冥魔姉妹を殲滅するために襲来した三体の機操士。
圧倒的な強さで追い詰められ、マスターを傷つけられたスカーレットとインディゴは………。

ベリアル視点の短編シリアス小説です。


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紫色の空

 

 

 

 

 なんでだよ…

 

 なんでお前らが…

 

 

 お前らマスターのことを慕ってここまで来たんだろう。だったら皆で生きて帰る方法を考えろよ。お前らが犠牲になってマスターが喜ぶワケねぇだろうが!

 

「だったらどうしろって言うの?アンタ、あのカラクリ人形を倒せるの!?」

 

「アレの狙いは私達ですわ。ここで何とかしないと………」

 

 俺はお前らを失いたくねぇんだよ…!早く乗れ。一緒に逃げるぞ。

 

「ふふっ、優しいですね。私達だって本当は一緒に居たいですわ。でも、これしか方法が………っ!貴方の力なら此処から一瞬で移動出来る筈。どうか、マスターを………。」

 

「そうよ、さっさと行きなさい。奴らが起動した以上、私達が一緒にいると永遠に追われるわ。アンタのためにもマスターのためにも此処でケリをつける。………今までありがとう。」

 

 く、そぉ…。なにが『ありがとう』だ…!

 一番辛ェお前らが泣きながら笑顔で礼なんか言ってんじゃねぇ!!

 

 

 

 

 ………っ。

 

 

 

 

 だが、それが望みなら俺は…………。恨むんじゃねぇぞ、このバカ姉妹。

 

「ベリアルさん、あとはお願いしますね。私、貴方達と旅が出来て本当に楽しかったですわ。」

 

「さあ、早く行かないと巻き添えを食らうわ。マスターを死なせたら絶対に許さないからね。………さよなら。」

 

 

 俺は返事をせずに馬車を走らせた。振り返ることなんて出来ない。アイツらの泣き顔なんて見たくなかったから。

 

 

「さて、準備完了ですね。跡形も残らないように消し飛ばして差し上げましょうか。」

 

「ええ、あのガラクタ共にここに来たことを後悔させてあげるわ。マスターを傷つけたことは許さない。」

 

「………良かったのですか?ベリアルさんに気持ちを伝えなくて。」

 

「貴女こそマスターに何も言えてないじゃない。私は彼が生きていてくれればそれで良いわ。こんな女に愛されても迷惑なだけよ………!」

 

「ふふ、本当不器用ですね。私も人のこと言えた立場じゃありませんけど。ただ、ベリアルさんは決してそんな風に思わないですよ。………いきます、覚悟はいいですね?(マスター、出来ればもう一度貴方の温もりを感じたかったです………。)」

 

「ええ、終わらせてやるわ。(ベリアル、アンタのこと好きだったよ。どうか死なないで………。)」

 

 

「「バイオレットフレイム!!」」

 

 

 突如襲来した三体の機操士を倒すため、

 

 紅の冥魔は灼熱の炎を、

 蒼の冥魔は極寒の冷気を、

 

 自らの命と引き換えに相反する二つの力を融合させ全てを破壊する紫炎を放った。

 

 

 

 

「チクショウ………!!」

 

 機操士に敵わなかった不甲斐なさと仲間を失った悔しさで奥歯がギリギリと音を立てる。アイツらの意志を絶対に無駄にはしない。

 深手を負ったマスターを連れ、炎の路を爆進する馬車を更に加速させる。唸るような轟音が響き、頬を伝う涙は蒸発し嗚咽は掻き消された。

 遥か後方に目をやると紫色の炎が小さく見える。じゃあな、と呟いて俺は前を向いた。

 

 

 

 

 

 

 なあ、マスター。

 アイツらは悪だったのか?だから機操士達が襲ってきたのか?………いや、そもそも悪って何なんだ?

 魔神の俺も大して『イイ奴』じゃねぇからさ、わかんねぇんだよ。教えてくれよ、なあマスター…。

 

 まだ目を覚まさないマスターに話しかけながら薄暗い空を見上げると、青空と夕焼けが混じり悲しい色に染まっていた。

 

「スカーレット、インディゴ。マスターは何があっても俺が守ってやる。お前らはもう戦わなくていいんだ。………だから、安心して休みな。」

 

 

 

 

 澄んだ空気の夕刻の空は、マスターのために命を賭けた冥魔姉妹そのものを表しているように見える。やがて夜の闇に飲まれてゆく紫色の空を俺は決して忘れないと誓った。

 

 

 

 




読んでいただいてありがとうございます。
スカーレットのバイオレットフレイムや、ベリアルの爆進フレイムロードなどの技を、設定を変えつつストーリーの中に入れてみました。

感想があればぜひお聞かせ下さい。

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