海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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今回は前回とは違って徹底した蹂躙は控えました。散策を前半メインとして書いてます。
蹂躙されても全員生存し、世界系もそのまま残る形です。
まあミスターサタンとベジータはかなり酷い目に遭うのでその辺は自己責任でお読みください。
あと琴乃の父親やピーマンの過去の話も付け加えました。
オリ主である智史ばっか活躍してる話だと他の人物達が空気になりかねないからです。
それでは読みたい方だけお楽しみ下さい。


第43話 散策、孫悟空、琴乃の父親

「ここが、孫悟空達のいる星ーー地球か。ドラゴンボールという元の世界基準という色眼鏡でみればご都合主義に近いものがこの世界では成り立っている世界か。まあよい、『絶対』は無いからな。それにしてもやはり美しいな、『私が元いた世界』では史上初めて宇宙に飛び出した人間であるガガーリンが『地球は青かった』と言っていたように本当に青く、しかも単なる青みではなく白も混じって濃淡がある。そのあまりの大きさと常に変わりゆく風景と相まり、殺風景ではないとまるで感じてしまうのかのようだ。」

智史は宇宙空間の中でそう呟く、何事も無かったかのように動き続けている地球を感慨深く見つめながら。

 

「さて、感慨に浸るのはこれまでとしよう、この世界の風景を楽しみつつも、孫悟空とサシで戦わなくては。」

そして智史はこの世界の地球に侵入する、大気は存在したようだ、侵入する際に生じる空気との摩擦熱が智史の周囲を赤く光らせる。

 

「ん?なんだあれ?」

「流れ星?」

「それにしては随分と小さいが…。」

 

シミュレーションで出た予測通りに、私が地球に侵入してくる際に生じた光景に気づいた人間もいたようだが、視覚にフェイントを掛けたお陰でその主原因が私とは把握してはいないか…。まずは西の都から行こうか、さて、どんなものが実際に広がってるのやら。体で見て感じて楽しもうか。

街のど真ん中で大騒ぎを引き起すのは孫悟空と会うためには一番簡単な手法だが、それだと人が逃げて街の雰囲気が楽しめなくなってしまう。人の雰囲気を感じるのも旅行の楽しみの1つだからな…ん?目的が戦うことではなく、旅することになってきたぞ?まあよい、人の心は矛盾そのものだし、どうせなら気まぐれに行くとしよう、悪しき矛盾を引き起こさぬように。ふふふ…。

 

やがて地表が見えてきた、大気の匂いもしてきた。そして東京大都市圏(中心部から70キロ圏内の地域が該当)に匹敵する程の大きさの街がくっきりと視界に入ってきた。それを見て智史は一瞬、かつて横須賀に創った半径100㎞という途轍もない大きさの工業地帯のことをふと思い出す。

 

中心部から半径70㎞か…。これでもかなりのスケールだな、こうやって見直してみると、自分のしたことが如何に恐ろしいものなのかが改めてよく理解できるな。

 

そして智史は西の都の郊外で人が少ない場所を探して着地する、そこは住宅地だった。だが彼の元の世界の四角をベースとした住宅とは違い、球をベースとした形であった、それは一瞬モンゴル民族のテントを彷彿とさせるような形をしていた。

そしてそれらはアメリカ風の庭が必ずと言っていい程に設置されていた、それは彼がいた元の世界のものとは違う異質さと新鮮さを彼に与える。

 

 

さて、『対策』は終わった。悪いな、中央の戸籍データ、改変を加えさせてもらったぞ。事前に調べた通り、ここは科学技術がこの世界で一番進歩している場所だ、それを示すのかのようにコンピューターにより全住民のデータが管理されている。そして警官が持つ小型コンピューターは住民の名前を打ち込むと、住民の顔写真と住所を映し出す優れ物だからな、何の対策もなしに行動するのはこの世界を楽しむという為の隠密行動の観点上とてもリスクが大きい。下手をしたら大騒ぎでかえってつまらん。

 

「行けるか、琴乃、ズイカク、カザリ?」

「別にいいけど…。なんで僕を誘うの?」

「仲間外れにはあまりしたくないからだ。」

「仲間…?どうしてなの?まあいいか。所詮逆らっても吹っ飛ばされておしまいだから、僕は君に大人しく付いていくしかないからね。」

「そんなこと言うなって、カザリ。お前の楽しいもの見つかるかもしれないぞ?」

そして智史はリヴァイアサンと今自分が立っている場所を繋ぐ亜空間ゲートを生成する、そして琴乃達がそこから出てくる。

 

「あれ?ドームの形をした建築物がいっぱいだね。」

「あまり気にならないはずなのに…、何か、言葉に言えない何かを感じる…。」

「たぶん違和感だろうな、見慣れていたものと大きく異なるせいでギャップを感じているんだろう。」

智史達はそんな異質な雰囲気を出す住宅街をゆっくりと歩きながら大通りに出るーー

 

ーーシャァァァァァ!

 

「⁉︎じ、地面と接することなく走っているだと⁉︎」

「霧だって超重力砲やミラーリングシステム起動時は水に接することなく宙に浮いてるだろうに。まあその異質さが見慣れぬデザインと相まって益々際だってくることは確かだな。」

「要するに、智史くんや他の霧が艤装を展開する時、艦体を宙に浮かせている時と同じ仕組みで?」

「まあそうだな、重力をコントロールして宙に浮かせているというのが説明として手っ取り早い。」

見ると車輪のない車やバイクが宙に浮いてビュンビュンと行き交いしていた、タイヤが無いせいで走行音も大して響かず、ただ空気を切る音が響いていた。

 

「何か見慣れないものばかりだ、目があちこちに行ってしまうよ…。」

「そうだな、さて、場所を移すとしよう。市街地中心部に行くか。幸いタクシー、電車といった交通機関はこの世界には存在するようだ。」

「でも、タダで乗せてくれるわけじゃ無いんだよな?」

「当たり前だ。だから『カネ』を調達するのだ。近くに質屋は無いな、ならば本物とは見分けつかぬ程の『カネ』を作って仕舞えばいいわけよ。まあ多少気後れするところはあるな、オーズの時とは違って、楽して『カネ』を手にしてしまうのだから…。」

そして智史はポケットにワザと手を突っ込み、データベースに基づいた本物そっくりの大量のゼニー札を生成した、そして手には大量のゼニー札が握られていた。

 

「偽造対策も考慮して材質や記録IDも忠実に再現した、ただ新しい新札の姿のままではかえって怪しまれるかもしれない、だからある程度の使い古し感もフェイクとして交えておいた。」

「必要とは分かってはいても、やはり智史くんが言った通り、こんなに楽な手段、積極的に利用したら私達どんどんダメになってく感じがするね。」

「そうだな、まあその程度でネガティヴな話は終わらせるとしよう、ネガティヴなままでは折角の旅も楽しめなくなる。」

「そうね、その程度で切り上げましょう。」

そして智史達は駅へと移動する、切符の自動券売機は彼がいた元の世界のものとスタイルは同じだった、違っているのは言語ぐらいだった、そこで市街地へ向かう為の電車の切符を買い、改札を通ってホームに出る。

 

「磁力の気配がするな、これは?」

「リニアモーターだ、電磁力を利用して車体を浮遊させて移動するという乗り物だ。」

「成る程ね〜。横須賀で物資輸送で使われてたのは見たことはあるけど、乗ったことはなかったわ、乗せてくれる造りや雰囲気ではなかったから。早く乗ってみたい。」

そして彼らはリニアモーターカーに乗り、市街地へと移動する。

 

「は、速い‼︎」

「時速500㎞ぐらいか、それでも感覚的にかなり速いな、風景がビュンビュン飛んでいく。」

「音が、静かね。そして殆ど揺れてない。この前の世界で乗った電車は音がそこそこ聞こえたのに。」

「あの丸っこいの、『ドーム』っていうんだっけ?あれが沢山目に入ってくるよ…。」

「そうか、まあ普通の形式をした建物も混じっているからこそ、それが余計に目に入ってくるかもしれんな…。」

「あ、大きな建築物が沢山見えてきた。」

やがて列車は市街地中心部の駅に到着する。

 

「人がいっぱいだな、って人の形をした人じゃねえ奴が平然といるじゃねえか‼︎」

「大声で騒がないでくれ、ズイカク。教えてなくてすまない、ここは人間だけでなくある程度人間に近い存在である動物も平然と暮らしている世界だ。」

「成る程…。僕も怪人の姿でも共存できるのかな?」

「お前が元いた世界よりは随分と共存しやすいだろうな、まあ物騒なことをしない限りはそう言えるが。」

「物騒なことって…。分かってるよ。(人間や動物にセルメダルを投与してグリードを生み出す行為自体が物騒ということに僅かながらも感づいている)しかし見た事の無いものばかりだね、こんなに目が移りまくるのは初めてだ。」

「ああ、私もそうだから仕方がない。ところで何か食べたくなってきた。観光案内所に近いような場所に行くとしよう。」

「観光案内所?横須賀はもちろんだけど、旅先でもこんなもの見た事も無かったけど…。」

「あれは経済規模が海面上昇、霧の海洋封鎖が主原因で極端に縮小してしまい、観光業自体も観光資源を破壊されたことも相まって縮小してしまったせいで、新しく作ろうにも作れなかったせいなんだ。だから無い。仮に作ろうとしても地方はほぼ壊滅で無理、三都市は重要拠点であるということを考慮するに機密防衛の必要性がどうしても出てくるから、案内する場所にどうしても制約が出てしまう。」

「なるほど、要するに費用対効果の観点上、作るにはふさわしく無かったと。そういうこと?」

「まあそういうことになるのかもしれない。さて、行こうか。」

そして智史達は観光案内所を見つけ、そこに入る。幸い場所自体は駅の構内だったので、特に苦労することは無かった。

 

「中華料理ってものが有名なのね〜。どんな料理なのかしら。見たことはあるけど、食べたことは一度も無かったわ。」

「中華料理にはマナーがあるんだ、それを守らないと失礼だろう。幾ら外から来たからって最低限のマナーは守らないと人間性を疑われる。」

「郷に入っては郷に従え、ね。どのようなマナーなのかしら?」

「まあ色々あるが、兎に角行ってその場で実践しないとダメだ。行こう。」

 

 

ーーほぼ同時刻、界王星

 

「何のつもりなんだ、こいつは…。突如として雰囲気を変えおった…。だがやはり悟空を狙っているのは確かじゃ、悟空も首を長くしてこいつが己が元に来るのを待っておる…。ああ、悟空、話を聞いてくれ…。」

界王はそう呟く、だが残念なことか、智史はその話を無意識にでも聞いていた、中華料理に関するマナーを教えながら。

 

 

「食べ残しは残しておくこと。残しておくことで「美味しかったです、もうお腹いっぱいです」って捉えられ、つまり「ごちそうさま」って扱いになる。もし皿に食べ残し1つ残さずに全部食べるのは「もしかして足りなかったんじゃ」と捉えられ、もうお腹いっぱいだというのに更に出される可能性が高いから。その状態で食べないと、「あ、うちのもてなしは悪かったのかな」って捉えられてしまう可能性が高い。」

「随分と、マナーに詳しいのね。」

「いや、情報検索掛けて調べた上で言っているだけだから。」

「あ、これ食べていいかな?」

「いきなり自分の分を真っ先に取るのはダメ。真っ先に食べ始めるのもダメ。みんなに平等に料理を取ってからみんなで一斉に食べ始めるのがルール。あと料理を取るのに席を立ってはいけない。」

「『エプロン』とやらがあるけど、使ってはダメなのか?」

「それは特に問題はない。寧ろエプロンを使い、食べた際の汚れが付くことで『美味しく食べさせて貰いました』というメッセージになる。」

「成る程、んじゃあ遠慮なく使わせてもらうか。どう見ても飛び散りそうなものばかりだし。」

「これ、美味しいね。何って料理なの?」

「青椒肉絲(チンジャオロース)だ。これはピーマンにジャガイモ、豚肉を原料として作られる料理だ。」

「ピーマンって、智史くんがコンゴウに強引に食べさせようとしたものだよね?」

「…ぷっ。その時のコンゴウの様を思い出して笑いが出た。刑部邸でコンゴウに強引にピーマンを食べさせようとして、それが原因でコンゴウと蒔絵が仲良くなったことを考えると、何となく良かったなと思える。」

「そうね、蒔絵ちゃん今はどうしてるのかな?」

「今も元気そうだ、キリシマ達と仲良くやってる。さて、リヴァイアサンに戻った後、レシピを参照して作ってみるか。」

智史は蒔絵達がうまくやれているという事実を映した映像をモニターに出しながら、そう語る。

 

「肉まんって美味いな〜!」

「ズイカク、肉まんを食い過ぎると頭に肉まんが出来るぞ、ふふふ…。」

「冗談だよな、それ?」

「ああ、勿論さ。」

「ねえこれ、食べると何かしっとりと口に染みてくる感じ…。この前食べたものとは違う味だけど…。これも、『美味い』っていうの?」

「そうだな。一概に『美味い』っていっても、実際には様々なものがあるからな。」

そして皆は楽しく料理を口に頬張った、料理を多少皿に残して彼らは席を立ち、智史はお勘定を求める。

 

「ごちそうさまでした。」

「ありがそうございます、またお越しください。」

「ふう、さて、孫悟空の所へと行くか、街を色々と見ながら。」

「孫悟空って人は、何処にいるの?」

「今日はブルマという女の誕生日パーティーだからな、それを祝うために彼女の父親の豪邸にいる。豪邸はここからさほどは遠くはない。タクシーでさっさと行くのもアリだが、歩いて行くか?」

「そんなに遠慮しなくてもいいわ。」

「ありがとう。ではゆっくり見て回るのは孫悟空の所に行った後にしよう。」

智史はそう言うと手を挙げてタクシーを停める、彼はタクシーの運転手に豪邸に向かうように指示した。

 

 

ーースーパーサイヤ人戦士にしてこのドラゴンボールの世界系の主人公である孫悟空の独白

 

 

「滅茶苦茶ヤバイ奴がお前の所に来る。だから逃げろ!」

そんな感じのことをオラは界王様からそう聞かされた、何しろスーパーサイヤ人ゴッドになっても勝てなかった存在である神様ーービルス様が軽々と打ち破られ、しかもその存在はオラのことを虎視眈々と狙っているらしい。

オラはそんなことを聞かされた時久々に身体中の血が滾った、何せ神様を上回る力を持つ存在がオラの所に来るのだから。

だがそのような気配は界王様から話を聞かされてから中々現れなかった、それよりもブルマの誕生日パーティーが近かったのでオラはブルマの家に向かうことにした。

そこにいるベジータやトランクス達は勿論の事、息子の悟飯にひ孫の悟天、チチ、ミスターサタンにブウ、ピッコロも来た。そしてパーティーは彼らを迎えて盛り上がった、だがオラ達がそのパーティーを楽しんでいる間も、神様を軽く上回る強大な気配は全くしなかった。

やがてパーティーも詰めに入った、オラの身を心配してくれている界王様が嘘を吐くはずがないと信じたかったが、こうも圧倒的な気配が中々しないのでは嘘なのかと思ってしまうところもあった。まあ今は来なかっただけあって、いつか来るのではと思って、切り分けられたケーキを食べようとした、その時だったーー

 

ーードガァァァン!

 

「な、何⁉︎」

突如として襲いかかった戦慄に皆身を固める、オラも一瞬ビクッとした。そして次の瞬間理解した、神様を上回るヤツが、現れたのだと。

 

「そこの侵入者、止まれ!」

「お前達に用はない。孫悟空という奴に用がある。理解したならとっとと道を開けろ。」

「ふ、ふざけるな!取り押さえろ!」

 

ーーズドォォォォン!

 

「ぎゃぁぁぁ!」

「済まんな。ガードマンが何人かいたようだが、邪魔をしたから遠慮なく排除させてもらった。」

そしてその存在が爆煙の中からゆっくりと姿を現した、外見こそ普通の一般人のように見えたが、オラは先程の圧倒的な気配と相まって只者ではないと確信した。この存在こそが、神様を軽く打ち倒した存在だと。

 

「あ、あんた何様のつもりよ!いきなり強引に立ち入ってくるなんて!」

「私が予告もなしにいきなりここに来たことを指摘しているのか?」

「そうよ!」

「そうか、だがそうするだけの理由があったからこそ、私はこうやって強引に入ってきたのだ。」

「理由って、何よ!」

「孫悟空と戦うことだ。」

圧倒的な気配を纏い、突如として現れたあいつにブルマは臆することなくあいつに口をきく、あいつはオラと戦いたいということを平然と口にした。

 

「私は孫悟空という存在だけと戦いたい、お前達に特に用はない。」

「こ、これだけの暴挙をやっておきながら孫君とだけ戦いたいというの⁉︎ふざけんじゃないわよ!」

「そうだ!この俺、ベジータを差し置いて孫悟空とだけ戦いたいだと⁉︎舐めるな!」

あいつは平然とこちらを嘲笑うようにして挑発してきた、オラとだけ戦いたいと言っておきながら、圧倒的な力をもって全員まとめて楽しく蹂躙した上でオラとじっくり戦いたいという半分狂気に満ちた本心だろう。だからこそ搦め手を使ってくる気配は全く見当たらない。

 

「分かった。ではお前と何処で戦おうか?」

「人の気配がないところがいいな、此処では迷惑が多大にかかる。」

「おい、俺達を、このミスターサタンを無視してさっさと話を進めるな!」

「そうだ!俺も無視すんな!」

「ごちゃごちゃとうるさい奴らだ、気に障る。まあいい、さあ、掛かって来たいなら掛かってこい。済まんな、少し手間を掛ける。」

そしてあいつは箸を右手に瞬時に作り出した、そして箸を挑発するかのように鳴らす。

 

「こ、この野郎…。何処までも舐めやがって〜‼︎泣きっ面にしてやる!」

「行くぞ!」

「「「うりゃぁぁぁぁぁ!」」」

そしてピッコロ、天津飯、18号、サタンにブウ、悟天にトランクスが一斉にあいつに飛びかかる。息子の悟飯は老界王神様の潜在能力を解放し、ひ孫の悟天とトランクスは超ゴテンクスで挑む。オラ程ではないにせよ、魔人ブウと善戦するだけの実力をあいつらは身につけていた。しかしーー

 

ーーシュバッ!

ーーパシッ!

 

「あべっ!」

「うごっ!」

 

「くっ、魔貫光殺砲!」

「新気功砲!」

悟飯と悟天とトランクスが呆気なく目の前で瞬殺された、箸で顔や胸を突かれ投げ飛ばされるという形で。三人とも死んではいなかったのが幸いだったが、それでも重傷を負っているのでこれ以上の戦闘はできない。

何よりも相手はこちらがこんな究極形態でも軽々と大ダメージを与えて見せたのだ、あの圧倒的な気配(そして恐ろしいことに今も大きくなりつつある)を裏切らぬ強さを持っているというべきだろう。

相手が只者ではないということを先程の光景で痛感した2人は己の命を削る(自滅する気はない)覚悟で奥義を放つ、あいつはこれを見て不敵な笑みを浮かべる。そして2人の奥義があいつを襲う、だがあいつはこの一撃を苦もなく、いや寧ろ嬉しそうに全て吸収し、己の物へと変えていった。

 

「な、なんだと…⁉︎」

「ば、化け物か…⁉︎」

2人はこれを見て愕然とし、更に技の威力を上げようとするものの、先程の一撃で命を削りすぎたのか、威力はかえって落ちてしまっていた、そしてーー

 

「命は投げ捨てるものではないぞ。」

 

ーーヒュォッ!

 

「ウゲッ!」

「だはっ!」

「ち…、畜生…‼︎」

2人はその一言と共に箸で鼻を掴まれて投げ飛ばされ、後ろに発生したバリアのようなものに叩きつけられて動かなくなった。

 

「舐めるな〜‼︎」

 

ーーズボボボボボボボ!

 

「ゲプッ…‼︎」

唯一残ったブウがあいつに掴みかかるも、あいつは特に大したことなく手元の箸でブウを殴って殴ってボコボコにし、ブウは挽肉になってあいつらと同じく動けなくなった。そしてあいつは冷たい目でミスターサタンに迫っていく。

 

「ひいっ、た、助けてください…。さ、先程の言葉は調子に乗ってつい…。」

「勝気になったと思ったらもう言葉を変えるのか、醜い奴だ。」

 

ーーベキイッ!

ーーバキィッ!

 

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

あいつは手元にあった箸を一旦消すと、ミスターサタンの両手を掴み上げる、サタンはそれを振りほどこうとするも、凄まじい腕力できっちりと掴まれているのでほどけない。そしてあいつはサタンの両腕を思いっきり握り潰し、骨が砕けて避けた皮膚から肉と骨が露出する、それによって生じた痛みにサタンは苦悶に満ちた悲鳴をあげる。

 

「や、やめてください…、暴力はんた」

ーーバキィッ!

ーーズゲシッ!

ーーズガッ!

 

そしてあいつはサタンを地面に放り捨て、サタンの四肢を、胴体を何度も何度も踏みつけた、その度に肉が、骨が砕けて、血が飛び散る。

一方的なその蹂躙が終わった後、サタンの肉体は原形を留めぬ程に崩れていた、あと1、2撃加えられたらお陀仏という虫の息の状態だ。しかもこれでもかなり手加減しているのだから、いつでもトドメは刺せる状態だ。

だがオラは仲間がグチャグチャにされて嬲られたというのに怒りがあまり湧いてこない、仮に死んでも界王様のところに行ってまた生きて帰ってこれるという現実があるせいなのか。しかしサタンが大怪我を負わされたことが公になったら大騒ぎだろう。

 

「さて、楽しい舞踏会を始めるとしようか。」

「ふざけんじゃないわよ…。あんたのせいで折角の楽しいお誕生日パーティーがグチャグチャよ…‼︎」

皆がその場で振るわれた圧倒的な力に戦慄して震える中、自分の誕生日パーティーを滅茶苦茶にされたブルマは目に涙を浮かべてあいつに平手打ちをかまそうとする。

 

ーーガッ!

 

「済まんな、今はお前とあまり話したくはない。」

 

ーードゴォン!

だがあいつは自身にかかってくるブルマの手を左手の前腕で受け止めると払い飛ばした、ブルマは思いっきり木に叩きつけられてそのまま気を失った。

 

「貴様…、これだけの暴挙をしておいた挙句にブルマも手にかけておいて、俺を無視するのか‼︎もう許さん!」

「もう少し時間を食うかもしれん、それまで待っててくれ。さて、貴様、ベジータと言ったな?先程の光景を見て奥義を尽くさねばこの私は倒せぬと理解したようだな。」

「…そうだ、だからこそ貴様を奥義でもって粉砕してくれる!うぉぉぉぉぉぉぉ!」

そしてベジータはスーパーサイヤ人となる、髪の色が黒から金に変わる。ベジータはファイナルフラッシュを使い一気にケリをつけようとした、相手が撃ち込まれた気、エネルギーをガンガンと吸ってくる特性を持っている以上、トドメを刺すには高エネルギーを集約して一気に殺った方がベストと考えたのだろう。

それを見てオラは逆のことを考えた、柔よく剛を制すという諺(ことわざ)があるように、相手の積極的な攻撃を誘い、相手の攻撃を食らうのを避け疲弊させ隙を作り出してそこを突くことで一気に追い詰めるという戦術だ。どこまで通用するかは分からないがそれがベストな戦略であるとオラは判断した。それに対してベジータは剛を以て相手を破ろうとしている、あの圧倒的な気配から実力を判断すると、ベジータがその攻撃を食らわそうとしても刺し貫く前に全部吸収されておしまいだろう。

そしてオラの予測通り、あいつはベジータのその攻撃を貫通さえ許さずにそのまま受け止め、全て吸収してしまった。

 

「な、何っ⁉︎貫通…、しないだと…⁉︎」

「どうした?『これでお終いです』ではないだろうな?」

「な、舐めるなぁぁぁぁぁぁぁ!」

あいつの嘲笑ってくるような挑発にベジータは完全に頭に血が登り冷静な判断が全くできなくなってしまっていた。普通こんなことは実戦では確実な致命傷になり得る可能性さえあるというのに。まあ相手がこうも滅茶苦茶に強いのでは精々さっさと逃げるしか選択肢が無かったが、ベジータはプライドが強い。そこを突かれるようにしてプライドを傷つけられたベジータはそんな判断さえ下せぬ程怒り狂っていた。

ベジータはスーパーサイヤ人ゴッドに変身する、髪が金から青へと変色し、オーラもまた青へと変わる。あいつはこれを見て嬉しそうに笑う、オラはその笑みの中に混じっている狂気を僅かながら感じた、

 

ーーこいつ、ベジータをその姿のまま徹底的に蹂躙するんじゃないか…?

そんな予感がオラの中に一瞬で走った、だがベジータには当然そんなことなど聞こえていない、仮に口に出して大声で叫んでも聞きもしなかっただろう。

 

「砕け散れぇ!」

そしてベジータはゼロ距離からバーストギャリック砲をあいつに対して撃ち込んだ、ギャリック砲という名自体は聞き慣れてはいるものの、そのギャリック砲はスーパーサイヤ人ゴッドという鍛錬を積み重ねた末の究極の形態が与える力のお陰で威力は凄まじいものとなっていた。普通こんなもの食らえば神様を除いて殆どの物は砕け散るだろう。

だが残念なことに先ほどから言っているが、相手はそんな神様をぶっ倒しているとんでもない実力の持ち主なのだ、そんな奥義をかましても全く倒れないだろう。

そして予想通り、あいつは嬉しそうにその奥義を受け、全て吸収して己の力に変えてしまった、ベジータは必死に力を込めてあいつを粉砕しようとするが、あいつはその必死な様を見て益々余裕に満ちた不敵な笑みを浮かべていく。

 

「もうお終いなのか、残念だ。この砥石はもうダメなようだな。」

 

ーーチンッ!

 

「んごぉっ…⁉︎」

そしてあいつはバーストギャリック砲を受けながら、ベジータの股に軽く蹴りを入れるーーそれでも滅茶苦茶重い一撃だったーー、ベジータは股を抱えて恨めしげにあいつを睨みつけながら痛そうに歯を食いしばってその場に倒れこむ。

 

「よかったな、息子を作るためのブツを壊されずに済んで。まあその事象自体ももう直ぐ無意味となるが…。」

「な、何をする気だ…⁉︎」

「お前を今から玩具として弄び、拷問するのだよ。」

あいつはそう言うと何か粘っこい液体のようなものを左手の手元に生み出し、同時に棒みたいなものももう片方の手元に生み出した。そしてその棒に先程の粘っこい液体を練り付けると、それを思いっきりベジータの鼻の穴に突っ込んだ、鼻の穴は2つなので2つも突っ込まれた。

 

「うごっ、うごごごご…。やめろ、苦しい…。」

「何を、やってるんだ?」

「ブラジリアンワックスによる鼻毛抜きだよ。」

オラの質問にあいつは“ぶらじりあんわっくす”とやらで鼻毛を抜くのだと答えた、ベジータはその棒を鼻に突っ込まれて苦しいのか必死に抜こうとする、だがあいつはベジータの両手をがっちりと抑え込んだ、その状態を少し続けた後、あいつは思いっきりベジータの鼻の穴からその棒を引き抜こうとする。

 

「ど〜れ、鼻毛はどれぐらい取れるかな?ふんぬっ!」

「い、痛い、いだぁぁぁぁぁぁ!」

その棒を無理やり引き抜かれたベジータは痛みのあまりに悲鳴をあげる、そして鼻血が出る。先程の粘っこい液体はある程度固まっていたようだ、そしてよく見るとたいそう濃い鼻毛が大量にこびりついていた。

 

「ほ〜ぅ、これはいい鼻毛が取れたな。サイヤ人は鼻毛が濃いのか?」

「いや、オラはそんなに濃くねえぞ…。」

「成る程、サイヤ人にも個体差はあるのか。ん?鼻毛を無理やり毟り取られて悔しいか?悔しいだろうな。ほら、返すぞ。自分のものだから、食え。」

「や、やめろ、こんなばっちいものを俺に食わせる気かぁぁぁぁ!」

「煩い、とっとと食え。」

「んごっ、んごごごごごごご…。」

そしてあいつは嫌がるベジータに強引に鼻毛がついたアレを食べさせる、あいつのあまりに圧倒的な力の前に手も足も出ないベジータは悲鳴と唸り声を上げる。

 

「さぁ、いい様となってきたし、軽く締めるとしますか。」

「や、やめろ、もうこれ以上はやめてくれぇぇぇ!」

 

ーーシュパッ!

 

「あがが…、あがががが…。」

あいつは先程よりも長い箸を生成し、またしてもベジータの鼻の穴にそれを突っ込んだ。そしてベジータの頭が、体が箸一膳だけで軽く持ち上がっていく。ベジータはそれを振り解こうとするも相手も、悪いがそうはさせまいという感じでより強く締め付けてくるので結局は己をより痛めつける結果となってしまった。

 

「よっ」

 

ーーシュバッ!

 

「“ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…‼︎”」

そしてあいつはベジータを箸で掴んだまま軽くダーツでも投げるようにベジータを投げ飛ばす、ベジータはオラの目にも見えないありえない速度ですっ飛ばされた、そしてベジータの気配が消えた、オラはベジータの行方についてあいつに尋ねたくなってきた。

 

「おい、ベジータはどうなったんだ?」

「ああ、さっきの奴か。この世界の外にすっ飛ばした。世界系を仕切る壁に激突して立派なミンチだよ。」

「この世界の外って…。ってことはベジータは生きて帰ってこれないじゃねぇか…‼︎どうして、ここまで酷いことを…⁉︎」

「プライドの高い傲岸不遜な態度と顔が全く気に食わなかった、そんな奴を先程のような目に遭わせたかった、だからだ。」

「こ、こんなちっぽけなことでベジータにあんなことを…。お、オラおめえのやること見てたけどもう許さねえぞ…‼︎」

「そうか。これで本気で私と戦う気になってくれたのか。」

「ああ、敵わねえかもしれねえけど、おめえだけは許さねえ…‼︎」

「(幾ら何でも、ちょっとやりすぎたか。まあこれも想定内だからよい、盛大にぶちのめした上でベジータを元にするとしよう)」

オラはあいつにベジータを殺された悲しみと怒りを叩きつけた、あいつは少し嬉しそうに笑うと宇宙で試合をしようかと提案してきた。

オラはその誘いに乗り、あいつとオラは宇宙へと飛んでいく。

 

「用意はいいか?」

「…ああ‼︎」

「宜しい。

…Let the game begin!(さあ、戦闘の始まりだ!)」

そしてあいつはオラに襲いかかってきた、オラはあいつにぶちのめされた仲間たちの様子から編み出した戦術「柔よく剛を制す」を基にして攻撃を受けないように専念した、そして兆候があったら、身構えて躱し、隙を誘う、そんなイメージでいた、しかしーー

 

ーーズゴッ!

 

「ガァッ⁉︎な、何っ⁉︎」

 

ーーガガガガガッ!

 

「だはぁ!」

あいつはそんなオラを嘲笑うのかのように攻撃を次々と命中させてくる、場所、兆候さえ把握できないほどの、受け身、回避が間に合わない程の速度で。

一方向に受け身を取れば別のところから痛撃を容赦なく次々と加えてくる。こちらが対応する時間、いや気づく時間さえ許さぬ勢いで。あまりにも速すぎるせいで行動に隙が見当たらない。

そして痛撃の名の如く威力もかなりのものだ、手加減しているのを考慮してもオラにしてみればかなり痛い。

 

「な、なんて速さだ…。受け身さえ許さねえなんて…。ダメだ、速すぎて追いつけねえ…。」

「どうした?これではスーパーサイヤ人の名が泣くぞ?」

「(くっ、このまま回避に徹していたら一方的に嬲り殺されてしまう…。こうなったら、死中に活を見出すしかねえ!)」

オラはベジータと同じくスーパーサイヤ人ゴッドに変身する、先にやられたあいつらの様子から見るに出し惜しみは無用と考えたためだ。そしてあいつは少し嬉しそうに微笑む、これでよい、さあ、私に真髄を叩きつけてみせろと言わんばかりに。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

あいつのその誘いに乗るようにしてオラは今まで経験したことすべて、仲間との絆を込めた全身全霊の一撃ーー超神閃撃をあいつに叩き込んだ、あいつはそれを防ごうとはせずに、これを直に受け止め、(しかしこれさえも全く通用せず、すべて吸収され、全部己の力に変えられてしまった)オラが放った技の味を吟味する。そして嬉しそうに、だがどこか寂しそうに微笑む、成る程、これが仲間と共に研鑽し、強敵と共に戦ってきたが故に得られた「強さ」なのだな、と。

あいつは圧倒的に強い、だがそれ故にライバルが全くいないーー孤高のような状態となっていたのかもしれない、神様がそうであったように。

ベジータを殺したのは許せねえが、何処か哀しさを感じさせる何かをあいつは持っていた。だが、余韻に浸っている場合ではない、戦いは終わりと宣言されていないのだから。

 

「奥義を叩きつけてくれたこと、感謝しよう。相応の返礼をしなくてはな。」

「へへへ、ぶちのめす気満々だな…。」

「遠慮するな、有り難く受け取れ。」

 

ーーゴッ!

ーードガガガガガガガガガッ!

ーーバキバキバキバキバキバキィッ!

 

そしてもはや戦闘ですらない一方的な蹂躙が幕を上げる、更なる容赦の無い乱撃の嵐の前にオラは防ぐことさえ許されずに濁流に押し流される木の葉のように翻弄され、その身を滅茶苦茶に叩きのめされる、手や足で防ぎ、逃れようにもにも乱撃は逃れる暇さえ与えずにその手や足さえ軽く粉砕してオラを襲う。その乱撃の嵐の前にはスーパーサイヤ人ゴッドという形態など弾除けにもならずにあっさりと消し飛ばされた。

身体中の骨が、肉が、内臓が、血が、滅茶苦茶に砕け散る、だが悔しさは無い。搦め手といった卑怯な戦法ではなく、ただ単に圧倒的な力の前に正々堂々と戦い敗れたというだけのことなのだから。

自爆しようにも、ここまで叩かれては大したダメージにはならないだろう、仮にスーパーサイヤ人ゴッドのまま自爆してもダメージを与えれるのかはとても怪しいが…。

 

ーーチチ、悟飯、悟天…。ごめんな…。

 

「はっ」

 

ーードガッ!

 

「うっ…。」

そしてトドメにあいつはオラの腹を殴った、それさえ防げぬほどに心身を削られまくられたオラはそのまま意識を闇に落としていったーー

 

 

ーーほぼ同時刻、界王星

 

「あ、あああ…。な、なんということじゃ…。ベジータに、悟空まであいつの毒牙に掛かってしもうた、悟空はまだ死んではおらんがベジータは…。ワシに、ワシにもっと力があれば…。」

界王は界王星でそう嘆いていた、だがそこでビルスとウイスが意識を取り戻したこと、そしてこのあとこの世界の常識を無視した『奇跡』が起こることには気づいてはないかったーー

 

 

「智史くんどう?楽しめた?」

「ああ、孫悟空という存在の強さの理由を確かめられた。そしていつもの事だが、強者を存分に甚振り苦しめることも出来て良かった。」

「よかった。でも巻き込まれた人達はあなたの手によって悲惨な目にあって可哀想よ?だって誕生日パーティー中にいきなり殴り込まれるわそのパーティーは滅茶苦茶にされるわ、大怪我は負わされるわで。これ以上やったら気の毒よ?」

「すまんな、いつものことだが少し調子に乗りすぎた。さて、後始末でもしてから退散するとするか。」

智史は悟空にトドメを刺すふりをして気絶させ、応急手当をしてそのままブルマの父親の豪邸に帰ってきた。そして彼はそう呟くと、第七宇宙の外にすっ飛ばされてミンチとなったベジータを魂ごと連れ戻すと強引に復元した。

普通ならこんなこと『あり得ない』のだが、それは常識的な域での話である、常に進化しすぎて、もうとっくに常識を脱出した智史にはこんなことは容易くできてしまった。

 

「こ、ここは…。はっ⁉︎ブルマの家ではないか…。はっ、貴様まで…。貴様、一体何をした⁉︎」

「外に投げ飛ばしたままでは仲間が少し嘆き悲しむだろうから連れ戻したまでよ。」

「嘘を吐くな!俺を欺き、更に陵辱するつもりか⁉︎」

「いいや。しかしここにペナルティ無しで戻ってきた現実を受け入れられないのか、仕方あるまい。死にないなら今度こそ消し去るまで。」

「…や、やめろ…。」

「か、カカロット⁉︎大丈夫か⁉︎」

「おう、ベジータ…。オラあいつに滅茶苦茶にぶん殴られたぜ…。死ぬかも思った、でも生きて帰ってこれた…。元々あいつにオラ達を殺す気は無かったんだな…。

そしてなんと言えばいいんだか、皮肉なことにあいつのお陰でおめえは界王様の所に立ち寄らなくてこの世に生きて帰れてこれたんだぜ…。オラおめえあいつに殺されて怒ってたけどこんなあり得ないのが目の前で起こされたらその怒りも行き場所をなくしちまった…。」

「む、無理をするなカカロット…!」

ベジータは大怪我を負っている孫悟空を心配する、そして辺りを見回し、皆生きていることに安心する、勿論その中にはブルマやトランクスも含まれていた。

 

「智史くん、彼らを『退場』させたくはなかったのね。」

「ああ、あの悟空の普段の明るい雰囲気は私の好きなものだった。そして彼らの明るい『暮らし』も。蹂躙したくても、これだけは壊したくはなかった。壊したらもう二度と見れなくなる。」

「そうね、でも私には何となく彼と『友達』になりたかったんじゃないかって見える。」

「ついでに言うなら、自分を磨き上げてくれるライバルも増やしたかった、作りたかったんじゃないのか?」

「まあそうだな、殲滅ばかりでは詰まらんからな。」

そう智史達は嬉しそうに会話する、今回は徹底的な殲滅が炸裂しまくる(フリーザ一味を除く)ことは特に無かったからだ。

 

「おめえ…。本当はオラとベジータのような切磋琢磨の仲になりたかったんだろ…?」

「…ああ。」

「オラはおめえと戦って己の未熟さをとことん痛感した、だからこそオラはもっと強くなれる…。いつか、おめえを追い越せるようになってやるからな…。」

「ふっ…。その期待に応えよう、その日を楽しみにしているぞ。今は無理をするな、私に打ちのめされた体を休めよ…。

さて、すまなかった、ベジータ。悪乗りした挙句皆をこんな目にあわせて。」

「その態度、性格、何所かビルスに似ているな…。まあいい、だがもう二度と悪乗りしたこんな陵辱劇はするなよ‼︎」

「その約束、私の気が変われば破るかもしれんぞ…?ふふふ…。」

智史はそう言うと琴乃達と共にブルマの父親の豪邸を静かに去っていった、人は多少は集っては来たものの彼らに見向きは特にしなかった。

この戦闘の幕引きは意外にも、静かなものだったーー

 

 

「歩いてみると、また違った感じがするね。」

「そうだな、じっくりと造りを見ることが出来る。」

「あ、奇妙な魚だな。ヒレがたくさんある。どんな味をしているんだろう?」

「この世界の料理って本当に『美味い』ね。出来ればもっと食べたいのに。」

「なら、インスタントやお菓子、お土産でも幾つか買ってくとしよう。」

悟空達と別れた後、夜の街中の繁華街を智史達は歩く、サラリーマン達が終業して出てくる時間帯なので、人混みが凄くて歩くのは多少は大変だったが、人がいることの賑わいと活気を肌で感じることができて多少は楽しかったようだ。

 

「すみません、こちらお願いします。」

「はい、合計で72000ゼニーですね。75000ゼニー、お預かりいたします。」

 

ーーパチパチッ!

 

「3000ゼニーのお返しです、ありがとうございました。」

「たくさん買ったね〜。」

そして彼らは駅前近くの豪華百貨店に行き、買い物を沢山し、それぞれ荷物を抱えて百貨店を出た。人がいないところまで彼らは行くと、生成された亜空間ゲートを通ってリヴァイアサンに帰ってくる。

 

「ふう、ちょっと疲れちゃったね。」

「ああ、たまには休むのもいいな。私も付き合おう。」

智史は琴乃や他の皆のことを気遣い、たまには彼らの休みに付き合い、少し止まることにした、最早習慣というべき自己強化・進化、そしてそのペースを滅茶苦茶に上げることは全く止めようとはしなかったが。

 

 

ーーリヴァイアサン艦内、天羽琴乃の部屋

 

「智史くん、私があなたと初めて会った時のこと覚えてる?」

「ああ、私がメンタルモデルだったことに興味津々だったな。」

「あれには理由があるの。お父さんが霧についていろいろ調べてて、その時対立してる霧と仲良くなれないかって考えてたの。

お父さんは私に霧とはどういう存在なのか聞かせてくれたわ、平和的な個体、個性的な個体もいるはずだと。今は対立しているけれどいつか分かり合える時が来るんじゃないか、って。」

「(琴乃の父親も翔像に近かったのか…。だが当時の状況から推測するにそれは難しかったと言えよう、人類と霧、双方が和解という選択肢を拒絶していた以上は…。

そして琴乃の父親は霧との戦闘で戦死…。霧と和解しようという考えが組織的に受け入れられなかった以上、殺されやすい最前線に送り込まれるのも、必然か…。

ふっ、いろいろと己が欲の赴くがままに暴れ回ったとはいえ、最終的に私は群像やヤマト、ましてや彼らの願いを聞き、実現させているな、結果論として。結果良ければ全て良しという諺に従って言うならば、それは自身のために誇っていいことだろう…。)」

「智史くん、今、嬉しそうな顔をした?」

「…ああ。お前の思い出話を聞いて自分のしたことは自身の欲望のままにやったところがあるにせよ、誰かの幸せになり、誰かの望みを叶えられたのだなと思えて少し自分に自信が持てた。ありがとう、いつも我儘な私の側に居てくれて。」

「…よかった。そう言って貰えるなんて。私こそ智史くんと一緒にいれて嬉しい…。」

琴乃はそう言うと智史に顔を近づける、智史は少し恥じらい、緊張しながらも琴乃と静かに唇を重ねる、そしてお互いに顔を深く密着させた。

そして甘い時間がしばらくの間流れたーー

 

それからしばらくして。

 

「さて、皆の疲れも取れたことだし、次は、とあるシリーズの世界系に行くとするか。一方通行、僧正、エイワス、上条当麻…。ふふふ、こいつらを一方的に蹂躙したくて仕方がない。」

ーーメタとして付け加えるが、私の事は私のことを快く思わぬ奴らが私に関することをばら撒いたお陰で、とっくに知られているな、何せ無数の世界を一発で焼き払ったのだから、警戒を感じない方がおかしい。恐らく学園都市に乗り込んだ場合、学園都市の委員会、いや最悪この世界系に踏み込んだだけでこの世界系全ての軍隊、武装組織が私の迎撃に乗り出してくるだろうな。まあよい、その予測に応えるようにして己を更に更に鍛え上げ、奈落の果てまで徹底的に叩き堕としてやろう。今のままでも十分に余裕で勝てるがやっぱ何処か満足出来ん。

智史はそう呟き終えると自身の身体であるリヴァイアサンを起動させる、そしてリヴァイアサンに蒼い龍のバイナルとイデア・クレストが灯る。そしてリヴァイアサンはとあるシリーズの世界系に向けて航行を開始する。

霧の究極超兵器 超巨大戦艦リヴァイアサン=海神智史のことを知らされたアレイスター=クロウリーとエイワスはともかく、この世界系の外を知らない、いや知ろうとしなかった僧正、一方通行、上条当麻に容赦なく“ツケ”は牙を剥いで襲いかかろうとしていたーー




おまけ

ドラゴンボールの世界系の扱いについて

・最初は徹底的な蹂躙を考えながら執筆していた
・だが色々と調べているうちに散策の話が出てきた
・皆殺しと徹底的な蹂躙では孫悟空と『マトモ』に戦ったことにはならない(個人的な感想だが、ドラゴンボールのキャラ達は何処か魅力的な雰囲気があった為)のでそこは極力避けてあくまでも親善鍛錬試合(?)に近い感じで話を進めることにした
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