海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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今作は色々と考えた結果執筆に時間がかかってしまいました。
特にヒエイとヤマトの扱いには配慮しております。またそのためか前作の一部に新たに表現を追加した箇所が数カ所ございます。
もし意味が分からず混乱されてしまう方は、お手数ですが、私が手直しをした前作をもう一回読み直されてください。
それではじっくりとお楽しみください。


第11話 包囲と会談とバーベキュー、そして決裂

「遂に来ましたか、大戦艦ヒエイ。霧の生徒会の皆さんや大艦隊まで連れて。おまけに秘策付きか、奴らアリューシャン沖であのブツをハボクックから貰ったからな。だが、あんたらがやろうとしていることは盗み聞きで全部筒抜けよ、400がかつて言ってたね、「感知できていれば対応できる」って。あんたらには悪いけどうちの方はもう対処方法は考えてある。そしてその対処能力はもう十分な規模でも更に強化しているけど。」

そう呟く智史。彼の言った通り、ヒエイはアリューシャン沖で合流するように北太平洋で警戒待機中の超巨大氷山空母ハボクックに指示を出し、ある兵器を彼女から調達したのだった…。

「さーて、ヒエイの艦隊をどうクッキングするか考えないと考えないと♪」

そう呟き、ヒエイ達をどう潰そうか考える彼の頭の中には某大手マヨネーズ製造会社の宣伝テーマ曲“3分間クッキング”が鳴り響き、それと同時にヒエイ達がどう料理されていくのかがレシピとして次々と浮かんでいく。実際彼にはそれを実行してしまうだけの余裕があり、更にその余裕は自身がハイペースで強化しまくっている自己再生強化・進化システムによってますます増大していくのだ。もはやヒエイ達と彼の実力差は隔絶していたのだ、彼が一方的に有利な状態で。

「さて、群像達と対応を協議しよう、今回はうちが群像達を巻き込んでしまった、戦闘を楽しむついでにこの事の責任をとらなくては。責任の擦りつけ合いなど見たくない。」

そう呟くと彼は群像達が集っているブリーティングルームへと向かっていく。

 

 

 

そしてその頃ーー

 

 

「ふふふ、ヤマト、ようやく目覚めたのね。でもあなたはすぐにヒエイ達の手によって沈むことになる。彼と一緒にね…。」

 

 

「ヒエイ艦隊、硫黄島を完全包囲しています。航空母艦が多数配備されている模様です。」

「彼の航空戦力を警戒してその対策として配備したのか…。」

「おいおい、こちらにあんな規模の大艦隊と無数の航空機が襲いかかってきたらひとたまりもねえぞ⁉︎」

「航空機多数って、非常に不味くない⁉︎量でカバーされたらいくらイオナや私達が頑張っても撃沈されるんじゃ…。」

「おまけに逃げ出そうにも攻撃型潜水艦に新型のキラー艦にソナー艦がたくさん居ますからね、直ぐに見つかって包囲されて終わりでしょう。」

「まさに八方塞がりだな…。」

あまりの規模に対処策が見出せない群像達。

「超兵器レーザー戦艦と超巨大円盤は非常に高威力のレーザー兵装多数搭載、超高速巡洋戦艦は非常に大型の侵食魚雷多数って…。いくら超戦艦の私でも、これじゃあ…。」

あまりの実力差に己の非力を嘆かざるを得ないヤマト。

「ハルハル、キリシマ…。私達、殺されちゃうの…?」

「蒔絵、安心しろ!私がお前を何としても守る!」

自分を殺される恐怖に怯えて泣く蒔絵と、恐怖に駆られながら彼女を励ますキリシマ。そこへ智史が入ってくる、そしてーー

 

「みんな不安?まあしょうがないか。うちのせいでこいつらが来てしまった。だからこいつらうちが今から全部ぶっ潰す。」

 

彼の常識を逸する発言に驚く群像達。

「智史、それだけは反対だ、お前が幾ら強くても押し切られる!」

「おい正気かよ⁉︎幾ら何でも数の規模が違いすぎる!数に押し切られて殺られるだけだ!」

「うん、正気。うちが今回の事にあんたら巻き込んじゃったからその責任もついでに取る。今からこいつら潰すから待ってて。」

「この人正気かよ、あんな大艦隊を今から全部相手にするって〜!」

「杏平、彼が何を考えているのかは分からない、だけど彼を見捨てることは私にはできない。私も彼と一緒に戦う。」

「ありがとう、イオナ。これより戦闘準備に入ろう」

「イオナ、お前もイカれちまったのか?死ぬぞ?」

「彼は私達に悪いことをしてしまったのかもしれない。でも彼に一人ではないという事を伝えたい。」

反対する杏平を押し切り戦闘モードに入ろうとする智史とイオナーー

 

「待ってくれ、智史、イオナ。一旦落ち着いて、様子見をしてくれないか?」

「どういうことだ?」

「群像、それはどういうこと?」

「彼らにあることを試してみたい。」

ーーやはり、原作通りか、群像。

「群像、お前まで頭がイカれちまったのかよ〜!もう堪忍してくれ〜!」

「了解した、ただしお前が交渉をしくじったら直ぐに行動に移せるようにアイドリングは掛けておくぞ。」

「ありがとう、2人とも。ヒュウガ、音声通信でヒエイに伝えてくれ。」

「群像、私のせいでお前達をこんなことに巻き込んでしまった、許してくれ。」

「別にいいさ、智史。共にこの状態を乗り越えるぞ。」

 

そしてーー

「あなたの方から話しかけてくるとは珍しいですね、ヒュウガ。」

「今の私は子供のお使いよ、あなたに千早群像のメッセージを伝えるわ」

「何ですって?」

彼女にそう言われ驚くヒエイ。そしてーー

「皆さん、硫黄島に上陸しましょう、千早群像とリヴァイアサンと話をするために。ただしユニオンコアは船の方に残してください。」

そしてヒエイ達はユニオンコアを船の方に残して硫黄島の方へと歩き始める、

「あいつがリヴァイアサンかぁ〜!かっけ〜!」

「アシガラ、はしゃがないの。」

「改めて見ると、大きい割に随分とスッキリしたデザインだな。我々の方はゴツゴツしているというのに」

「話に行くの、めんどくさい…。」

「話によるとハリマもアラハバキ姉妹も全く歯が立たなかったらしい」

「伝説の海の怪物の名を冠している割に随分とシンプルな形をしているな」

「ミラーリングシステムを操って自在にエネルギーの濁流を引き起こせるらしい。流石は海龍といったところか」

海の上を歩きながらそう会話をするミョウコウ姉妹と超兵器達。そして、

「リヴァイアサン…。あなたが何を考えているのかを見定めさせて頂きます。」

彼らは硫黄島の海岸に向けて歩いていくーー

 

 

そして同時刻、硫黄島海岸ーー

イオナはオレンジのワンピースの水着に着替えていた、智史はそのままの姿だったが。

「イオナ、私はお前達を強化するつもりはない。強化するなら自分でしろ。」

「その気持ちは分からなくはない、もしあなたが私たちに力を与えたらその力はあなたが与えたものになって、自分の足で立ってないことになってしまう。あなたは私たちに強くなるなら自分の力で強くなってほしいと強く願っている。でも、今の私たちは非力…。どうすればいい?」

彼は苦悩していた、確かに今の彼女達では超兵器や強力な霧の艦艇群に満足に対抗できないのだ、かといって手助けをし過ぎてもそれは彼女達自身の力ではなく、仮に彼女達が戦果をあげてもそれは彼が力を与えてくれたからこそであって、自分の努力で勝ち取ったものではない。そんなことをすれば彼女達は自分に依存してしまう存在になり、全く成長しないリスクが非常に高い。それを忌み嫌った彼は最低限の手助け以外はしないことにしたのだ。

「独り立ち出来るまで、私がお前達を守ろう。もちろん独り立ちできるようにいろんな術を半強制的に教え込んでいくがな。」

「ありがとう、ところで私達を巻き込んでしまったと言っているのはなぜ?」

「なら聞こう、私がナガトやコンゴウを粉砕したのは知っているのか?」

「知ってる、あなたがナガトやコンゴウを撃沈したことは政府の人たちから群像に伝えられた。」

「そう、そして彼女らに心酔している人物がいた、それがヒエイだ。私は面白半分で彼女らを粉砕した、だがそれはヒエイにしてみれば大切なものを私に奪われたと言っていいことだ。私に彼女らを奪われたヒエイは傷つき、怒り狂い、ここに艦隊を引き連れて向かっている。」

「彼女に同情しているの?」

「それよりもヒエイや霧の生徒会を甚振れるという喜びの方が強い。ただこのことに群像達を巻き込んでしまったことに対しては罪悪感がある。」

そう会話をする2人。そこへ、ヒエイ達が現れる。

「物理空間で顔を合わせるのは初めてですね、401。」

「あなたが、ヒエイ?」

「そうです、リヴァイアサン、あなたの躯体の性別は男なのですね?」

「その通りだ。私はリヴァイアサンであり海神智史でもある。」

「なっ…、メンタルモデルが男の姿をしているなどはしたない!校則違反です!今すぐ女の姿にしなさい!」

「断る。私は今の姿が好きだし、女になろうとしても性別の違いに苦しむだけだ。」

「生徒会長、落ち着いてください!」

「平然と生徒会の規則に歯向かう生徒は、退学です!」

そう言い、ナチの制止を振り切って智史に殴りかかろうとするヒエイ、しかし彼はそんな彼女の首を右手で掴んで締め上げる。

「それ以前に私はお前の学校に入学していない。お前は私を生徒だと見下しているようだな、お前の価値観はカチコチになっているのか?」

ヒエイの態度に静かに怒りを露わにする智史。

「あなたの…、ような…、暴力を…、平然と加える、生徒は、死刑です!」

「そのセリフ、そのまま返すぞ。」

そして彼はヒエイを海岸に突き飛ばす、そして上空に無数の青白いクラインフィールドの巨剣を発生させた。

「沈め」

「ヒイッ!」

「生徒会長!」

「うわっ!」

そして巨剣の群れは降り注ぎヒエイ達を貫こうとするーー

 

「2人とも、ここまでだ。」

「群像?」

そして彼は巨剣の群れを消滅させる。

「生徒会長、大丈夫ですか?」

「別に…問題ありません…。」

「今のすげえ!この技、もう一回見せてよ!」

「アシガラ、喜んでる場合か!私達は細切れにされる所だったんだぞ!」

「何て奴だ…一瞬であんな大剣を大量に出現させただと⁉︎」

「一瞬殺されるかと思った…。」

彼の行動に身を震わせるアシガラを除いた霧の生徒会と超兵器達。それでもなんとか心を立て直す。

「あなたが千早群像ですか。」

「そうだ、霧の生徒会長大戦艦ヒエイ殿。ようこそ、硫黄島へ。ご案内しよう。智史、協力してくれるか?」

「…了解した。」

そして彼らは群像と智史に連れられて案内されていく。

 

「…人間の言葉で表すと、ここは随分と豪華絢爛だな」

「そうか?ここは元はヒュウガが作ったものだがつい最近智史が造り変えてしまったんだ。俺はまだここの感覚が掴めていない、だからここを造り変え、ここの構造を熟知している彼に案内を頼んだんだ。」

「人のものを勝手に造り変えるとは…、許せません!」

「まあ落ち着いてください、生徒会長。」

「これが人間の文化を凝縮した建物なのか〜!あんたすげえ〜!私もこういう建物欲しい〜!」

「騒ぐな、アシガラ。仲良くなれたら作ってやる。」

「欲張り…。」

 

そして彼らはある一室に入る、それはかつて存在した和洋折衷の喫茶店を思わせるようなインテリアだった。

「あら、久しぶりじゃない、生徒会長さん。」

「ヒュウガ、あなたが千早群像と401に与していたのですね、ーっ、コンゴウ様⁉︎なぜあなたがクマの人形に⁉︎そして、や、ヤマト⁉︎何故ここに⁉︎」

「海神智史の悪戯でこんな姿にされたのだ。今はそれでいい、蒔絵が気に入っているからだ。それに、もう元に戻るのはめんどくさい。」

「ヒエイ、私は彼によって復活させられたわ。」

「くっ…。コンゴウ様をあんな姿にし、変質させた挙句、ヤマトを復活させるとは!」

「コンゴウ、その姿、かわいいじゃん。ほら遊ぼ遊ぼ〜。」

「っ…。めんどくさいっ…❤︎」

そう会話するコンゴウとヒエイ、そしてヤマト。そしてヨタロウとなった彼女と戯れるアシガラ。

「お茶をお持ちいたしました。どうぞ。」

「タカオ⁉︎あなたまで彼に⁉︎」

「生徒会長ヒエイさん、智史さんと天羽琴乃さんのおかげで私は教養豊かな乙女になれました。」

「タカオさんは智史さんと琴乃さんから色々と教わったのね。」

「はい、最初は彼に虐められていましたが琴乃さんが彼を止めてくれたおかげで彼の態度も変わり、彼に対する恐怖も消えていきました。そしてお二人から色々と作法を教わって今に至ります。」

和服を着てお茶を持ってきたタカオ、そんな彼女に関心を示すように会話をするヤマト。

「みんな〜、お菓子持ってきたよ〜!」

「ズ、ズイカク⁉︎」

「あ、ヒエイか。このお菓子は智史から作り方を教わって実際に作ってみたものなんだ。お前も食べるか?」

お菓子をお盆に乗せて現れたズイカク。彼女はそのお盆をテーブルに置く。そしてイオナがお菓子の一つを取ってヒエイの口元に持っていく。

「これ、とても美味しい。食べて。」

そんな彼女にお菓子を食べさせられるヒエイ。

 

ーーパクッ。

 

ムシャムシャ。

 

 

「(ーーお、美味しい…。なんで美味しいのでしょう…。はっ、これでは彼に変質させられた霧と同じになってしまう!)」

そしてヒエイは智史を睨みつける。

「あなたのせいで霧が次々と変質させられていきます。やはりあなたは霧の風紀を乱す存在です!」

「ヒエイ、止めて!」

「(ーー貴様、そんなに消されたいか?)」

一瞬、その場に緊張が走る。

「まあ二人とも落ち着いてくれ。それよりも話がしたい。」

「すまん、群像。ここの雰囲気は嫌気がさす。一旦外に出たい。」

「わかった。」

「智史、私も連れて行って欲しい。」

「了解した、コンゴウ」

険悪な雰囲気に嫌気がさした智史はコンゴウを連れて部屋の外に出てしまった。

「あ、私も外に出たい!」

「え〜、そんなのあり〜?」

「くれぐれも逸れるなよ、アシガラ!」

 

 

 

ーーほざくな、堅物。

貴様が私に大事なものを奪われて怒り心頭なのはよく分かる、だが私に己の見解に基づくルールを押し付けるな。他者を理解し、気配りをした上で共存しようという考えが貴様にはないのか?

貴様がやったことは、かつて私がいた元の世界と同じ、没個性的で集団主義を求め、周りの人間とは異なる存在を異物として排除しようという行為と同じだ。貴様は私にしてみれば周りの人間と異なる特性を持つ他者を排除し、同じ性質しか持たぬ人間だけの世界を作り上げようとしているドブネズミだ。次そのような事をしたら確実にぶち殺してやる。

 

「さ〜としくん♪その様子だとヒエイに相当酷いこと言われたみたいね。」

「琴乃か。ああ、奴は勝手に私を不良扱いにし、異質な存在として排除しようとしている、まるで壊れたコンピューターでも扱うかのようにな。」

「私も同様だ、智史にクマにされたことで蒔絵と仲良くなっただけで不良品同然の扱いだ。」

「二人とも、蒔絵とハルナ、キリシマとともにビーチバレーでもして時間潰そう。アドミラリティコードを絶対視して個性を引き伸ばすどころか逆に潰す奴と関わっているのは御免だ。」

「まあヒエイはそんなところあるけどさ、そんなに酷い事言うなって!ほら私も連れてってよ!」

「あ、アシガラも。」

 

 

そして群像達とヒエイはーー

「人と人が直接顔を合わせてコミュニケーションをするのは大切。」

「そのようなことなどアドミラリティコードには存在しません」

「ヒエイ、あなたは頑な過ぎる、変化をしようとしないの?」

「二人とも喧嘩は止めてくれ。ところで、二人とも、俺達は振動弾頭をアメリカに輸送しようとしている、それを知っているのか?」

「それは知りません。ですがもし輸送しているのなら、実力で阻止します。」

「群像さん、振動弾頭とは…?」

「ヤマト、智史から提供されたデータによると、侵食魚雷より強力な兵器だ。」

「そんな…。私がムサシを止められなかったばかりに…。ムサシはあなた達に何と指示したの…?」

「総旗艦ムサシ様は人類を海洋から駆逐し、それに従わざる者を撃滅せよとアドミラリティコードでご命令を下されました。ヤマト、あなたはアドミラリティコードに背く存在です、ムサシ様の命により海神智史と共に排除します。」

「なるほど、君達を束ねる存在、総旗艦ムサシのアドミラリティコードに従わない存在は粛清するという事か。では君は俺達からの要請になぜ応じたんだ?」

「我々があなた方の要請に応えたのは海神智史とヤマト及び2人に従う者を抹殺せよという命をムサシ様から受けたという事を直接伝えたかったからです。問い返しますが、何故我々をここに呼んだのですか?」

「ここで膠着状態を続けても不利になるのは俺達の方だからだ。俺達は滅びゆくこの世界に風穴を開けたい、だからこそだ。そしてアドミラリティコードとは何なんだ?」

「私とムサシが協議演算をして作り上げた私達の存在理由とその行動原理を定めた最上位の命令、いえ、私達の基本のようなものです。ですが、翔像さんが殺されてムサシが怒り狂った際にムサシが私を排除してアドミラリティコードの指揮権を独占してしまいました…。」

「そうか…。」

「そして目覚めた時から私達はそのアドミラリティコードに従わなければならないという事を知っていました。なぜ?私達の存在理由だからそこには一切の拡大解釈は存在しないのに…。」

「アドミラリティコードは絶対命令です。なのにあなた方はそれに背く事が出来た、あなた方は何故霧の風紀ごとムサシ様のアドミラリティコードに背く、いや、背く事が出来るのですか?ヤマト、彼、海神智史が霧の風紀をおかしくしていった元凶とはいえ、その元凶を生み出した根源はあなたから始まりました。今度はこちらから問います、あなたはその事を理解しているのですか?いま、霧はあなたと海神智史の2人によって変質しようとしています。それは何故なのですか?」

 

 

ほぼ同時刻ーー

 

「ハルッハルッナイスバティ〜ッ、たすっけてっと泣き出すぅ〜顔っにはっ、どうどぉ〜うと、か〜れしぼしゅ〜ちゅ〜とかかれて〜るっ」

(意訳、ハルハルはナイスバディ、助けてと泣き出す、顔には堂々と彼氏募集中と書かれてる)

彼はそう嬉しそうに呟きながらキリシマ達とビーチバレーをしていた、智史はコートを脱いで弱気なハルナに容赦なくビーチボールをキリシマが打ち返す事も出来ない程の速度で次々と当て、彼女を泣きギレさせていた、そして更に泣いて丸くなっている彼女の頭を掴んで持ち上げるとそのおでこに「彼氏募集中」と墨筆で落書きをしてハルナが更に泣き出すのを楽しんでいた。

「おいおい、やりたい放題やるんじゃないっ!」

「あはは、ハルハルの顔面白〜い!」

「私もやりたい〜!」

この後彼女はアシガラにも彼がやったことと同じことをされて更に酷い目に遭うのだった。そしてコンゴウは波に流されて海岸を漂っていた…。

 

 

そしてーー

「腹が減ったな、食事にしないか?」

「えっ?」

「君達のエネルギー源が何なのかは分からないが、もし差し支えなければ、俺の食事に付き合ってくれないか?」

「食事?」

群像達と霧の生徒会が部屋を出てくる。

「智史、ご飯の準備をしてくれ。」

「了解した、事前の取り決め通りに食材を調達してくればいいんだな?」

そして彼は群像の指示通りにバーベキュー用の食材を次々と調達する。

 

「食材は肉、肉、野菜、肉、肉、野菜の順番で食べる」

そして智史はバーベキューを始める、焼けた肉が刺さった串を皆が取って次々と食べていく。

「遠慮するな、どんどん食え。」

「何これ、美味しいのぉ〜?取り敢えず食べよ…、っ、美味い!」

「何これ旨え!もっと欲しい!」

「こんなに美味しいものがあったなんて…。」

「これは想定外だ、いかん、この味の虜にされてしまう…!」

彼が作った肉を食べて美味いと反応を返すミョウコウ姉妹。

 

「あんた料理だけは上手いわね、ホント。」

「ヒュウガちゃん、私がもっと食べさせてあげるわ❤︎」

「げっ…!」

彼に対して毒舌を吐くヒュウガと、そんな彼女に肉をもっと食べさせようとするイセ。

 

「美味しい!お代わりください!」

「蒔絵、彼が今焼いてるから待ってろ。」

彼の肉の美味しさに喜ぶ蒔絵、そして彼女に我慢するように言うキリシマ。

 

「これは私の!」

「違う、私の〜!お前のものじゃないっ!」

彼が焼いた肉を食べようと取り合いを始める琴乃とズイカク。

 

「アタゴ、あの人が作って焼いた肉、美味しいわね。」

「お姉ちゃん、ほんとあの人はさ、規格外だよね〜。戦闘も料理も出来るわ何でも出来ちゃうわでさ。」

ビキニ姿で彼の焼いた肉を食べつつそんな会話をするアタゴとタカオ。

 

「今まで食べたことのないものだな、これ。」

「それにしては上出来だ。」

そう会話するヴィルベルヴィントとグロースシュトラール。

 

「智史さん、この肉はどこから仕入れたんですか?」

「世界の様々な肉の材質と構造を調べあげてそれを再現するという形で合成した」

「それは今では殆ど食べられないのですか?」

「食べられないことはないが、それはごく一部の人間にしか食べられぬ代物となっている。」

「そうですか、バーベキューの作り方を教えてください。」

「そうか、なら焼き方を教えてやる。まだまだ焼くからいっぱい焼けるからな。」

バーベキューに興味を示したヤマトとそのやり方を教える彼、海神智史。

 

そして…。

 

「これが海か…、うわぁっ⁉︎ダメだ、体が重くて動かん…、まずい…っ、うわぁっ!」

海水に浸かって体が重くなって動けなくなったコンゴウに波が襲いかかる、そして彼女は流される。

「コンゴウ、大丈夫か?」

幸いすぐ近くにキリシマがいたので彼女は海を漂うことなくキリシマに回収され、体内の海水を搾り取るために体を雑巾のように捻られた。

 

一方、地下ドックでは智史が事前にヤマトの船体を退避させたこともあったのか、そこはカラフルになっていた。

そして401ではーー

 

「全く、ぶっちゃけすぎだぜ、うちの艦長様は」

「とはいえ、この状況で霧相手に隠し事は無意味でしょう。」

「馬鹿話で霧のロジック防壁に穴を開けるったって、そんなことほんとに出来るのかよ?」

そう話す杏平と僧。彼らは静やいおりと共に万が一の事態に備えて401で待機していたのだった。

 

「はいっ!」

「シャキーン」

ーーバサッ

「ああうっ、ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「はいっ!」

「シャキーン」

「私もやる〜!」

 

そしてヒエイは彼が焼いた肉を何故か食べようとしなかった。

「食事は口に合わなかった?」

「いえ、あの者達の行動は人間に近いです。」

そう彼女が視線を向けた方向にはトングで争っている琴乃とズイカク、アシガラと蒔絵に遊ばれるハルナの姿があった。

「あなたはこの状況を気に入っているのですか?」

「そうかもしれない、だって楽しいから」

「…楽しい?」

そして彼女の概念伝達空間へとイオナは場所を移していくーー

 

「疑問に思っていましたが、この概念伝達空間はあなたが作ったようですね、401。あなたはヤマトの意志によってメンタルモデルを手に入れ、この空間を作ったのでしょう。そして海神智史はそんなあなたを守ろうとし、そして彼によって霧は次々と撃滅され、変調をきたし、おかしくなっています。これはどういうことなのですか?」

「私は霧の潜水艦。私がヤマトの意志によって動かされていたことは分かる、でも彼が一体何者なのかはよく分からない、少なくとも分かるのは彼は私達を守ろうとしていることぐらい。」

「彼が何者なのかさえ当事者であるあなたは分からないのですか?」

「分からない、でも彼は突然現れて次々と他の霧を沈めて私を守ってくれた。」

「やはり私の考えは正しかったようですね」

そして彼女とイオナは現実空間に戻る、彼女は席を立つと

智史と群像の方へと向かっていくーー

 

 

「全ての原因は海神智史にあります。私と皆のコアはあなたとヤマト、千早群像そして海神智史との接触による汚染を防ぐために防疫措置を講じました。」

そしてヒエイは智史達の前に立つ。

「どうやらその甲斐はあったようですね。」

「どういうことだ、ヒエイ?」

ーー事前の情報通りダミーを用意していたか。実際にこいつらからはユニオンコアの反応が検出されなかった。

「答えは最初から分かりきっていたことです、人の姿を取り、人を理解しようとした結果が霧がおかしくなるという結末を招いたのです。」

「それはおかしい、だったら何故彼と群像達は存在していられるの?」

「戦術に誤りがあったからです、ですがその誤りは正せます。そして私達はムサシ様が定めたあるべき姿に立ち返るのです。」

すると彼女の体が光り、どんどん薄くなっていく。

「行きましょう、皆さん。もうここに用はありません。」

「了解しました。」

「え〜、まだここで遊びたかったのに〜。ブー!」

「いいじゃん、いいじゃん!ほらヒエイ、あいつとの戦争早く始めようよ!」

「落ち着きなさいっ、次の瞬間には殺されるのかもしれないのよ!」

「承知いたしました。これより戦闘態勢に移行します。」

「早く奴に必殺の一撃を食らわせるのが楽しみだ!」

 

「これは…!」

「群像、伝えてなくて済まなかった、これはナノマテリアルで作られたダミーだ。おそらく彼女らは我々との接触を「汚染」と捉えあえてコアを船体の方に置いてきたのだろう。」

その言葉通りに船体にあったユニオンコアを中心にして躯体が構成されていく。

「私は海神智史とヤマト、そして千早群像と401とそれに連なるもの全てを撃滅します。」

そしてヒエイの姿は消える、

「理解し合えなかったか…残念だ。」

ーーおいおい、予想通りとはいえ、うちはもちろんのことだが群像達まで巻き添えにするのかいっ!

 

「攻撃開始!」

そしてヒエイ達の大艦隊から艦載機か飛び立ち、無数のミサイルとビームが放たれる。

「いけない!」

慌てて白いクラインフィールドを島を覆うように展開するヤマト。

「こんなことになったのは私が401にコアを譲って彼女に群像さんに翔像さんの遺志を伝えようとしたせいです、私がこの攻撃を防いでいる間に皆さんは逃げてください!」

「ヤマト、あなたのクラインフィールドは非常に強い、でもそれは超兵器がいない場合で考えた時のことです。」

ヒエイはそう言い放つ、そしてグロースシュトラールとナハトシュトラールは艤装を展開し、巡航形態の時よりも更に強力なレーザー攻撃を彼女に放つ。

「あぁっ!」

そして一撃で彼女のクラインフィールドは破かれ、粉砕されてしまった。

「一撃で、クラインフィールドが…。このままでは…。」

そんな彼女に超兵器群や多数の艦艇、航空機から放たれた無数のミサイルとレーザーが襲いかかるーー

 

ーーバキイィィィィィン!

ーービイィィィィン!

 

「えっ…?」

「ヤマト、私にも今回のことに関する非がある、お前は群像とともに逃げろ。今から私がこいつらを撃滅する。」

智史はヤマトにそう言い放つ、なんと彼は自身のクラインフィールドを彼女の代わりに展開して全ての攻撃を受け止め吸収し、そのまま自身の強化に回してしまったのだ。

「まずい、攻撃を中止しなさい!」

ヒエイ達の攻撃が一旦止む。

 

「ところで生徒会長、何故彼らを改めて潰そうと?」

「私は海神智史や千早群像や401、ヤマトと接触して“楽しい”という感情を理解したように思いました、しかしそれは巧妙に仕掛けられたトラップです、霧が“楽しい”を初めとする感情を持っていくことは霧の風紀を乱します!」

「トラップ、とは?」

「霧を霧で無くして霧の風紀を乱す罠です!」

 

「でも、智史さん…。私のせいで本来なら彼女達と何の関係もないあなたと群像さん達が…。」

「それは私もそうだ、私が好き勝手暴れたせいで、お前達も巻き込む大事を結果として生み出してしまったのだからな。そして今は無理をするな。だから一旦逃げろ、ヤマト。」

「智史さん…。」

「智史、ありがとう」

「別にいい、イオナ。すまんがお前もとっとと逃げてくれ。その方が群像達を守れる確率が高い。琴乃、そんな私に付き合ってくれるか?」

「いいわよ。だってあなたは私にしてみれば大切な存在なんだから。それにあなたのクロニクルを一緒に見届けたいし。」

「ありがとう、琴乃。」

彼女達が地下に逃げたのを確認すると智史はヒエイ達を睨みつけてこう言い放つ、

「ヒエイ、貴様等を今から血祭りにしてやるから首を洗って待っていろ」

 

リヴァイアサンに彼は琴乃をお姫様抱っこしたまま飛び乗る、そしてリヴァイアサンに青いバイナルが灯る。ついに、決戦とは言い難い、彼の一方的なクッキングタイムが開幕を迎えていたーー




今作の敵超兵器紹介

超巨大氷山空母 ハボクック
全長 1400m (氷山形態 1550m)全幅 650m (氷山形態 750m)
基準排水量 21000000t (氷山形態 30000000t)
最大速力 水上 1000kt(氷山形態 100kt) 水中 500kt (氷山形態 その形態では潜れない為計測不能)
武装
90口径100cm3連装砲塔 5基
δレーザー発振基 2基
拡散荷電粒子砲 連装 20基
冷却レーザー発振基 4基
203mmガトリング砲 単装 30基
57mmバルカン砲 連装 60基
各種ミサイルVLS 16000セル
クラインフィールド、強制波動装甲、ナノマテリアル生成装置搭載。

ペーターシュトラッサー、リヴァイアサンと同じくリヴァイアサン出現後に会得したものとはいえ、艦載機を生成させ、発進させることができる超兵器。機動力を代償にして気象を変動させることによって周りの気温を下げ、自身の外殻に氷を生成することで追加装甲として相手の攻撃の威力を減殺してしまうことができる。それだけでなく相手の構成物質を絶対零度で凍りつかせ粉砕してしまう冷却弾や冷却レーザーも撃ってくる。ヒエイは今回の決戦のためにハボクックから冷却弾を調達していた。

おまけ
本文中に記載しなかったが、今作ではヒエイとの決戦に際し、智史はこれまでの徹底的な強化と、新たに得た知識に基づいて、リヴァイアサンの装備の一部を強化改良した。
重力子レーザー発振基→重力子X線レーザー発振基

重力子X線レーザー発振基
重力子を核融合のメカニズムを応用して更に破壊エネルギー量を大幅に高めた兵器。今作時点での威力は、効果範囲を絞らなければ跡形もなく太陽系を一撃で消し去ってしまう程のものである。
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