海龍のアルペジオ ーArpeggio of LEVIATHANー   作:satos389a

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前作の続きです。
前作では一部だけだったナマモノとアイテムの略奪の動きが本格化します。
特に智史は新型寝返り電波砲が欲しかったみたいです、何か目論んでいる模様で…。
そして彼は世界を横断し別の鋼鉄の世界でも略奪劇と観察をやりたいようです。
それでは今作もお楽しみください。


第51話 鋼鉄の世界巡り その1

「…ぜ、全滅だと⁉︎バミューダ沖で枢軸・連合軍の主力艦隊と交戦していた我が軍の主力艦隊が⁉︎」

「は、はい…、当初この報告が入って来た時は我が目を疑ったのですが、何度問い返しても同じ答えしか返って来ませんでした…。」

「馬鹿な⁉︎あそこには究極超兵器が二隻とナマモノ艦隊がいたはず!向こうの究極超兵器と互角に撃ちあえる陣容を有した艦隊だ、それがそう容易くやられる筈がない…‼︎」

「そ、それが、向こうの艦隊も反応が確認できません…、恐らくは一隻残らず壊滅した模様…。代わりにいたのは我が軍の究極超兵器リヴァイアサン級と瓜二つの姿をした巨艦の姿でした…。」

新独立国家の艦隊司令部ではバミューダ沖で勃発した海戦の内容に驚愕し、戦慄していた、何せ自分達から見たら普通では起こり得ない事態が突如として勃発したのだから。

そして霧の究極超兵器リヴァイアサン=海神智史の艦影を捉えた写真が回された、皆はそれを見て唖然とする。

 

「そしてリヴァイアサンと瓜二つの姿をした例の巨艦は推定速度300ktという信じられないスピードで航行しています。」

「さ、300kt⁉︎敵ヴィルベルヴィント級巡洋戦艦よりも速いとは⁉︎」

「馬鹿な、これは兵器の常識を超えているぞ⁉︎」

「それで、ヤツの行き先は…?」

「は、それが閣下ご愛用の「ネコちゃん」達が枢軸・連合の艦隊に軟禁されている海域です…。」

「な、何ぃぃぃ…⁉︎」

新独立国家の海軍総司令の耳に智史達が自分のペットが軟禁されている場所に向かっているという報告が入った途端、彼の様相が変わった、焦燥が彼の顔を急激に変えていく。

 

「ならぬ!何としてもヤツがこの海域に到達する前にミーちゃん達を奪還しろぉぉぉぉ‼︎」

「は、はいいいいい!」

そして半分滅茶苦茶というべき命令が飛び出す、無理だとわかっていても、軍人たる彼らにしてみれば命令は命令だ、もしそれに従わなかったら最悪首が飛び、反逆罪として処罰されかねない。

かくして泣く泣く彼らの特殊部隊ーー艦隊だと悉く壊滅させられる可能性がある上に船を動かすにも到着するには時間がかかる場所であった為ーーは半ば無理であることを理解しつつリヴァイアサン=智史が向かっている場所へと急遽向かうことになったのであったーー

 

L-02に該当する海域ーー

 

「ここは?なんか迷路みたいに入り組んでるねぇ…。」

「って、なんか色々と変わった建物が建っているぞ?」

「歴史的建築物かしら…、これまで写真でしか見たことがなかったピラミッドにモアイ像やスフィンクスまで…。って何かビームみたいなもの撃ってきた。」

「これらに偽装した砲台だろう、随分と面白い見た目だな。まあいい、撃ってきたなら陸地諸共根こそぎ吹き飛ばしてやる。」

外見が世界遺産に登録されている建築物に似たレーザー・プラズマ砲台が侵入者たるリヴァイアサンごと海神智史に対し一斉に火を吹いた、それらは高レベルの電磁防壁を装備していなければ大型戦艦すら一発で沈める代物ばかりだった。

しかし悲しいかな、それは同じ世界の者達にしか通用しない。このリヴァイアサンは電磁防壁どころかそれさえも不要にし寧ろ上回ってしまう“能力”を骨の髄まで体に染み付け、しかもこれまでも、今もその“能力”を大から小まであらゆる面で強大に進化させ続けている化け物だ、撃ち込まれたレーザーやプラズマはその外皮を傷つけるばかりか悉く吸収され新たな力へと変えられてしまう。

そしてお返しとばかりに鋼鉄の暴風雨の如きAGSの霰が撃ち込まれた、それは砲台の群れを片端から根こそぎ抉り飛ばし、海水を消しとばし、その後に巨大なクレーターを無数刻み込んでいく。

 

「うわ、根こそぎだ…。せっかくの迷路が…。」

「なんかこちらに突っ込んでくる…。あれは何だろう?ひょっとしてこの前のやつの関連かなぁ?」

「あ、ホントだ。私が見たアラハバキ級とは違うけどこいつもドリルとソーを装備してる。」

見ると見た目は違えど名前と艦種は同じドリル戦艦であるアラハバキが現れた、目の前にいる未知の巨艦を沈めねば逃げられないと判断したのだろうか、窮鼠猫を噛むという感じで目潰しと言わんばかりに智史達がいる艦橋に対して兵装を撃ちまくりながら真っ直ぐに突っ込んできた。

直ぐに重力子X線レーザーが撃ち返され、高レベルの電磁防壁を貫き、上部構造物を一撃で跡形もなく消しとばし更地へと変えた、するとーー

 

「か、勝手に転覆したぁ⁉︎しかも艦底に何か兵装みたいの付いてる…。」

「リバーシブル戦艦か。しかも艦底らしく艦橋が潜水艦のものそのまんま…。ドリルも相まってこれまたロマンがあるな、これは。

だが、これを見る為だけに私はここに来たのではない。ナマモノの捕獲を邪魔するのか、ならば遠慮なく消えてもらおう。」

「捕獲、というか拉致だけど…。あと先ので嫌という程智史くんの圧倒的な力を理解させられたから邪魔するどころか生き延びるので必死な感じがする…。」

 

ーーキュォォン!

 

ーーズグワァァァン!

 

「邪魔者も一刀両断にしたし、次行こうか。」

そしてリヴァイアサンはナマモノ達がいる部屋へと突っ込んでいく、シャドウホークやV-22オスプレイ、CH-53Eスーパースタリオンの群れを生成して飛び立たせながら。それに伴い新たな惨劇もまた勃発する。

 

「あ、なんか変な連中が入ってきたよ?クチバシでつっついたれ、って、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

「やめろ〜‼︎どこへ連れて行く気だ〜‼︎」

「さっきのは嘘です!許して下さいぃぃぃぃ〜‼︎」

 

「侵入者だ!!全らっこ艦隊出撃 わが水族館に侵入した謎の敵艦を殲滅せよーー」

 

ーーキュォォン!

 

ーードゴォォォン!

 

「こ、降参です…。助けて下さい…。」

「嫌だな。宣戦布告をこちらから仕掛けておいて、劣勢になったらもう命乞いか?こちらの好きなようにじっくりと弄ってやろう。」

「ひぃい〜‼︎」

「おおう…、サディストの本領が発揮されていますねぇ…。」

哀れ、アヒルやらっこ達は種別問わず問答無用で次々とその場で生け捕りにされていく、白旗を上げても容赦無く。

逃げようとしてもシャドウホークやヘリの群れが直ぐに退路を塞ぎ、無数の引網を放って海底も掻っ攫ってまで悉く一網打尽にし、次々と見せ物にしていった。

そして彼らは訳の分からぬ見知らぬ場所ーー異次元に待機していたナマモノ輸送艦の中へとワープホールを通じて見せ物にでもされるかのように囚われの網の中から放り込まれていくのであった。

 

「あれは…、ムスペルヘイムか?それにしてみれば随分と小さいなあ…。」

「元いた世界の方にいた奴がデカすぎただけだ、それでもお前よりは大きい。一撃でお陀仏だ。」

その言葉と同時に、リヴァイアサンの大型ミサイルVLSの一つに特殊弾頭ミサイルが装填される。

 

「お駄賃だ。ほれ、貰ってけ。」

 

ーーシャァァァァァ!

 

ーーピカッ!

ーードゴォォォン!

そして彼の言葉とともに放たれた特殊弾頭ミサイルはムスペルヘイムの防御重力場と装甲を豆腐でも刺し貫くようにあっさりと貫通し、ムスペルヘイムの胎内に深々と食い込み、そこで炸裂した。

 

「また巨大なキノコ雲が…、今回も派手だねぇ…。」

「地形がぐちゃぐちゃだね…。地図を作る人達はまた書き直さなきゃならなくなるから堪ったもんじゃないかも…。」

一瞬でムスペルヘイムは閃光とともに跡形もなく消滅する、そしてその際にムスペルヘイムの胎内を食い破って解き放たれた爆炎が海を、いや海底も、その周囲の島々を一瞬で蒸発させた。

 

「あ、何か水路みたいなものがある。」

「だったら地形を無理やり食い千切ってでも突っ込もうか。」

 

「にゃー」

「さーて、ここでもナマモノみ〜っけ。」

「ね、猫ぉお⁉︎それも段ボール箱に入ってるぞ⁉︎」

「こいつもひっ捕らえて魔改造魔改造っと♫」

「き、鬼畜すぎる…。」

「あとこいつらには主人が居たからな、そいつにお前のお気に入りのネコ共を生け捕りにしたという事実を伝えてやる。」

そしてペットだろうが何だろうが、ネコもお構いなく連れ去られる、苦痛と恐怖に満ちた悲鳴をあげながら。智史はそれを嬉しそうに聞きながら映像を収め、新独立国家の海軍総司令部の回線をハイジャックするや否や、海軍総司令に対し、会話を試みるのであった。

 

ーーバァァァァ!

 

「き、貴様何者だ⁉︎」

「我が名は海神智史。お前達が未知の超巨大戦艦とやらと騒いでいる『存在』を代表する者だよ。」

「な、何いっ⁉︎」

「お前にはお気に入りのペットが居たようだが、これのことかな?」

彼はそう言うと猫がヘリ複数により強引に連れ去られる映像を見せるのであった。

 

「“みー!みー!”」

「どうだ、最前線にいるお前の雑兵共が味わっている恐怖を直接体感できない場所で、お前の好きなペットが酷い目に遭っているのを指を咥えて見る気分は。」

「ぎ、ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!ゎ、わたしのみーちゃんがあぁぁぁぁ~~~。」

「こいつらを己が好きな風に利用したくなってな、だからだ。」

「や、やめろぉぉぉぉ!みーちゃん達を返してくれぇぇ〜〜〜〜‼︎」

「嫌だな。お前が金をいくら積んでもこっちは応じる気など微塵もない。何故ならお前やそれに関するものには微塵も興味がないゆえに。以上だ。」

 

「“ミニャッ‼︎”」

 

ーープッツ!

ーープーッ、プーッ、プーッ…。

 

さ、次行こうか。

 

「ね、ネコ泥棒め…。特殊部隊は何をしていたんだ…‼︎」

なんとか特殊部隊はネコ達が軟禁されている場所に到着した、しかし一歩遅く、そこにはとっくに彼がいた。

彼に睨まれた瞬間、『隙あらばやってみろ、直ぐに返り討ちにしてやる』と言わんばかりの凄まじい殺意の眼差しの前に一瞬で沈黙してしまった、そして次の瞬間には無意識にも、哀れ、本能的恐怖のあまりに腰が砕けヘナヘナと座り込み、中には失禁、脱糞してしまうという醜態を晒す者まで続出してしまった。

彼らを擁護するのならば、彼らは決して弱兵では無かったということだ、むしろ彼らは一般の兵士がこなしている唯でさえ厳しい訓練を上回る厳しさの訓練を日々積んできた猛者達なのだ。

 

「“そ、総司令…、聞こえますか…?”」

「貴様ら、何をしていたんだ⁉︎」

「は、はっ、奴に睨まれた途端、身の毛がよだち芯から震え上がらせるような恐怖が身に走りまして…。恐らく我々がここに来る事を知っていたような表情でした…。

そして、申し上げたい事があります…。」

「それはなんだ⁉︎さっさと言え!」

「“わ、我々が奴に睨みつけられる前にも奴は何故か枢軸・連合側のナマモノを連れ去っていました、閣下のネコちゃん達も一応ナマモノである事を考えると…。”」

「ま、まさか…、ヤツの目的は、ナマモノか…?」

「“そ、そうかと思われます…。恐らく他の海域のナマモノも奴は一匹残らず掻っ攫うつもりでしょう…。”」

「な、何ぃぃぃぃ…⁉︎ならぬぞ、ナマモノがいなくなったら、いなくなったらぁぁ…。」

総司令はナマモノがこの世界から居なくなることを恐れているようだ、何故なのかはわからない、恐らくはこの世界は農水産業が戦争の影響で色々と荒廃して盛んではないことによる食糧難を恐れたのかもしれない、そしてひょっとしたらナマモノがいなくなることによって戦場のカオスさが消えてしまうのを恐れたのかもしれない。

だがリヴァイアサン=智史はそんな事など意にも介さず次の海域へとさっさと向かっていた。

 

 

ーーエリアL-04に該当する海域に向かっている途中ーー

 

「あ、ナマモノ工場発見。ナマモノは連行だ〜〜‼︎」

 

「な、ナマモノ泥棒が来たぞ〜〜‼︎」

「くそ、何で強さだ、波動砲台の攻撃を一切寄せ付けないなんて!」

「レールガンも重力砲もまるで効いてない!こうなったら一匹でもナマモノを逃すんだ!」

「間に合うか‼︎一匹でも逃す暇があったらナマモノを置いてでもとっとと逃げた方がマシだーー」

 

ーーガガガガガガァン!

ーーボガァァァァン!

 

「グワー、グワー‼︎」

「さ、ナマモノ連行連行♬人間もナマモノも一匹残らず根絶やしだ♬」

「い、いつもよりテンションが鰻登りになってる…。お前まさか本気で一匹残らず狩り尽くす気か?」

「そうだ。一つ残らず狩り尽くさねば気がすまん。」

「て、徹底的だね…。」

 

そして、またある別の海域では…。

 

「輸送船団みーっけ。中身は何が入っているのかな?新型寝返り電波砲の実物が一番欲しかったし、そいつはナマモノ狩りの際に偶々いた赤い輸送艦から入手できたから満足なんだけど、この世界にはリヴァイアサンには備え付けられてないレア物が色々とあれこれあるな、よし、コレクションも兼ねて片っ端からぶっ潰して中身を奪うとしよう。」

 

ーーリヴァイアサン=海神智史に襲われる輸送船団側からの視点

 

「に、逃げろ〜〜‼︎海賊が来たぞ〜〜‼︎」

「護送船団め、我らを置いて逃げる気か⁉︎」

「何考えてんだお前ら!お前らがいなくなったら誰が俺たちを守るんだよ⁉︎」

「知るか‼︎南極の奴らの方がまだマシだぜ!今はそれどころじゃねえ!」

「な、ナマモノ泥棒め、ナマモノだけでは飽き足りずに我が軍が丹念込めて作った兵器を、全部、横取りする気かぁぁぁ〜〜‼︎」

ナマモノ泥棒、海賊と色々と騒ぎ、狂乱する輸送船団の者達。しかしそう喚いた所でリヴァイアサン(海神智史)が目の前から消えて無くなるわけではない。もしそれが成り立つのならばこの世界で起きている惨劇は一つも起きていないだろう。

 

「よぉ〜〜し、航空機や武装でぶっ潰すのは少しつまらんから、ラムアタックで破壊してやんの!」

智史の欲望に応えるようにしてリヴァイアサンは増速する、目の前にいる無数の哀れな生贄を一つ残らず食い尽くさんと言わんばかりに。

 

「敵艦、急接近!激突します!」

「ラムアタックか⁉︎」

「速すぎる、こんなの避けきれるかぁぁぁ!」

「うっ、うわぁぁぁぁぁぁー‼︎」

「ぎゃぁぁぁぁ〜〜〜〜‼︎」

 

ーースガシャッ!

ーーグシャッ!

ーーバガァァン!

ーードゴォォォン!

 

こうして智史の行くところあちこちで阿鼻叫喚が無数轟く、ナマモノを一匹残らず拉致し、ナマモノを作るものも悉く根絶やしにし、そればかりではなくアイテムも何もかも奪い尽くさんと言わんばかりにと言わんばかりに智史が確実に万人が引くか逃げるか泣き出すであろうドス黒い満面の笑顔を浮かべ我が物顔で思う存分暴れまわっている為だ。

巻き込まれる側は悲惨なものだった、突如として自分達を根こそぎ絶やす様な災厄が問答無用で襲いかかってくるのだから。

だがそれは張本人たる智史にしてみればそんな悲惨なことなど大した事ではない、むしろそんなことを起こしまくる事で自分の欲望が満たされるのならば大歓迎だった。

 

「あ、アムステルダムだ。あれは枢軸・連合軍を構成してる敵国の大都市の一つなんだよな。貨物船もたくさんいる。宜しい、ならば跡形もなく殲滅して略奪だ。そして根絶やしだ!」

 

ーーババババババババ!

ーーバゴォォォォン!

 

かくして、リヴァイアサンごと海神智史は巡業という名の下に次々とナマモノを捕獲ーーというか拉致であるーーし、アイテムも次々と収奪していく、その際に彼が通って行った場所は次々と業火が燃え広がる煉獄へと化していった。

 

「“ふん……、のこのこと我々のホームタウンへと入って来たか…。だがここは同時に我々の射程圏内だ!全て射程圏内だ!貴様などただのマトに過ぎんわ!”」

「射程圏内か。笑わせてくれるな。まあいい、貴様らが使う鋼鉄の神馬、そのまま貴様らの墓標にしてくれよう。」

「“な、何をーー”」

 

ーーキュォォン!

ーーバゴォォォン!

 

当然敵は激しく抵抗した、ナマモノやアイテムをそう易々と引き渡さまいとその場にあった超兵器やあらゆるものまで投入した、しかし無情かな、力の差は歴然としていた、これを指し示すかの様にこれらは悉く弾かれ、吸収されて消えた。

彼を完全に滅ぼすにはビックバンの10の何京乗倍のエネルギー、いやそれでさえ足りないほどのエネルギーが必要だったのだから、そんなものなど持ってない彼らには対抗する術は無きに等しく、滅ぼされるのはある意味必然だったのかもしれない。

 

「“おのれ…、あちこちで好き放題やりやがって…。ジュラブリはっしん‼︎”」

「ひみつ工場をぶっ壊し、アイテムを奪い、雑魚の超兵器共を一発で魚礁にし、ナマモノを新たに捕獲する間にヘキサゴンをぶっ壊したらやはり出てきたか、ジュラブリよ。」

「お前が創り出した奴と比べると数も少ないし小さすぎる…。まあお前が単に桁違いに強過ぎているだけだからな…。」

「そうかもしれないな、まあもっと強くなればますます好き放題やりたい放題だからそれはそれでいいんだが。」

「そしてお前に踏み躙られ、酷い目に遭わされていく奴らがますます増える…。お前はその不幸を見てますます喜び強くなる…。これ、ある意味負のスパイラルだぞ…。」

「私が倒れない限り永遠に続くかもしれないな、それは。さあ、邪魔な羽トンボは駆除だ。」

そして智史は天までも貫く様な大きさの青白いクラインフィールドの大剣を生成すると、次の瞬間空を引き裂く様にして一薙する、一瞬にして10機のジュラーヴリクは股体を真っ二つに裂かれる、そして綺麗な断面を一瞼に残した次の瞬間、内部の燃料が爆発したのか、臓腑が飛び散る。そしてそれらは全て海へ落ちて行った。

 

「な、ナマモノが…。ナマモノがぁぁぁぁぁぁ…。」

「工場も悉く根絶やしにされた…。重要な機密とともに…。」

「この世界は絶え間なき戦争によって多くの農地が戦火に焼かれ、より多くの兵士を動員する為に多くの食料が必要となった…。それを解決してくれたのがナマモノだった…。このままだと食糧難が勃発し、多くの国民が飢え苦しむ…。だが元に戻すのはもはや不可能だ…。これからどうすればいいんだ…。」

勃発した惨劇の爪痕が残る大地で生き残った者たちが嘆く、なぜこんな目に遭うのだと。彼らはその災厄の元凶たるリヴァイアサンごと海神智史を恨みつつももうこれ以上の災厄は望んではいなかった、しかし彼は戦闘は一度始めたら徹底的に殲滅するまで絶対に容赦しないという何処までも鬼畜な性根を持つ(メンタルモデル)だった。

 

「さ、トドメだ。死の灰、食糧難、資材難で極限に追い込まれた人間同士が醜い争いをおっ始めるのが観たくて仕方がない。子供を食らう、同族同士での食糧争いといった地獄絵図が広がるのが目に浮かぶわ。ワンパンマンの方が多少はマシに思えてくるほどに、な…。」

「おい、まさかモヒカンが跋扈し、暴力が全てである無秩序な世界に作り変えるつもりか…。」

「それ以上になるかもしれないな、くくく…。」

そうニヤニヤ笑いながら彼は無数の核弾頭を内蔵した巨大なミサイルポッドを上空、いや世界中の空に生成してしまった、そこから何十万、否何百万発という、地球最強の核爆弾、TNT換算で100メガトンというツァーリ・ボンバさえ遥かに上回る破壊力を持つ核弾頭を搭載したミサイルが一斉に極超音速で地上に流星の豪雨の如く降り注ぐ、それは荒れ狂う破壊衝動が雨となって降ってくるようだった、ミサイルは地面を貫き地中深くにめり込みそこで信管を作動させて自爆する、そして無数の汚い花火が地面を食い破って炸裂し、そして閃光、衝撃波と共に火煙を帯びたキノコ雲を咲かせるのであった。

そしてその際に解き放たれた無数の核の炎はそこにあったあらゆる物を一瞬で燃やし、焦がし、焼き尽くしていく、人間も、大地も、動物も、植物も、超兵器も、これから生まれるナマモノも、何もかも。

そしてその後には「何十世紀も後退した」と言わんばかりの悪夢の光景が広がっていた、かつて艨艟達が跋扈した海は干上がり、ほとんどの生物が死に絶えた。そして辛うじて生き残った者達にも、爆発の際に巻き上げられた炸裂時の泥やほこり、すす、そして強烈な、しかも未来永劫までその強烈な毒性を維持しかねない程の強力な放射能を含んだ大粒の黒い雨が生けるものを苦悶が永劫に続く地獄へと誘うかのように、静かに、空から降り注ぐ。

哀れ、強大な艨艟やナマモノが大海を駆け回るというロマンに満ちた鋼鉄の咆哮3の世界は智史の我儘一つで核の炎に包まれ、死の灰が何十年も空を覆い隠す死の星へと変わり果ててしまうのであった…。

 

ーー智史が生成したナマモノ輸送艦の一隻ーー

 

「うおおう…。たくさん収集したなぁ…。これ、このままでも動物園として使えそうなほどだぞ…。」

「そうだな、ぎゅうぎゅうに詰め込みすぎたからますます面白い。」

「それにしてもお前が収集してた兵器見たけど、茄子ビームやカニ光線とかで既にアホ全開というのに、汚物噴射してくるやつとか新型寝返り何チャラだっけ、あんな物まであるとか、この世界どんだけお馬鹿なものが流通してるんだ?役にも立たない唯のオブジェにしかならないアンティークな技術で出来た大砲、果てには弩弓まで…。こんなの要るかって思わず言いそうになっちゃうよ…。」

「でも技術力は侮れないわ。少なくとも智史くんが出現する前の世界のものと比べたら格段に優れてる。ナノマテリアルによる再生能力の点を除けば、こっちの技術は普通の霧を完全に超えてしまう程ね。」

「特に拡散波動砲や量子波動砲な…。アレは凄まじいわ…。威力、殲滅効率共に大戦艦級の超重力砲を上回っちゃってるぞ…。こんなのを人間が作り出すなんて…。やっぱ『物作り』の力は恐ろしいわ…。私達も『物作り』の力を手にしたら智史と同じく自分自身を対抗するように進化させない限りみずからの作り出した物によって滅ぶ可能性が常に付きまとうことになるからなぁ…。」

「そして『軍艦』らしくないものがまさかこんな高威力の『兵器』とやらを内蔵しているなんて。智史、君が調べたナマモノ関連の技術、少し見たけどそれだけでもこの世界の技術力はかなりある方だと思う。そして人の手を借りなくても動けるこんな化け物が無数流通していてもこれらを作った人間達が自滅しなかったということは、これらが君やそのベースとなっている人間のように万能ではないように作られたのかもしれないねえ。」

「それを意識しつつその創造主の命令に忠実に従うようにコンピューターシステムが徹底して作られたか。何れにせよ下手をすれば自分達を支配し、滅しかねないレベルのより高度な知能と能力を持つ知的生命体を自分達の手で生み出さまいと恐れていた節があるな。」

「そうね、自分達の都合のいい欲望を実現する為に技術があまりに進みすぎたと考えると、この推測は成り立つかもしれないわね…。」

「そうだな…、そして何故恐れ忌み嫌うのだろうな、自分の保身の為にせよ、未知の存在に自分達の意志決定を委ねるという行為を。悪いことばかりが起こるとは言えないのに、何故悪い方向に進むと勝手に解釈し自ずと避けるのだろうか。

人間も、動物も、いや植物も命を帯びた時から自分の意志を持っている気が私はしてならないのだ、そして自分が生き残る為に、栄える為に全ての命あるものは自分の予測が成り立っている上で自分による自分のための世界を築く為の本能的な遺伝子を体に組み込んだとしか私は思えない。

だから自分が予測できない未来は忌み嫌って避けたがるのだろう、自己中心で物事が進んでいく傾向が生き残る為には一番都合がいいのかもしれないからな。」

智史はそう呟く、その言葉の背景にはかつての自分の経験ーーイオナや千早群像達蒼き鋼や霧との接触、他の世界系での蹂躙劇の中で出していた答えの一つ一つがあった。

 

「さあ、次だ次。この世界は悲惨な結末になったとはいえ殆ど見尽くしたし欲しいモノも大体取り尽くしたし。今度は鋼鉄の咆哮2の世界だ、まだまだ鋼鉄の世界巡りは終わらないぞ。」

そしてリヴァイアサンは同じ世界系の中ーー灰燼と化した鋼鉄の咆哮3の世界からまた別の世界観を持つ鋼鉄の咆哮2への世界へと世界を仕切る壁を破って向かっていく。

 

 

ーー鋼鉄の咆哮2の世界、エリアd-01に該当する海域ーー

 

「あ、何か来たぞ。」

「見知らぬバカでけえ艦だが…。かといって第零遊撃部隊の奴らの様に我々を見くびっている様だな、って何だ⁉︎う、海が…。」

「す、吸い寄せてられているだと⁉︎」

「機関出力最大!これ以上は危険です!」

「それでも向こう側に引きずり込まれてるだとぉ⁉︎」

「ふん、だったらその元を絶ってしまえばいいだけだ!」

いきなりと言っていい程に彼ら超腐心船の船団は一方的というべき始まりでリヴァイアサンに襲われた、慌てて彼らはカニ光線、誘導荷電粒子砲Ⅲ、波動砲、αレーザー、重力砲、特殊弾頭ミサイルVLS、δレーザーⅢといった備え付けてあったありあらゆる兵装を叩き込むのだが、この艦は普段相手にしている第零遊撃部隊の艦艇とは訳が分からぬ程に格が違うバケモノだった、一発一発が対61㎝装甲でも耐えきれないほどの最高クラスの攻撃を呆気なく無効化しながら吸収してしまうというチートを通り越したとんでもないヤツなのだから。

 

 

「貴様、何が目的だ…⁉︎」

「おや、やはり人が居たのか。残念だな、お前達がそれを知ったところで何も役に立つものはないぞ。」

「我々をひっ捕らえてこの言い方とは、何か裏があるな…‼︎重力砲も波動砲も太刀打ち出来ないバケモノであることは認めざるをえん、しかし貴様にやすやすと引き渡すぐらいなら名誉ある死を!」

 

ーーカチッ!

 

「…何故だ、何故作動しない⁉︎」

「残念だな、お前達が使役している艦はお前達自身の名誉の為の道連れを望んでいない様だぞ。まあ私がハッキングで自爆制御のシステムを制圧したからなあ…。」

「く、ぐぞぉぉぉぉぉぉ!」

 

さ、邪魔者はバイバイだ。私の頭の中には超腐心船の群れを鹵獲し魔改造して艦これの世界に打ち込む事しかない。精々フカや魚の群れに食い尽くされるか、もがいて溺れ死ぬがいい。

 

この後超腐心船に乗り込んでいた工作員、もとい海の男達は智史が無数放ったダースベイダーの群れに短時間で悉く捕まってしまったーー海兵として鍛え上げられていた故あり常人と比べると体力はかなりある方だったのだが所詮は程度の問題だったーー後、縄袋に全員がぶち込まれて強引に縄袋とともに海に投げ捨てられてしまった。

そして超腐心船の方はというと、Mi-32やMi-26といった輸送用の大型ヘリコプターの捕獲用大型マジックハンドで掴まれた後に強引に吊り下げられた上で異世界で待機していたナマモノ輸送艦の中に次々と放り込まるのであった。

 

「…ところでこれは、漁船というものなのか?」

「正確に言うとイカ釣り漁船に偽装した工作船の姿を被った軍艦だよ。私の元いた世界ではこれが大事件の主役となって知られてたなあ。しかし元いた世界の工作船が漁船の皮を被っていたようにその工作船という皮を被った悪ふざけ兵器とは…。実に皮肉だな。」

「こんな船があるって事は、先の世界のようにこの世界にも変わった船があるって事かもしれないわね。」

「そうだけど…、ところで、イカと聞いたら何かイカの料理を食べたくなってきたな…。冷蔵庫の中にはイカはもう無いし。」

「そうだな、折角だし、何匹かイカでも釣っていこうか。ナマモノもいいが本物も何匹か獲っていこう。幸い近くーー日本海にイカの狩場があるからな。」

そしてこの後リヴァイアサンは日本海にわざわざと釣りをしに向かう、その道中でナマモノ兵器の一種たるボスねっしいと遭遇したが、懸絶した演算能力を用い無数生成されたワープホールから襲いくる天地を抉り飛ばすような濁流の如き強烈な重力子の津波と一発一発の威力が最早この世界の最強兵器の群れすら霞んでしまうほどとしか言いようがないAGSの砲弾の雨の二段構えで九州の陸地もろとも軽くズタボロにされ、そして彼の果てなき衝動による欲望の犠牲者の一匹としてナマモノ輸送艦に放り込まれてしまうのであった。

 

「あ、このイカ美味しい。」

「揚物にしてみるとより美味しいかもしれないぞ。」

「揚物か…。マグロを揚げて食べた事はあるけれどイカは無いな…。よし、やってみよう。」

「手伝おうか?」

「いや、自分でやる。」

 

「美味いな、これは。」

「そうだな、私が幼い時にはこれが小中学校の給食のメニューの一つとして出回っていた。」

「小中学校?給食?何だそれ?」

「私達世代の視点で言えば人生を人生として成り立たせるための基本的な教育をする所かな。給食は…、何だろう…。」

「『小中学校では学校教育の一環として組み込まれているものだ、社会に出ても問題のない食生活といった生活リズムを身につけるためにな。』と私は答えておこう。」

「成る程な…。お前達人間…、いや2人とも『人間』じゃなくなってるのか…。」

「私はな。この艦のメンタルモデルという時点で生物学的に人間ではない、まあ琴乃はまだ『人間』だが。」

「ちょっと、言い方が失礼ね〜〜。」

「すまない、琴乃。」

 

彼らの会話はいつも通りだった、しかしそんな会話の中でも、彼の蹂躙劇は進んでいく。

 

超アルウスとか飛んで変わった奴もいるだろうし、ストーリーの解釈と考察もしたいな。

 

霧ーーというか常識を超えた『何か』を下敷きとして生まれた霧のリヴァイアサンごと海神智史がこの世界に齎した地獄絵図。その地獄絵図はまだまだ終わりそうにはなかったーー




おまけ

新型寝返り電波砲について。
彼、海神智史は今後訪れるであろう世界で悪さをする際に銃型の洗脳兵器を使おうと目論んでいた、洗脳する仕掛けは十分なレベルで理解していた為に創る事自体は簡単であったものの、それでは何か物足りないと考えた彼は実物を鹵獲した上でじっくりと観察しながら作ろうと目論んでいる。
そしてそれを基にして作られた洗脳兵器の初陣はこの鋼鉄の世界とはまた別の世界の、『軍デレ』と呼ばれた女将官の部下達であったーー
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