htoL#NiQ―無垢な少女の輪廻への乱入者   作:通行人 放浪

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ちょっとだけ鬱っぽいの入ります。

どうぞ、閲覧下さい。


機械仕掛けの歯車と、運命の歯車
昇降機の小部屋で


 

機械的な、エレベーターの起動音が響く。

 

エレベーターの現在地を示すランプは割れ、光を喪っていたものの、廃墟レベルの建物に、エレベーターが動けるほどの電力が通っている事は、行人を驚かすには充分だった。

 

だが、ミオンは、幼さゆえか、そこまで驚いてはおらず、興味津々、という風に辺りを何度も見回すくらいの余裕...というより、元気っぷりだ。

 

蛍二人組に至っては、まるで知っていたかのように、平然と片方は宙に、もう片方は、ミオンの影に佇んでいた。

 

蛍達の雰囲気に、何かしらの疑問を、行人とミオンは勘づいているかどうかは、読み取ることは出来ない。

 

何故なら、ミオンは好奇心旺盛さを全開にして、近付いてくるエレベーターの音を、目を輝かせて聞いている。

 

行人は、ミオンのはしゃぎっぷりを、娘を見るかのような優しい目で見ながら、愉快そうに笑みを浮かべていた。

 

とても、先程死闘が繰り広げられたとは思えない光景であるが、幼いミオンと、陽気な行人に限って、例外になるのかもしれない。

 

 

―ちょっと前まで、ミオンは、ずっと走らせていた、と感じていた為、行人を労りながらも謝り、行人は、ミオンを乱暴に抱き抱えたりした事をこれまた謝る、という、明らかに背が違うコンビの漫才になっていたことは、今は知るよしもない。

 

その時の蛍二人は、複雑な心境だったかどうかも、定かではない。

 

ただ今回分かったのは、中々ミオンが礼儀正しい良い子だという琴である。

 

 

軈て、エレベーターは到着し、入り口が静かに開かれる。

 

「ふむ、大丈夫そだね」

 

満足そうにエレベーターを一瞥すると、行人はシガレットの箱を左手で、懐から取り出す。

 

エレベーター内は、少し汚れたり、老朽化が見受けられていたが、支障となるほどではなかった。

 

安心して使用できる範囲と、彼等が考えるのも当たり前だろう。

 

直ぐ様駆け込もうとするミオンを悠々と制しながら、蛍二人と、少女と共に、行人はエレベーターに乗った。

 

 

独特な昇降機の音と共に、昇降機の個室は、下に向かっていく。

 

理由は不明だが、階層を示すボタンが、恐らく今まで彼等がいた階層である【B2F】と、【B###(風化し過ぎていて、読めるものではなかった)F】しか無かった。

 

後者のボタンを押さないことには何も始まらないと考えた行人は、躊躇い無くボタンを押したのだ。

 

 

そして、今に至る。

 

 

乗り込んで十分ほど立ったか、昇降機は、未だ到着せず、軽く軋むような音を立てて降りていた。

 

行人は胡座をかきながら、慣れた手付きで、ナイフと銃の整備をしている。

 

ミオンは、安らかな寝息を立てながら、昇降機が降りはじめてからすぐ、身体が限界を迎えたのか、深く眠っていた。

 

蛍二人は、そっと、眠りについた無防備のミオンの様子を見守る。

 

 

『...貴方は、何故そんな武装を持っているの?』

 

 

沈黙を保っていた中、蛍は、光の尾を引きながら整備するために、幾つもの部品にバラされた銃を見下ろし、呟く。

 

蛍の疑問も、最もである。

 

彼はどう見ても10代から20代前半の見た目だ。

 

いくら古ぼけた外套を着ていても、顔は誤魔化すことは出来ない。

 

若さが垣間見えるような軽快な性格も合間って、疑問を大きくしているのだろう。

 

しかし彼は、

 

「そりゃ、俺が一般人じゃないってことさね」

 

と、おどけたように笑いながら、”蛍の求めるそれ”には不充分過ぎる解を答えた。

 

『そういうことを言ってるんじゃ...』

 

折角単刀直入に切り込んだ渾身の質問を、あっさりの躱された蛍は、深い溜め息をつくが...

 

「出来た」

 

銃を組み立てる時の音と、完成した時の行人の、息抜きの呟きにより、溜め息の音はかき消されてしまう。

 

『はは...』

 

悔しそうに呻く蛍をミオンの影から見ながら、苦笑したように笑う影蛍。

 

 

「さて、ミオンちゃんが寝てる今、質問したいことがあるんだが」

 

 

組み立て終えた銃を、右手で掴み、持ち上げる。

 

その動きには、全く敵意は感じられない。

 

水車のように何度かくるくると回すと、そのまま、彼は懐に銃を仕舞った。

 

「何かしら?答えられることなら―」

 

蛍が、訝しげに、警戒しながらも言い終わる前に、行人が口を開く。

 

 

「蛍さん達二匹...いや、”二人”の事を聞かせてもらえるかな」

 

笑いを止め、先程とは真逆な、真剣な表情をし、腕組みをする行人。

 

『『!?』』

 

意味深長な言葉と、見透かしたような鋭い眼光に、二人の蛍は驚愕を隠せなかった。

 

蛍は衝撃に身体を左右に揺らし、影蛍は焦りで留まっていた軸をぶれさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私』が、一つの部屋の”外側”で、小さく震えているのが見えた。

 

部屋は、そこらじゅう血だらけで、私は少し気分が悪くなった。

 

大きなベッドには、血の赤い線ができていて、近くの窓は、大きな穴が空いてて、部屋から出るところにも、続いていて、それを見ていた『私』は、目に涙を浮かべていた。

 

「わかんないよ...わかんないよぉ...」

 

 

 

 

次に瞬きしたら、今度は広い部屋が見えた。

 

 

部屋の真ん中のところに、布のようなものがかけられてて、人みたいに膨らんでいる。

 

 

その膨らみは、奇妙なことに私と同じくらいだった。

 

 

部屋の窓には、『私』が寂しそうに外を見ていた。

 

「うう...⬛⬛⬛...っ!私のせい...ごめんなさい...ごめんなさいっ...」

 

外では、前の嬉しそうに笑ってた女の人が、別人のように、涙を沢山流してる。

 

でも、なんでか女の人が言っている名前だけは、聞こえなかった。

 

近くには、悲しそうな男の人も居た。

 

 

 

「...ねぇ、私は此処にいるよ?⬛⬛⬛⬛、⬛⬛⬛⬛。なんで見てくれないの?...ひっく」

 

 

 

「やだよ...無視しないでよぉ...」

 

 

「開いてよ...開いてよ...⬛⬛⬛⬛っ...⬛⬛⬛⬛っ...!」

 

 

血がこびり付いた扉を強く叩いていた『私』は、ついに、涙を沢山流して、膝を着き、窓に凭れかかって、嗚咽を漏らし始めた...




今回も御覧頂き有難う御座いました。


記憶の欠片のネタは、こういう風に、『夢』として登場させるつもりなので、ステージの進みがかなり遅くなる可能性がありますが...御容赦くださいっ!
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