海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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警告!

グレンラガンの扱いが非常に悪いです。
アンチスパイラルを超重力砲にてグレンラガンの世界系やシモン達共々丸ごと焼き払ってしまうという非常に酷い流れとなってしまいました。
アンチスパイラルについて色々と調べてみたことでアンチスパイラルの凄さ、そしてそんな彼でさえ上回る力を持つ主人公の度を超えたヤバさが理解出来た気がします。
戦闘シーンはシモンとアンチスパイラルの最終決戦の流れを参考にしました。
グレンラガンが酷い扱いを受けていても問題無い方だけお楽しみ下さい。


『蒼き鋼のアルペジオ』の世界の外へ
第36話 破壊の業火


「何なのだ、今までにないこのおぞましい気配は…。螺旋の力とはまた違う…。」

その声の主は智史が討伐しようとしているアンチスパイラルだった、彼はこんな気配など今まで感じたことが無かったのだ、何せ彼は難なくこの世界にいる他の螺旋族を打ち倒してしまうだけの力を持った存在であり、そんなことなどこの世界では感じもしなかったのだ。

 

そう、この世界では。

今から襲い来る災厄はこの世界の外から来る存在であり、彼を一方的以上の悲惨な目に遭わせてしまう程の力を持った存在なのだから。

 

「おのれ…。力に溺れ、宇宙の守護者たる我々を捻り潰した挙句にスパイラルネメシスを引き起こすつもりか…‼︎否、させぬぞ…!」

 

 

「智史くん、この世界って?」

「天元突破グレンラガンの世界系だ、私はその世界の中にいる強者、アンチスパイラルをケチョンケチョンにして己を更に磨きつつもこの世界共々叩き潰して快楽を得る。私自身の価値観では気に入らないモノがありふれているからだ。」

「気に入らない相手を跡形も無く叩き潰すのは楽しいところもあるし、そうしたい智史くんの気持ちも理解出来なくはない。でもその目的以外にも彼らを叩きのめすことで自分が最強ということを示さなければいけないという考えもあると私は思うわ。これは智史くんが本当に望んだことかな?智史くん本来ならやらなくていいことをやらなきゃいけないって解釈してしまうことがあるからちょっとそこが気になって…。」

「そうだな、望んではいないかもしれん。ある意味では間違ってはいない。」

ーー痛いところを突くな、琴乃。確かに私は始めたことは最後までやらねば気が済まん性格だ。とはいえ始めたことは始めたことだ、一応念には念を入れておくか、足元をひっくり返されたら笑い話にもならんからな。

グレンラガンの世界系に侵入したリヴァイアサンで智史たちはそう会話をする、本人はアンチスパイラルに勝てるという結果が分かっていても念をいれてはいたが。しかしこんな内容の会話が出来るのは日々進化をし続けすぎて強くなり過ぎた影響だった。それはさておきとして早速と言わんばかりに突如として『来客』が訪れる。

 

 

「アンチスパイラルの尖兵か…。こちらの突然の訪問に慌ててやって来たようだな。」

 

現れたのはアンチスパイラルの破壊の尖兵と言うべきムガンの群れだった、本来なら地球上の螺旋族ーー人間を殲滅する為のものなのだが。

 

「上級が一千万匹、下級が2億匹か…。試し射ちにはいいかもしれん。」

「それにしても随分と無機質なヤツだな、不気味だ…。」

「ぶっ壊したら爆散するという特性があるからな、兵器としては優秀だ。」

「怖えな…。で、どうするんだ?」

「この世界を1つ残らず解体する予定だから、全部ぶっ壊すに決まっている、跡形も無く、な…。」

そして超重力砲を除いたリヴァイアサンの全兵装が彼らに対して牙を剥ぐ、かなり手加減されていることを考慮してもその威力は語る言葉が無いほどに激烈だった、何せ捕捉された次の瞬間にはそこに次々と重力子X線レーザーや各種ミサイル、砲弾の雨が襲い掛かり、粒子レベルで彼らを跡形も無く千切り、巻き込み、消し飛ばしていく。勿論グレンラガンの必殺技でしか破けないバリアが展開されていたもののそれは力の程度の問題である、その砲火の威力は軽く掠っただけでもムガンをそのバリア共々跡形も無く消しとばしてしまうのだ、グレンラガンの必殺技のものを軽く上回るのは言うまでもない。

おまけにその砲火は正確無比だった、なにせ超高速で移動しようがしまいがまるで先を読んでいるのかのように面白い勢いで命中していくのだから。当然命中した後の末路は目に見えていた。

軽く1億を超えていたムガンの大群はあっという間に消滅していく、そしてその際に放たれた凄まじい量の破壊エネルギーの余波で幾つかの銀河系が消し飛んでしまう。運良く上級の何機かがリヴァイアサンの間近に辿り着いて破壊されたことによる爆発を引き起こしたものの相手は自分達の常識を越えたとんでもない化け物なのだ、いつも通りに爆発のエネルギーを無効化して吸収し、自己強化に回してしまう。相手のことを把握し尽くし、非情な迄に強くなり過ぎたからこそこういうことがあっさりとできるのだ、当然の事ながら無傷であった。これで彼を殺傷出来るのならば倒すのには苦労はしない。

 

 

「食い応えのない奴らだ、さて、隔絶宇宙に向かうとしよう。親方様がお待ちかねだ。」

「ここにアンチスパイラルは居ないのか?」

「そうだ。ここは奴らの本拠地ではない。最も本拠地には無数の艦艇群ーー数にして無量大数の奴らが親方様と共に控えている。」

「無量大数…。んじゃあそこには10の68乗もの数の敵艦がいるじゃねえか‼︎」

「まあその通りだな、だからこそ殺り甲斐があると言えよう。」

「お前は化け物だということをそこでまた実感させられるな…。」

そしてリヴァイアサンはアンチスパイラルの本拠地である隔絶宇宙に向かっていくーー

 

 

 

「おのれ、その程度でいい気になるな…!これは私のほんの一部!本気などではない…!」

自分が差し向けたムガンの大群が呆気なく蹴散らされたのを見て憤激するアンチスパイラル。

 

「力と進化の快楽と飽くなき欲望に溺れた愚者に未来は無い…!」

言われてみればまあその通りだし一理あるとは言えよう、このグレンラガンの世界内の人物に対しては。しかし智史に対しては成り立たない、智史は力をきちんと己のものにしなければ安心できない性格なのだからーー

 

 

「ここが、奴らの本拠地、隔絶宇宙だ。」

「一見、平穏そうに見えるが…。」

あの後次々と宇宙空間の壁を突破してきたリヴァイアサンはあっさりと隔絶宇宙に侵入した、障壁などの邪魔やトラップもあったものの軽く食い破られた。

 

 

「“来たか、力に溺れし愚か者よ…。”」

「で、デカい…‼︎」

突如として現れたアンチスパイラルの巨大な幻影に驚くズイカク。

 

「お前が元螺旋族だったアンチスパイラルか。」

「“その通り、我々は元は最も進化していた螺旋族だ…。だがスパイラルネメシスという終わり無き進化が全宇宙に齎す危機に我々は気が付き、自らの進化を止め、そして他の螺旋生命体を監視、抹殺してきた…。”」

「それは進化によって得られたものを自分のものに仕切れていない、というより進化によって得られたものを律する為の理性と器を大きくしようとしないからこういう破壊的な結末となるのだ。そして付け加えるなら螺旋族を殲滅監視すること以外にも何かしら解決策があるかもしれん、だがお前はそれをやった上で望んでいるという感じが全く見受けられんな。」

まあ私にも奴に指摘した所と同じ所はあるが。

「“黙れ!力と進化の快楽に溺れ、己が欲望のままに動き回る貴様のような愚者に何が分かる!”」

「分かるさ、今のお前がそう言っているということはそうだということを素直に認めたくないからだろう?」

「“くっ…。ならばこの宇宙を守ると決めた我々の覚悟を思い知るがいい!”」

智史の指摘に早速動揺してしまうアンチスパイラル。彼の指摘は間違っていなかった、力を得ようとも正しく自分のものにした上で律することが出来なければ身を滅ぼすだけに終わるのだから。

 

 

「レーダーに敵艦影多数、お出ましか。」

「す、すげえ数じゃねえか…。私のユニオンコアの演算をフルに生かしてもスケールが把握しきれない!」

「数は、やはり10の68乗匹はいるか。しかし仏頂面ばかりで気色悪いな、兵器のデザインとしては劣悪だ。」

そう呟く智史、彼らアンチスパイラルの艦隊は惑星以上の大きさは有ろうかというアシュタンガ級、量産型であるハスタグライ級、パダ級といった3種類しか無いものの何もが不気味な仏頂面ばかりをしており、おまけに無量大数という物凄い数なので更に不気味だった、本気になれば表情は変わるのだがこれもまた不気味である。何れにせよデザイン的に好きになれるとは言えない代物ばかりだった。

 

 

「そういえばデススパイラルマシーンとかで質量の海を作っていたみたいだな、遠慮せずにどんどん出してこい。」

「“おのれ…!貴様に先に散った螺旋族と同じ末路を味あわせてやる!その言葉を出したことを後悔するがいい!”」

智史が売った喧嘩をそのまま買うアンチスパイラル、その直後にリヴァイアサン周辺に強烈な時空の歪みが生ずる。

 

 

「なんじゃありゃあ!宇宙に海が⁉︎」

「あれが私がさっき言っていた質量の海だ。超重力砲に混じるどす黒い光一色のな。」

リヴァイアサンの真下に真っ黒な海が現れる、海はリヴァイアサンをそのまま飲み込もうとする。

 

「質量の海って…。まさか私がもといた世界の海の質量より遥かに重いのか…?」

「まあな。ついでに言うなら外圧も桁違いだぞ、霧の超兵器の中の最強クラスであるヴォルケンクラッツァー級ですら耐えきれん程のものがな。」

「だけどお前には通用しない気がする、あり得ん程に強い上にあらゆるものを分解吸収して自分のものに出来るんだからな…。」

「ならば結構。早速潜るとしようか、どんな様なのかを見る為にも。」

そしてリヴァイアサンはさっさと質量の海に潜ってしまう。

 

 

「⁉︎何のつもりだ…⁉︎まあいい、ここに潜れば最期に待つのは死だ…。」

そう呟くアンチスパイラルを余所にしてーー

 

「光さえ取り込んでいるから随分と真っ暗だな。」

「ああ、スケールは事前把握済みとはいえ、どういうものなのかぐらいはこの目で実際に見ておきたかった。本当に深海を探検しているような気分になるな。」

次元探索システムでどんな世界が広がっているのかは分かりはするものの、光による物理的情報把握は困難だった。

 

「ん?あれは?」

「あれはラガンだ。螺旋力というエネルギー源をここで奪われて動けなくなった奴等だよ。質量の海は彼らが持っていた螺旋力を強引に変換することで形成されたのさ。」

「螺旋力?それって何?」

「この世界を構成するエネルギーのファクターだよ、これを使って生きているのが螺旋族さ。」

「成る程ね、さっき螺旋族がどうだこうだ言ってたのは彼らが持っている螺旋の力というものを強くしすぎるとこの世界を滅ぼすという結論を見出していたからなのね。」

「まあそういうことだ。この世界を守る気があるどころかむしろこの世界諸共奴らを焼き払いたくて仕方がないのだがな。さて、始めるか。船は海に食われるというのが常識としてよくあり得る光景だがその逆は殆どあるまい。ならばここで海が船に食われるという光景を見せつけてやろう。」

そう智史は呟く、そしてリヴァイアサンに平時収納されていた魚雷発射管、ハッチが一斉に開き、質量の海をダイソンの掃除機さえ真っ青の吸引力でどんどん吸い取っていく。そんなに中に蓄えて大丈夫なのかと言いたくなるほどの勢いだったが分解吸収して自分の力にするペースが取り込む量に完全に勝っていればいいだけのことである、第一リヴァイアサンごと智史はもう既に化け物じみた力を持っているというのにこれでも貪欲に力とその器を更に強大にしていく化け物過ぎる存在なのだ、あっという間に質量の海で満たされていた空間は消滅してしまう、もう動かないラガンやデススパイラルマシーンも一緒にして彼に分解吸収されて全部己の血肉とされるという形で。

 

「な…、何ぃ⁉︎螺旋族を悉く葬ったあの空間を…⁉︎いいだろう、そんなに死にたいなら望み通り死をくれてやろう‼︎」

 

この光景を見て驚愕するアンチスパイラル、彼は待機していた自身の艦隊に一斉に攻撃するように命じた、無量大数という滅茶苦茶な数の艦隊による攻撃が開始される。

 

「やはり、随分と見た目が派手な攻撃ばかりだな。」

「惑星とか手にとって投げつけてくるなんて滅茶苦茶な戦法を採ってくるなぁ。それにしては実感が湧かないんだが…。」

「私が強くなり過ぎたせいだ、その点に関しては私を恨め。あと確率変動弾というものも用いられているな、これはいかなる原因や過程に縛られること無く、『敵に攻撃が当たったという結果』を現出させる弾だ。」

「要するに因果律を操作している訳?」

「まあそうだな、だが当たったからって『損害を確実に与えられるという結果』が出た訳ではあるまい?」

まさにその通りである、リヴァイアサンに惑星を投げつけたりといった他の攻撃と共に確率変動弾は全弾命中したものの、全く効果が無かった。何せ相手を調べ尽くした上で『対策』がとっくに練られているのだから。

 

「もう終わりか?欠伸が出てつまらんわ。」

「な…、何故だ、全て命中したはずだ!」

「貴様は『攻撃を与えたという結果』が出したことで自己満足し、『如何なる敵にも損害を与える』という結論を出す為の進化をしようとしなかった。それが貴様の限界だ、一つのことを守らんと執着するあまりに同族を血祭りにあげる事しか思いつかず、このモノを守り抜く為のそれ以外の方法も考えず、進化の果てに齎されるモノを防ぐ為の進化もしようとしなかった愚者には破滅こそ相応しい。」

「くっ、この世界を守るが為に進化を止めた我々にこの世界を守る資格など無いと言うのか‼︎否、否ぁぁぁ!」

「煩い…。もう札は無いのか?なら今度はこちらから行くぞ。」

「ふん、命中したことを無効化する絶対防御にて無効化してくれるわ!」

「それはどうかな?何かを動かす、形成するのには力が必ずしも関わってくるぞ?」

自分の攻撃手段を無効化されたことに更に動揺するアンチスパイラルと冷徹な迄に切り返す智史。そしてそのやり取りが終わるのと同時に、オーバースケールと言うべき先ほどのアンチスパイラル艦隊のものよりも遥かに滅茶苦茶な破壊と暴力の花火大会が開始される、それに応えるようにしてリヴァイアサンの前部2基の砲塔レールガンが旋回を始める。

 

「因果律も異次元も等しく、消滅するといい。」

 

その言葉と共にリヴァイアサンのレールガンが咆哮を上げ、次々とアンチスパイラルの艦艇を槍衾の如く刺し貫き、黒い螺旋の渦に巻き込んでいく。因果律による絶対防御は作動してはいたものの、それさえ拒絶し破壊してしまう程の一方的破壊を伴った酷すぎる容赦の無い攻撃の前に悲鳴と断末魔と共に魔神の剛腕に引き裂かれるかのように螺旋の渦に飲み込まれ、その螺旋が収縮した後の巨大な爆発によって次々と消滅していった。しかもリヴァイアサンから放たれた一方的破壊という結論を齎すエネルギーはアンチスパイラル艦隊を食い殺すだけでは飽き足りず、隔絶宇宙だけならまだしも、他の無数の宇宙も次々と殲滅、破壊していく。勿論アンチスパイラル本体にもそれらは襲いかかり、直撃弾が無かったこと、バリアを展開していたお陰で丸ごと殲滅されることは免れたもののそれでもそれによって齎された被害は凄まじく、中核の一部にまで破壊の魔手は及んだ。

 

「ぐぉぉぉぉぉぉっ⁉︎ば…、馬鹿な、隔絶宇宙が、いとも簡単に…!」

「さて、もう終わりかな?」

「私をここまで追いつめるとは…。中々やるな…、だが貴様は見落としていよう、我々の最大の罠にして貴様と同じく突破してきた者達が膝を屈した存在を…!」

「その名は多元宇宙か?」

「そうだ、多元宇宙は認識された時実在する。人型になるということは、自ら多元宇宙の迷宮にハマるということなのだよ…。」

「それはこの世界の人間には通用するかもしれんがそれ以外には通用するのかな?」

「ふふふ、溺れるがいい…!自分が認識した「可能性」を実現した宇宙に意識が捕らえられ、二度と本来の宇宙に帰って来られないという究極の罠に…!」

そしてアンチスパイラルは智史達が自分が仕掛けた罠にまんまとハマった光景を見て勝利を確信した、いや確信するように欺かれてしまっていた、智史は敢えて引っかかったように見せかけてそれを全否定してしまうことで相手を更なる絶望のどん底に叩き堕とすのが大好きな残虐な一面を持っていることを彼は知らなかったからだーー

 

 

自分が認識した可能性を実現した『世界』を見ながら意識を失っているフリをしている智史の独白ーー

 

 

これで意識を失っただと?

 

馬鹿め。

 

お前の顔はきちんと認識している。そして何時でも殺れる準備は整えている。だが今は更なる絶望に叩き落とす為に敢えて引っかかっているように見えさせているだけだ。

しかし、これが私が奥底に秘めていた望みとはな…。

 

「“お父さん、こっち、こっち〜!”」

 

私の子供…、そしてその子の母親となった琴乃か…。そうだな、私は平穏な家庭を築くことで平和な日々を送りたかったのかもしれぬ。周りの雰囲気も良い、私が憎しみを持つファクターが無い…。

だが、これは夢幻。現の世界ではない。そして実現しない世界なのかもしれない…。

結局私は己の可能性を単なる個人的感情で食い潰している愚者だな。そして子供は『成長』を止めなければいずれ大人になるものだ、かといって『成長』を止めても私はいずれ飽きてしまうだろうからこんな楽しみは一時で終わるのかもしれん…。だか感謝するぞ、アンチスパイラルよ。私の為にこんな夢を見せてくれて。さて今度はこちらがお前に夢を見せる番だ、勿論、とっておきの『悪夢』をな…。

 

 

「ふふふ、やはり多元宇宙からは逃れられかったか…。な、なんだ…⁉︎い、意識が…。」

突如として襲ってきた意識の揺らぎに激しく動揺するアンチスパイラル。

 

「感謝するぞアンチスパイラルよ。今度はこちらが貴様に夢を見せる番だ…。」

「なっ⁉︎成る程、多元宇宙を突破したのか…。」

「多元宇宙を破った、というより、最初から破っていた、と言った方がいいだろうな。さあ、こちらからの夢、じっくりと味わってくれ…。」

今度はアンチスパイラルが智史の手により多元宇宙に近いものに意識を囚われてしまう。

 

「此処は、何処だ…?」

「貴様によって葬られた者達が無数居る場所だよ…。」

その発言に驚愕するアンチスパイラル、見ると周りには無数の螺旋族の姿があった、それも皆彼を軽蔑し、嫌悪し睨みつけるような目付きで。

 

「これが貴様が認識した可能性を具現化した世界だ、じっくりと味わえ。」

智史がそう言い放つと皆がアンチスパイラルに迫ってくる。

 

「な…、何をするつもりだ…。」

「“復讐だ!”」

「“テメェによって俺の故郷の星は焼き尽くされた!”」

「そ、それは宇宙を守る為にやったことだ…!」

「“黙れ!テメェにそんなことを呟く資格はねえ!テメェはそんな偽善の為に俺の星を焼き払ったんだ!だからココでぶちのめしてやる!”」

1人の螺旋族がそう言い放つと、アンチスパイラルの腹を思いっきり蹴飛ばす。そして他がそれに続くかのようにアンチスパイラルに次々と拳を叩き込み、剣やドリルをその体に突き立てて引き裂いていく。

 

「くっ、やめろ、やめてくれぇ!私はーー」

 

いい様に仕上がっているな。

人の見方は人次第で異なる、そして人は己の知ることしか知らぬ。それを活用した徹底的な陵辱だ。だがこれは序の口だ、奴を更なる奈落と絶望に叩き落とす為のな。

 

智史は嬉しそうに微笑む、そしてアンチスパイラルの意識を強引に多元宇宙から現実に叩きつける。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…。」

「どうだ?悪夢から覚めた気分は」

「き、貴様…。我々を此処までコケにするとは…。許さぬ、もう許さぬぞ‼︎」

「ならば結構、とっととかかって来い。勝ったら貴様に我が命をやろう。」

「おのれぇぇぇぇぇ!」

智史に散々にコケにされ、侮辱されて凄まじいまでにブチ切れるアンチスパイラル、その平時の威厳は何処へやら。

 

「こうなったら貴様を跡形もなく消し去り、絶望の奈落にうち沈めてやるわぁ!」

そして彼は原作のグランゼボーマ(グレンラガンを絶対的絶望で滅亡させようとする究極的宇宙魔人)のような形態に変化する。

 

「これまたデカイ…、これまでのものよりも…。そして凄まじいキレっぷりだな…。アレあんなまでに怒らせたら不味いんじゃ…?」

「いいんだ、この後跡形もなく滅んで貰うからな。」

「だとしたら一方的な虐めだ…。」

全高だけで約53億光年、背面の両腕に至っては約70億光年という滅茶苦茶な大きさに圧巻するズイカク、しかし最初からアンチスパイラルを一方的に打ち破れるだけの力を持ちながらも異常な迄のペースで進化を続けている智史にしてみればこれも己の想定内といった感じだった。

 

「怒って本気を出しても、それも『想定内』ならば問題は無い。」

「遺言はそれのみか‼︎その思い上がり、叩き潰してくれる!」

アンチスパイラルはそう言い放つと両腕に銀河を掴み、そのまま手裏剣のようにしてリヴァイアサンに投げつける、リヴァイアサンの船体に強烈なエネルギーの塊が命中するものの、リヴァイアサンはそこから一つも動かずにクラインフィールドであっさりと防ぎ、そのまま吸収してしまう。しかも恐ろしいことにクラインフィールドを展開したのは己の身を守るのではなく破壊エネルギーの吸収、変換効率を更に上げる為である。最大クラスの威力のものを投げつけてさえ、同じ結論が出ているのにも関わらず、アンチスパイラルは滅茶苦茶に銀河を投げつけてくる。

 

「相変わらず詰まらんな、随分と単調で。もうそろそろお開きにしないか?早く私に宇宙創世の業火とやらを見舞ってくれ。」

「いいだろう、此処まで来て、そして我々を怒り狂わせたのは貴様のみ!永劫に続く宇宙創世の業火に焼かれ、DNAの一片まで完全消滅するがいい‼︎

 

“インフィニティィィィィッ‼︎ビッグバンッ‼︎ストォォォォォォォォォムッ‼︎”」

そしてアンチスパイラルは背後の両腕にて無数の銀河を掴み、グチャグチャにして濃縮すると青白く、非常に巨大なビームを放ってくる、そのエネルギー量は宇宙創世の業火を名乗るに相応しく、掠っただけで周りの残りの銀河系や星々が吹き飛んでしまう。そしてそれらは勿論リヴァイアサンに襲いかかり、その身に直撃する。

 

「ふっ、宇宙創世の業火の名を冠するに相応しい威容だが、我が身を焼けぬのならその名は相応しくなかろう。」

「まだ足掻くか、この愚か者が…‼︎ええい、更なる絶望をもって焼き尽くしてやる!」

全てを焼き尽くせると自負した自分の全身全霊の奥義を受けてもケロリと、しかし嘲笑うのかのように話しかけてくるリヴァイアサンごと智史に対し怒り狂い見栄を張るアンチスパイラル、そして無理をしている事さえ忘れる程にブチギレて更にその威力を上げていく。そして光の強さが増し、リヴァイアサンの姿が光によって強引に消されるようにして見えなくなっていく。リヴァイアサンが自分の目に見えなくなったことでアンチスパイラルは勝利したと確信する、

 

「思い知ったか、我々の覚悟を込めたこの一撃をーー」

 

そう言った次の瞬間ーー

 

ーーキュォォン!

ーードガァァァン!

小物は黙ってろと言わんばかりに突如としてその青白いビームを螺旋状にして押し切って破る一撃が放たれる、それは一瞬にしてアンチスパイラルの背後の両腕の一部を薙ぎ払う。

そしてさっき迄発射されていたビームの爆煙を払うようにして無傷のリヴァイアサンがゆっくりと姿を現す。

 

「これで本当に終わりのようだな、アンチスパイラル…。」

当然の事ながらこれも想定済なのであっさりと吸収できてしまった。まあ被弾面積も考慮し、命中時の様子を見るに全部とは言い切れないが、それでもかなりの量を吸収したようだ。

 

「し、信じられん…‼︎破れるべくして破れる、これが我々の定めなのか…!否、否、否ぁぁぁぁ!」

あまりに一方的な光景にそう叫ぶアンチスパイラル、しかし智史は突きつけるようにして呟く、

 

「進化を捨てるということは勝ち残る為の努力をしないということに等しく、変わりゆく『モノ』に対して適応せずに寧ろ変わることを否として止めようという行為だ。そんなものは自然の摂理に基づき淘汰されるべくして淘汰される。それが必然よ。」

と。

 

「黙れ!貴様は進化の先に何を見るのだ‼︎」

「さあな…。だがそれは進化を怠った貴様には聞く必要の無いことだ、私が負けたら貴様に命をやると言ったが、私が勝ったら、言うまでもあるまいな…?」

智史のその言葉と宇宙でもくっきりと見える殺意の焔を見たアンチスパイラル、一瞬にして我に返らされてしまい、そして敗者は勝者に殺されるべくして殺されるということを理解してしまった。

 

「わ、我々を殺して何になるというのだ!」

「貴様に対する鬱憤が晴れるということだよ。」

「それは進化の制御を吹き飛ばし、この世界を滅ぼすという行為だ!進化を止めねばこの世界は滅びるのだ!」

「この世界と言っていることはすべて滅ぶわけでは無いのだろう?何よりどうして私がこの世界を守る為に貴様を殺すのを止めなくてはならないのだ、この世界に関する大事なもの、気に入っているものなど無いというのに。もう言い合いは飽きたわ、この世界共々貴様も滅ぼしてやる。」

「や、止めろ、止めてくれぇぇぇぇ!」

アンチスパイラルはあまりの恐怖に威厳も吹っ飛び悲惨なまでに狼狽える、だが智史は最初からこの世界諸共彼を殲滅すると芯で決めていたので全く同情しようとしない。

 

「時間だ。引導を渡してやろう。」

その言葉と共にリヴァイアサンのミラーリングシステムが展開され、40門もの超重力砲が姿を現す。そしてチャージの際に奏でられる青白い光の演奏に智史の体が下から照らされていく。

 

「た、助けてくれ、助けてくれぇぇ!」

「いい様だ、だがダメだな。1つ残らず、消滅せよ」

 

ーーピカッ!

ーードゴォォォォォォォン!

 

智史はいい様だと言い喜び、嬉しそうに指を鳴らす、そして40門もの超重力砲が一斉に咆哮し、そこから全てを焼き尽くす程の青白く、黒雷を伴った破壊の業火が放たれる。

 

「ぎゃぁぁっ、ぎゃぁっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

断末魔と共にアンチスパイラルは全てを容赦無く破壊の業火に焼き尽くされて消滅する、そしてその業火は智史の意志に従い、グレンラガンの世界系を閃光と衝撃波を伴って喰らい始める、暗闇の世界の中でリヴァイアサンから放たれた業火が青白い光を放って爆発の衝撃波の如く次々と世界系を食らっていく様は圧巻かつ美しい光景だった。

 

 

「な、何だあれ…。」

「シモン、あれは一体…‼︎」

とある世界の地球上のどこかで会話するシモンとヨーコ、螺旋王ロージェノムの手下達と戦いを始めようといったその矢先に突如としてリヴァイアサンから放たれた一方的破壊を齎す業火に襲われた。

彼らは原作では主人公として活躍するのだがこの物語では主役では無い。何でこうなるんだとシモンの兄(?)カミナが叫ぶもののそれは業火を止めるファクターでは無い。カミナの叫びなど御構い無しに業火はシモン達諸共グレンラガンの世界系の1つを一瞬にして焼き尽くしていった。

だが業火はシモン達を生贄として食っても満足せず、グレンラガンの世界系を焼き尽くしただけに留まらず周りの世界系、いやそのまた周りの世界系の大半を焼き尽くしたところでやっと終息した。

 

「全てを焼き尽くす業火とは、こういうものだ。」

「おいおい、随分と焼き尽くしてくれるじゃねえか…。オーバーパワー過ぎるぞ…。どんだけ焼き尽くしたんだ?」

「小宇宙も含めた宇宙を10の5027万乗は跡形も無く焼き尽くした。」

「ご、5027万乗⁉︎ダメだ、計測不能だ…。」

「滅茶苦茶な数値だろう?まあ『試運転』も兼ねて多少手加減しているとはいえ上出来だ。」

グレンラガンとその周りの世界系は骸1つさえ残さずに跡形も無く吹き飛んだ、そこには光なき暗黒の世界と静寂しか残らなかった。ヤマト達がいたアルペジオの世界系やこれから向かう世界系は破壊しないように多少工夫していたことや無量大数といっていい程の次元の壁を破壊して別の世界系に次々と破壊を齎す際に威力が減殺されたことも考慮しても、言葉で表現しようが無いほどに凄まじい破壊を一撃にて齎したことが一目瞭然にて分かる程だった。

 

「しかしこうも綺麗サッパリに何も無くなると虚しくなるな、当てにするもの、衝動をぶつける物が無くなるということは虚無しか産まんかもしれん、そしてその時に永遠に生き続けなければならぬとしたら、それは幸せと言えるのだろうか?」

「そうね、終わりたくても終われないのはある意味悲しいわね。いずれ死ぬという定めがあることは悲しい事だけど、かといってそれが無いのも、必ずしも幸せとはいえないね。」

「そういう過去が此れ迄にもあった、私が外に出た理由は強者を一方的に蹂躙する喜びが主だが、もしかしたら破壊の果てには虚無しか無いという結論を見出しながらそこから逃れるようにして外に外に出ているのかもしれない。」

「自己嫌悪は度を逸してると体に毒だよ。智史くんは智史くんなりに考えて生きていればいい。永遠に生きられなきゃならないという使命があるなら、それと向き合いながら楽しみを見つけていきましょう。」

「そうだな…。ありがとう。」

鋭すぎる感受性の影響からか、自己嫌悪のジレンマに陥ってしまう智史、しかし琴乃に諭され一時かもしれないものの心を救われ、気分を立て直す。

 

「ふう、いい鍛練になったし、さて、次行くか。今度はチートラマンとチートライダー共をギタギタにしてやろう。」

「次は世界系を根絶やしにするとか残虐なことを実行するなよ〜!」

「ふっ、ズイカク、奴等の出方次第では今回と同じく跡形も無く吹っ飛ばすかもしれんぞ?まあそこは悪く思わないでくれ。」

そしてリヴァイアサンはミラーリングシステムを畳み、スラスターと全身の蒼いバイナルを一段と強く輝かせた後、仮面ライダーとウルトラマン達がいる世界系へと向かっていく。

いつも通りに怪人や怪獣と戦っている彼らは『常識』を越える存在さえ簡単に討ち倒す恐るべき『災厄』が迫っていることに気がつきもしなかったーー




おまけ

グレンラガンの扱いを悪くした理由

・メインキャラやメインメカの外見がチャラい、兵器としての重みを出したデザイン性が成っていない(キャラクター性、ストーリーの内容が悪いとは一言も言っていない。)
・アンチスパイラルの宇宙を守る為に進化を抑制するという選択肢に作者である私自身が疑問を覚えた為
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