海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー 作:satos389a
フィンブルヴィンテルがwsg2にはなかったラスボス恒例の形態変化を次々と実行するのでそこはご容赦下さい。
そしていつものことですがリヴァイアサンが圧倒的に強いです。
色々と展開を悩みながら書いたのでチグハグな所があるかもしれません。
あと合体超重力砲とか取り込みたかったのですがストーリーの展開上それはできなくなってしまいました。
それでも自分なりに頑張って書きました。
それではじっくりとお楽しみ下さい。
「侵攻作戦は、順調に進んでいるか…。」
「はっ、大統領閣下。霧や日本の協力を取り付けた事により装備の配給が速やかに進んだ事やリヴァイアサンが少し手抜きをしたとはいえ最終的には速やかに我が軍の兵士の被害を抑え込んだおかげでヨーロッパ侵攻は順調に進んでいます。」
「“手抜きをした”ではなく、“我々に教訓を提示した”と言った方が相応しいだろう。まあいい、これだけで我が国が再び世界の覇権を握れるなら容易いものだ。」
「ですが世界の覇権を再び握るというプロセスの1つにはとても重要です。まあ覇権を握ろうにも今すぐには握れない状態ですがね。」
「あと覇権を何の為に使うかだ、今後訪れる『未来』で我々自身の為だけに覇権を使うことは許されん状態だということは彼や霧、そしてあの青年が外的要因として暗に示してくれている。また何の計画もなしに覇権を振るうことは最終的には我が国を『内部』から滅ぼすからな。」
「軍産複合体ですね、彼らの処遇も今後、いや今すぐにでも考える必要があるでしょう…。」
そう会話する大統領と側近。彼らは『腐敗』というものを放置すればどのような害を齎すのかを先人達から学び、そしてそれを生かす事で今後の国家計画に悪影響を齎さぬように考えていた。
「大統領閣下、先程リヴァイアサン以下の艦隊がフィンブルヴィンテルがいる北極海に向けて出港した模様です。」
「そうか…。我々がこの戦いに関わるだけの力が無い以上、彼らに託すしかあるまい。」
「そうですね、悔しいですが今の我が国の国力ではそれは叶いません。そして彼らが負けてしまったら我々も終わりですね。」
「だが彼がいると彼らが負けるという確証が浮いてこないな、何故だ…?」
その予測はリヴァイアサン=智史の完勝という形で的中する事になる、しかし今の彼らには明確には答えられなかった…。
ーータイタニック号沈没地点から東に500㎞地点
「フィンブルヴィンテル一味は北極海から動く気配は無いようだ、それを示すのかのように敵影確認されず。偵察の精度を念入りに上げていても見つからんとは…。まあいか仕方あるまいな。」
そう呟く智史、実際に偵察機達やこの世界のあらゆるネットワークをハッキングしてデータを一から100まで把握しまくってはいたものの、フィンブルヴィンテルが北極海以外に動く兆候は見られないという返答ばかりだった。死亡フラグかと勘繰りさらに深く調べるものの、まったく同じ回答ばかりだった。
「奴ら以上に強くなっている、いや強くなり過ぎてしまっている状態の上でシナリオの想定内に簡単に収めているとはいえ、念には念を入れなくてはな。」
そう言い智史は被害妄想からか、更なる自己強化を推し進める、もう十分に強化を推し進めすぎているというのに。そしてそれはやっぱり杞憂に終わる、しかし自己強化のペースを上げることは今後の事に対する対処力を上げるという面で見れば決して悪い事ではなかった…。
「智史さん、他に敵影は確認できた?」
「いや、超兵器の奴ら以外には何も確認できん。あまりに静かすぎてもしかしたらステルスの野郎がいるかもしれんと思わず勘ぐってしまうぐらいだ。」
「リヴァイアサン、貴方のその心配、全部杞憂に終わりそうな気がする、だってもう十分に強くなり過ぎてしまっているのにさらに強くなり過ぎようと貴方自身が仕向けてしまっているから。」
「そうか、あそれはさておきとしてもうすぐ敵艦隊までの距離が1000㎞を切った。」
「分かったわ、総員第1種戦闘態勢!これより我が艦隊はリヴァイアサンを先頭にして敵艦隊に突入します!」
ヤマトのその言葉と共にリヴァイアサンが船足を早めて敵艦隊に真っ先に突っ込んでいく、そして艦隊がリヴァイアサンのあとに続くようにして突撃陣形を取る。リヴァイアサンの左舷飛行甲板に航空機が次々と生成され飛び立ち、その後に続くように航空母艦からも航空機が飛び立っていく。敵艦隊の方もこれと同じく感づいたのか、VLS群からミサイルが放たれ、艦載機が飛び立っていく。
ーーまずは、制空権の確保、か…。
そして智史側の艦載機達から空対空ミサイルが放たれた事を契機として空戦が勃発する、数は敵の方が上回ってはいたし、火力も霧の航空機基準で言ってしまえば普通に上回っていた、そう、普通の相手ならそうだと言っていい。しかし彼らが相対した相手ーー彼、海神智史はそんな火力すら簡単に力づくでねじ伏せる事を前提とし、異常なまでに強化を推し進め過ぎた『力』の権化としか言いようが無いとんでもない化け物だった。
要するに全てが彼のシナリオの「想定内」に収まっていると言っていい絶望的な差が広がっていた、敵側は数を生かして襲いかかるも相手はこちらの規模を完全に見透かした上で全て「想定内」に収まるように異常過ぎるペースでの強化をしてきたので性能差で簡単に圧倒されてしまう、戦闘機はおろか爆撃機や攻撃機さえ敵の迎撃隊に余裕で勝ってしまうのだ。彼らが此れ迄に一方的な勝利を収めてきたのも前述の鉄則が十二分に生かされてきたからである、戦術とかで覆そうにも全て見透かされた上で「想定内」に収まってしまっているのではどうしようも無い、瞬く間に敵軍はシャチの群れに容赦なく食い散らされるのかのように次々と一方的に殲滅され、蒼空に爆発を残して消えていった。
「す、凄い…。」
「リヴァイアサン、だからと言ってこれだけで敵軍に勝てるのか?」
「今のは小手調べだ、ムスペルヘイム。次だ次。」
そしてリヴァイアサンから更に艦載機が追加で飛び立つ。既に先陣は敵艦隊に食ってかかっていた、敵艦隊の方も全艦が熾烈な勢いで対空砲火の花火を蒼空に咲かせるものの、彼らはこれなど意にも介さぬように当たったものは受け止め全て吸収しそして雑兵達を容赦なく食い散らし、次々と落し物を叩きつけて臓腑を抉り出して沈黙させていく、しかも弾切れ、燃料切れなど知らないと言わんばかりにこれを平然と続ける。おまけに何時ものお約束のように進化を続けているために彼らの攻撃の重みは急激に増す。
もはや敵艦隊は半壊状態で迎撃隊を繰り出してこの攻撃を排除しようにもその前に艦載機が蹴散らされるわ空母が沈められるわでてんやわんやだった、超兵器達の一部をあえて除いて。
そしてこんな状態でももう悲惨だというのに更に追い討ちを掛けると言わんばかりに追加の航空機部隊が容赦なく襲いかかる、これに合わせるかのように先客達もこれは本気では無いと言わんばかりに一層攻撃を苛烈にしていく。
「あえて手加減しているのか?それでも随分と容赦無いな」
「そうだ、航空攻撃で全部殺してもかえって淡白だし面汚しは直直に素手で叩き潰したいからな。だがこれでもカタがつくようにしてある。」
「成る程、それなら問題はない。」
しかし殺り甲斐があの化け物共以上にない、事前に把握済みとはいえやはり見るに堪えぬわ。中身が骸よ、攻撃の派手さも落ちているわ…。ウォーシップガンナー2の本家の面汚し共ばかりを生み出して本家を冒涜するつもりかーー
智史がそう呟いた理由の背景には先ほどの敵艦隊の攻撃の内容にあった、なんと攻撃の見た目の派手さが落ちていたのだった、まるで本家の『ストーリー』に則った派手派手しい強さと威厳といった雰囲気が微塵も感じられない。
大量に出てきているということもあったが攻撃の『派手』さが本家程感じられないという理由が大きかった、しかもそれに拍車を掛けるかのように彼らには『心』が感じられない、中身が空っぽだったからだ。
「ワタシハ…、ヴォルケンクラッツァー…。」
「オウミ、『ヴォルケン』がいるけど…、言うまでもないわね。」
「はい、あれは今は亡きヴォルケン様の皮を被った紛い物です。」
「ワタシハ…ワダツミサトシ…。」
「あれは、智史さんではない…。智史さんの皮を被った人形…。」
彼女達も一瞬であれは本家ではないことを見抜いた。距離がだいぶ縮まったのか、敵艦隊からリヴァイアサンに向けて一斉に射撃が開始される、しかしそれはどれも前述のごとくインパクトに欠け、面汚しといっていいほどに見た目とは違っていた、それでも威力は本家並かそれ以上だったので超兵器としての面子は多少は保てただろう。しかしそれは程度の問題である、既にスケールを把握済みかつ対処済みであった智史にしてみればこの程度の攻撃など全く効くわけがない。そしてそれは前述の理由と相まって智史の奥底にあった憤怒という感情を更に激しく煮えたぎらせるだけにおわった。
「面汚しが…。1匹残らず冥底に案内してくれるわ。」
そして鋼鉄の魔龍ーーリヴァイアサンは怒りの咆哮をあげ、怒りのままに片っ端から敵艦にレールガンやX線レーザーを撃ち込み、皆一撃で魔龍の牙に引き裂かれ、食い千切られたのかの様に跡形もなく吹き飛ばし、焼き尽くしていく、ヴォルケンクラッツァーのような上位クラスまで軽く一撃で吹っ飛ばされて四散してしまうのだ、クラインフィールドなどのバリアを展開しようがしまいが。それが敵艦隊全艦に満遍なく行われたのだから凄惨という言葉でも生温い。
ーービュォァァァァァ!
ーーパシュゥゥゥン!
ーーパキィィィィン!
「ワタシ…、ホンケ…。」
「本家の名誉を貶すとは、随分と汚い真似をしてくれるな…。おまけに私は『1人』で充分だというのに私の姿を模・す・だ・と…?
死ね、この面汚しが…‼︎」
ーーキュォォン!
ーードグァァァァァン!
本家海龍の面汚しに等しい攻撃をしておいた上に自分の姿を模し挙げ句の果てには本家を名乗る敵に対し智史は一際念入りに、しかし憤怒も込めて徹底的に掃滅した、塵1つ残らず消え失せるまで。彼はレールガンの一撃で船体を吹き飛ばした後更なる掃討を行いあらゆる砲撃を浴びせて破片1つさえ視認できなくなるまでに一片の情も見せずに徹底的に掃滅していった。
「このような面汚しは嫌いだ。」
「よ、容赦ねえな…。」
「アシガラ、彼がされたことをあなたがされたらどうなるか考えなさい。」
そのような会話が飛び交う、敵艦隊も流石に不利を悟ったのか、後退を始めようとするがその前に憤怒一色に身を染めた智史が猛烈な勢いで迫る。
「本家の面を汚した貴様等を逃す理由など無い。1匹残らず滅殺してやる。」
この時になって敵軍は最初で最期の恐怖を味わった、そして悟った、“もうここから逃げられない、自分達はあの化け物に引き裂かれ、食い散らされる定めだ”と。何せ魔龍が爛々と目を憤怒の焔をはっきりと分かるぐらいに輝かせ、こちらの攻撃を物ともせずに弾き返して迫ってくるからだ。逃げようものならどうされるかは目に見えてわかっていた。
リヴァイアサンが近くまで迫ってきた時に抵抗はピタリと止まってしまった、そしてレールガンを始めとした兵装が咆哮を上げて辺りを滅茶苦茶に薙ぎ払っていく。全てを徹底的に破壊し終えるまで蹂躙は終わらなかった。
「オイオイオイ、全部喰らい尽くす気かお前‼︎馬鹿にされて怒る気はわかるけどここまでやるかぁ〜い‼︎」
「智史、私達の出番が…。」
「あ、そうだった、スミマセン…。」
加減を加えたとはいえ、あまりに怒り狂って暴れまくったせいで皆の食い分を残すのを忘れてしまった智史は皆にそのことを責められる、まあ世界平和という最終的理想を実現する事にしてみれば『些事』なのだが…。
「フィンブルヴィンテル周辺の敵戦力は私抜きでも十分に倒せる規模だが…。」
「ふふふ、だったらあなたがフィンブルヴィンテル以外の敵に余程の事がなければ手を掛けるのは禁止ね?」
「了解…。ところでどうする、フィンブルヴィンテルに直接乗り込んで一矢を報いたいか?」
「そうね、力の差が分かってはいてもそうしたいわ。」
「ならば結構、こちらの演算を補助として貸そう。」
「えっ?」
「私の演算リソースをお前達の補助演算として一時的に貸すという事だ、なぁに、演算リソースはクソみたいな勢いでじゃんじゃん増やしてるから足りなかったらどんどん継ぎ足してやる。」
「『余裕』を大量に持ち、かつこれに満足せずにその『余裕』を増やしまくっているからこそ、出来る芸当ね…。いいわ、あなたのその提案に乗るわ。」
「私達も行こう、あの面に一撃食らわしたいからな。」
「同論だ。」
「やれやれ、面倒くさい…。蒔絵、お前はどうするのだ?」
「あいつの為の劇薬使ってあの威張り面を捻じ曲げてギャフンと言わせたいから、行きたい!あと智史に任せっきりなのも何か嫌だから1発かましたいのもある!」
「蒔絵、あまり調子に乗るなよ。」
「奴から攻撃食らってないから奴に対する恨みはあまりないが、せっかく実戦をやる機会だから乗る。」
「ハルナ、キリシマ、コンゴウ、ズイカク…。あなた達もついていくのね。これが奴に対する『最初で最後』の復讐だから盛大にやりましょう。」
「ムサシ、『借り』を返しに行くの?」
「そう、リヴァイアサンがやりたいかって提案してくれたから。」
「わかったわ、智史さん、ムサシ達の事を宜しく。」
「了解。」
彼らはそう会話する、これは智史が思いついたシナリオ内での『興』であるのだが。
「防衛にあたっていた艦隊が、リヴァイアサンによって全て壊滅!リヴァイアサン、こちらに向かってきます!」
「(ふふふ、来たかリヴァイアサン…。先程のものは小手調べだったがやはり貴様は余が認めるに足る存在であるようだ…。)」
「リヴァイアサンの船影を肉眼にて捕捉!後続も複数確認!」
リヴァイアサンを確認した事によって雰囲気に緊張が走る、しかしそれはヤマト達も同じ事だった、彼らもまたフィンブルヴィンテル達に『近い』ものを持っていたのだから。
「フィンブルヴィンテルと敵艦隊をレーダーに確認しました!」
「智史さん、取り決め通りにフィンブルヴィンテルに向かって!それ以外は私達が片付けるわ!」
「リヴァイアサンが余が相手をする、それ以外は誰1匹さえ入れるな。」
「し、しかし、それでは…‼︎」
「口を挟む許可を出した覚えは無い、分かったらとっとと掛かれ。」
「は、はい…!」
フィンブルヴィンテルはそう檄を飛ばす、そしてお互いが定められた場所で戦いを始めるのかのように整然と戦端を開いていく。仲間達が活路を開く為に戦っているのを智史は見届けるとフィンブルヴィンテルのところに直進していく。
「ナチは戦闘管制並びにミョウコウの超重力砲の照準補佐を!アシガラとハグロはナチからのデータを元にして前衛から始末なさい!」
「了解!」
「リヴァイアサンから入電、『サクラ、提督、これが最後の戦いとなるからな、もう自重しなくていいぞ。思う存分太刀を振るうがいい!』」
「了解した、総員戦闘配置に就け!」
「分かりました、全VLS開放、主砲撃ち方始め!」
「ラジャー!」
「イオナ、モンタナ達と協力して敵艦隊を分断して各個撃破だ、機関最大!杏平、撃沈することよりも足を鈍らせることに徹底しろ!」
「あいよ!」
「オウミは制空権を確保しつつ分断された敵艦隊の各個撃破を!」
「分かりました!」
「来たか、リヴァイアサン…。待ちわびたぞ。」
「それはこちらもだ。その真意を見抜いていたとはいえ糞みたいなものをぶつけてくれるとはな。」
「ふっ、貴様の言う通りよ。ここは貴様とその連れ、そして余のための空間よ、それ以外は誰とて許さぬ。」
「そうか、なら始めようか、我々だけの『決闘』を。」
「了承した。」
両者が放った言葉は短かかった、しかしそれは最終決戦の火蓋を切るという意味合いが込められていた、2人以外の介入など許さぬように両者を覆う巨大なエネルギーフィールドが展開され、そこに入ろうとするもの全てを拒絶し、海を切り裂く。
「エネルギーフィールド、展開されました!」
「あの化け物の制圧は彼に任せています、ならば私達は私達がやるべき事をやるだけです!」
「了解です!」
沈黙と共に海を切り裂いて生み出された空間の中を相対するかのようにゆっくりと対峙する両者、
ーーパシュゥゥゥン!
ーーキュォォン!
ーービュォァァァァァ!
フィンブルヴィンテルが真っ先に火蓋を切る、熾烈な勢いでレールガンやレーザー、光弾、ミサイルがリヴァイアサンの船体を襲う、だが相手は分身とはいえ『自分』を次々と屠った相手なのだ、この程度などヘチマでもないと言わんばかりに吸収されて強化に回されてしまう。
「ふふふ、これを食らうがいい。」
「あれは、私の船体を粉砕したあの黒い雷球…。」
「小娘を殺しかけた時にはまだ加減をしていた、だがこれは加減抜きのやつだ、味わうがいい。」
「避けてリヴァイアサン、あれは危ない!」
「ふっ…。」
雷球はリヴァイアサンを襲う、一瞬巨大な爆発が起こりリヴァイアサンの姿を眩ませる。
「どうしたリヴァイアサン、この程度かーー」
ーーキュォォン!
ーードガァァァァァン!
フィンブルヴィンテルがそう挑発しかけた時にリヴァイアサンの砲塔レールガンの一基が唸り、一撃でフィンブルヴィンテルの右舷部分を跡形もなく抉り飛ばす、勿論フィールドはきちんと張られていたがまるでバターを溶かすのかのようにあっさりと破られてしまった。
「ふふふ、一撃でここまで我が身を削るとは、流石だなリヴァイアサン、だが奥義はまだ披露はしていないぞ?」
爆煙の中から平然と出てくるリヴァイアサン、勿論これも『感知出来ていれば対処出来る』と言わんばかりにあっさりと無効化された、そしてそれを見てそう呟くフィンブルヴィンテル、先程の一撃の途方もない重さに感心していた。
「ぬぉぉぉぉぉぉ…。」
ーーバキバキバキバキ!
すると抉り飛ばされた部分を除く外装が剥がれ、見る見るうちに姿形が変わっていく。
「あ…、あれは…。」
「フィンブルヴィンテル様が、本気を出されようとしている…。」
「一体どういうこと⁉︎」
「残念だったな、お前達がよく知るフィンブルヴィンテル様のお姿は本来のものとは大きく異なるのだ、あれは仮初めの姿。本来の姿のままであられると己の意識を飲み込まれてしまうからそれを己が苦労せずとも封ぜられるようにあの姿を身につけられたのだ、あの姿を纏われても誰も勝てはしなかったが。だがそう手足を縛っている状態では勝てない程の強敵ーー己と対等に戦える程の力を持つ者が現れた、だからあの方はこの姿を脱ぎ捨てられて全力をもって戦われようとしているーー」
フィンブルヴィンテルの部下の説明は後半は正しかった、しかし前半は違っていた、彼が知っていた事実はフィンブルヴィンテルが生み出された時の事実と異なっていたのだから。
そして群像達は徐々にではあるものの彼らを押し込んでいた、しかしこれを見て少し動揺してしまったがために少し押し返される。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎」
遂に変形を終えたフィンブルヴィンテル、その姿は先程のものとはまるで異なっていた、一言で言うならば『翼を生やした赤い生肉色の双胴のイカ』、もしくはガメラ3に出てくる怪獣イリスのような姿だろう。何せ後部から触手のようなものが生えている挙句に骨のような羽毛のようなもので構成させた翼が複数、生えているのだから。勿論抉り飛ばされた箇所も修復されていたーー
「ふふふ、これは余が貴様と戦うまでに身につけた力を具現した姿よ。先程の姿は『繭』と言った方がいいだろう、あの姿は余の当初の姿からが破壊の権化としての力を封じるものに変わったものよ。」
「御託は要らん、かかって来い。」
「そうか、それが貴様の最期の言葉となろう、いやぁぁぁぁぁ!」
そして姿形を変えたフィンブルヴィンテルはリヴァイアサンに飛び掛る、リヴァイアサン側からレールガンが発砲されたもののフィンブルヴィンテルはそれを一瞬にして躱す。
「ほう、やはり期待通りの展開か。」
智史は少し感心したかのようにリヴァイアサンの艦橋でそう呟く、フィンブルヴィンテルの分身が無数視界に映る光景を目にしながら。
「これはほんの一部だ、次を見せてやろう。」
ーーキンキキンキンキンキン!
ーーカキィィィィン!
「超音波メスか、対応済みとはいえ名前は聞くだけで忌々しい…。」
リヴァイアサンの船体に光を纏った無数の触手や爪が襲いかかる、しかしその攻撃はクラインフィールドと量子フィールドによって全て弾かれてしまう、仮にそれらがなくても本家のものよりも一方的に隔絶した性能を持つ量子クリスタル装甲やそれを支える自己再生強化・進化システムによって無効化されていたが…。何れにせよリヴァイアサンごと智史はフィンブルヴィンテルにしてみればべらぼうな相手だった。
「まだだ、次を見るがいい。」
ーーパシュパシュパシュパシュパシュゥゥゥン!
ーーパキィィィィン!
この後触手や爪から光弾が放たれたり体当たりがリヴァイアサンに何度も行われたものの彼の物理的スペックを把握し尽くし、貪欲にまで力を求めるリヴァイアサンごと智史に新たな『刺激』を与えるには至らなかった。
「この程度か?これではまるで心の臓まで響いてこないではないか。」
「何?」
「貴様の攻撃を一覧する為にあえて手加減をしていたがやはり事前に調べた通りか…。そして貴様は心の臓まで響くような攻撃を私が来る前に受けたことがないようだな。」
「そうだ、体の芯まで響いてくるような攻撃をしてきたのは貴様のみ、そしてその殻を脱ぎ捨て全力で相対するだけの価値を見せつけたのも然り。」
「そうか?私にはあまり響いていないように見える、ならば貴様の為に心の臓まで響く攻撃をお見舞いしてやろう、勿論『私』流だがな。」
「ふん、当ててみるがいい。」
「それはどうかな?」
ーーキュォォン!
「ぐあぉっ⁉︎」
リヴァイアサンのレールガンが咆哮する、それは智史以外の者達にしてみれば捕捉不能だったフィンブルヴィンテルの身体を一瞬にして紙障子でも刺し貫くかのように貫通する。
ーーズシャァァァン!
「か…、体が震える…。余の動きを瞬時に見切った上でここまでやるとは…。」
「貴様は強い、此れ迄に相対した敵の中で。だがこれは程度の問題だ。」
リヴァイアサンのレールガンによって体を貫かれて海に叩きつけられて外見が半分劣化しながらも立ち上がるフィンブルヴィンテル。
「何だ…、この震えは…。そうか、先程の貴様の一撃は『恐怖』という感情を余に呼び起こしたのだな…。」
「そうだ、これによって生に対する執着が芽生えただろう?『平民』共が私や貴様によって味わされた同じものと。」
「そうだな…、余は虫けら共に圧倒的な恐怖を植え付けて恐怖に打ち震える顔を見ながら楽しく殺していったことがあった、だがそうされる側の感覚を余に味わさせたのは貴様が初めてだ。しかし余は並の虫けら共とは違う!余はマスターシップ、フィンブルヴィンテル!最後に生き残るのは貴様ではない!」
フィンブルヴィンテルはそう言う、すると劣化していた船体がどんどん修復され、そして更に変形し、同時に身体全体が白く輝き始め、バックに白い2つの天使の輪が現れた。
「己が持つ命まで投入しての姿か…。ふっ、いい『ラスボス』だ。やはりこうでなくては。」
智史はそう呟く、既にフィンブルヴィンテルに当初の面影は無い、最早その姿は禍々しさを通り越して神々しささえ感じさせるほどだった。
「これは余が持つ全てを使った余の最終形態だ!この形態を維持する為に我が命を常時費やさなければならぬ、しかしその対価は大きい。命を削ってまで得た力の恐ろしさ、今度は貴様に教え込んでやろう、うぉぁぁ!」
その言葉と共にフィンブルヴィンテルの翼からエネルギーの奔流が放たれた後これまでに無い曲太い光線がリヴァイアサンを襲う。
ーードガァァァァン!
ーーゴォォォォォン!
「(太陽系が100個は吹き飛ぶ威力か、命の重みが伝わってくると解釈するに相応しい攻撃だな、己の身体をカートリッジにしてまでやっているということが見ただけで分かる。だがそれは何時まで持つのだろうか、こんな形態を維持していたら1時間も持つまい)」
智史のその言葉の通り、フィンブルヴィンテルの翼の部分の一部はあまりのエネルギーが放たれているが為に次々と羽が溶けて吹き飛んでいるのがそこから伺える、そして光線を放っている部分も含め、あらゆる部分の形が僅かづつではあるものの、溶け落ち始めて再び劣化を始めていた。
そして『お約束』の如くリヴァイアサン=海神智史は太陽系など余裕で吹き飛ばすこんな攻撃を受けながらも平然とこんな事を呟いていたのだ。
「(エネルギーフィールドが解けていくか…。ふっ、あらゆるものを投入する必要性がある『物事』が目の前に在る状態だからな、他のものは目にも入らない、か…。)」
「うぉぉぉぉぉぉ!」
それでも命を削らんと言わんがばかりの攻撃を次々と繰り出すフィンブルヴィンテル、しかし対照的に冷ややかに受け止め吸収してしまう智史。
「リヴァイアサン、彼は何者なのだ?」
「智史を指してるのか?」
「智史…?あれがリヴァイアサンの『名前』だというのか?」
「そうだ。奴はとんでもない化け物だ、勝てる気がしない程に。こちらの動きをまるで見透かしているのかのように行動し、一度気に入らないと判断したものは死ぬこと以外何も認めずに徹底的に叩き潰すという残虐性を持ち合わせている。」
「つまり彼に勝てる存在は“前にも後ろにも無し”ということなのか?」
「そう言い切れてしまうぐらいに強い。絶対とは言い切れないが絶対に近いとは言い切れる。
だが奴は悪い面ばかりでは無い、奴には『誠実』な面もある、蒔絵を守る事をきちんと実行したり圧倒的な強さをバックとしながらも敗者を受け入れたり、我々や人間達を捨て駒気分で扱おうとはしなかった。まあお株は片っ端から奪われたがな…。
何れにせよフィンブルヴィンテルに勝ち目など無い、ここでも会話が出来てしまうぐらいなのだから。」
リヴァイアサンの艦橋の外でそう会話するムスペルヘイムとキリシマ、フィンブルヴィンテルの光線が智史のクラインフィールドや量子フィールドによって吸収されてしまう光景をバックとして。
「あ、あぁ…、フィンブルヴィンテル様が…‼︎」
「勝てると、お約束された筈だ…!」
「お身体が崩れ始めているようだ…。」
「これで負けたら我々は…。」
フィンブルヴィンテルが押し込まれている様子を見て部下達が動揺する、何せ最強と信じて疑わない自分達の主人が一方的に押し込まれているのだから。
「隙あり!」
「ぐはぁっ!」
しかしアシガラ達がその隙を突いてただでさえ劣勢だった戦況を更に悪化させていく、他人ーー特に敵対している相手がピンチな時はこちらにとってはこれ以上に無い好機だからだ。
「ヒエイ、中央のやつの掃除は終わったよ!」
「了解です、ナチ、他の艦隊の状況は?」
「現在大戦艦モンタナの艦隊が超兵器擬きと交戦中、一進一退を繰り返しています。敵軍の殲滅が終わり次第他の艦隊も向かう予定です。」
「分かりました、モンタナを救援しましょう。」
そしてヒエイ達はモンタナ艦隊の救援に向かう。
「くうっ…‼︎こちらオウミ、クラインフィールド飽和、右舷第一主砲塔大破!」
「ほぼ互角ね…。中身は虚だけど実力はかなりのものね。こんな化け物共を簡単に屠った智史さんの実力は計り知れないわ。」
「そうですね…、でも私は智史さんだけにしかできないという『結論』で終わらせたくありません!」
そう会話する2人、そして災厄が襲いかかろうとする。
「ヴォルケンクラッツァーを模した敵超兵器に高エネルギー反応‼︎」
「一気にケリをつけるつもりだわ、オウミ、射線上から退避して!」
「ダメです、チャージの速度がオリジナルよりも速すぎます!」
「くっーー」
ーーゴォォォォォォォン!
ーーボクァァァァァン!
「⁉︎」
「それは、まさかーー」
突如として放たれた黒い雷を帯びた青白く輝く光条により船体を抉り飛ばされるヴォルケンの紛い物、それは勿論モンタナ達の物ではない。
「や、ヤマト様‼︎」
「間に合ったわ、モンタナ、後は私が!」
「傷ついていたとはいえ超兵器にかなりの深手を負わせるとは、流石霧の総旗艦と言うべきかしら。ヤマト様に続いて!一気に押し倒すわよ!」
まあ超戦艦級が元の状態であんな化け物に敵う筈も無いのでヒュウガに『改装』を施して貰った上でその光景を現実としたのだが。しかしそれは士気を大きく高揚させ、戦況はモンタナ達優勢に一気に傾いていく。
「超戦艦ヤマトより入電、『正面の敵残存艦艇を掃討せよ』と!」
「了承した、サクラ、最後だから奥の手を使うぞ!」
「はい、超重力波動合体砲、発射フェーズに移行!」
「了解、艤装展開、合体砲発射態勢に移行します!」
サクラ達が最終決戦だから自重するなという智史の檄に従い遠慮なく合体砲の射撃態勢に移行する、それによって船体が大きく変形していく。
「艤装展開完了、エネルギー回路開放、チャージ開始!目標、本艦正面の敵艦隊!」
「射撃誤差、修正完了しました!」
「チャージ完了、射撃どうぞ!」
「撃てぇ!」
ーーピカッ!
ーードガァァァァァン!
「目標の敵艦隊、全て消滅!」
「他の敵艦艇の反応は?」
「フィンブルヴィンテル以外は何も確認されません!」
「そうか、後は彼次第かーー」
「ゔぉぉぉぉぉぉぉ!」
様々な『鉾』を以て色々と攻撃を仕掛けたものの悉くそれらを折られて追い詰められ後が無くなったフィンブルヴィンテルはリヴァイアサン=海神智史を仲間共々捕食しようとする、しかしそれは智史達にしてみれば斬り込みを行うにはこれとない絶好の機会だった。
「斬りこむぞ、全員覚悟はいいか?」
「ええ。」
ーーゴォォォォォォン!
「さあリヴァイアサンよ…、余のものとなるがいい!」
「それは嫌だな、自分のものに変えられるなら変えてみるがいい。」
半分ヤケなフィンブルヴィンテルは触手や爪の先端にある尖った管を突き立ててリヴァイアサンを捕食しようとするが智史はそれを嘲笑うのかのようにそこに自分の構成素材ではなくフィンブルヴィンテル自身の肉体の『許容範囲』を遥かに上回るエネルギーを流し込む。
「ぐぼぁぁぁぁっ⁉︎」
慌ててリヴァイアサンから離れようとするフィンブルヴィンテル、しかし触手と爪は既に焼き切れて吹き飛んでいた、そして流し込まれた行き場のない莫大なエネルギーは一時の剛力の代償としての船体の破滅をさらに加速させる。
「はぁ…、はぁ…、はぁ…、はぁ…。体が…、熱い…‼︎終わりが…、近いというのか…。…⁉︎」
「たぁぁぁぁぁぁぁ!」
「貴様は…、あの時の小娘…!だが虫けらは余には勝てない!」
フィンブルヴィンテルに襲いかかってくるムサシ、フィンブルヴィンテルは彼女に無数の光弾を放つ、その何発かは彼女を捉え炸裂する、しかし彼女はクラインフィールドでそれを軽々と弾き気にすることなく平然と突っ込んでくる。
「馬鹿な、小虫如きにこれ程の力が…⁉︎」
「素のままではあなたには勝てないと理解しているから、彼に力を貸してもらったのよ。」
「くっ、おのれぇぇぇ!」
智史から演算を借りたムサシは以前とは比較にもならない力でフィンブルヴィンテルに迫ってくる、相手が智史ならまだしも、自分が格下だと思っていた存在に圧倒される現実を受け入れられずに怒り狂うフィンブルヴィンテル、しかしムサシにしてみればそれは快感だった。
「はぁっ!」
ーーヒュォッ!
フィンブルヴィンテルはならばと言わんばかりに今度は光鞭をムサシに向けて放つものムサシの姿が次の瞬間に消える。それを見て一瞬驚くフィンブルヴィンテル
ーーザンッ!
「がぁぁぁぁぁ!」
その直後フィンブルヴィンテルの顔面は一瞬で切り裂かれ顔に深い傷が残る、その後ろにはナイフに付いた血を払うムサシがいた。
「くっ、無理をしたツケが来たのか…。だが余は虫けら如きには負けられぬ…!」
智史が指摘した通りにフィンブルヴィンテルの生命力=回復力は極度に落ちていた、そのせいで顔に付けられた傷さえもが塞がらない。
「いい様ね、かつてコケにしていた人に逆に甚振られるなんて。」
「今の余は貴様にしてみれば虫けらだというのか‼︎」
「そうだとしか言えない状態が出来つつあるわ、彼に勝とうと無理をしたツケが来たわね。」
「たとえ天地逆となろうとも余は虫けらに非ず!余は虫けらには負けぬ!うぉぉぉぉぉぉぉ!」
あれだけ痛めつけられた挙句に負けが確定しているというのになおも諦めずにムサシに突っ込もうとするフィンブルヴィンテル、しかし
ーーヒュォッ!
「ぐはぁ!」
ムサシへの接近を阻むのかのようにズイカクが放った矢がフィンブルヴィンテルの腹に突き刺さる、普通の状態ならまだしも力が落ちている状態ではその一撃は深い手傷となってフィンブルヴィンテルにのしかかり、ただでさえ削られてゆくその命を更に削る。
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
ーーガンッ!
ーードガァァァン!
そしてその隙を突くかのようにキリシマが渾身の蹴りを叩き込んでフィンブルヴィンテルを壁に叩き付ける。
「私をこんな悪魔として生み出した罪を味わえ、てりゃぁぁぁ!」
ーーグサッ!
「ぐふっ、捨て駒如きが…‼︎」
そしてムスペルヘイムが怒りのままにフィンブルヴィンテルに剣を深々と突き刺す、更にハルナがそれに続くかのように殴り掛かろうとする。
「虫けらが…!」
何とか立ち上がり、一撃を放とうとするフィンブルヴィンテル、しかしハルナはすかさずコートをパージしてフィンブルヴィンテルの顔に被せてその視界を奪う。
「おのれっ!」
慌ててコートを取ろうとするフィンブルヴィンテル、しかしその隙にハルナは連打を浴びせる。
「だぁっ!」
「ハルナ、変わったな…。」
「ああ。蒔絵、今だ!」
そして追い討ちとばかりに蒔絵が怯んでいるフィンブルヴィンテルの顔に薬を掛ける。
「がぁぁぁぁぁ!これが痛みか…!」
薬が掛かった部分はあっという間に焼け爛れる、そしてフィンブルヴィンテルはそれまでの攻撃による傷から回復し切れていないこともあり最初の頃よりも醜い姿と成り果ててしまった。
「きゃぁっ⁉︎」
「貴様を道連れにーー」
ーーガァァン!
「貴様が止めか、リヴァイアサン…。」
蒔絵の真後ろでアキュラシー・インターナショナル AS50対物ライフル(智史が作ったモノで本家を軽く上回る破壊力なのはお約束)の重い発砲音が轟き、フィンブルヴィンテルの下半身を壊れかけた船体のパーツの一部共々粉々に吹き飛ばした、フィンブルヴィンテルは上半身と成ってもはや満足に身体を動かせない状態となってしまった。智史はAS50を片手に持ったまま上半身だけのフィンブルヴィンテルに接近していく。
「ふふふ、あの小虫共がこんなに強いと思ったら…、やはり貴様が手回しをしていたのか…。そう分かっていながら受け入れられぬとは…、余は、実に愚かよ…。」
「私もだ。自分がされて嫌なことと自分がしている事がそれとあまり変わっていないということもある。」
「そうか…。最後に教えてくれリヴァイアサン、貴様は何者なのだ…?」
「『神』に関するものの血肉を主にして生まれたという違いしか持たず、それ以外は世にはこびる小虫共と同じ存在よ…。」
「そうか…。余は人によって物を破壊するためだけに生み出された…。」
「それには『神』も関わっていたがな。」
「ふっ、人以外も関わっていたのか…。まあいい、その命を己の生き甲斐としてやってきた、いつか幕引きされる時が来るということを知りながら…。だがその幕引きが貴様ならば、悔いは無い…。」
「貴様が言う小虫という存在に幕引きをされたくなかったのか?」
「それもあるな…。余は先に冥府に赴くとしよう、貴様とまた戦える時を楽しみにしながら…。さらばだ、リヴァイアサン……。」
そう言いフィンブルヴィンテルは息絶える、そしてそれに伴うかのようにフィンブルヴィンテルの船体が唸りを止めて海が元になっていく、そしてかろうじて維持されていた船体が『支え』を失ったのか崩れ始める。
「智史、ここはまずい、早く脱出するぞ!」
「そうだな、ここを出るとしよう。」
そう智史達は会話すると崩れゆくフィンブルヴィンテルの船体からさっさと脱出し、そしてリヴァイアサンに乗り込む、崩れていく船体のパーツが着水することによって生ずる水飛沫が朝の光と相まって幻想的に映る。
「終わったのね…。」
「そうですね、彼の手によって…。」
そして戦闘を終えたヤマト達はそんな光景を見守るかのようにここに居た。
「さらばだ、フィンブルヴィンテル。安らかに眠れ。」
その光景が収まった後、智史は1輪の白い花を投げ込む、まるで死者を追悼し、そして静かに別れを告げるのかのようにフィンブルヴィンテルが沈んでいる場所に沈んでいく。
「智史くん、終わっちゃったね。」
「ああ。これでここに居続ける『理由』は存在しなくなった。提督とサクラ達に元の世界に帰れるだろう、時空を歪めている存在が消失したからな。さて、この後はどうしようか…。己を『鍛え』て他人を楽しく甚振りつつも2人で旅行しながら色々と生き方を考えようか?」
「そうね、そうしてみましょう。」
少し楽しそうに今後のことについて会話する智史と琴乃。
遂に、世界の運命を左右する大戦は終結したのだったーー