バカが見滝原にやってくる   作:クルクル舞朱雀

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何とか今月に計2話投稿することができました。

楽しみになさっているかたには申し訳ありませんでした。


今回も前回と同じくドラマCDネタが入っております。

それではEpisode21始まります!


Episode21 いつだって波乱ヴァン丈 疑問編

「チェェェーーストォォ!」

 

ヴァンの持つ蛮刀が魔女を斬り裂き、魔女は消滅する。

結界が元に戻る中、さやかは大きく伸びをする。

 

「さーてと、本日の魔女退治完了!」

「それにしても便利だよな、ほむらの時間停止」

 

杏子がニシシと笑う。

 

「皆さんのお役に立てて嬉しいです」

「でもヴァンさん、ほむらちゃんの魔法に頼らないね」

 

まどかはヴァンの方を見る。

 

「慣れねぇんだ。時間が停まるっての」

「もう少し協調性を持ってくれればいいんだけれど…」

 

マミは頭を抱える。

すると、小さい子供の声が聞こえた。

 

「キョーコ、キョーコ!果し状、六時から!」

「おお、ゆま。…来たか。怖いもの知らずな挑戦者が。悪い、ちょっくら行ってくるわ」

「あんた、そんなことしてたんだ…」

 

さやかは呆れた表情をする。

 

「風見野に居た頃の噂が広まって挑んでくる魔法少女が結構いるんだよ。ま、楽勝だけどな」

「キョーコ、これ使って!」

 

木やら竹やらで作られた槍を差し出すゆま。

 

「…何だこれ」

「ゆまが作ったお守り!これ使えば勝てるよ!」

 

それをきいたさやかはひっくり返る。

 

「いや、どう考えても無理だろ!流石にこれで勝てるわけねぇよ!」

「ゆま、役に立たない…?」

 

ゆまが今にも泣きそうな目で杏子を見上げる。

 

「あ、あのな。お前の気持ちは嬉しいんだけどよ、これで勝てるかどうかは別として…」

「……グスン」

「時間でしょ。行けば?」

「さやかお前、他人事だからって…。あー、どうにかなんねぇかな〜」

 

ゆまをなだめながら行ってしまう杏子。

 

「……さ、帰るぞ」

 

ヴァンはそう言い、マミの家へと向かった。

 

 

 

 

「ほむらちゃんが転校してきてから一ヶ月かあ……」

 

皆が帰った後、見滝原の高台でまどかとほむらの二人は一緒に話していた。

 

「皆との共同作業も慣れてきたし…」

「今日のほむらちゃん、格好良かったよ!」

「格好良い…私が?……エヘへ」

 

顔が赤くなるほむら。

 

「私ね。前までは私も魔法少女になりたいって思ってたけど、今はそうは思わなくなっちゃった」

「え……?」

 

星空を見上げるまどか。

 

「私には私の出来ることがある。何も無理してみんなと同じになる必要はないんだって」

「まどか…」

「あれ、何で私そう考えたんだっけ…?誰かが私にアドバイスしてくれたような、でもそれっていつ?」

 

 

 

――――カシャ。

 

 

 

すると、時刻が八時になる。

 

「わっ、もうこんな時間。急いで帰らないとママに怒られる!」

「あ、うん。じゃあまどか、それじゃまた明日」

 

 

二人が別れたその場所に、ヘロヘロになった杏子が現れる。

 

「……なあゆま」

「はい、ごめんなさい」

 

ゆまは落ち込んでいる。当然だが。

 

「お前の気持ちは嬉しいんだが、今度はもう少し改良しような。一発で壊れちゃお守りにもなんねぇ…」

「うん…」

 

 

 

見滝原の町外れにある酒場で、ヴァンとさやかは食事をしていた。

 

「…で、中学生に奢られる大人ってどうなのよ。ヴァンさん」

「仕方ねぇだろ、マミの奴が帰ってこねぇんだから」

 

数十分前、魔女の反応があると言ったきり帰ってこないのだ。

 

「でも、魔女の反応なんて無かったけどなぁ」

「何だ?じゃああいつの勘違いか?」

「多分そうじゃない?」

 

ハンバーグを口に頬張りながら首を傾げる。

 

「つーことは今あいつ何やってんだ?」

「さあ…大丈夫かなマミさん」

 

 

 

 

翌日、結局マミは行方不明のまま、魔女退治を行うことになった。

 

「えいっ!」

 

ほむらの投げた手榴弾が魔女を仕留める。

大きな爆発が起こり、煙が晴れる頃には結界は消滅していた。

 

「やった!ほむらちゃんすごいよ、大活躍だよ!」

 

まどかがほむらに抱きつく。

 

「今日はあんたの手柄だな」

 

そう言いうんまい棒を差し出す杏子。

皆ほむらの成長にわいわいと喜ぶ。

そんな中、ほむらは違和感を感じていた。

 

(私達の魔女退治って、いつもこんな感じだったっけ…?)

 

何かが違う。

いつもと同じ景色、いつもと同じ町。何も変わらない筈なのに、何かがおかしい。

そんな気持ちが、ほむらを侵食していった。

 

 

 

 

「ほーむら!」

 

さやかに呼ばれ、気がつくとほむらは酒場にいた。

目の前には頼んだ覚えのないオレンジジュース。

 

「何かぽけーっとしてるけど大丈夫?もしかして疲れた?」

「いえ、そんなことはないです!」

 

ほむらはキョロキョロとあたりを見回す。

 

(こんな店あったかなぁ…)

「…ごめんなさい。やっぱり少し疲れてるみたいなので帰りますね」

「え、ああうん。そっかお大事に。送ろうか?」

「大丈夫です。一人で帰れます」

 

オレンジジュース分の代金を置き、ペコッと一礼をし店を出る。

 

見滝原の駅へと向かうほむら。

そこでほむらは見滝原全体の地図を見る。

 

(やっぱり!地図のどこを探してもあの酒場の情報は載ってない…。とても穴場的なお店とは思えないし…)

 

地図の中央へと目を移した時、ほむらはある事に気づいた。

 

(これは…!)

 

 

 

 

「んで、あたし達に相談って何さ?」

「マミの居場所でも分かったか?」

 

カフェのテラス席にはほむら、ヴァン、杏子の三人が座っていた。

 

「いえ、それはまだなんですけど…。あの!この見滝原、何かおかしくありませんか?」

「おかしいって何が?」

「町の建物です」

 

ほむらは地図帳を開き、テーブルに広げる。

 

「昨日、美樹さんと一緒に行った酒場はこの場所にありました」

「ありましたって、そんな店載ってねぇぞ?」

 

杏子が首を傾げる。

 

「そういやあったな。そんな店」

 

ヴァンは思い出したように呟く。

 

「表示ミスか何かじゃないのか?」

「それならまだしも、これは流石にミスじゃ言い訳できません」

 

そう言ってほむらが指を指したのはこの町の中央にある時計の塔だった。

 

「この時計塔も、地図には載っていませんでした。駅でもそうです」

 

何だそりゃ、と呆れるヴァン。

 

「確かに変だけど、この塔を調べるのかい?」

「いえ、まずはこれが見滝原だけなのかが疑問です。佐倉さんは隣の風見野から来たんですよね?」

「そうだけど?」

 

パンケーキを食べながら肯定する杏子。

隣ではヴァンは砂糖をぶっかけたケーキを食べている。

 

「一緒に調査して欲しいんです。もちろんヴァンさんも」

「何で俺まで」

「巴さんの手がかりがあるかもしれないので」

 

杏子はパンケーキの上に乗っかっているバニラアイスを食べるとニヤリと笑う。

 

「まだ完全に信じられねーけど、まあ少し気になるな」

「ありがとうございます!必ずお礼はするので」

「じゃあラーメンだ」

「ラーメンですか?」

 

ほむらはキョトンとする。

 

「ああ、風見野に美味いラーメン屋があるんだ。それをご馳走してくれたらな」

「はい!」

「丁度いいじゃねぇか。俺のも頼む」

「は、はい…」

「あんた大人だろ…」

 

 

 

 

三人は見滝原駅前にあるバス停に着き、そこで風見野行きのバスを待つ。

 

「久しぶりな気がすんな〜。風見野に戻るの」

「どれくらい離れていたんですか?」

「三、四ヶ月くらいだったかな」

 

そこで風見野行きのバスが来る。

 

「お、来た来た」

 

時刻は三時。まだ明るい時間である。

 

「ここから大体十五分くらいだな」

 

バスに乗り、発車する。

 

「どんな町なんだ。その、風見野ってのは」

「比較的安全で過ごしやすい町さ。まあ、その分魔女はヌルかったけどね」

 

見滝原を出たバスは病院前、繁華街と停まっていく。

しばらくしてついに終点、風見野に着く。

 

『次は〜風見野。風見野』

 

 

「さ、着いたぞ」

 

バスから降りた三人は風見野の町を見る。

 

「さあ、これが風見野……だ?」

 

目の前の光景には海と間違うレベルの大きい河に橋がかかっていて、その前に街があるというものだった。

 

 

――――カシャ。

 

 

「どういうことだ、おい…!」

「ここが、風見野市?」

「んあ?そういやここどっかで見たような…。何だっけ」

「え……?」

 

 

見たことのない街に杏子が混乱する。

 

「違う!ここは風見野じゃねー!こんな大きな河はなかった!つか、ここは町じゃなくて街じゃねぇか!」

「じゃあ、ここは一体……?」

 

確かにバスのアナウンスは風見野と言った。しかし、杏子曰く、ここは風見野ではないという。

 

「何だよ、このでっけぇ橋はよ…。くそっ、一旦戻るぞ!」

 

三人は一つ前のバス停まで戻り、そこから歩きで風見野へと向かう。

 

「間違いない。この道で合ってる。ここを曲がれば風見野に着くはずなんだ」

 

しかし、その先には先程の大きな河と街しかなかった。

 

 

「……この橋の先ということは…?」

「行ってみる価値はありそうだな」

 

橋を渡り、しばらく道を行く。しかし、一向に風見野らしき町影は見えなかった。

 

どれだけ進んでも辿り着くのは、怪しい花畑、廃れた町と城、中華風な町、そんなものばかりであった。

 

挙句の果てには、見滝原の街に戻ってきてしまった。

 

「…これは魔女の仕業か?」

「まあこんなこと出来るのはそれぐらいだよな」

「分かりません。でも多分別だと思います」

 

別というほむらに食って掛かる杏子。

 

「別って他に何かあんのか?」

 

少し不機嫌気味の杏子。

 

「とにかくもう夜だ。真っ暗。さっさと帰ろう。俺は歩き疲れた。明日でもいいだろ?」

「…そうだな。頭がパンパンで整理しなくちゃな」

 

そう言い、二人とは別の道を行く杏子。

 

「そんじゃあな。また明日」

 

杏子はそのまま夜の闇に消えた。

二人はその場に残される。

 

「そういやさっき思ったんだけどよ」

 

思い出したように言うヴァン。

 

「今日通った所全部見覚えがあんだ。何処だったっけなぁ…」

「さっき言ってましたね…。詳しく話してください」

 

ほむらはその話に食いつく。

 

「何時だったか、俺が別のところから来たって言ったよな」

「はい、正確には教えられたけど」

(教えられた…?誰に?何処で?何時?)

 

 

 

 

――――カシャ。

 

 

 

 

また少し、違和感を感じたほむら。

 

「あん時、俺が旅した場所と似てるな、って思ったんだ」

「全部ですか?」

「ああ、全部だ」

 

少しずつ、ピースが埋まってきている。そんな気がした。

 

(ヴァンさんの記憶と似た街。風見野の消失。…恐らく犯人は魔女ではない。見滝原と風見野の二つの町に影響を与える魔女がいるとは思えない……)

 

その時、ほむらはハッと何かに気付く。

 

(魔女ではない第三者がこの状況を作れるとしたら?魔法少女でも魔女でもない第三者……)

 

ほむらの脳裏に白い生物が思い浮かぶ。

 

 

(キュウべえ…!)

 

 

「おいどうした。何か分かったのか」

 

ヴァンが声をかける。

 

「…ありがとう、ヴァン。お陰で真相に近づけたかもしれないわ」

「おう、そうか。で、分かった事って何だ?」

「それについては少し調べたいことがあるから、今度話すわ」

 

そういってヴァンを置いて何処かへと移動するほむら。

 

(彼ならここからでも帰れるでしょう…)

 

ヴァンが見えなくなった辺りで、ほむらは眼鏡を取り、三つ編みを解く。

 

黒いストレートの髪。そして、眼鏡を取ったその目は、まだ頼りないオドオドした目ではなくなっていた。

 

(この見滝原。いや、この世界には足りない者が二人、そしてある筈のない物が三つある。一人は、美国織莉子。そして呉キリカ。どういう訳か、この二人は未だ顔を見ていない)

 

夜の見滝原を見下ろすほむら。その姿は尖った刃物のようだった。

 

(余計なもの。一つめは酒場。二つめはヴァンの記憶に似た街。三つめは…)

 

その視線は時計塔に注がれる。

 

「この町の中央にある、立体パズルのような時計の塔…!」

 

 

 

――――カシャ。

 

 

 

 

トン、と夜の見滝原へとほむらは跳んだ。

 

 

 

 

誰も居ない見滝原の公園の砂場で、一つ大きな穴が開いた。

そこから出てきたのは、行方不明のマミだった。

 

 

「やった……!地上よ!」




幕間劇 ほむらさん


ほむら「ほむら、でーす」

さやか「やっほー、ほむら」

ほむら「何、さやか。今グリーフシードの管理で忙しいのだけれど」

さやか「そんなの後でいいじゃん。しりとりしよう!」

ほむら「嫌よ」

さやか「よ、よ、よ……」

ほむら「ちょっと」

さやか「ヨット!チッチッチッチッチ…」

ほむら「私はやるとは…」

さやか「チッチッチッチッチ…ブー!時間切れ。あんたの負け。はい、パフェ奢りね」

ほむら「ちょっと。私は参加してないわ」

さやか「やっぱり納得いかない?」

ほむら「当然よ」

さやか「しょうが無いな。じゃ、もう一回」

ほむら「却下」

さやか「か、か、か……」

ほむら「待ちなさい」

さやか「乾燥機!チッチッチッチッチ……」

ほむら「くっ…機関銃!」

さやか「うー、うー、運気!チッチッチッチッチ……」

ほむら「き、き、き、機雷!」

さやか「何か物騒だなぁ。息!チッチッチッチッチ…」

ほむら「き攻めなんてズルいわ」

さやか「チッチッチッチッチ…」

ほむら「…機関砲!」

さやか「物騒な物から離れなって。雨季。チッチッチッチッチ…」

ほむら「………き、き、き、」

ほむら(何故?何故前向きな言葉が出て来ないの?物騒な言葉ばかり…)

さやか「チッチッチッチッチ」

ほむら「き……綺麗事、ダメ」

さやか「チッチッチッチッチ…」

ほむら「何か、…機銃掃射は、酷すぎる…」

さやか「チッチッチッチッチ…」

ほむら「ま、待って!」

さやか「チッチッチッチッチ…」

ほむら「待ちなさい!美樹さやか!」

さやか「チッチッチッチッチ…」

ほむら「くっ……」

さやか「ブー。時間切れー。よっしゃー!パフェゲット!」

ほむら「どうして、どうして勝てないの…?」

さやか「あんた実はしりとり弱い?」

ほむら「……!ち、違うわ。ちゃんとネタは…」

さやか「あ、マミさーん。もしかしてそれケーキですか?あ、持ちますよ」



アハハ、アハハ



ほむら「機銃…運命…因果…骸骨…月………」

ほむら「キュウべえ、殺す…!」

キュウべえ「わけがわからないよ」




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