海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー 作:satos389a
お稽古がやや一方的です。
そしてお稽古の予定が智史が考える趣向とは異なる事態に成りかけます。まあ要するにいつも通りに皆殺しには出来なくなったわけで…。
そして智史達がトラック諸島にやって来ます。
それではじっくりとお楽しみください。
「何⁉︎トラック沖にいた我々の艦隊が艦載機から散布された機雷による攻撃を受けているだと⁉︎」
「はい、先ほど入った緊急入電によると、リヴァイアサンからのものと思われる艦載機から自走機雷が散布されたそうです。」
「何てことだ、せっかく艦隊をハワイに結集させようとした矢先に…。」
リヴァイアサンの艦載機から散布された機雷による攻撃を受けているとの情報はヴォルケン達の元に届いていた、しかもリヴァイアサンとの決戦に備えて艦隊をハワイに結集させようとした矢先である。
「トラックはやられた。もう救いようがない。とにかく奴の侵攻ルート上に我々の決戦準備の為の時間稼ぎとしてゲリラ戦の為の艦隊を配置しよう、ただし無理はさせるな。危険な状態になったらすぐに退避させろ。しかし何故だ?何故奴はサッカー選手の練習合宿と言わんばかりの自身の作戦内容を平然とネットワークに投稿したんだ?」
ヴォルケンが不思議がって怪しがるのも無理はない、実は智史は自分を除く蒼き鋼のメンバー達の強化指導の計画の一環として、あえて自分達の艦隊の規模と今後の作戦計画として各地の霧の拠点を叩き潰すということも含んだデータを霧のネットワークに投稿していたのだ。そして彼のデータの行動ルート上には悉く霧の太平洋艦隊の重要拠点が含まれていたのである。あえてそこを放棄して一箇所に艦隊を集中するという戦術も有るが、それだと彼に感づかれて決戦の準備を十分に整える前に徹底的な襲撃を受ける可能性が高い。実際霧のネットワークを見るとそれ自体が彼に知らぬ間にハッキングを受けており、そして彼の戦闘記録を見るとこちらの戦術を知り尽くしていたような様子が伺えるのだ。下手に艦隊など出せば悉く各個撃破されてしまう。ならば時間稼ぎとしてリヴァイアサンとの直接戦闘を避け、ゲリラ戦をしつつ決戦の準備を整えるのがヴォルケン達にしてみれば最善な戦略なのだ。
しかしそれこそが彼の思う壺であった。彼にしてみれば今回のゲリラ戦を用いた遅滞戦術など驚異的な探知能力で瞬時に敵の居場所を把握でき、おまけに広範囲に潜伏しているといってもそれは物理的な程度の問題であり、圧倒的な物量の大軍を生み出し、それを驚異的な演算能力を用いた凄まじい精度のシミュレーションを何億回、何兆回も繰り返した結果を用いた、いわゆる地に足を着いた非常に現実的な作戦計画を用いて指揮してしまえばすぐに片付いてしまうのだった。要するに大雑把に言ってしまえば今の智史はヴォルケンが全艦隊をゲリラ戦に投入しても、全然余裕で彼らを好きなように翻弄し、叩き潰すことが出来てしまうのだ。それはあまりに酷い実力差だった、例えそこに欠片を組み込んで本来の姿になった全ての超兵器達を加えて同じように投入してもその結果は全く変わらない、むしろその差は逆に広まるだけだ。変わることをあえて一つ言うなら、彼らに欠片を与えて本来の姿にしたら、彼が少しだけとはいえ気持ち悪さを覚えることぐらいだが。そして彼はヴォルケンがゲリラ戦を仕掛けるということをすぐに察知し、それを自分の都合のいいようにしてしまうために移動進路上の全てのゲリラ艦隊に対し再び艦載機を用いて片っ端から機雷散布を行っていた。
「機雷でトラック沖の奴らの動きを封じた。心置きなく修行に取り組め‼︎」
「はい!」
「わ、わかりましたっ!」
「了解」
そしてイオナ達が稽古の為に機雷攻撃で半死半生となったトラックの霧の艦隊に統率されたオオカミの如く襲いかかる。
「まずは外の奴から叩け。特に何らかの手負いがある奴を優先しろ!」
「わかりました!」
「ヤマト、制圧射撃を行え!群像、同時に周りを撹乱して動きを封じろ!」
「わかった、杏平、音響魚雷及び電子撹乱魚雷を発射、タイミングは任せる!」
「了解、音響魚雷発射10秒後に電子撹乱魚雷、発射!」
まずタカオと401が撹乱も兼ねた同時攻撃を仕掛ける、401から放たれた音響魚雷が艦隊のソナーの感度を低下させる、同時にタカオから放たれたレーザーや侵食魚雷、侵食ミサイルが外殻を構成している手負いの艦に次々と命中して撃ち沈めていく。次にヤマトから砲弾が放たれる、その砲弾はクラインフィールドに直撃して炸裂する、次の瞬間、巨大な爆発が生じ、その艦隊の全ての艦のクラインフィールドを飽和させる。
「全艦、クラインフィールド飽和!消失しました!」
「くっ、反撃急げっーー」
ーーズガアァァァン!
ーーズビュゥゥゥゥゥ……
「なんだ、これは⁉︎艦のシステムが動作しない‼︎」
「こちらもシステムを全てやられました!EMP魚雷です!」
実は智史はキリシマに敵に一方的な死しか求めない態度は変えたほうがいいと指摘され、投降を呼びかけてから抵抗はあった場合は殲滅するというプロセスを新たに自身に組み込んだのだ。そのプロセスに使おうと考えて思いついたのが彼自身が元の世界で楽しくプレイしていたウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮に出てくる電子撹乱ミサイルを潜水艦用に応用した電子撹乱魚雷だった。自身は既にそのミサイルや魚雷はいつでも物質生成能力で大量に製造でき、すぐに実戦に投入できるのだ。
それをイオナ達用に改良したものを調達してしまう手もあるが、それだとイオナ達にその兵器を製造、管理、修繕するというプロセスが身につかない。これでは自身にその兵器の運用に関すること全てを依存してしまうということになるので彼は製造、運用、修繕方法に関するデータを彼らに提供し、そしてそのデータだけでは作れないかもしれないから、製造方法、運用方法、メンテナンスのやり方などを実際に徹底的に教え込んだ。
「すげえ代物だな、あの破片を取り込んでいなければ超兵器級を30秒も行動不能にしちまうなんて。こんなのの爆発に巻き込まれたらこっちも動けなくなるぞ。あいつはこのことを理解してんのかぁ?」
そう、その兵器は究極超兵器を除いた全ての霧を一定時間行動不能にする代物である、ただし破片を取り込んで器を満たした超兵器達には効かないが。だがそれ以外の相手に対するアドバンテージは非常に大きく、霧の艦艇がクラインフィールドを張っていても関係なく彼らを機能停止に追い込み、クラインフィールドを張ることと強制波動装甲の稼働を彼らにさせない。それに彼らを30秒も動けなくしてしまえばこちらは多数の弾を叩き込めるのだ。
「よし、そのまま量子魚雷発射!」
「了解、量子魚雷、発射!」
そして401とタカオから量子魚雷が次々と放たれる、そしてその魚雷は衝撃波のようなものを水中に発生させて信じがたい速度で進んでいく。
「非常に高速で航行する魚雷多数接近、高エネルギー反応あり、ですがタナトミウム反応検出されません!」
「では何なんだというんだーー」
ーーピカッ‼︎
ーーズグァァァン!
ーードガァァァン!
「おいおいとんでもねえ威力だな、こんなの撃ち込まれたら奴らにクラインフィールドがあっても、ひとたまりもねえぞ…。そんな兵器の作り方を平然と教えてくれるあいつは化け物か?とにかくあんなものを撃ち込まれる敵に同情しちまうぜ…。」
「超戦艦級に匹敵する霧すら一撃なんて…。しかもなんてスピードなの…。これじゃあ今の私じゃ避けきれないじゃない…。」
量子魚雷を食らった敵は一瞬白い閃光が瞬いた次の瞬間には天まで貫くような非常に巨大な水柱を複数残して跡形もなく四散した。そして津波のようなものが生み出され、大量の水しぶきが彼らに降り注ぐ。そう、これも智史が元からリヴァイアサンにあった兵器、量子弾頭ミサイルのメカニズムを魚雷に転用し、そこに様々なメカニズムを加えることで開発した恐るべき破壊兵器で、それを群像達に作り方を教えたことで今回彼らはその兵器の威力を目にすることとなる。だが彼らのものの威力は彼にしてみればまだ低い、彼のものの威力は現時点でのものとはいえ、効果範囲を限定しなければ1発で地球を月共々滅せるのだ。要するに影響が及ぶ範囲を限定しないでそんなものを無闇に撃てば地球は滅んでしまうのだ。また現時点のものとしたのも彼が今後改良して威力を更に上げていくためである。
「トラック方面を警戒していた霧の艦隊の大半が我々の今の攻撃で消滅しました…。」
「あいつがこんなものを撃ちまくったらみんなおしまいだぜ…。」
「とにかくこんなものを使う機会を限定しよう。杏平、今度彼に会ったらあのような兵器の技術提供は控えてくれと伝えてくれ。ヤマト、生き残った艦艇に降伏勧告を呼びかけてくれ。」
「わかりました。」
そしてヤマトは総旗艦通信で生き残ったトラック方面の霧に呼びかける。
「トラック方面を警戒している霧の艦艇に告げます、今すぐに投降してください!現総旗艦ムサシに従っていたらあなた達はマスターシップの破片を取り込んだ超兵器達に滅ぼされてしまいます!」
「何がマスターシップだ!戯言をほざくな!」
「一度ムサシ様に沈められた後、悪魔を具現したリヴァイアサンに復活させられたんだろう!
「悪魔に復活させられた超戦艦は悪魔の傀儡だ!」
「例え殲滅されても我々の忠誠は揺るがん!」
「お願い、話を聞いて!」
彼らにそう言われて泣き出してしまうヤマト。
「くっ、攻撃続行!全艦撃沈しろ!」
そして401とタカオから次々と量子魚雷が放たれる。
「迎撃いそげ!」
「ダメです、先ほどの攻撃で一部の兵装が稼働しません!」
「魚雷、命中します!」
ーードグァァァァン!
そしてそれは生き残った霧の艦艇達にに全弾直撃し、彼らを悉く海の藻屑にした。
「敵艦隊、全滅しました…。」
「ううっ…、同じ仲間だというのに、どうして殺し合わなければならないの…?」
悲しそうな感じになるイオナ達、だが彼女達に不信感を持っている人物はそう簡単には彼女達の言うことを信じてはくれないのだ。そして信じてもらうようになるための時間的リソースの量は凄まじい。そんなリソースを費やす暇があるならさっさと殺してしまうのが最善の選択とも言えた。
そして智史はそんな状況を静観しつつ、進行ルート上のヴォルケンのゲリラ艦隊に機雷を散布し終えた艦載機達を収容していた。
「トラック諸島に向かうぞ、そこに霧の重要拠点があるからな。」
「了解…。」
そう呟く智史。しかし機雷散布が、想定内とはいえ自分の思い通りにはいかない事態を引き起こしたことを悟っていたーー
ーーそしてその頃ーー
「ぐっ、ぐがぁぁぁ…。」
「ヴォルケン様⁉︎しっかりしてください!」
「だ…大丈夫だ、オウミ。私は破片の力が定める運命に打ち勝ってみせる…。」
そう会話をするヴォルケンとオウミ。彼女はマスターシップの破片を大量に取り込んでその力が仕向ける運命に苦しめられていた。しかしそれはリヴァイアサンに勝つため、そして自分達の明日を切り開くためにしたことでもあった。
「はあ…はあ…。トラック沖の艦隊はどうなった?」
「リヴァイアサン一行に殲滅させられてしまいました…。」
「そうか…。近くにいるカトリ達に投降するように伝えてくれ。奴に付き添っているヤマトは薄情ではない…。」
そしてヴォルケンは部下にカトリ達に投降するように指示を出す、彼らをあえて捕虜にさせることで彼らを養うためのリソースを強制的に生み出し、足を引っ張らせるという戦術も含まれていたが、彼、海神智史が何者なのかがよく分からない。常識が通用しないのだ。足を引っ張る役目すら果たせないのかもしれない。それよりもあんな化け物に部下を次々と犬死にさせたくないという思いが強かった。
ーー例え自分が死んでも誰かが生き残れば自分は消えない。自分を犠牲にすることで誰かの未来が明るくなればいい。
そう考える彼女はリヴァイアサンと相討つ覚悟で、仮に勝ったとしても自身は化け物と化してしまうから死に損ねた際は自分にトドメを刺すよう部下に指示しておいたのだ。自身が化け物となっても他者の未来まで巻き込みたくない彼女はムサシからあの破片を自分とその部下の超兵器達の分も調達していたものの、あえて部下達にはその破片を配らずにその破片全てを自身に組み込もうとした。しかしーー
「ヴォルケン様一人にあんな哀しい定めは背負わせません。」
「あなた様とともに運命を共に致します。」
「この滅びの宿命にあなたと共に立ち向かわせてください!」
「皆で力を合わせればどんな定めも乗り越えられます!」
部下達は自分達にも破片をくれと言ってきた。
「お前達自身の未来が消えるのだぞ…。」
「それでも構いません。例え我々が滅びようとも誰かの未来が明るくなればいいのです。既に命を捨てる覚悟はできております。」
「皆…。」
そして彼女は部下達にも破片を組み込んだ、ある一人を除いて。そしてリヴァイアサンとの決戦の準備を進めようとした矢先にーー
「き、緊急電です!我々のゲリラ艦隊が奴からの艦載機による機雷散布を受けて次々と各地で行動不能になっております!」
「な、何事だ!」
「はっ、奴は我々の作戦を見抜いていたようで、その作戦を完封するために艦載機に機雷を散布させることで彼らを行動不能にすることが狙いのようです。幸い補給基地には被害は出ませんでしたが、この状態が解消されるには数ヶ月はかかります。我々がその状態が解消する前に奴はさらなる機雷散布を行い、我々の艦隊をじっくりと嬲り殺しにしていくでしょう…。」
「なんということだ…。我々の作戦は見抜かれていたのか…?」
「どうやらそうだとしか言いようがありません…。」
「そうか…。これより各方面からの撤退作戦を行なう、だが彼らがそこから撤退する前に奴によって壊滅させられそうになったら素直に投降するように彼らに伝えてくれ…。」
「了解しました…。」
こうして彼女の遅滞戦術は智史に出鼻を盛大に挫かれるという形で頓挫した。しかしそれは同時に智史にしてみても自分がしたかった仲間達に対する修行が思うようには出来なくなったということでもあった。
ーーほぼ同時刻、トラック諸島に向かうリヴァイアサン
「ふむ…。奴らの最新の行動計画と思考アルゴリズムを付け足した、私の仲間達の修行計画の戦闘シミュレーションでは何らかの損害は確実には与えられても全滅させることはほぼ不可能になってしまったか、私単独で速攻で片付ける場合を除いて…。まあ事前のシミュレーションでもこうなるという結論が出ていたとはいえやはり結果は変わらないか、自分では変えられることができない不確定要素が幾つか入っているからな…。それが楽しいとも言えるが。」
そう、智史は自分を自己再生強化・進化システムで異常なまでに己を強化して他者を打ち破っていくことで常に一方的と言っていい勝利を手にしてきた。しかしその勝利は常に自己中心的、排他的な戦略の上で成り立っている。というのも、彼自身の価値観では自分を徹底的に自発的に変えることはできるが、他者を変えるには他者の肉体や精神を自分の支配下に置いてしまうしかない。そんなことをすれば自己中心的、排他的な戦略を他者に実践したと言ってもいいぐらいだ。それでは自身の心は全く満たされず、虚無感だけが残ってしまうのだ。なので彼は、自分と向き合い自分とどう付き合うかをきちんと考えている他者はあえて排除しない、自分に刃向かうと判断したものを除いて。
「さて…。トラックか。ヤマトはそこにいる奴らに降伏を促している、そして多分奴らは彼女の降伏勧告を受け入れるだろう、自分達の上司、ヴォルケンクラッツァーが我々が来たら投降するように指示しているからな。さて、ヴォルケン。貴様は自分の部下達を撤退させようとしているがそうはさせん。じっくりと甚振ってやろう。」
そう彼は呟く、そして彼の予想通りにそこにいるカトリを始めとする霧の艦艇群はヤマトの降伏勧告をあっさりと受諾し、武装解除に応じたのだったーー
ーー給糧艦マミヤの独白ーー
ーー私は霧の給糧艦マミヤです。もとは補給艦でしたが、ヤマト様が人間達との接触によってメンタルモデルを形成されてからはヤマト様によって給糧艦としての生を授かりました。
ーーヤマト様とムサシ様、そして人間達の一人ーー千早翔像様に私が作った食事を召し上がっていただくのが私の一番の喜びでした。
しかし、翔像様は彼の仲間達の一人に殺されてしまい、それをヤマト様と共に見ていたムサシ様は傷つき、怒り狂われて人間達を排除せよと私共に命令を下されました。そんなムサシ様を止めようとしたヤマト様はムサシ様に排除されてしまいました、そして非力な私はその光景をただ見守るだけしか出来ませんでした…。
ーーそしてムサシ様は私に本来なら補給艦に戻す所を何故か給糧艦のまま任務を遂行せよと命ぜられました。恐らくヤマト様を殺してしまった後悔もありますが、私の料理がよほどお気に入りだったのでしょうか…。ともあれ私は東洋方面艦隊群に配属され、ムサシ様の承認の元、コンゴウ様やナガト様に料理を召し上がって頂きました。時折ヴォルケンクラッツァー様やモンタナ様にオウミ様が私の所に来られて私の料理を食べられて美味しいと喜ばれておりました。
ーーしかしそんな日々も打ち崩されてしまいました、ある日我々のアドミラリティコードに根本的に従わざる存在が突如として現れたのです。すぐにムサシ様は潜水艦の2人にこの存在を排除するように命ぜられました、ですがそれが間違いでした。その存在は2人が率いる潜水艦隊を一撃で蹴散らすと赤子の手を捻るように次々と私が所属していた艦隊群の仲間達を一方的に解体していったのです。私はナガト様が惨殺される数日前にナガト様がトラック諸島に疎開するように命ぜられたのでトラック諸島に移動しました。そしてナガト様は大艦隊を率いてその存在に戦いを挑んだのですが、さっき述べた言葉通り、その存在に一方的な迄に惨殺されてしまいました。
ーー私はその存在に次々と私の料理を食べて下さる方を惨殺されてしまい1人きりにされてしまったような哀しい気分になりました、そしてその存在にこう尋ねたいとも思っていました、
「なぜあなたとは関係のない私から料理を召し上がって下さる方や幸せな日々を奪うのですか」と。
ーーですがある日信じがたい報が入ってきました、あの存在がヤマト様を引き連れていると。そしてその報はあの存在が自身を沈めに来た私達の仲間を返り討ちにして次々と水底に沈めているという報に混じるという形で現実味を帯びてきました。
ーー私はそのヤマト様が本物かどうか不安で仕方ありませんでした、止む無く私はヴォルケンクラッツァー様の霧の太平洋艦隊の元へ再び疎開しようとしました、しかしそうしようとした矢先にあの存在から放たれた艦載機からの機雷散布によってトラック諸島周辺には無数の機雷が敷設されてしまいました。逃げ出そうにも機雷を多数食らってしまえば私達は全滅してしまいます。つまり私達は逃げ出せなくなってしまったのです。
ーーそしてその後にヴォルケンクラッツァー様からあの存在に投降せよとの指示をカトリ様が受けられました、そして私達は仮に投降してもあの存在に殺されてしまうのではないかという不安を抱きながらあの存在がここに来る時を待つしかありませんでした。
ーーしかし以外にもなんとあの存在に付き添われていたヤマト様が来られたのです。しかもそのヤマト様はかつてのヤマト様そのものでした。ヤマト様はあの存在は抵抗しなければ攻撃を加えないので投降してほしいと言われました。カトリ様は抵抗しないのでそこにいる皆を保護してほしいと返事を返されました。そしてヤマト様が島に上陸された時、私はなぜヤマト様がここに居られるのかが不思議で仕方がなくてヤマト様ご本人に聞きました、そしたらーー
「ムサシに沈められた際、私は翔像さんの息子に会い、翔像さんの意志を伝えるように401に自分のコアを譲ってそう命じて眠りについたのですが、ある日リヴァイアサンのメンタルモデル、海神智史さんに401から強制的に自分のコアを取り出されて復活させられてしまいました。彼女は自分のコアだけではメンタルモデルを維持出来ないので、智史さんは私のコアに匹敵する処理性能を持つコアを私のものの代わりに入れました。」
その言葉通り、401はヤマト様の気配がされるメンタルモデルを形成していました。そして彼女がリヴァイアサンのメンタルモデル、海神智史様にタカオ様をはじめとした方々を連れて海の上を歩いてここに来られるという光景が私の目に移りました。智史様は一見するとどこか抜けているような感じでしたが、噂通りに幾多の仲間を次々と屠った猛者という貫禄が出ていましたーー
「さて、島に上陸しよう、まずは武装解除からだ。そしてマミヤに私と奴らと一緒に群像達に料理を振舞ってもらおう。」
「智史くん、マミヤさんってどういう人なの?」
「ヤマト曰くムサシが、霧の本来の任務を外れることを許した唯一の存在だ。」
そう言う智史。もちろん琴乃やイセ、キリシマ達も彼が作ったクラインフィールドの道を島に向けて歩いていく。そして何故かヒエイ達やミョウコウ姉妹まで彼は連れて行った。
「今夜は智史の料理に加えてマミヤの料理も食べられるのか〜!」
「マミヤって会長が唯一許した異質な存在でしょ?アドミラリティコードからも大きく逸脱してるわけでもないし…。」
「マミヤの料理はまだ食べたことがない…。」
「マミヤさんの料理はどういう味なのかしら?彼の料理と同じぐらい美味しいのかな?」
「私達は彼に霧の生徒会としての私達を壊された…。今は抗う気力さえ無い…。ならば彼の後を付いていくしかありません。それよりもマミヤの料理がもう一度食べられるなんて…。皮肉なことですが彼に生かされたことを感謝しなくてはいけませんね。」
そう会話するヒエイ達。そしてこの島々で彼らはマミヤの料理の味の凄さと智史の暗い過去の一部を知ることになる。
「(マミヤは自分の大事なものを奪われて傷つき悲しんでいる、たとえ私が贖罪をしても許してくれないかもしれない。)」
智史は心の中でそう考えながらトラック諸島へと歩いていくーー
今作登場した兵器
光子エネルギー装填弾
着弾すると砲弾が光子エネルギーを解き放って大爆発を引き起こす兵器。主に敵艦のクラインフィールドに巨大なエネルギー負荷を掛け、強制飽和させることに用いられる。
勿論敵を破壊するための兵器なのでクラインフィールドを展開していない場合は敵艦に反物質反応のエネルギーによる大ダメージを与えることが出来る。ただしリヴァイアサン=海神智史の様なエネルギーを吸収して自己強化に回してしまい、よほどのエネルギーを短時間で浴びせなければ破壊されない相手にはむしろ逆効果になることが多い。
智史が光子榴弾砲をヒントに開発した。智史本人はレールガンから光子を集束したものを弾丸として撃てる(光子榴弾砲の攻撃メカニズムとほぼ同じ。それをレールガンの場合に切り替えただけ。勿論自己強化で威力は増加していく)ので実装されなかったが、ヤマトに技術提供を通じて装備され、改良されていくことでより強力になっていく霧の艦艇に絶大な威力を発揮していく。