私は降りた方がいいよね?」
ミオンも、震え、目を見開きながらも、気丈に行人君を思いやるメンタルはあるようだ。
「んじゃ降りてくれ」
思いやりのある言葉を言ったミオンの言葉に甘えてか、ゆっくりとミオンを降ろし、二人で走り始める。
その瞬間、破壊の轟音と共に、紅い残滓が、後ろの暗闇に光った。
手榴弾のダメージのためか、スピードは多少落ちていたが、驚異的な破壊力のスピード自体は健在のようだ。
銃弾に関しては、効いているかさえも定かではない。
「えー...ちょっとはゆっくりしなよ」
背後を見ながら、行人君は、露骨に嫌そうな顔をした。
しかし、次に、『行人君自身のみで追い詰めようとしてるな』と考えた私に対し意外な事を、彼は言う。
「あの天井...影蛍さんなら落とせそうだなー...やれないかなー」
行人君は、物凄く分かりやすい言葉とアイコンタクトをすると、銃を牽制の為か二発ほど発砲した。
その銃弾も意に返さず、という程、まるで獣のように、ミオン達の近距離に詰め寄る影。
そして、疾風で跳躍し、ミオン達を喰らおうと、影は、大顎を開く。
影自体に、明確な、人間のように、思考できた、かどうかは知らない。
だが、そうとしても、飛びかかる前の、行人の顔を見、声を聞くことはできただろう。
―ミオンを護りながらも、勝利の笑みを浮かべている行人と、
「敵は俺達だけじゃなかったようだな、残念」
という、勝った者だけが言える台詞を。
その瞬間、天井が崩れ落ち、膨大な瓦礫と、支えられていた巨大な廃電車に、哀れな化物は押し潰された。
ホタルノニッキ勢の設定が捉えられているか、不安です...
そこらは、教えて貰わないと、というレベルですね。
二階層で終えた理由(という名の言い訳)は、長々と拙い文章を書くと飽きられそうだったからです!すみません!
(思い付かなかった何て言えない)
それはさておき、描き忘れていた乱入者の武器の想像をば。
拳銃➡dmcのエボニーの、フルオート機能を抜く等の多少の劣化に、グリップを扱いやすく削ったあと、装飾を無骨にしたもの。
ナイフ➡実用的なコンバットナイフとファイテイングナイフの中間、黒色。