海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー 作:satos389a
読みたいと思う方だけじっくりとお読みください。
第1話 開幕、そして初戦
初めに言っておくーー
これは通常の一般人とは違う特性をもったある大学生の話であるーー
「なぜ周りの友達と馴染めないのだろう?」
そうつぶやいている彼、海神智史(わだつみ さとし)は自分の挙動に対する周りの誤解が解けていないことにいつも悩んでいた。
彼は自分の特性に気がつき、それが周りの誤解を招いていることに気がついてはいた。実際、自分には他人を傷つけるつもりはなくとも、他者を無意識に引かせるような行動があった。
例えば大学の授業中、先生が話している最中でも自分のケジメをつけられないと、先生の話を遮り、自分の意見や質問をしてしまうことがあるのだ。
もちろん本人に悪意はない。しかしその行動が彼の特性を理解していない人間を引かせてしまうという事態を招いていた。
また、異性と話がしたくても、相手が何が好きなのかが分からず、自分が相手が好きだろうと思ったことを話しまくったり、アクションを起こしたりはしたものの、結局相手に飽きられたり、振られたりするという日々が続いていた。
また、バイト先のコンビニでも、その特性を理解しない故に智史を一般人扱いしている店長に智史が一度やった間違いを何度もやってしまったたびに店長は彼にその「常識」を説教として何度も聞かせてくるのだ。
店長にしてみればそれは一般的な「常識」だが、彼にしてみれば「苦痛」以外の何者でもなかった。しかもその誤解が続いたせいで、彼は店長から解雇宣告を受けた。つまり“クビ”である。
そういうこともあって、彼は前述の台詞を口にしつつ、ひどく落ち込んでバイト先から帰ろうとしていた。
車に乗り込み、鍵を回そうとしたその時であるーー突然、空間が歪み始めたのだ。
「なんだこれ⁉︎周りの空間が歪んでいる⁉︎」
そう叫び、激しいパニック状態になってしまう智史。これも彼が持っている“特徴”のものなのだ。
そんな状態の彼をよそに空間はどんどん歪んでいき、彼が元いた空間の景色は褪せていき、そして黒く染まっていく。
「た…助けて…、誰か…助けて…。」
そして最後には彼の意識が薄れ、そして眠りにつくように意識を失った。
彼が帰ってこないことを不審に思った親が警察に捜査を依頼し、警察が彼の車を見つけて調べたものの、その車の中には血痕一つ残っておらず、彼のカバンだけがそこにあった…
「あ…あれ…? い…き、てる?」
意識を失った彼はしばらくして目を覚ました、そして周りを見渡した。
「えっ…、この光景本物なの?」
彼は周りの景色を見て混乱した、それも無理はない、彼が気を失った元の世界とは全くと言っていいほど景色が異なっているのだ。
「う…うちは、り…リヴァイアサンの上にいるの…?うちが一番好きな艦の、上に?」
そう、彼は鋼鉄の咆哮シリーズに出てくる超巨大戦艦リヴァイアサンを模した艦の艦橋のてっぺんにいたのだ。
「おーい、誰かいるの〜?」
とりあえず彼はその艦の艦内に人がいないのか探し回ってみた。しかし、誰も人はおらず、自分が好きなアニメである「蒼き鋼のアルペジオ」の艦の特徴ばかりが目に入ってきた。そして自分の身体が通常の人間とは違っている状態になっていることに気がつき始めていた。
「あれ?こんなに速く動けたっけ?」
いつもなら自虐的に(彼が抱えている“特徴”が齎した考え方なのだが)「運動不足」と考えていることも相まってしばらく動くと疲れてしまうのだが、なぜか歩き回っても疲れを感じない。試しに全力で走っても全く疲れず、おまけに異常に速いと感じた、少なく見積もっても前の自分の全力の倍以上の速度が出ているのだ。
「ひょっとして…この艦の、メンタルモデル?」
通常、「蒼き鋼のアルペジオ」に出てくる霧の艦艇のメンタルモデルは女なのだ。しかしこの艦にはいくら探しても不気味なほど他人の気配がしない。試しに霧のメンタルモデルが活動を活発化させている時に出すメンタルモデル自身を囲むサークルを出してみようとしてみる。
「で…でた…。本当に出た…。」
なんと、本当に彼の周りに紺色のサークルが出たのだ。しかもそのサークルが示している画面には
「FOG FLEET ULTIMATE-SUPERWEAPON “LEVIATHAN”」と表示されていた、つまり彼、海神智史は霧の究極超兵器級、超巨大戦艦リヴァイアサンのメンタルモデルに元いた自分自身の姿のままなってしまったのだ。
そして“彼”が活動を活発化させたのと同時にリヴァイアサンにもマリンブルーのバイナルが現れる。
「と、取り敢えず、リヴァイアサン、発進!」
彼はそう叫ぶと同時にリヴァイアサンに全速で進むように念じた、するとリヴァイアサンの重力子機関と波動エンジンが唸りをあげ始め、四基のスラスターに膨大な推進力を与えていく、そして艦は動き出した。
「う…動いた…。や、やった…!」
その念が通じたことに身を震わせつつも喜ぶ智史、しかし突然警報が鳴り響く、その理由は艦に接近するタナトミウム反応が検出されたーー侵食魚雷がこの艦に向けて放たれたことを示していた。
「未確認の巨大艦から重力子の反応とそれとは異なるエネルギー反応の検出を確認した。」
「霧ならざるものとして、この艦を撃沈します。」
そう、イ400、402の潜水艦姉妹がリヴァイアサンの出現を探知し、その真相を確かめるべく複数の霧の潜水艦を引き連れてここに来ていたのだ。
「ちょ、ちょっと待って!まだ何も、何も、こちらにしてないのに!くっ、迎撃兵装起動!」
智史はリヴァイアサンに装備された100口径610mmAGSや155mmバルカン砲「イーゲルシュタルトⅡ」を起動させ、侵食魚雷を迎撃しつつ2人との会話を試みようとする。
「そうだ、霧には概念伝達があった!」
そう言い、2人に概念伝達を試みる智史、しかしその返答は更なる侵食魚雷の群れだった。
「ぐっ…!」
リヴァイアサンに迎撃し損ねた侵食魚雷が何本か命中した、彼はダメージを覚悟した、しかし…
「あれ、無傷?」
なんとリヴァイアサンに直撃した侵食魚雷のエネルギーはそのままリヴァイアサンに吸収され、艦体には何の物理的ダメージが確認されていなかったのだ。
「く、クラインフィールド?えっ、何これ?」
しかもリヴァイアサンに吸収されたエネルギーはそのままリヴァイアサンを強化するためのエネルギーになってしまった。
「まさか…こんな能力があるなんて…これって、チートじゃ…」
リヴァイアサンのチートじみた“能力”に驚く智史、それは2人も同じだった。
「侵食魚雷のタナトミウムを、自己強化用のエネルギーとして吸収しただと…。」
「我々にはそんな能力はないはずです…。ありえません…。」
リヴァイアサンが見せた“力”に愕然とする400と402。彼女達はこんな事など体験などしなかったからだ。
「お〜い!応答してくれ〜!」
智史はそう呼びかける、しかし
「未確認艦から未だに通信あり…。」
「こちらから呼び掛けている…。でも命令は命令です、我々が応える理由はありません…!」
2人は全く答えようとしなかった、感情というものに戸惑い始めていたのもあったのだろうか…?返答は先程のと同じく侵食魚雷だった。
「このままだとコケにされるか侮られるな…。よし、こいつらイライラするからこの艦の力を見極めるついでにぶっ潰すか。ここに出てくるまでの法律がどーだこーだだからって自分の身を守る為の行動を引き起こさずただ単に司法による判断を待っているだけじゃ、殺られちゃうのがオチだよ、ねぇ?」
智史はそう呟く、危機が迫っているというのに上からの判断を待っていたのならば判断が出て行動に移す前に殺られてしまうかもしれない。こういう時は即断即決がベストと云うべき状態だった、そして彼は下す、殺られる前に殺ってやるという決断を。
ーーもしこの2人を含めた奴らを殺したことで裁かれるという結論が出るのならその時は受けるとしますか、まあまだここがここに出てくるまでの世界と同じかはまだ分からないけれど。でも力を手に入れたからにはここに来るまでの時とはうって違って盛大に抗わせて貰いますぜ?
そして破壊と蹂躙の“宴”が始まる、この能力に身を震わせつつも勇気づけられ、同時にその場の感情によるものなのだが、2人が対話しようとしないことに失望と憤りと覚えた智史がリヴァイアサンの全ての兵装の照準を彼女達に合わせ始めたのだ。
「こんな能力もあるのか、よし、これも使って皆殺しじゃあ〜‼︎」
なんとリヴァイアサンにはあらゆる物資を形成できる能力があったのだ、それも無制限に。それを使う本人は一瞬で作られる量はリヴァイアサンが“物資”として存在する以上限りあると信じていたーーこれも彼の特性による考え方のものだったがーーため、使い始めて直ぐにその生成能力を強化し始めていた。そしてその能力で生み出された大量の“金属の鳥”達はリヴァイアサンから発艦すると容赦なく400姉妹とその隷下の潜水艦達に侵食魚雷や振動弾頭を搭載した対潜ミサイルを投下していく。当然、リヴァイアサン本体もタナトミウム弾頭のASROCVLSや120口径155㎝連装砲塔レールガン、そして右舷格納庫の120口径380㎝レールガンを起動して襲いかかる。
「(すげぇ、一撃で面白いように沈んでいく…‼︎)」
「(ば、馬鹿な、潜水艦とはいえど立派な霧だ、それを一撃だと…⁉︎)」
リヴァイアサンやその艦載機から放たれたミサイルや侵食魚雷は次々と霧の潜水艦部隊に直撃、ある艦は艦体が大きく抉れて大爆発を起こし、またある艦は艦体が金属的な輝きを失い、炭色に染まった後大爆発を起こして沈んでいく。
「レールガン起動、ロックオンよし…発射!」
そして彼はリヴァイアサンを水中に潜行させ、そのままイ13、イ19に砲塔レールガンと右舷のレールガンの照準を合わせた、そして光弾が放たれる。光弾は2隻を貫き、2隻はその光弾で大きく抉れた船体を一瞬晒して大爆発を起こした。
「部下に火種を任せて自分は放置など無策の極み!容赦なくやらなきゃ!」
彼は物事を部下に任せて自分は前に出ないという行為が如何に愚かな行為であるということを知っていたからだ。
「イ13、19、轟沈…ありえん…私の、身体が震えている…なんだこの感情は…」
そう言いながら自身に生じた“感情”に身を震わせる402、しかし智史はそんなことは知るかと言わんばかりにリヴァイアサンを水中に潜行させ、猛攻をこちらに仕掛けてくる。
「402、ここに留まるのは危険です、離脱しましょう!」
自分の隷下の艦がリヴァイアサンとその艦載機の猛攻を受け次々と殲滅されていく様に戦慄した400が402に呼びかける、しかし遅かった…!
「見つけた…!2人の様子を見るにここで見逃しても、何れまた襲いかかってくるーー禍根のような事態になるな、こうなるならばさっさと斬っておこう!悪いけど、2人とも退場は今からかなり後だけどこの時点での永久退場でよろしく!」
2人を見つけた智史がここに向かってきた、そしてリヴァイアサンから光弾が放たれ、402のクラインフィールドを軽々と貫通し、彼女の船体を艦橋もろとも抉り飛ばす。当然、そこにいた402のユニオンコアとメンタルモデルを巻き込みながら。
「402!」
一瞬で妹が爆発と共に消えた光景を目にした400、しかしそれに対する気持ちを示す間も無くリヴァイアサンとその艦載機のミサイルと侵食魚雷が何十発も命中し、彼女のクラインフィールドを飽和させ、船体を容赦なく抉る。そしてその物理反応が終わった直後、彼女は大爆発を引き起こした。
「ふ〜終わった終わった。これが敵を蹂躙する悦びか…。にしても少し…やり過ぎちゃったかなぁ?まあ、火種を消し損ねるよりはいいか!(笑)罰があるならその時は受けますか。」
初戦で勝利を掴み喜ぶ智史、後に判明したことなのだがこの世界は元の世界とは異なるということ、そして夢幻ではなかったーー当然罰とやらも無かったということだったのだが、彼はこの時はまだ知らない。
そして暫くして彼の頭の中には次の考えが頭に浮かんだ。
「元の世界…鋼鉄の咆哮の世界設定から考慮するに、霧の究極超兵器級が他にもいるのでは?情報収集を始めなくては。」
その疑念に囚われ、強敵に打ち勝つ為に自分ーーリヴァイアサンを進化、強化することを始める智史、その疑念は後に当たっていることを知らないままに。
「取り敢えず、現状把握の為、東京に向かおう。」
そして彼は東京に向けて艦を進める、だが彼の出現はこの世界に本来なら滅びへの宿命へと向かう時の流れを狂わせ、変えてしまう程の多大な影響を与え始めていたーー
設定
霧の究極超兵器 超巨大戦艦リヴァイアサン
全長 2330m
艦幅 240m 全幅 900m
基準排水量 27550000t
最高速度 水上 2200ノット 水中 2000ノット
(物語開始時点)
武装
120口径380㎝レールガン 1基
120口径155㎝連装砲塔レールガン 3基
100口径610㎜縦式連装AGS 12基
重力子レーザー発振基「レクイエム」3基
各種ミサイル発射用ミサイルVLS 20000セル
超大型量子弾頭ミサイルVLS 2000セル
155mm格納型バルカン砲「イーゲルシュタルトⅡ」 単装120基
全方位超重力砲(物語開始時点での一門あたりの火力はコンゴウ暴走形態が放った超重力砲の10倍の威力に匹敵) 片舷20基 計40基
200㎝船体格納型各種魚雷発射管 200門
ミラーリングシステム、クラインフィールド、強制波動装甲、物質生成能力、自己再生強化・進化システム装備
なお、ミサイルVLSは他の霧の艦艇と同じく艦体各所に生成可能。
説明
突如として生み出された謎の霧の艦艇。外観は鋼鉄の咆哮3に出てくる、超巨大戦艦 リヴァイアサンと細部が異なることとスケールが違うこと以外はほぼそっくりである。イメージするなら3の本家海龍をそのままイメージしてほしい。また、驚異的な性能を持つ自己再生強化・進化システムを持ち、いかなる戦況にも対応可能。
現時点ではこのようなスペックだが、今後新たなオプションを追加すると思われる。