海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

49 / 57
最近ドラクエビルダーズを始めたもので意識がそっちに向いてる中で書いたので文章が滅茶苦茶かもしれません。
でも更新を止める気はありません。
話を簡潔にまとめて次に進もうと考えた上で色々と書きました。
次はナマモノ捕獲の為に鋼鉄の咆哮の世界系に向かいます。
ナマモノだけでなく、超腐心船とかも引っ捕らえる予定です。
そして理由は…、読んでみればわかるかもしれません。
それでは今作もじっくりとお楽しみ下さい。


第49話 一つの区切り

「リヴァイアサン、とうとうこちらから姿を現してくれたか。これで手間が省けるわ!」

遂に自分の願いであるリヴァイアサンごと智史を撃滅する事への幕開けというべき策が始まった事にライトマサルの兵士達は喜びの声を心の中で上げる、仮に滅茶苦茶な負け戦となっても問題ない、退避できれば問題ないし、作戦として始まらせる事が成功すれば問題ないという余裕が彼らの中にはあった、智史は退避するだけの余裕を与えない程容赦ないという事を知らなかったからこう考えられたのかも知れないが…。

 

「“ご覧下さい、世界を滅ぼさんという元凶が遂に姿を現しました!”」

「おお…‼︎」

「あいつめ、とうとう音を上げて出てきたか…‼︎」

自分達にしてみればこの世界を滅ぼす元凶であるーーそう信じて中継用のテレビを見つめていた民衆は智史が現れた事に恐怖とどよめきを上げる。

 

「“人類を滅ぼそうとする悪魔をこれから討伐する!”」

「“殺れぇぇ!”」

「“ブッ殺せぇぇぇ!”」

「ふっ、その様を見るに上手く、洗脳しているみたいだな。」

「“その通りだ、まあそんな事など愚かな民衆には伝わらんがな…。”」

「はっ、ライトマサル様!ライトマサル様がお見えになる!道を開けよ!」

自分に対して向けられた「“この世界の人間は自分を殺すことを彼らに対して望んでいる”」という画面上のメッセージを見ても智史はピクリともせず、嬉しそうに微笑む。

そして兵士達が整列するようにして左右均等に別れる、一番奥の空間がそれに応えるようにして歪むとそこから強烈な光が程走る、智史を除いた皆の目が一瞬眩む、そしてそこから出てきたのは神々しい色に光り輝くオーラと鎧に全身を包んだ威厳のある銀色の髭を生やした老将のような風貌をした男ーーその男こそライトマサルだった、その姿はまさに『光将』の名に相応しい様だった。

 

「て、てめえか…、智史を引っ張り出そうとしていた黒幕は…。」

「そうだ、そして私はその黒幕の手先でしかない。」

「こ、これ以上お前達の好き勝手にさせるか…‼︎」

「ジェノス、よせ!」

ジェノスは智史の底知れぬ恐ろしさ、そして2人との間で起こる戦争がこの世界に破滅的な事態を齎すという事を何処かで理解していたのだろうか、それを食い止めようと満身創痍の状態でもライトマサルに突っ込んでいく。

 

ーーズゴォン!

 

「ぐはぁ!」

「ジェノス、大丈夫か!」

「お…、俺があの2人を止めなかったら、誰が、止めるというんですか…。先生、『ヒーローが逃げたら誰が戦うんだよ』って言ってましたよね…。」

ーーこの光景を見ていたら何だか心に突き刺さってくるものがある。このことを頭に刻み付けたままこの世界を滅ぼすのが少し辛くなってきてしまったな。何故だろうか?何故、親近感を覚えている状態でこの光景を見たら辛いと思えるようになっているのだろうか?やはり、心というものは分からないな…。

だがこいつらの為に今の世界を『破壊』せずにそのまま放置しておく事など言語道断。この世界の腐った社会といったゴミの山を大事に取っておくよりも徹底的に破壊し再構築した方がゴミも綺麗に無くなってマシかもしれないな。

 

智史はその様を見て僅かながらも過去を振り返る、必死にこの世界を守りたいという気持ちを目にしながら。

そしてそんな様に何か動かされるものがあったのか、後ろで待っていた琴乃達が智史の方へと歩いてきた。

 

「無理矢理にでも、丸ごと殲滅しようとか考えてるのか?」

「ああ、そうでもしなければこの状況は打破できないと私自身はそう考えている。」

「お前はとんでもなくクソ正直だな、自分で引き起こした事の責任は他人になすりつけようとせず、1人責任を負い、単独で戦い、解決しようとする。それはいい事だと思う。でもその解決策は他人によりマトモな解決策を相談し求めない自分なりのやり方であるが故に圧倒的な力と相まり壊滅的な被害を頻繁に齎していると私は考えるんだ、少なくともこれまでのお前の行動を見るにそれは悉く立証されてしまった。」

「何故、このことを口にする?私が単独でいつも戦ってばかりだからか、それともジェノス達に対する情があるからか?」

「わからないわ。でも今の智史くんはこのままだとみんな破壊する方向に走っている感じがする。智史くんは私達を心配して自分1人だけで戦っているって感じがある、でも同時に誰の介入も許すことなく自分1人で自分の望まない方向でも無理矢理解決してしまおうとする事がある感じがする。だからって安全な所に居てばっかで口だけで言ってばかりだと智史くんはやはり自分は1人だと考え傷ついて、心を閉ざしてしまうと考えた。」

「つまり何って言えばいいのかな、これ?」

「“一緒に付き添い、戦う事で智史くん本人だけでなく、サイタマ君達やこの世界を滅びから救う”って言えばいいのかな?少なくとも単独で判断するよりは心の余裕があると私は考えるわ。」

「要するに、私の心の余裕の無さを見抜いていたのか?」

「そうね、でもこんな危ない時でもないと智史くんは確実に傷つくと考えた。智史くんにはいつも危ない事から守ってもらってばかりだったし、『道』を創らせてもらってばかりだったから、そのお返しも兼ねて一緒に戦う。

私達智史くんより遥かに非力だし、サイタマ君がやられた事を考えるに、役立たずかもしれない、下手をしたら足手まといかもしれない。でもこうでもしなければ智史くんを止める事は叶わないと私は考えた。」

「役立たずでも、頑張ってやるよ。琴乃や私もお前が安全なところに居てばっかりの大衆に向かって言い放った言葉を聞いて過去の事を思い返してたんだ。確かにあいつらは馬鹿だ、自分の不完全さ、醜さを認めようとさえしない。ただ、サイタマやジェノス、アマイマスクとせっかく仲良くなれたというのに、そいつらを不幸にするだけでなく、お前自身も喜ばしくない結末にお前は突っ走ろうとしてしまっていると私は感じ、考えた。そんな結末に突き進むかどうかはお前次第だ、私にどうだこうだいうつもりはない。ただ、お前に少し思いとどまり、本当にそれはいい事なのか考えてほしくてな。」

「琴乃、ズイカク…。例え腐れきったゴミが山程残って居ても、か?」

「僕も色々見てきたけど、君が言ったような汚れきったゴミは沢山いる。だけど、その全てが変わらないとは限らないね、その可能性さえ跡形もなく潰すというのはちょっとってところはある。過去を見返さずに忘れ、また垢を勝手に出すようだったんなら跡形もなく滅ぼし、徹底的に蹂躙しても構わないけど、今はちょっと、この世界を滅ぼすのを思いとどまってくれないかな?少なくとも、あの2人のためにも。あの2人、君が前に言ってくれた『良いところ』を本当に見せてくれた。本当にいい奴だよ。」

「カザリ…、ふっ、要するに『この世界を破壊するのを今は少し思いとどまってくれ』という事か…。ふふふ、二度目は確実に無いにせよ、今は少し様子を見るとしよう。但しそれは目の前にいるライトマサルとやらが率いる連中とそれに扇動され、私達は敵だと本気で考えているヒーロー協会のメンバー全員を粉々に破壊してからだな。」

「そうね。あの人達に容赦し、同情する気は私も微塵も無い。智史くんの好きなように料理して構わないわ。」

「ふっ、ありがとう、琴乃。」

自分を心遣う諌言に智史はこの世界を滅ぼす事を少し思いとどまる事にした、しかしライトマサル達やその扇動された者達にも容赦するとは一言も言っていない。

 

ーーさあ、標的は減ったが、改めて凄惨たる蹂躙劇を開幕するとするか。

 

ーーパチン!

ーーゴゴゴゴゴゴゴゴ!

 

「な、何だあれは!」

「くそ、何なのだ、光を悉く飲み込み食らうようなこのドス黒い霧は…‼︎」

智史は嬉しそうに指を鳴らした、すると先ほどまでの神々しい輝きの雰囲気が一気に失せ、禍々しい雰囲気がこの場を支配する、そしてライトマサル達やヒーロー協会の職業ヒーロー達の周り全てをドス黒い霧が覆い隠す、その霧は彼らに纏わりつくと奈落へと引きずりこむようにして蠢く。彼らは必死にそれを振り払おうとしたものの、その霧はそんな抗いを嘲笑うかのようなそれ以上の圧倒的な力で強引に引き摺り込んでいく。

ライトマサル達もヒーロー達も皆同じ様だった、こんな状態だとライトマサル達は本当に『強い』のかという疑問が湧かなくもない。確かに彼らは強い、ただ単に智史がその『強さ』を見た目で感じさせないほどに、今も貪欲に、圧倒的に強くなり過ぎてしまっているからこうも『強い』という感じが感じられないのだ。

 

「な、何が起きたんだ⁉︎」

大衆は先程のライブ中継の雰囲気が一変し恐怖に満ちた叫喚がそこから流れてくること、そしてそれを裏付けるかのように地が揺れ、裂け、ひび割れて人々は底にあったマグマに焼却炉に放り込まれるゴミのように容赦なく吸い込まれる、火山が咆哮して火砕流が次々と人々を逃げる暇も与えずに焼き尽くしていく。

それと同じくして空が裂けて太陽の光が飲み込まれ、代わりに空を暗闇の雲と火山から吹き出た火山灰、そして強烈な嵐が支配していく、暴風と巨大な津波が逃げ惑う人類や彼らが作り上げた物達を悉く蹂躙する。天変地異がこの地球の至る所で事に戦慄し震え上がる、眠れる獅子ーーいや海龍(リヴァイアサン)を本当に呼び起こしてしまったという現実に。

 

「“ひいいいい!”」

「“ぎゃぁぁぁぁぁ!”」

「“助けてくれぇぇぇ!”」

「これって、ひょっとしてやっぱり納得できないからみんなを滅ぼしちゃうパターン?」

「いや、本分は守ってはいるが。ただ全部破壊には至らないようにせよ、示威行為として一応彼らに対する攻撃行動を行なっている。『お前達を自分の都合良く守るものはもう居ないのだぞ』という現実を大衆に皆平等に突きつけてやる為に」

「そうか…、でも、そうだからこそ、随分と威圧感があるね…。恐怖こそが王をより『王』たらしめると態度で示してる…。」

「それにしてもこのパターンって…、まさか、異世界ーーそれもお前が創り上げた『世界』へと連れ去ったというのか?」

「ああ。この世界を今全部ぶち壊す気にはなれんのはさっきので決まった。だからこそだ。さて、サイタマ、ジェノス。こいつ等の末路を見届けたいか?観たいならそのまま連れてってやろう。」

「お前…、テレビ番組に出てくるような正真正銘の悪の権化たる大魔王だな…。この世界そのものを破壊しないようにするという約束を守ってるにせよ、やっぱりやることがえげつねえ…。多分結末は今ので何となくわかるけど、取り敢えず観にいくかな…。ジェノス、行けるか?」

「は、はい…。」

そして智史は空間を歪めてワープホールを出現させ、自分が創り上げた世界ーー彼らを蹂躙し破壊するための空間へと案内していくーー

 

「う、うう…。」

「こ、ここは…‼︎」

「“ようやく分かったかな?ここはさっきまでいた世界とは異なる世界。そして私がお前達を嬲り、蹂躙する為だけに創り上げた世界だ。”」

「な、何だと…⁉︎」

「お、おのれ…‼︎だがこれ以上好き勝手にはさせん!ライトマサル様!」

「うむ、ここを破らねばベヒモス様だけでなく、より多くの世界が不幸を味わうであろう!こういう劣勢な状況こそ、ベヒモス様の臣下たる我々の真髄を見せ付ける時よ!そして人間達よ、ここにそなたらを封じているあの化け物ーーリヴァイアサンと争わなければ此処からは逃れられぬぞ!突撃ぃ!」

「“ふふふ、それでいい…。さあ、来るがいい!”」

そしてライトマサル達と職業ヒーロー達は智史に向かって突っ込んで来る、その光景を期待通りとして彼は嬉しそうに微笑む、智史の実力はどうかとして、ここを抜け出すには智史本人を倒すしかないのだと彼らは直感で考えた。

尤も、智史本人は比べることさえも馬鹿馬鹿しくなる程に強くなりすぎているのだが…。(しかも恐ろしい事に彼の目線はとっくにこの世界系のまとまりの外を向いてしまっている、それに対応し、そして圧倒してしまうほどの強化と進化を今も突き進めている…。)

サイタマとジェノスを一蹴したパワードスーツ着用の兵士達がまず真っ先に襲いかかってきた、智史はキングラウザーーー見た目も、質も、もはや仮面ライダーブレイドキングフォームよりもそれを遥かに上回る力を持ち、今も進化を続けているリヴァイアサンごと海神智史が持つに相応しい恐るべき魔剣と化していたーーを構えるとそれを軽々と振り回し紙障子でも引き裂くかのようにパワードスーツ諸共次々と両断してしまった、その装甲の硬さは素の状態でもサイタマの必殺技、マジシリーズーー下手をしたら地球が崩壊しかねないほどの威力であるーーを一点に集中したものを受けても擦り傷一つさえ付かないほどのものだというのに、だ。

さて、ライトマサルの兵士達はパワードスーツ以外にも戦車や空中騎といったものを所持していた、智史に彼らが異世界に連れ去られるそれも一緒にここに飲み込まれた、という事は彼らがこれを使ってきてもおかしくないという事だ、現に彼らはこれらを使ってきた。

それらの攻撃は先程のパワードスーツのものよりも遥かに強烈な威力であった、それが何十何百も叩き込まれる。それはもはや掠っただけで地球などたやすく吹き飛びかねない程のものであった、爆発の余波がヒーロー達を襲う、ヒーロー達は吹き飛ばされないように地に伏せて踏ん張るのが精一杯だった、しかし悲しいかな、耐え切れなかった者は木の葉のように吹き飛ばされて消えた。

だが、こんな攻撃を以ってしても当然のように智史を『壊す』には全く程遠く、彼は全ての攻撃を吸収して己の強化元に回していた、そして当然のようにケロリとし、嬉しそうに笑っていた、勿論彼の気配は衰えるどころか増大していた、自己強化・進化によるものも多少は絡んでいるのだが、これを見せつけられる側は絶望しか味わうしかなかった。

 

「…終わりかな?さて、こちらも気配りの礼を返すとしようか。今遣われた以上のモノを以って。」

智史はそう言い終えると双神儀(ライトニングリターンズFF13に出て来る至高神ブーニベルゼが使う双剣)を瞬時に生成した。

 

「はっ!」

 

ーーキン!

ーーコン!

ーーカン!

ーーコン!

ーーキン!

 

ーーズガァァァァン!

ーーグワァァァン!

 

「グワァァッ!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

そしてそれをブーメランのような投げ方で超高速で投擲するという連続攻撃をライトマサルの兵士達に対して行った、双神儀が投擲され、ブーメランのように戻って来る度に彼らは面白いように次々と吹っ飛ばされ、ある者は一撃で下半身が砕け散り、またある者は血飛沫も残さずに一瞬で消えていく、そしてその際に生じる強烈な衝撃波はその凄まじさを更に際立たせる。

 

「ふっ」

ーーズガァン!ズガァン!

 

そして追い討ちと言わんばかりに手元に集まった兵士達に対して双神儀を地に叩きつけて衝撃波を発生させ、彼らを更に破砕させ吹っ飛ばした、骨も肉も一つも残さない程に。

 

「く、何て奴…‼︎こちらが煽りで吹き飛ばされてしまうほどの攻撃を受けてもケロリとしている挙句にそれ以上のものを繰り出すなんて!だけど私の攻撃が通用しないとまだ決まったわけではないわ!S級の意地、とくと味わいなさい!」

 

ーーズゴォォォォ!

 

タツマキはその光景を見ていてもS級のプライドなのだろうか、闘志を燃やして智史に対して暴風を発生させた、それは彼女の持てる全てを注ぎ込んだこれまでにない一撃だった、それは先程の攻撃の余波にも劣らぬものだった。

 

「ふんっ!」

 

ーーズグァァァァァァン!

だが智史はそれ以上の追い風を以ってこれをあっさりと払った、タツマキはこれを見越していたかのようにこの攻撃を辛うじて受け流す、しかし受け流すのが精一杯だった。まあ智史は一発で粉微塵にしてはつまらんと言わんばかりに彼女を生かさず殺さずという感じでかなり手加減していたのだが…。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

そしてタツマキは彼の元へと接近し組みつき、その体、いやせめて片腕でもと言わんばかりに渾身の一撃で千切らんとする、普段なら超能力ばかりで殆ど使う事の無い自分の体まで使っているという所にタツマキの凄まじい執念が伺えた。

だがそのメインとなる超能力のねじ切りのエネルギーは残念なことに彼の体をねじ切る前に分解されて吸収されていた、しかしそんな現実を突きつけられてもタツマキは受け入れようとはしない。

 

「ち、千切れなさいよ、うぁぁぁぁぁぁぁ!」

「ほう、体を、命を使ってでも我が肉体が欲しいようだな。凄まじい執念だ、S級ヒーローの称号に相応しい。」

「う、煩い!あと一捻りであんたの腕は砕け散る!いやぁぁぁぁぁ!」

「しかし残念かな、お前の執念に満ちた一撃は我が肉体をくれてやる程には全く値しない…、何故なら私は強さを求め過ぎてもうとっくにお前が倒せる域を通り越して強くなりすぎてしまっているが故に。ふんっ!」

 

ーードガァァァン!

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!」

そして智史は軽く重力子エネルギーの指向性体内放射で彼女を跡形もなく消し飛ばした、今度は超能力を使っても全く防ぎきれないほどのエネルギー量だった、たとえ彼女が完全な状態だったとしても同じ結末に終わってしまうほどの。

 

「そ、そんな…‼︎」

「つ、強すぎる…‼︎ヤツは、バケモノか…‼︎」

当然の事ながら智史は戦闘に支障は無く、ピンピンしていた、対してタツマキが一瞬で消しとばされる光景を見たヒーロー達は戦慄した。

 

「随分と震えているようだな、だがこれだけでは全く足りないだろう?なあに、こちらは次々と鋼鉄の暴力を叩き込みたくて体が疼いて仕方がないから大歓迎だ。ライトマサルのお仲間達も一緒にしてやるぞ。はぁっ!」

 

ーーズン!

ーーズゴォォォォン!

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

そして追い討ちとばかりに今度は拳圧だけで地面を捲り上げ強烈な地殻津波を巻き起こす、捲り上げられた地盤が溶け、無数巨大な隕石と化して岩石蒸気と共に彼らに襲いかかった、逃れようにもこれは天変地異、いやそんな言葉でも生ぬるいレベルのスケールで襲いかかってくるのだ、ましてやこれは彼らを軽く殲滅できる威力なのだ、防ごうにも防ぎようもない。

彼らはあっという間に岩石蒸気に飲み込まれたり、隕石に吹っ飛ばされるなどして消滅してしまった、そしてそれが終わった後には敵はライトマサルとこの世界に強引に引き摺り込むも一度顔を合わせていた事もあり全く殺す気が湧かなかったので見逃されていたイアイマン、黄金ボールとパネヒゲを除いて跡形もなく消滅してしまっていた。まあこれも生かさず殺さずで加減が入っていたのだが…。

いずれにせよ、これは恒例というべきか、もはや戦闘の形を成さない一方的な虐殺劇だった。

 

 

「い、一方的過ぎる…‼︎」

「そして、何が起きてるのでしょうか…?巨大な炎の津波に飲み込まれたと思ったら次の瞬間には別の場所に転移させられていたり…。」

「この私を本領で押し返すことも許さずにここまで追い詰めるとは…。流石よなリヴァイアサン…‼︎」

「あ、あいつら生きてるのか。やっぱあいつらのこと、覚えていたのか。おい、智史、あいつらの為にもそろそろ真相バラした方がいいんじゃないのか?」

「ああそうだな、だいぶ追い込んだし、真相を教えてやるとするか。」

「な、何を言っている…⁉︎」

「まさか…!」

「お前達は大衆共と共にライトマサル達に踊らされていたのだよ…。『私を滅ぼすように』とな…。今からそれが事実であることを伝えてやる…。」

智史はそう言うとライトマサル達が裏工作をしている所を見事に収めた映像をデータサークル上に表示した、ライトマサルはそれに見覚えがあるのか、驚きもせずにこれを見つめる。

 

「ヤツを攻撃するように声明を出したアマイマスクは…、お前の…、手先だったのか…⁉︎」

「そしてヒーロー協会の重役達にもあなたの魔手が及んでいたとは…。まさか、あなたは私達を欺いていたというのですか…?」

「だとしたら、我々は何の為に戦っていたのだ…?」

「結果論で言えば自分達の世界を私に滅させる為に戦ったと言った方が相応しいかもしれないな、そうだろう、ライトマサル?

まあ連れが滅ぼすなとかで少し煩いから流石にこの世界を丸ごと滅ぼすのは控えたがそれでも示威行為も込めてかなり滅ぼしているぞ?」

智史はそう言う、そしてその映像は現実世界でも彼が引き起こした災害を免れた一部のメディアを通じて放映された、ライトマサル達がメディアやヒーロー協会を使ってまで彼を極悪犯罪人として仕立て上げたのを見た大衆達は衝撃を受ける、そしてこう考えた、そう、彼の思惑通りのことを。

 

「ライトマサルとその一味とやらがあいつを災害を引き起こす悪魔としてヒーロー協会を調略して仕立て上げ、自分達は何も考えもせずにそれを鵜呑みにしてしまったからあいつは本当に悪魔となって巨大災害を次々と引き起こし、皆に恐怖と破滅を撒き散らしたんだ。」

 

と。

彼の引き起こした災害から辛くも生き延びた全ての人間がそう考えたとは言えないが、それでも大多数の人間はそうだと考えた、これを見てそう考えない方がおかしいぐらいの極限の状況下に彼は大衆を追い込んだのだから。

 

「ふ、ふはははははは…‼︎見事な算段よ…‼︎まさか、欺瞞を全て見破りここまで計算していたとは…‼︎そしてその顔、ベヒモス様がこれからされようとしていることを知っているな…‼︎今も、これからも知っているかのようだ…‼︎

だがリヴァイアサン、お前とベヒモス様との戦いの結末を己が手で見られないようにしてしまうのが残念だ…‼︎ベヒモス様、私の身勝手による不忠をお許し下され…‼︎てやぁっ!」

ライトマサルは自分の策を見破り簡単に返り討ちにした智史に敬意を表す、そして渾身を込めて長剣を構えて智史に向けて突っ込む、智史はキングラウザーを構えると自分にに向けて突っ込んでくるライトマサル本人をその長剣もろとも真っ二つにしようとする。

そして両者の剣がぶつかる、次の瞬間目も絡む閃光がライトマサルの剣から生じられる。

 

「(甘いわ、リヴァイアサン‼︎)」

「(“ーー貴様がな。”)」

 

ーーシュッ!

ーーバシュゥゥゥゥ!

 

「わ…、我が肉体にこの一撃を避けて斬りつけたことをこの目に一時も悟らせず、理解もさせずに深い傷を付けるとは…。そしてこの余裕…、これほどまでにお前は強いのだな…。完敗だ、リヴァイアサン…、お前には一矢も報えず手も足も出なかった…。

だがリヴァイアサンよ、これは終わりではない…‼︎お前とベヒモス様、いや至高神様との戦いの始まりなのだ…!」

一瞬でライトマサルの身体には幅広く大きいクロス状の傷が刻み込まれていた、そこから体液がドクドクと吹き出す。

その傷を刻み付けられた彼は口からも体液を吐き出し息も絶え絶えだった、その様子から見るにかなり深くーー恐らく内臓にまで斬撃は達していたーー斬り刻まれたようだ、もう長くないのがそこから伺えた。

しかしそんな状態でも彼は命を振り絞るようにして智史と話をする、そしてーー

 

「ふふふ、そして、お前が…、最も欲しているものは、我が命だろう…?だが、たとえ戦に破れても、お前には我が命だけは渡さぬ…‼︎たとえ介錯としてもだ…‼︎さらば、リヴァイアサン…!」

 

…ザクッ!

…キラキラキラキラ…。

 

「(ライトマサル…、敵ながら見事。私に破れても己の意地を曲げず、最期まで守り通したか…。お前達は確かに強かった、少なくともサイタマを始めとしたこの世界系の住人達よりは。そしてそのお前達の本領の発揮を許さぬ程に私が強すぎる力を軽々と振るってしまった事は、謝っておこう…。たとえそれが何回もあろうともな…。)」

智史はそう心の中で呟き終えると、サイタマやパネヒゲ達の方を見つめる。

 

「わ、私達の世界はどうなったのですか…?」

「すまんな、示威行為をしなければならないと考えてしまったが故に完全に破壊しなかったとはいえどかなり破壊している。」

「示威行為とはいっても、映像を見るからに、やり過ぎだぞ…。まるでこの世の終わりみたいじゃないですか…。」

「過ぎたるは及ばざるが如し、か…。確かにお前達の価値観でみれば私は少々度を逸したかもしれないな。まあこの程度が私自身の価値観でみれば適度だと考えたのだが。」

「価値観のスケールが、違い過ぎだろ…。正真正銘の化け物か、お前は…。」

「非礼は詫びよう、頑張れば生きていけるぐらいには環境を『改造』するか。だがその後は自分で頑張るんだな。色々と壊した分、変え甲斐、作り甲斐、鍛え甲斐も沢山あろう?まあこれは私なりの考えでやっているのだが有難いと捉えなくても別にいい、だが支援のし過ぎであっという間に腐った社会に戻るのは如何なものかと考えたのでな。

まあいずれ腐るかもしれん、だからいつまで腐らないのかを数えるのが楽しみだ。さあ、元の世界に帰るとしようか。」

智史は指を鳴らすとサイタマ達を現実世界へと連れ戻していくーー

 

「うわ、本当だ、みんな無茶苦茶になってる…。アパート、跡形も無いんですけど…。」

「空も真っ黒、火山灰のようなものも降ってますね…。」

「当然このままでは満足には生きられんだろう、だからこれから元に近いように『改造』するのではないか。」

智史はそう言うと手を空にかざす、すると上空に巨大な無数の青のデータサークルが生じ、同時に巨大な次元の穴が開く、そこに雲や火山灰が吸い込まれていく、あっという間に空に青の色が戻っていった。

 

「次。」

そして今度は巨大な重機が無数現れ、荒廃した土地を掘り返し、整地していく。それだけではない、橋の形をした用水路のようなものや穀物を入れる倉庫、畑、家まで作られていった。

 

「す、すげえ…。でも畑仕事って…、どうやればいいんだ?」

「どれどれ、検索してみます…。…駄目だ、インターネットの殆どがやられてる…。」

「そうだろうな。だからマニュアルを残すとしようか。」

「…え、そこまでやらなくても…。」

「衣食住をきちんと確保しなければこの先やって行くことは困難だからな、不足していたら遠慮なくやるまでだ。」

あまりのスケールにサイタマ達は多少困惑していた、最も智史の一部の発想が欠けた破壊のせいで環境を変えられたことが困惑の主な原因となっていたが…。

 

「あ、テレビに出てたあいつだ…‼︎」

「こ、殺しに来るのか…⁉︎」

そこに生き残った民衆の2人が智史の姿を目に捉える、2人は智史がやった事、そして智史に対して起きた事を事実と信じているのか、恐怖の眼差しで智史を見つめる。

 

「ま、待て…‼︎」

「あ、アマイマスクだ…‼︎」

「出が遅いぞ、まあ元を言えば私がそうなる原因を作ってしまったのだから仕方あるまいな。」

「そうだな…、落ち着いてくれ、彼に攻撃の意思はない!」

「だ、だけど、ライトマサルとやらが作ったものと同じように、こいつも偽物かもしれない…‼︎」

「そうか?仮にそうだったらこうやって自信満々に本人であるとみなして話すことなど出来もしないのだが。そもそもお前達はこの目の前にいる『アマイマスク』が本物の『アマイマスク』なのかどうかという目を持たない、いや持とうとしないのか?先ほどの私の放送で認識しているようだが、自分で見て感じて得た経験だけで判断することが正しいと勝手に考えているのか?」

「う…。」

 

ーー私もそうかもしれんが、だからといってこのままの状態なのも宜しくない。

 

智史はその生き残った大衆にそう問いかける、大衆は思い当たる急所を突かれてしまったのか、沈黙してしまった。

 

「信じる信じないは別だ、だが何もせず、弱みを認めようとせず、変わろうとしないのは愚の極みだという事は覚えておけ。すまんな、サイタマ、ジェノス。私の気まぐれでこんな散々な結末で終わってしまって。」

「い、いや…、ただ色々とお前が滅茶苦茶過ぎてお前に街も、家も破壊された怒りも湧きもしない…。」

「この様子を見るにどう見てもやり過ぎだぞ…。お前が改変を加える前の環境よりも変わり様が凄すぎる…。しかも結局お前1人で事態が解決するって…。」

「そうね、結局私達は目に見える形で智史くんを助けられなかった。でも気持ちは受け取ってくれた。今はそれでいい。それにしてもまるで中世に出てくるファンタジーの世界みたい。心は落ち着く。」

「まあこの世界系もろともみんな滅ぶという結末よりは希望はある程度は残ってるからマシか…。」

「そうだな。さて、お別れだ。こんな様にし、派手に作り変えてしまった私を憎んでもいい、だが後の世界は自分達の手のみで作ってくれ。」

そして智史はワープホールを開く、彼らはリヴァイアサンへと帰還する、サイタマ達も含めたこの世界の生き残った住民達がこの後どんな世界を作るかは分からない、だが智史が引き起こした一連の行動に関する事実を知ってからは少しは自分の愚かさに気がついたのか、智史に破壊される『前』の環境には戻る気は今は無いようだ。

そう、今だけは。

何れは智史が忌み嫌い、半ば壊滅的なまでに壊した前の世界に戻ってしまうかもしれない、ただそれが『前』に戻る確率は下がった事は現時点でとはいえど下がった事は確かだったーー

 

さて、ワンパンマンの世界系の外で投錨して待機していたリヴァイアサンの方ではというと…。

 

「(さて、ワンパンマンの世界系を訪問し己が力を誇示した、これで私が優位性を誇示する為に行くと決めていた世界は全て制した。後は好き勝手にやるとしよう、ベヒモス達のこと、その外のことも気にかけながら、な。

まずは艦隊これくしょんの世界に行くか、とはいっても単に暴れるだけでは詰まらんなあ…。くくく、鋼鉄の咆哮の世界系でナマモノとやらを大量に捕獲してそいつらを魔改造した上でそっちの世界にまとめて放り込んでやろう、艦娘も、深海棲艦も、皆等しく根絶やしにするようにプログラミングした上で。

ふっ、この艦の、いや今の私のモデルとなった本家なだけあってたった1人艦体使わずに突っ込んでいくわけにはいくまい。本家に敬意を表し艦体も使って一つ残らず蹂躙してやる。それにアンチスパイラルとの戦い以来艦体の武装は火を吹いておらずに久しいからな。ふふふ、今からが楽しくて仕方ない…。)」

リヴァイアサンに帰ってきた智史はまるで自分を縛っていた『何か』から解放されたかのように微笑み妄想する、そしてリヴァイアサンはただ一隻待たされっぱなしだった憂鬱を晴らす機会が訪れた事に歓喜の声を上げるかのように機関を咆哮させて鋼鉄の咆哮の世界系へと突き進んで行く。

 

「今度は、どこ行くんだ?」

「鋼鉄の咆哮の世界だよ。あそこはおふざけ炸裂ではあるものの強大な猛者、もとい艨艟がゴロゴロと海原を跋扈している世界だ。」

「だけど、ニヤニヤが深いな…。何か別の事も同時になりたいのか?」

「ふふふ、それはお楽しみだ…。お前もだいぶ熟知してるかもしれないが、見た目に惑わされたらまずいものが転がっているぞ…。」

「それはそれでいいんだけど、一つの世界で終わる感じがしないと私は感じる。何か面白いことでも?」

「予感は大当たり。ただ中身は少し内緒だ。まあ行けばわかる、知らない方が楽しい事もあるだろう?悪いようにはしない。」

智史はそう言い終える、そして『本家』とそれを基に生み出された本家瓜二つの姿をした『モノ』同士の出会いが近づいていた。

 

ーーさて、ナマモノの大群を掻っ攫う際に本家海龍を摩天楼や取り巻きの邪魔な艦艇諸共一方的にぶちのめし真っ二つにする気分をどう表現しようか…。本家のスペックを遥かに凌駕し、今も過去の己を、外の敵を超え続けているとはしても、何とも言えない複雑な何かが転がっている予感がするな、それは快感なのか、或いは懺悔なのか…?

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。