海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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前作の続きです。
今度は皆さんが知っている大戦艦コンゴウの運命が変わってしまいます。
読みたい方だけお読みください。


第2話 運命を変えられる大戦艦

「何?あの2人が隷下の潜水艦部隊を引き連れて例の未確認の巨艦に向かい攻撃を仕掛けたところ、例の巨艦の猛攻を受けているという通信を最後に音信が途絶しているだと?」

「ええ、総旗艦代理がアドミラリティコードに従わざる存在として確認し2人に攻撃を命じた結果、こうなった。実際、2人のユニオンコアの反応の消失及びその船体の爆発反応が検出されたわ。」

霧の音声通信でそう会話しているのは大戦艦コンゴウと大戦艦ナガトだった、彼らは突如として発生した異常事態についての対応を話し合っていた。

「航空機の反応も多数検出され、おまけにその航空機全てに重力子反応とクラインフィールドの展開が確認されたそうよ。我々は既に航空機を撤廃している、そんな能力などないから。でもこんな芸当ができ、おまけに高威力の兵装が多数使用されたことが確認されている、これは唯の霧とは到底思えないわ。」

「非常に厄介な奴だな、めんどくさい…ナガト、お前はどうするのだ。」

「今は各方面の霧に非常召集をかけている、でも戦力が集まるのには時間がかかるわ。それまであなたは警戒に当たりなさい。」

「…了解した。」

そう言い、ナガトとの通信を切るコンゴウ。ナガトは兵力を結集してリヴァイアサンに戦闘を挑むようだ、それまで自分は警戒に当たれと。

「ねぇ、コンゴウ?いったい何があったの?」

彼女にそう尋ねてきたのは霧の重巡洋艦マヤだった。マヤは彼女にしてみれば唯一心を許せる存在だった、それが唯の人形だということを知らず、そして智史がこのことをコンゴウに突きつける前に…

「400、402が例の巨艦と交戦し、撃沈されたそうだ。どうやら只者ではない。マヤ、お前は三陸沖から移動、合流した後私とともに警戒に当たれ。」

「やったー!やっと出番!霧は任務があってこそ存在する意味があるものだからね!カーニバルだよっ!」

そう言い、無邪気にはしゃぐマヤ。しかし彼女の正体を暴く“災厄”はコンゴウ達に迫りつつあった、もちろん智史はコンゴウ達が自分の進路上に現れることを何となく予想の一つとして行動していたのであった…。

 

一方その頃。

智史はこの世界の情報を入手しようと精力的に行動していた、調べてくるにつれ『蒼き鋼のアルペジオ』の原作に近い世界背景だということが判明してきたものの原作そのものと確信して油断していたら、異なっている事柄を取り損ねて、それが自分にしてみれば新たな脅威になりかねないと確信していたーー彼の“特性”による被害妄想による考えではあったものの。

「ふう、この世界の環境は『蒼き鋼のアルペジオ』の原作とはさほど変わらないか、やはりここに来るまでの世界とは異なってたのか…。当然ここに来るまでの世界に存在した法による罰を受ける理由も無いな、元の世界はいい心地なんかしなかったし、もうそこに帰りたくなんかないけど。あの2人の潜水艦隊ぶっ潰したからどうやっても和解しあえる筈なんか無いし、どうせなら大暴れしてやろう。でも自分の行動が原因で歴史の修正力によるしっぺ返しを食らうかもしれないからそのしっぺ返しにも打ち勝てるようにさらに強く、進化しないと…。しかし、本当に原作通りなんだな、元の世界のアプリやスマホの通信が使えなくなってるし…」

そうつぶやく智史。実際元の世界の環境とこの世界の環境は根本的に異なっているため、彼のお気に入りのパズルゲームは通信エラーを引き起こして使えない状態だった、もちろん4Gやwi-fiもつながらない。

 

「さーて、コンゴウやナガトをどう料理しようかな〜、そういえばキリシマはヨタロウの姿は笑えたけど元のメンタルモデルがやっぱ好きだわ〜。そしてナガトは超戦艦級のものに劣るとはいえミラーリングシステム搭載、か。確か多次元空間にエネルギーを誘導することで自分を守る兵器だったね、これ。ならばその多次元空間からエネルギーを逆流させちまえば盾も一緒に敵を殺れるんじゃ?」

 

智史は霧のネットワークを強制ハッキングしてコンゴウやナガトを初めとした霧の艦艇のステータス及び彼らの思考アルゴリズム、彼らの行動計画まで把握していた。ミラーリングシステムを逆用して敵を叩き潰す方法を考えつつ、本気でコンゴウをヨタロウの中に入れて刑部蒔絵にプレゼントしたら蒔絵とコンゴウがどのような反応を示すのかを妄想して嬉しくて笑いが止まらなかった、だがこのようなことを実現するためにはそれにふさわしい力と理性が必要であることも同時に確信していた彼は更にリヴァイアサン=自分の強化・進化に励むのだった、そして…

「おっ、コンゴウ達発見!さ〜て、破壊と暴力のパティシエの開幕だ〜!」

コンゴウ達が自分の予想通りに現れてくれたことに無邪気に喜ぶ智史、そして文字通りの地獄絵図が始まろうとしていた…。

 

「ここから東南東に巨大な重力子反応と未確認のエネルギー反応が出たか、来たか…。」

 

そうつぶやくコンゴウ。彼女の探知範囲からリヴァイアサンは外にいたものの彼の存在を確認できてしまうということは彼が如何に並みならざるものなのかを示していた。

「行くぞ、マヤ。ここで奴を叩く。」

そう呟き、マヤと配下のナガラ級8隻を引き連れてリヴァイアサンに向かうコンゴウ、だが…

 

「艦隊はそこそこマトモだけど、ごめん、あんたらのハードとソフトと行動計画が丸見え。だから、ワンサイドで!」

 

ーーキュオオン!

ーーキュオオン!

 

ーーズグァァァン‼︎

ーードガァァァン‼︎

 

突如として甲高い飛翔音が鳴り響き、青白い光弾が配下のナガラ級全艦を直撃した、ナガラ級は天まで貫くような水柱を生じて、跡形もなく消滅した。

 

「なん…だと…。こちらの射程圏外から一方的に…?」

「なにこれ!こんなの無いよ〜!」

 

あまりに一方的な光景に動揺するマヤとコンゴウ。だが智史はコンゴウに更なる精神的打撃を与えるべく行動を開始する。

 

「えっ、おっ、男⁉︎しかもなんでいきなり…!」

 

突然、マヤの前部甲板上に智史が現れた、彼はリヴァイアサンからホゾンジャンプを使ってマヤの前部甲板まで一気に移動してきたのだ。

 

「ま、マヤ、だいじ…」

 

奇想天外な光景に動揺しつつもマヤに言葉を掛けようとするコンゴウ、しかしそれは智史のマヤに対する行動で遮られる。

突如として鳴り響く電子音、それは自分からでも智史からでもなく、マヤからだった。

壊れたテープレコーダーのように甲高い電子音を交えた音で自分に関する“これまでの思い出”を叫び出すマヤ、そして彼女はこう叫び始めた。

 

「“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”“カーニバルだよっ!”」

 

「き…貴様、マヤに一体なにをしたっ!」

 

そう叫ぶコンゴウ、しかし智史はこう答える、

 

「あ、ごめん、言いそびれてたけどこれあんたを監視するために400と402が作った人形だから。うちもうあの2人壊しちゃったし、あんたが知らないとはいえ、お人形遊びをいつまでやってるのもなんか物悲しいでしょ?そしてうちはあんたがこのことで動揺してくれる姿を期待してたんだよ〜あんたももうすぐうちの“玩具”になるから待ってて〜!」

 

そう言うと彼はマヤの船体を踏み台にするかの様にホゾンジャンプをし、リヴァイアサンに戻っていった、マヤはその際に巨大な槌の形をしたクラインフィールドに紙細工の様に押し潰され、巨大な爆発を起こしてコンゴウの前から消えた。

 

「マ…マヤ…うわぁぁぁぁぁ!」

 

慟哭し、泣き叫ぶコンゴウ。彼女は怒りのあまりリヴァイアサンに向けてあらゆる兵装を撃ちまくる、しかし智史はそんなこと御構い無しに猛攻を加えていく、コンゴウの主砲が吹き飛び、煙突はひしゃげ、上部構造物や船体全てをスクラップへと変えて。

 

「貴様だけは…貴様だけは…絶対に許さんっ!」

 

そう言い、彼女はリヴァイアサンに唯一無傷であった艤装の超重力砲を展開し、放とうとする。

 

「おっと、超重力砲だ!そう言えば激流に激流をもってしても押し流されることがあるからな、ならば“激流を制するのは、静水!”っと!」

 

そう、エネルギーを吸収して強化に回せると言ってもその量には限度がある。吸収できなかった分は船体を破壊するエネルギーとしてそのまま襲いかかってくるのだ。もちろんその吸収量、吸収効率は自己再生強化・進化システムでいくらでも増やせて更に進化・強化速度を上げるのにも繋がるし、損傷しても自分も含めた船体を一度に全て殲滅されない限りはいくらでも再生できる。しかし、それが全ての局面で通用するとは彼は考えておらず、ゆえに彼は取り込めるものは取り込みつつ取り込めないものはうまく受け流そうとしているのだ。

 

「よぉし、早速ミラーリングシステムを使ってみるか!」

 

彼がそう言うとリヴァイアサンの船体が上下に割れ、そこから大量の重力子ユニットが姿を現わす。

 

「超重力砲、発射!」

「ミラーリングシステム、起動!」

 

そしてリヴァイアサンの周りにいくつもの次元の穴が現れる、コンゴウが放った超重力砲は直撃していた、しかしその一部はミラーリングシステムが生み出す次元の穴に吸収されていく。そしてその量は徐々に減り、最後は超重力砲を直接受けつつもミラーリングシステムを折り畳んでいくリヴァイアサンの姿があった。

 

「なん…だと…全ての攻撃を無効化できるというのか、奴は!」

 

そして智史の方からのカウンターが始まる。

 

「縮退エネルギー反応が急激に低下…まさか、このタイミングで私のエネルギーを吸っているというのか…。」

 

そう、智史は強化・進化のために吸えるものは全て吸ってしまおうと考えており、コンゴウが超重力砲を展開・発射したタイミングでコンゴウの重力子エネルギーを吸い始めていたのだ、そして縮退エネルギー反応がゼロを示しコンゴウの船体から紫のバイナルの輝きや黒の金属の重厚感が消えていく。

 

「も…もうやめてくれ、やめてくれ…!」

 

あまりに一方的な戦いに理性が崩れ、プライドを打ち砕かれ、ただ狂乱し、泣き叫ぶコンゴウを気にすることなく智史は止めを刺そうとする、そして甲高い飛翔音が鳴り響く。

リヴァイアサンから放たれた弾はコンゴウに吸い込まれるとコンゴウの船体中央でブラックホールを発生させ、コンゴウの船体やメンタルモデルを構成しているナノマテリアルを飲み込んでいく。

 

「い…嫌だ…、私は…まだ…死にたくないっ!」

 

そう叫ぶコンゴウ、彼女はナノマテリアルを黒い時空の穴に奪われメンタルモデルを維持できなくなっていき、人の形をどんどん崩していく。

 

「コアまでなくなったら永久退場じゃん、それじゃあうちの妄想が実現できなくなるからつまらない。」

 

智史はそう言うとコンゴウに向かってホゾンジャンプをし、コンゴウのユニオンコアを回収した、そしてすぐに崩れていくメンタルモデルが完全に姿を消し、黒い時空の穴が全てを飲み込んで消えた次の瞬間、文字通りの大爆発が生じた。智史はその背景をバックとしてリヴァイアサンの前部甲板に着地した。

 

「ちょっとカッコ良すぎたかな、ま、うちの妄想が実現できるならいいけど。」

 

こうして自分の妄想を実現するためのプロセスを一つ達成した智史は東京へむかう、自分でその世界の風景とその街のスケールを体に染み込ませるために。だがその先で彼に一波乱起こることを彼はまだ知らない…。




リヴァイアサン=海神智史が新たに身につけたオプション

エネルギー強制吸収能力

自艦以外の他艦からエネルギーがなくなるまでエネルギーを強制的に吸い取り続ける能力。
もちろんそのエネルギーは自己再生強化・進化システムの大幅強化や自己の大幅強化にも使われる。
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