バカが見滝原にやってくる   作:クルクル舞朱雀

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頑張って完結するぞー!


Episode1 ピンクと黒髪と夜明けのヴァン

暁美ほむらは何度も同じ時間を繰り返している。

彼女が憧れていた少女、鹿目まどかを救うために。

毎度毎度違う方法を試して、その度に失敗して。しかし彼女は諦めなかった。彼女を救って平和な日常を手に入れたかったから。

今回も一番最初に戻ってまどかとの出会いを繰り返していた。

だけど今までと違ったことが一つだけある。

 

「あ?何だこのガキ共」

 

この全身黒ずくめの男、ヴァン。イレギュラー中のイレギュラー。

ほむらは思わず思考が固まってしまった。周りの子達もみんな驚いてしまっている。

この状況をどうするか考えられなかった。何故なら、まさかホームルーム中にこんなことが起きるなんて思いもしなかったからだ。

 

(一体何者?こんな奴、今までに一度も・・・)

 

すると、その全身黒ずくめの男にズカズカと歩み寄っていった者がいた。

 

「何なんですかあなたは!?ここは学校ですよ!」

「ん?ここは定食屋じゃ…」

「そんなわけないでしょう!」

 

まどか達のクラスの担任、早乙女和子先生だ。

 

「しかも土足で入って、今すぐ出て行ってください!」

「すいません…。だけど今なんか食わないと倒れ…」

「知りませんよそんなこと!さあさ、出て行ってください」

 

そういって和子は強制的に男を追い出す。

ガラス越しにポカーンとしている姿が見える。

 

「大丈夫ですか皆さん、もう安心ですからね。ごめんなさいね、暁美さん転入早々こんな目にあわせてしまって…」

「いえ…」

「では皆さん暁美さんと仲良くしてくださいね。それではホームルームを終わります」

「起立、礼!」

「「「ありがとうございました」」」

 

ほむらはホームルームが終わった後まどかに話しかける為に近づく。

 

「鹿目さん、ちょっといいかしら」

「は、はい、暁美さん」

「ほむらでいいわ。あなたこのクラスの保険係よね、連れてってもらえる?」

「あ、それなら私が」

 

隣にいた美樹さやかが口を挟む。

 

「私は鹿目さんにお願いしているの、よろしいかしら、鹿目さん」

「う、うん、ほむらちゃん」

「それじゃ、お願い」

 

そういってほむらはいつもどおり廊下でまどかに魔法少女にならないように注意するはずだった。しかし…。

 

「き、きゃああああぁぁぁ!?」

「!?どうしたの!」

 

教室を出たまどかの目の前には…。

 

 

さっきの男が倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

ヴァンが目を覚ますと目の前にピンクの少女がいた。後ろには黒い髪の少女も。

 

「ん、んぁ…」

「あ、目を覚ましたよ、ほむらちゃん」

「何処だ、ここ?」

「保健室よ」

 

後ろにいた黒髪の少女、ほむらが答える。

 

「ごめんね、今先生がいないから私たちが看病しているの」

「そうか…」

 

その時、ヴァンの腹がグギュルルル~と鳴る。

 

「お腹、空いてるの?」

「ああ、ここ数日何も食ってないからな」

「あ、じゃあ私のお弁当食べる?」

「いいのか?」

「うん、困っているのならお互い様だし」

「おおそうか、お前いい奴だな」

「じゃあ持ってくるね。あ、私、鹿目まどか」

「…暁美ほむら」

 

ヴァンは名前を聞き、頭の中を整理する。

 

「ピンクのほうが窓で黒髪がほむほむだな、よし覚えた」

「全然違うわ。てか、ほむほむって何?」

「あはは、あなたの名前は?」

「ヴァンだ、人呼んで夜明けのヴァン」

「ヴァンさんですか、いい名前ですね」

「そうか?今までそんなこと言われなかったからな」

「それじゃあ、少し待っててください」

 

そういってまどかは部屋から出て行く。

 

「……」

「……」

 

しばらく間が空く。するとほむらが話しかけてきた。

 

「あなた、一体何者?猫背でだらしないように見えるけど、実際には一切隙がない」

「へぇ、あんたわかるのか。だけどそういうあんたも只者じゃないな」

「…周りにはわからないようにしているつもりなのだけれど」

「なんか色々あるみたいだな」

「そういうあなたもね」

「俺の場合は色々あった、だな。過去形だ」

「そう…」

 

その時、まどかが戻ってきた。

「おまたせ~、はいヴァンさんお弁当です」

 

まどかが持ってきた弁当を受け取り、蓋を開ける。

ハンバーグに玉子焼き、金平ごぼうなど、美味しそうな料理が並んでいた。

 

「良い匂いだな」

「それ私のパパが作ったんだよ」

「へぇ、そうなのか」

 

そこでヴァンはいつものアレがないことに気がついた。

 

「調味料」

「調味料?」

「ああ、調味料」

「ごめん、調味料は無いんだ。でも味付けはしっかりしてあると思うからそのまま食べてみて」

「そうか無いのか…」

 

そこでヴァンは箸を掴み、弁当の中身をグチャグチャかき混ぜる。

 

「「えっ!?」」

 

そしてそれを一気に口に頬張る。

 

「美味ーーーーーーーーーい!!」

「えぇぇぇーーー!?」

「…………」

 

横でまどかが信じられないような目で見ている。ほむらに至っては口をパクパクさせている。

ヴァンはそのことに関してウェンディも同じような反応をしていたことを思い出す。

そしてそのまま完食。

 

「ごちそうさまでした」

「お、お粗末さまでした」

「わけがわからないわ…」

 

ヴァンは腹も膨れ、何よりもまた先生に見つかったらめんどくさいから出て行こうとする。

 

「それじゃ、世話になったな。美味かった」

「もう行くんですか?」

「見つかったら厄介だしな。んじゃ元気でな」

「はい、ヴァンさんもお元気で」

「あなたとはまたどこかで会う気がするわ」

「そうか?」

「ええ、あなたのこと少し気になるから」

(本来ならこの世界にいないはずのイレギュラー、何か意味があるのか…)

 

その時、保健室に和子が入ってくる。

 

「おっ、やばっ、それじゃあな!」

 

そう言ってヴァンは窓から出て行く。

そして和子に見つかる。

 

 

「あなた、まだいたんですか!」

「うるせえ!今出て行くところだろうが!」

 

ヴァンは何とか先生を撒いて学校を出た。

 

「さて、この後どうするかな。適当にこの町をぶらつくか」

 

 

 

 

 

 

 

まどか達はあの後、そんなこんなでいつも通りの一日を過ごした。

今まどかはさやかと仁美と一緒にハンバーガー屋にいる。

 

「あのね、私夢の中でほむらちゃんにあったような気がするの」

「あはは。すげー、まどかったらキャラが立ち始めたよ」

「ひどいよぅ。私真面目に悩んでるのに」

「そういえばあのタキシードの方はどうでしたの?」

「そうそう、姿は見えなかったけど誰かを保健室に運んだんだよね」

「本当、最初はビックリしたよ。でもあまり悪い人じゃなかったよ、ヴァンさん」

「ヴァンさんっていうんですの?」

「うん、どうやら何か食べる物を求めてここに来たみたい」

「いや~、面白かったよねあの人。急に入ってきて、『すみません、一番安い料理と水一杯、それと調味料ありったけ』っていってくるんだもん」

 

さやかはゲラゲラ笑いながらポテトを食べる。

 

「調味料のことは…、あまり思い出したくないかも」

「何かあったんですの?」

「うん、ちょっとね…」

 

まどかはその時の一部始終を話す。

 

「マ、マナーがなってませんわ…」

「あははは、それおもしれー、あははははは」

「もう、笑い事じゃないよぉ。あやうく気持ち悪くなるとこだったんだから」

「でも、一度会ってみたいな~。そのヴァンさん」

「…あら、もうこんな時間。ごめんなさい、私はお先に失礼しますわ」

「今日はピアノ?日本舞踊?」

「お茶のお稽古ですの。もうすぐ受験だっていうのに、いつまで続けさせられるのか」

「うわ~、小市民に生まれて良かったわ」

「私達も行こっか」

「あ、まどか、帰りにCD屋に寄ってもいい?」

「上条君の?」

「うん、レア物のCDを探すんだ」

「それでは皆さん、ごきげんよう」

「ん。じゃあね」

「ばいばーい」

 

そうしてまどかとさやかは仁美と別れ、CD屋へ向かう。

CD屋に着くとさやかはCDを探し始めた。

まどかは『虹の彼方』を聞き始めた。

 

「憶~え~ていま~すか、夜霧舞~う空の~下~」

「お、あったあった」

「大~きなゆ~めを聞かせてく~れたこと~」

 

その時、まどかの耳に歌の歌詞ではない声が聞こえた。

 

(助けて!)

「……?」

(助けて!まどか!)

「え?え?」

(僕を、助けて)

(誰?誰なの!?)

(助けて…)

 

まどかはその場を離れ、立ち入り禁止の薄暗いフロアに入った。

 

「どこにいるの?あなた…誰?」

 

少し進むと、天井から怪我をした白い獣が落ちてきた。

 

「あなたなの?」

「助けて…」

 

まどかが近づこうとすると、まどかの目の前に見知った顔があった。

 

「ほむらちゃん!?」

「そいつから離れて」

「だ、だってこの子怪我してる…」

「だ、駄目だよ。酷いことしないで!」

 

白い獣を庇うまどかにほむらは冷たく言い放つ。

 

「貴女には関係ない」

「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって!」

「そう」

 

しかしほむらは考えを変えようとしない。

すると、今この場所に場違いな声がした。

 

「あぁ~、うるっせぇなぁ。おちおち昼寝も出来ねぇじゃねえか」

「!?」

 

そこには朝見たタキシードの男、ヴァンがいた。

 

「ヴァンさん!?」

「どうして貴方がここに…」

「どうしてって、昼寝だよ。寝るには少々硬いが、落ち着くからな」

「まどか、こっち!」

 

そこへ、会計を済ませたさやかがやってきた。

 

「さやかちゃん!」

 

まどかはさやかのところへ駆け寄る。

 

「ヴァンさんもこっち!」

 

まどかがヴァンを呼ぶ。

 

「おい、いいのか。ほむほむ置いて行って」

「いいの!あいつ何だかよくわからないから!」

 

さやかが答える。そしてそこに消火器の中身をぶちまき、まどかを連れて逃げる。

ほむらは追いかけようとするが、周りの空間が歪み始めた。

 

「こんな時に…」

 

さやかが絶叫しながらまどかを連れて走る。その後ろをヴァンが走る。

 

「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ!」

「ほむほむだろ」

「知らん!つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね?生き物?」

「わかんない。わかんないけど…この子、助けなきゃ」

「その白いの、暫くは食っていけそうだな」

「食べちゃ駄目!」

 

まどかが怒鳴る。

 

その時、三人の周りの空間も歪み始めた。

さやかは先ほどまであった非常口が無くなっていることに気づいた。

 

「あれ?非常口は?どこよここ」

「道間違えたんじゃないのか?」

「そんな筈ないよ。確かにこっちに…」

「変だよここ。どんどん道が変わっていく!」

「気持ち悪い場所だな」

「あーもう、どうなってんのさ!」

「やだっ!何かいる!」

「何だこの髭タンポポ」

 

気がつけば、三人の周りにタンポポの綿毛に髭がついたような生物?がたくさんいた。

 

「囲まれてるぞ」

「冗談だよね? 私、悪い夢でも見てるんだよね? ねえ、まどか!」

「ひっ」

「キヒヒヒヒヒ」

 

その髭タンポポは鋏でチョキチョキしていた。そしてまどかたちに襲い掛かろうとした時、ヴァンは切れた。

 

「あぁぁぁ!!うっせぇ!!!」

 

ヴァンは腰にぶら下げている蛮刀を伸ばしなぎ払った。

 

「俺をここから出せこの野郎!」

「ヴァンさん!?」

「な、何なのあんた…」

 

前にいる奴らを斬り飛ばすが、後ろからも襲い掛かってくる。

 

「きゃっ!」

「まどか!」

 

しかし、髭タンポポの攻撃はまどかに届くことはなかった。

 

「えっ?」

 

気がつけば、髭タンポポは全ていなくなっていた。

 

「あ、あれ?」

「これは…?」

 

奥からまどかと同じ見滝原中学の制服を来た髪の毛が薄い黄色の女性が現れる。

 

「危なかったわね。でももう大丈夫」

「あんたか、今の光」

「ええ、そうよ。あら、あなた達がキュウべえを助けてくれたのね。どうもありがとう」

「野生じゃないのか」

「その子は私の大切なお友達なの」

「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が…」

 

その女性はまどかの言葉に興味を持つ。

 

「ふぅん、なるほどね」

「その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

「あ、あなたは?」

 

さやかは不思議そうに訊ねる。

 

「そうそう、自己紹介しないとね。 …でもその前に」

 

周りには再び髭タンポポが湧いていた。

 

「ちょっと一仕事、片付けちゃっていいかしら?」

 

そう言うと女性は宝石を自分の前にかざし、マジカルな服に変身した。

 

「はっ!」

 

そして高く飛び上がり、マスケット銃を展開。そして下にいる髭タンポポにひし形の弾幕を張り、敵を全滅させる。

 

「す…すごい」

 

まどかとさやかは驚きのあまり、呆然としていた。

 

「へぇ、中々やるもんだな」

 

ヴァンは意外そうに見ていた。

敵が全滅したからか、空間が元に戻っていく。

 

「も、戻った」

 

するとそこへほむらが現れる。

 

「お、ほむほむじゃねぇか」

「その呼び方はやめて」

 

黄色の少女はほむらに話しかける。

 

「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」

「私が用があるのは……」

「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」

「……」

「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」

 

するとほむらは少しの間考え、その場を去った。

 

「はぁ~」

「行っちまった」

 

緊迫した空気が解け、まどか達は一息つく。

しばらくして、安全なところへキュウべえを移す。

そこで少女はキュウべえを謎の光で治療する。

 

「ん、んんぅ」

 

キュウべえが目を覚ます。

 

「ありがとうマミ、助かったよ」

 

マミと呼ばれた少女はキュウべえにまどかを紹介する。

「お礼はこの子たちに。私は通りかかっただけだから」

「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」

「喋ったぞ。この動物」

「君は僕が認識できるのかい?」

「はぁ?お前そこにいるじゃねぇか。何言ってんだ」

「えっと…あなたが、私を呼んだの?」

「そうだよ、鹿目まどか、それと美樹さやか。それと、魔法少女でもないのに僕を認識できる君は誰だい?」

「ヴァンだ。人呼んで、夜明けのヴァン」

「ヴァンだね。憶えておくよ」

「えぇぇぇぇ!?この人があのヴァン!!?」

 

さやかがとんでもない大声で驚く。

 

「…?知ってるのか?」

「知ってるも何もうちのクラスで有名人だっての。ねぇまどか」

「う、うん」

「あら、この人が不法侵入の人だったの」

「だから間違えたんだって…」

「あの~、僕を忘れないでくれないかい?」

「ああ、ごめんごめん。で、なんで私たちの名前を?」

「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」

「お…お願い?」

 

キュウべえはまどか達に笑顔で勧誘する。

 

「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

「へ?」

「魔法…少女?」

「嫌だ」

 

ヴァンが答える。

 

「君には言ってないよ」

「まあ、ここで話すのもあれだから、私の家に行きましょう?」

 

マミが提案する。

 

「え?いいんですか?」

「ええ。では行きましょう」

 

マミが立ち上がる。

まどか達はそれについて行く。

 

 

 

 

 

 

とあるのビルの屋上にほむらは立っていた。

 

「まどかだけは…絶対に守る!」




ちなみに、ほむらのまどかに対する説得はヴァンが気絶している間に行いました。

……ヴァンさんらしくできているかなぁ?
めちゃくちゃ難しい主人公だと思う…。


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