これからは一週間ぐらいのペースで投稿できればいいなと思います。
「おじゃましま~す」
「お、おじゃまします」
まどか達は、今マミの家にいる。
「独り暮らしだから遠慮しないで。ろくにおもてなしの準備もないんだけど」
「じゃ、遠慮なく」
ヴァンも家に入ろうとする。
「……別に構わないけど、靴は脱いでね」
そう言われてヴァンは靴を脱いでから入った。
マミは冷蔵庫から手作りのシフォンケーキを人数分出した。
「わあ、おいしそう」
「いただきま~す!」
さやかは口いっぱいにケーキを頬張る。
まどかもケーキを口に入れる。
「調味料はあるか?」
「調味料?」
「むぐっ!」
そう聞いてきたヴァンの言葉を聞いて、まどかがケーキを喉に詰まらせる。
「ああ。出来ればありったけ・・・」
「ダメーーーーーッ!!!」
横からまどかが必死に止め、ヴァンからケーキを取り上げる。
「何すんだ」
「それはこっちのセリフ!」
「どうしたの鹿目さん。一体何が…」
「それがですね…」
まどかは朝の出来事をマミ達に説明した。
「そ、それは…」
「わけがわからないよ」
「でも実際に見てみたいな。その食べ方」
横からさやかが口を挟む。
「やめて欲しいんだけれど」
「僕もそれは勘弁だね」
「お~い、そろそろ食べたいんだが」
「まだ駄目!」
「そもそも、何故ヴァンは料理に調味料をかけるんだい?」
「そうしないと食べた実感がしないからだ」
「それって…?」
「昔色々あったんだ」
「あ、そうだ。これならどうかしら」
マミが何かを思いつく。
「何かいい方法でもあるんですか?」
「これは菓子類だから、ケーキに合う物をかければいいのよ」
「そうか、チョコチップとか生クリームとか!」
「何でもいい。調味料を持ってきてくれ」
そしてマミはヴァンに生クリームとイチゴジャムとマーマレードを持ってきた。
「はい、どうぞ」
「どうも。よっと」
シフォンケーキの上にどんどん色々とかけていく。
「うわぁ…」
「凄く甘そう…」
ヴァンはそれにかぶりつく。
「甘ーーーーーーーい!!」
「だろうね」
ヴァンが食べ終わったところで、ようやく話を始める。
「さ、さて、一区切りついたところで魔法少女について説明するわね」
「まずは僕が説明するね」
キュウべえが前に出る。
「僕は君たちの願いを何だって一つ叶えてあげる」
「えっ、本当?」
「願い事って?」
「何だって構わない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
「へぇ」
「そのかわり、君たちには魔法少女となって魔女と戦ってもらうんだ」
「それで…キュウべぇと魔法少女の契約すると生み出されるのが、これ」
マミはポケットからとても綺麗な石を出す。
「わぁ、きれい」
「これがソウルジェム。魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
「そしてこの石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」
「魔女?」
「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」
「願いから産まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから産まれた存在なんだ」
キュウべえはヴァンにもわかりやすく説明する。
「魔法少女が希望を振りまくように、魔女は絶望を蒔き散らす。しかもその姿は、普通の人間には見えないから性質が悪い」
「俺には見えたぞ」
「そこが不思議なんだ。ヴァン、君は一体何者なんだい?」
「キュウべえ…?」
「まあいい。話を続けるよ」
「魔女は不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災いの種を世界にもたらしているんだ。魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君たちが迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
「あれも魔女の仕業なんだ」
「そうよ。人を嫌な気分にさせて危害を加える悪いやつが、魔女ってこと」
マミはまどかとさやかに提案する。
「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
「えぇ?」
「私も!?」
「あなたたちはキュウべぇに選ばれた。あなたたちにとってはもう他人ごとじゃないもの」
「……」
「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。その上で、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
「た、確かに…」
「ヴァ、ヴァンさんはどうすればいいと思う?」
「そ、そうそう。あんたの意見も聞いておきたいし」
まどかはヴァンに聞く。
「お前らの自由にすればいい。だけどな、半端な覚悟ならやめておけ。そんな奴には魔法少女なんてのは向いてない」
「彼の言うとおりよ。中途半端な覚悟じゃ死ぬだけよ。だからちゃんと考えてね」
「あとな、そこの白猫」
「なんだい?」
ヴァンはキュウべえの方を見る。
「何故だか知らないが、俺はあんたが気に食わない」
「何故そう思うんだい?」
「勘だ。まあ、胡散臭いのが原因だと思うが」
「そうか。君に斬られないように注意しておくよ」
(まだ僕の正体に気づいた、というわけではなさそうだね。ヴァン、君は本当に何者なんだい?)
「あなたもキュウべえを追い回す気かしら?」
マミが警戒してくる。
「いいや。今あんたとここでやりあった所で俺に得がない」
「流石にその辺は理解しているようね」
「ところでヴァンさんはこれからどうするの?」
「さあ、どうするかな。今のところヨロイも必要ないみたいだし」
「質問いい?ヨロイって何?」
さやかが聞いてくる。
「あ?お前ヨロイを知らないのか。見たことあるだろ、でっかいメカ」
「へ?何それ。見たことも聞いたこともないんだけど」
「僕も知らないな。良ければそのヨロイというものを僕にも見せてくれないかい?」
「キュウべえでも知らないなんて…。そのヨロイって一体何なの?」
「お前ら本当に知らないのか。まあいいか、今度見せてやる」
「今度って何時よ」
「気が向いたらだ」
「えぇ~。今は?特にやることも見つかってないんでしょ?」
「まあな。だけどいいのか?今ここでやればこのくるくるん家ぶっ壊れるぞ」
くるくるとはマミのことである。
「マジか…。そりゃ駄目だわ」
「くるくるって……」
するとまどかが時計を見る。
「さやかちゃん!そろそろ時間!」
「あっ、ヤバっ!それじゃマミさん御馳走様でした」
「気をつけて帰るのよ。それと魔法少女のこと、じっくり考えてね」
「はい、おやすみなさい」
「おう、じゃあな」
そう言ってまどかたちはマミの家を出ていった。
「……」
マミはヴァンのほうを見る。
「ん?何だ」
「あなたも帰らなくていいのかしら?」
「元々帰る家がないからな。いつもこうやってフラフラしてる」
「そう……。いや、そうじゃなくて」
「そういうお前は?親はいないのか?」
「…昔亡くしたわ。交通事故で」
「マミは今日までずっと独りで戦ってきたんだ。魔法少女として」
「そういえば何故貴方はタキシードを着ているの?」
「…まあいいか。別に隠す内容でもないしな」
ヴァンは過去のことを話し始めた。
「俺は、生まれた時から一人だった。親が誰なのか、どうなったのか知らない」
「貴方も…」
「食べる事だけ考えてて・・・それには、金と力さえあればよかった。
世界は俺にとって単純に出来ていた……エレナに会うまでは」
「エレナ?」
「誰だい?その人は」
「俺が…結婚する筈だった人だ」
「君なんかをもらう人がいるなんて、余程な物好きだね」
「こらキュウべえ!」
ヴァンは茶々を入れたキュウべえを捕まえて座布団代わりに使いながら続きを話す。
「あいつにとって俺は、単なる仕事仲間だった筈だった…。筈だったんだ!だが、あいつは俺に、優しく…してくれたんだ」
「それまで俺は、殴られ、蹴られ、唾を吐きかけられ…。でもその相手を叩きのめして…」
キュウべえは何とかヴァンの下から抜け出してきた。
「俺にとって『他の奴』ってのはそういうもんだった。なのにエレナは手を握ってくれたんだ。俺はそれまでの自分がひどく、惨めに思えて…。俺は、あいつが俺を変えてくれると思った」
二人は黙ってヴァンの話を聞いている。
「俺はエレナが、あいつが好きだった!本当に好きだった…。俺はあいつと一緒にいたかっただけなんだ。あいつは、一緒にいてくれると言った。俺と暮らしてくれると言った。なのに、それはできなかった…俺はあいつを守れなかった。やっと見つけた一番…大切な……」
「一体何があったの?」
「あいつが…」
「あいつ?」
「あいつが、鍵爪の野郎がエレナを殺したんだ!!!!」
衝撃の事実にマミは言葉を失う。
「え…?」
「結婚式の当日、壇上で待っていたのは牧師じゃなくて奴だった。俺を無視して、エレナに近づいて殺したんだ!」
「何か理由があったんじゃないのかな?」
「関係無ぇ!あいつはエレナを殺したんだ、ただそれだけだ」
「そんな……」
マミの心に複雑な気持ちが芽生える。
「だから俺は決めた、奴を殺してエレナの仇をとるって!」
「それで結果はどうなったんだい?」
「もちろん殺したさ。時間は掛かったけどな」
「それがタキシードを着ている理由か。成る程、よくわかったよ。それにしても復讐を一人で最後までやり遂げるとは強い心の持ち主だね」
「いいや、一人じゃなかった。ウェンディやカルメン、レイにエルドラの爺さんたち、ジョシュア。プリシラもいたからな。正直邪魔だったこともあったが、あいつらがいなければ無理だった」
「ご、ごめんなさい…。まさかそういう理由だとは思わなくって」
「別にいい。もう終わったことだしな」
そういってヴァンは席を立つ。
「どこへ行くんだい?」
「ちょっと風に当たってくる」
そのままヴァンは外へ出る。
「……お前らまだいたのか」
そこにはとっくに帰った筈のまどかとさやかがいた。
「あ、あのヴァンさん…今の話…」
「あはは、き、聞こえちゃった」
「別に怒りはしねぇよ。ただお前らには刺激が強すぎたんじゃないのか。特に窓、お前だ」
「窓じゃなくってまどか!」
一応名前を訂正する余裕はあるようだ。
「その、なんて言ったらいいのか…」
「別に変な気遣いはいらねぇよ。それより時間。いいのか?」
「あ、うん不味いかも」
「まったく…。おい、おまえも手伝え」
「え?」
ヴァンがそう言うと、上から誰かが現れた。
「ほむらちゃん!?」
「て、転校生!」
「気づいていたの」
「視線がバレバレだ。おい、窓を送ってやれ」
「ちょっ、そいつは…!」
さやかが止めようとするがヴァンに遮られる。
「ほむほむの実力なら大丈夫だ。そうだろ?」
「安心して。まどかは私が守る。あとその呼び方」
「んでみっきーは俺が送る。それでいいだろ?」
「う、うん。いやそうじゃなくって。ってみっきー!?」
「んじゃ頼むぞ、ほむほむ」
「はぁ、もういいわ」
そうして別れる2チーム。
「ほむらちゃん」
「何?」
「ほむらちゃんはさっきの話聞いてた?」
「…そりゃあ、あんな大声で話していたらね」
「どう思ったの?」
「特には何も…」
「そうなんだ……」
「……」
(大切な人を守りたかった気持ち、私には痛いほどよくわかる…。だから今度こそ私は…!)
一方その頃、ヴァンとさやかは…。
「ねぇ、ヴァンさん」
「何だ」
「私、魔法少女になるとしたらヴァンさんみたいに強くなりたい」
「あ?俺みたいに?」
「ほら、あの時、あの髭タンポポ斬り飛ばした時の様にさ」
「ふーん」
「ふーんって…」
「…その時になったら考えてやる」
「ほんとに!?やった!」
そんなことを話している内にさやかの家に着いた。
「あ、ここでいいわ。ありがとね」
「そうか。じゃ、またな」
さやかと別れ、ヴァンたちはそれぞれの夜を過ごしていく。
ここでヴァンの過去話を公開。
杏子の登場をどうしようかなと試行錯誤中。
次くらいにはゲルトルート戦に行きたいなと。
意見、感想などいただければ嬉しい限りです。
QB「戻ってこないな…。ヴァン」