バカが見滝原にやってくる   作:クルクル舞朱雀

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遅くなりました!

表現の方法がとても難しかったこのお話。
自分なりに頑張ってみました。

ところでヴァンって真っ直ぐな人に対して結構好感的ですよね。プリシラ然り、カロメリ然り。

それでは、Episode15始まります!


Episode15 恋心に火をつけて

今日は祝日である。マミがご機嫌で、ニコニコしている。

 

「ヴァンさん、起きて!こんなに良い朝よ!」

 

自分の部屋から出るなりリビングのドアを思いっきり開けるマミ。

しかし、いつもで寝ている筈のソファにヴァンがいなかった。

 

「あら?」

 

不思議に思ったマミは、ソファの裏側を見る。そこには、ヴァンがうつ伏せで倒れていた。

 

「きゃあああ!?」

 

慌ててマミはゴキブリのように倒れているヴァンに駆け寄る。

 

「ヴァンさん、どうしたの!?」

「…よう、どっか人目のつかねぇとこ無いか?」

「何か必要なの?」

「ダンに乗らねぇと…」

 

 

ヴァンから変な汗が流れる。

 

「ダンに?」

「定期的に乗らねぇとなんねぇ……っと!」

 

フラフラと立ち上がるヴァン。

 

「大丈夫?」

「最近乗ってないからな」

「何処かいい場所ないかしら…?」

 

魔女の結界の中でなら、人目を気にせずダンを呼べるのだが、こういう時に限って魔女が現れない。

 

「どうしましょう?」

 

マミは、試しに携帯でほむらに連絡してみる。

 

『どうしたの?』

 

スピーカーからほむらの声がする。

 

「ヴァンさんがダンに乗らないといけないの。それで何処か人目のつかない場所を探してるんだけど、何処かいい場所ないかしら?」

『それならいい場所があるわ』

「本当!?」

 

マミが目を輝かせる。

 

『ええ。メールで地図を送るわ。一時にそこへ来て』

「わかったわ」

 

数分後、ほむらからメールが届く。そこには、廃工場の場所が記されていた。

 

 

道中、周りの人々から変な目で見られながら、マミはヴァンを何とか廃工場へ連れて行く。

 

「ここね」

 

なるべく目立たないように、そっと入る。

 

奥へ進むと、ほむらが待っていた。

 

「こっちよ」

 

ほむらが場所を案内する。

関係者以外立入禁止と書かれた。扉を開け、狭い道を歩いて行く。

ふと、ほむらがヴァンに質問する。

 

「ヴァンは何故定期的にダンに乗らなきゃいけないの?」

「しばらく乗ってないと、調子が悪くなんだ。俺とダンは繋がってるからな」

「繋がってる?改造人間だとでも言うの?」

「そんなもんだ」

 

しばらく進むと、工場の煙突の大きいパイプに突き当たる。

 

「行き止まり?」

「いいえ、ここよ。ヴァン、この中に入るのだけど、蛮刀を出せるかしら?」

「ああ」

 

一応体力は残っているようで、マミが安心する。

ヴァンは蛮刀を持ち、自分が入れるように振るい、扉状にパイプを斬る。

穴が空き、ヴァンはその中に入る。

 

「ここでいいのか?」

「ええ。そこからならダンを呼べると思うわ」

 

上を見上げると、青空が見える。

煙突の中は煤だらけで多少狭いが、ダンが身を屈めればギリギリ入れるくらいの広さはあった。

 

「大丈夫か?空からダンが落ちてきたら人騒ぎになるんじゃねぇのか?」

 

周りの事を考えているヴァンを見て、マミはえらく感動した。

日々、「周りの迷惑を考えて!」と厳しくした成果が出ているようだ。

 

「その点は大丈夫よ。今から五分経ったらダンを呼んで。その時刻は絶対に騒ぎにならないわ」

「何でわかるの?」

「美国織莉子、彼女に協力してもらったわ」

「未来が見えるって言ってたな」

「そうよ。だけどその時間以外は絶対に騒ぎになることがわかってるから少しのミスも許されないわ」

「タイマーをセットしておくわね」

 

マミが携帯でタイマーを起動させる。

 

「帰りはどうするんだ?」

「この方法でいくわ」

 

ほむらは自らの盾から大量の煙玉を出す。

 

「ヴァンがダンを戻す時に私が時間を止めて煙玉をセットするわ」

「でもいいの?制限があるんでしょう?」

「そうも言ってられないわ。ヴァンの命がかかってるんだもの」

「そうね…ならそれで行きましょう」

 

三人は時間を待つことにした。

 

 

 

 

さやかは、仁美と電話をしていた。

 

『そうなんですか、上条君は退院なさったんですね…』

「いやーそれでね?恭介の奴が私に髪飾りをプレゼントしてくれたんだよ〜。それでこれからもよろしくって手紙に書いてあってさ〜。私マネージャー?私恭介のマネージャーになっちゃう?」

 

にへらにへらとニヤけているさやか。

恐らく、電話越しでもその表情は伝わるだろう。

 

『そうなんですか、それは良かったですわね…』

(上条君…もしかして貴方はさやかさんのことを…。チャンスは一度きりかもしれませんわ…!)

 

何か意を決した仁美が言葉を発する。

 

『あの、さやかさん』

「ん?何?」

『ちょっとこれからお話したい事があるのですが、宜しいでしょうか?』

「別に良いけど」

『そうですか、ではいつものハンバーガー屋さんでお待ちしておりますわ』

 

そう言って電話を切られる。

 

「何だろう?いつもと様子が変だったような…ま、いいか」

 

準備をし、家を出るさやか。

すると、廃工場のある方角から、ドーンと大きな音がした。

 

「何だろう?凄い大きな音がしたけど…解体工事でも始めたのかな?」

 

そう思い、約束の場所へ向かう。

 

 

 

 

「上手くいったようね」

 

煙突の中には何とかギリギリダンが収まっている。

 

「床が若干崩れているわ…」

「別にいいだろ。とにかくこれでダンに乗れる」

 

蛮刀を巧みに使い、胸部のコクピット部分に入る。そして青く広いモヤっとした空間の床に蛮刀を突き立てる。

そして片膝を立て、右手に蛮刀をセットし、そのままの体制を維持する。

 

「ウェイクアップ、ダン」

 

ダンの目が赤く光る。狭くて動けないが。

 

「ふーっ」

 

ようやくダンに乗ることができ、一息つくヴァン。

 

「ヴァンさん、どう?調子は」

「今良くなってるところだ」

「そう、ならこれで一先ず安心ね」

 

マミは、狭い煙突の中に入っているダンが、何故か少し可愛く思えてしまい、頭を左右に振った。

 

 

 

 

ハンバーガーの店にさやかは入るやいなや仁美を探した。

 

「こっちですわ」

 

仁美が呼ぶ。

見つけ、席に座るさやか。

 

「で、何の話?」

「相談がありますの」

「相談?」

「ええ、恋の…ご相談ですわ」

 

仁美から恋という言葉を聞き、驚くさやか。

 

「恋ってあの恋!?魚の鯉じゃなくって!?」

「はい、そっちの恋ですわ」

 

体を乗り出し、興味津々に聞くさやか。

 

「で、相手は誰なわけ?」

 

仁美は深く息を吸って吐く。

 

「私ね、前からさやかさんやまどかさんに秘密にしてきた事があるんですの」

「秘密?」

「ずっと前から……上条恭介君のことをお慕いしてましたの」

「っ!!?」

 

さやかはさっき以上に驚く。

 

「さやかさんは、上条君と幼馴染みでしたわね?」

「そうだけど…」

「貴女は上条君の事を好いておいででしょう」

「そりゃあ、あんな素敵な音を出せるんだもん、誰だって……」

 

じっと、見透かすような目でさやかを見る仁美。

 

「……うん、好きだよ」

「…知ってました」

「アハハ、バレてたか……」

「気付かない人は居ないと思いますわ」

 

真剣な眼に戻る仁美。

 

「あなたは私の大切なお友達ですわ。だから、抜け駆けも横取りするようなこともしたくないんですの。上条君のことを見つめていた時間は、私よりさやかさんの方が上ですわ」

「仁美……」

「だから、あなたには私の先を越す権利があるべきです」

「あたしは…」

「明日の放課後、上条君に告白します。丸一日だけお待ちしますわ。その間に……さやかさんは後悔なさらないよう、決めてください。上条君に気持ちを伝えるかどうか…」

 

仁美の覚悟は本物だ。度胸もある。

 

(確かにあたしは恭介が好きだ。仁美だって恭介が好きなんだ…けど、仁美が友達だからって、恭介の事が好きだからって、あっさり諦めちゃっていいの?絶対に後悔しない?)

 

心の中で自問自答を繰り返すさやか。

仁美が目の前で礼をし、席を立つが今の彼女には見えていなかった。

 

(こういう時、マミさんはどうするんだろう?自分の気持ちを正面から伝えるのかな?まどかは?ほむらは?杏子は?……ヴァンさんは?どうするんだろう……)

 

アドバイスが欲しくなり、席を立つさやか。そして、店を出て走りだす。

さやかの目は絶望してはいなかったが、希望にあと一歩、辿り着けずにいた。

 

 

 

ダンに乗ってから二時間くらい経つ。

そろそろいいだろうと、ダンを戻す用意をする。

 

「んじゃ、戻すぞ」

「いいわ」

 

ダンが宇宙へ上がっていく。煙突を出たところでほむらは時を止める。マミの出したリボンを伝い、ダンに接近する。

 

「これで…」

 

火を付けた煙玉を、ダンの関節部分のあちこちに投げ入れる。地面に降りて、時間停止を解除する。

すると、百個近い煙玉が一斉に煙を上げ、綺麗にすっぽりとダンが隠れる。

 

「大丈夫かしら…」

 

宇宙に戻るダンを見て心配そうにするマミ。

 

「この時間帯は人工衛星も通らないから、問題ないわ。精々、住民達は子供のイタズラくらいにしか思わないでしょうね。でも念の為になるべく急いで退散しましょう」

「そうね」

「今日は世話になったな」

「これまでのお礼と思ってくれればいいわ」

 

ヴァン達は、廃工場からこそこそ出て行く。

 

 

 

 

二人はほむらと別れ、二人は繁華街を通ると杏子と出会う。

 

「あら、佐倉さん」

「ん?マミじゃねぇか。何してんだ?こんな所で」

「ちょっと用事があったのよ」

「ふーん」

「お前は何してんだ」

「夕食の買い物さ。さすがコンビニ弁当だけだとゆまに怒られちまう」

 

二人に買い物袋をみせる杏子。

すると後ろから、誰かがぶつかる。

 

「痛っ!あ、あれ?杏子にマミさんにヴァンさん」

さやかだった。

 

「おい、先輩のあたしにはさん付けしねぇのかよ」

「ああ、ゴメン。ちょっと考え事してたから」

「いや、理由になってねぇぞ」

「丁度いいや、あたしの話に付き合ってよ」

「私で良かったら何でも相談に乗るわ」

「ありがとうございます、マミさん」

 

近くのカフェで、先程の事を話すさやか。

 

「どうしたら良いんだろ…」

「美樹さんは志筑さんに負けたくないんでしょう?なら張り合わなきゃ」

 

マミが意見する。

 

「ウジウジしてたら後悔するだけって、自分でも分かってんじゃねぇか。希望まであと少しだろ?」

「杏子…でももし振られたら……」

「自信がねぇのか?」

「…………」

「そのヒトデって奴のことは知らねぇが、お前はあいつが好きなんだろ。ならありのままの気持ちを伝えろ。ヒトデの気持ちがどれほどだろうと関係ない」

「ヴァンさん…」

「お前が今魔法少女やってるのは何でだ?」

「それは恭介の腕を治したいって思ったから」

「何でそう思ったんだ?」

「何でって…」

「あるだろ。ほら何か根本的な理由が」

「根本的な理由…」

(腕を治したいのはバイオリンを弾く恭介が好きだから。じゃあ何で恭介を好きになったの?確か、小さい頃の恭介の演奏で…小さい頃…幼馴染み…一緒…!)

 

さやかは何かに気付いた。

 

「そうだよ!私が好きになった根本的な理由は、恭介が一緒にいたからじゃん!」

 

席を立ち上がるさやか。

 

「おい、さやか…?」

「あたしは小さい頃から恭介が好きだった!それは今でも変わらないし変わるつもりもない」

「美樹さん、落ち着いて…」

「なのにそれを伝えられないまま仁美に取られるなんて絶対に嫌だ!仁美には悪いけど、取られるくらいならあたしが取ってやる!恭介は誰にも渡さない!」

 

さやかはすっかりライバル心に火が付いたようで止まる気はサラサラ無い。

 

「後悔なんてするもんか!」

 

さやかは走って店を出ていく。

 

「あーあ、行っちゃった」

「追いかけなきゃ」

「つーか、さやかの奴どうしちまったんだ?元々バカだとは思ってたけど」

「まさか…」

 

マミはヴァンを見る。

 

「何だ」

「ヴァンさんのバカが感染ったとか?」

「マジかよ、不治の病じゃねぇか!」

「うるせぇ!バカバカ言うな!」

「やっぱりバカだ」

 

 

 

 

公園に恭介が来ていた。

 

「さやかに呼びだされたけど何だろう?」

 

すると、後ろから恭介の目が塞がれた。

 

「だ〜れだ?」

「その声はさやかだろ。間違えようがないよ」

「へへ、あったり〜」

 

 

草むらの影からさやかの様子を覗く人影が五つ。

 

「すっかり自信を持ってるな、さやかの奴」

「あとは想いを伝えるだけね」

「今のさやかなら大丈夫だろ。あいつは強いからな」

「美樹さんの名前を覚えてるわ…!」

「それは良いとして、何で私まで連れて来られているの」

 

ほむらが愚痴を言う。

 

「ほむらちゃん、さやかちゃんの事応援してあげようよ」

 

まどかも影からさやかを見守る。

 

 

 

「それで、何だい?伝えたいことって」

「あたし達ってさ、小さい頃から一緒だったよね」

「うん?そうだけど…」

「あの時初めて恭介の演奏を聴いてさ、すっごく感動したんだ」

「その話、百回くらい聞いたよ」

「魔法少女になった姿を見られて、引かれるかもって思ったけど、恭介は引かなかった」

「……?」

「嬉しかったんだ。普通の人間じゃないあたしに優しくしてくれて」

「普通の人間じゃない?」

「この体、ただの抜け殻なの。だから、何度傷ついても元通りになる」

「……っ!」

「だけどね?こんなになってもこの気持ちは小さい頃から変わってないんだ」

「え…」

 

 

 

 

「恭介、好きだよ」

 

 

 

「さやか……」

「ゾンビみたいな体になっちゃったけど、この心は、恭介が好きだっていう気持ちは正真正銘人間だよ」

 

さやかは微笑む。大好きな人の目の前で。

 

「だからさ、あたしと……結婚して下さい!」

 

 

 

「話がすっ飛び過ぎだろ!?」

 

杏子が小声でツッコむ。

 

「佐倉さん黙って!返事が聞こえないわ」

 

マミが杏子の口を塞ぐ。

 

 

「さやか……」

「う、うん……」

 

 

 

 

 

「こちらこそ宜しくお願いします」

「恭介…!」

「ぅ……ぅあ、やったー、やったよさやかちゃん!」

 

まどかが飛び出す。

 

「まどか!?まさか見てたの?」

「えへへ」

「おめでとう、美樹さやか」

「ほむらまで!?」

「ったく、あそこで結婚してくださいって言う奴があるかよ…」

「美樹さんらしいわね」

「杏子!?マミさんまで!」

「皆さん見てたんだ…」

 

二人して顔が真っ赤になる。

 

「やるじゃねぇか、さやか」

「ヴァンさんまで…って今さやかって!?」

「とにかく今日はお祝いよーー!」

 

マミがはしゃぐ。

 

この後、マミの家でパーティーを盛大にやり、隣と上の階と下の階から文句を言われてしまうのだが…。

 

 

 

その大喜びの中心からかなり外れ、木の影に仁美がいた。

 

「…ふふ、さやかさん、おめでとうございます。どうか幸せになってくださいな」

 

そう言って彼女はその場から立ち去った。

そこには、涙で濡れた跡があった。

 




ウェンディ「カメオー、お赤飯を炊くわよー!」

カメオ「だから気が早いですって姐さん」

ウェンディ「早いのは良いことよ!」

カメオ「何事にも限度というものがありますよ」

ウェンディ「限界なんてないわ!」

カメオ「拳に炎を纏うのをやめてください!あと色々アウトな気がします」

ウェンディ「今の私は誰にも止められないわーー!」ピューン

カメオ「ああ、行っちゃった…ってこの流れ本編でもありましたよ」

カメオ「さてさて、見滝原の魔法少女たちが行うのは次は何と合宿!ワルプルさんが来るのはもう少し先ですよ〜。界王拳を覚えた少女達は迫り来る驚異に立ち向かえるのか!」

ウェンディ「作品違うもの混じってるわよ!」パンパーン

カメオ「調子に乗りすぎました〜!」ブシャー



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