Fate/Rage   作:ぽk

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第二回戦(後)

 

 

 

 

夢を見た。

 

其れは初めて見る夢だった。

 

 

若者が弓を取り、矢を放つ。

撃たれる者、撃つ者。

 

護るべき存在に迫害されようと、若者は見捨てなかった。

 

姿を隠し、顔を隠し、息を潜めて狩を行う。

 

獲物は多勢、此方は一人。

獲物は騎士、此方は無名。

 

獲物を狩る為に、若者は手段を問わなかった。

 

日に日に獲物との狩は激しさを増していく。

 

しかし・・・それでも、若者は守り続けた。

 

若者にも望みはあった。

だが、望みよりも若者は、護る事を選んだ。

 

報われる事は無い。

それでも、若者は望んだ。

 

己にとって眩しい筈の————騎士の誇り、に・・・。

 

 

———————————————————

 

 

「新しくなったアリーナにやってきました!感想はどうですか白野?」

 

 

テンションが高いサモナーに起こされた私の身にもなってくれ。

物凄く眠たいに決まってる。

 

頼むから部屋に戻らせて。

そして、寝かせてくれ。

 

 

「何言ってるんだよマスター?!こんな鬱蒼としたアリーナが出来たんだから散歩しなきゃ損だろ?!」

 

 

ねぇ、何で今日はそんなにテンション高いの?

苛めなの?私を苛めて楽しんでるの?

 

心臓潰すぞ、この黒豆。

 

 

「ちょ、何で僕黒豆。」

 

 

黒いし、豆腐以下の耐久値だから。

それに直ぐに死ぬから其れで良いかなって思っただけ。

 

あ、黒豆に失礼か。

 

じゃあ、直ぐに死ぬ召喚士を略して直死(すし)だな。

 

 

「え、直死(ちょくし)じゃなくて直死(すし)?!略し方がおかしいのと、僕そんなにすぐに死んでないでしょ?」

 

 

あれ・・・。

そうだっけ?

 

私の記憶じゃ、何か一回戦毎に死んでる気がする。

 

更にエネミーに何度殺されたんでしょうね?

毎回毎回グロテスクな展開が巻き起こってる私の身にもなって見ろ。

 

 

「スイマセン。反省します。」

 

 

じゃあ部屋に帰ろう。

今すぐ帰ろう。

帰って寝たいんだ!

 

 

「えー、そんな事言わずにさ。彼方さんも来てるんだし、ちょっと挨拶でもしに行こうよ。」

 

 

グイグイと私の腕を掴んでアリーナの奥に行くサモナー。

 

ちょっと待って欲しい。

彼方さんって、もしかしなくてもダン卿の事ですか?

 

 

「そうだよ。ほら、丁度あの古木の下に居るよ。今日はバッチリサーヴァントも姿見せてる。良いねぇ!最高の戦闘日和じゃないか!」

 

 

とんでもない事を口にするサモナー。

 

勘弁してくれ!

ホントに帰らせて!

 

昨日あんなに好き放題戦ったじゃないか!?

 

 

「いやいや、君が止めたから不完全燃焼だよ。だから、昨日の夜に『朝一にてアリーナで待つ』と言うメッセージを送ったんだ。」

 

 

このサーヴァントほんとに何してやがるんだ!?

 

 

「...君のサーヴァントは、制御など出来るサーヴァントではないのだな。」

 

 

ダン・ブラックモア...ダン卿が語り掛ける。

 

 

「いや、そもそもアレに制御なんて無いっすよ旦那。アレを制御なんてしたら人間止めてますよ。」

 

 

その隣にいる緑衣のサーヴァント。

あの時見た姿と何ら変わりはなさそうだ。

 

森の狩人、毒、弓兵。

 

正体は分かった。

だが、今日は本線では無い。

 

殺し合いに意味は無い。

だが、避ける事にはきっと意味がある。

 

 

「おいこら、そこの緑アーチャー。うちのマスターに余計な事を言わないでくれるか。変な誤解を生んで、混乱するだろ?止めてくれよ。」

 

「どんだけマスターの事好きなんだよ?!おたく人間好きでしたっけ?!」

 

「当たり前だろ!?僕程命と星を愛しまくってる・・・違った、白野を愛してるサーヴァントは居ないぞ!居たら殺す!!!」

 

「物騒過ぎんだろ?!」

 

 

本当はお前等仲良いんじゃないのか、と疑うくらいの何かを感じる。

 

いや仲が良い、と言うよりも・・・。

古い友人の様な関係に見える。

 

 

「さあ!話は終わったんだ!盛大に殺し合おうじゃないか!」

 

 

物騒な事言わないでよ!?何でそんなに殺り合いたいの?

本戦まで落ち着け!

 

 

「・・・・・・なんか向こうは殺る気ですけど、旦那どうします?」

 

「正面から受けて立とうじゃないかアーチャー。弓の腕前なら負ける事は無い。」

 

 

ダン卿も戦う気はあるらしく、緑衣のアーチャーが弓を構える。

 

せ、戦闘開始ですかい?

 

 

「出し惜しみ無しで行こうかマスター!」

 

 

う、うん・・・此処まで来て引き返せないのなら潔くは無いけど戦います。

 

 

「サーヴァント相手なら、使ってもいいんでしょ旦那。」

 

「ああ、ただし彼女に使う事は許さんぞ。」

 

「ヘイヘイ、分かってますよ。」

 

 

そんな軽口をたたく緑衣のアーチャーだが、弓の腕は確かに見事だ。

 

サモナーの心臓を一度貫いた事で、矢がサモナーに刺さる事は無い。

しかし、それでも彼の弓兵としての腕は本物だ。

 

鞭のように縦横無尽に矢を放ち、命中する事は無いと分かっているが、攻撃は止まない。

 

 

「弓の腕鈍ったんじゃないか?生前よりも劣ってるよ。」

 

「チッ、そう言うおたくこそ、前よりも弱くなってませんかね。」

 

「弱いよ。僕は何時だって弱くあらなきゃいけないんだ。お前も知ってるだろ?」

 

「そっすね。おたくは何時だって弱者だが、何時でも強者に成れる。」

 

 

アーチャーが放つ風を切る矢を、カードで叩き落として行くサモナー。

弾かれた矢は地面に刺さり、その一帯が腐敗していく。

 

 

「うっわ!相変わらず、えげつない毒使ってんのな。」

 

「おたくよりは優しい毒だろ。」

 

 

減らず口を叩きながらも、サモナーは確実にアーチャーにダメージを与えている。

ステータスの差があるとしても、相手の攻撃が当たらなければ意味がない。

 

 

「成程・・・心臓は魔力が一点に集中する炉、そのもの。攻撃を心臓に向けさせ、あえて破壊させることにより、魔力の流れを暴走させ、魔力の乱れを発生させる。その爆発的な魔力の乱れにより、攻撃は全て外れ、乱され、決定打にすることが出来ない、と言う訳か...」

 

「そうだ。僕はそうでもしないと直ぐに死んじゃう弱いサーヴァントなんだよ。」

 

「いやいや、心臓貫かれて平気な顔してる、おたくの何処が弱いんだよ?」

 

「お前ふざけんなよ?!平気な顔してると思ってるんなら大間違いだぞ!?死ぬほど痛いし、立ち上がっても死にそうな程痛いんだからな?!」

 

 

...死んでも立ち上がれるお前を、誰が弱いと言うのだろうか?

不死性の英雄達ですか?

 

 

「白野、幾ら不死性を持ってたとしても、死ぬんだよ。そしてまた生き返る。不死なんて言ってるけど、やっぱり死ぬもんなんだよ。」

 

 

な、なんか戦闘中だって言うのに、随分と余裕そうだね。

 

 

「当り前だよ。あんな自称ハンサム男に負けやしないよ。」

 

「へぇ、そうかい。確かに、おたくに攻撃は当てられないが、俺の専門は毒だって事、わすれてやしませんかね?」

 

 

毒・・・

 

サモナーが弾いた矢全てに毒が塗られていた。

弾かれた毒矢は地面に刺さり、その毒は...

 

 

「少しずつおたくを蝕んでんだよ。見える攻撃は当たらないが、見えない攻撃ならどうだい。」

 

「若干動きにくいよ。」

 

 

サモナーの身体には、黒い点の様な痣が幾つも浮かび上がる。

速攻性の毒では無いのが幸いだ。

しかし、それも時間の問題。

 

じわじわと、毒はサモナーを蝕む。

 

 

「大分時間がかかっちまったが、これで終わりにしようや。■■■さんよ。」

 

「こらこらこらこら!?こんな公共の場で僕の真名言わないでくれる?!僕のマスターに聞こえてたら如何してくれんだよ?!」

 

 

聞こえはしたが...雑音(ノイズ)で聞こえなかった。

緑のアーチャーよ、もう一度言ってはくれないだろうか?

 

 

「なんだ知らなかったのか?こいつは...」

 

 

遂にサモナーの真名が明かされ

 

 

「死の剣よ!汝に心を授けよう!そして、死を撒き散らせ!!!」

 

 

サモナーは、驚くべきことに、短剣で自らの心臓を突き刺した。

 

 

「おいおいっ!旦那、急いでこのアリーナから脱出するぜ!」

 

「そうだな、尋常ではない魔力が乱れ狂っている。最悪、アリーナが吹っ飛んでも良いほどにな。」

 

 

サモナァァァアァァァアアアア!?

止めて!ホントに落ち着いて!

名前聞いてなんかいないから!?

 

 

これ以上ムーンセルを疲れさせないでくれ!!!

 

 

「そっちなの?」

 

 

そっちです。

 

 

「僕じゃないの?」

 

 

サモナーではありません。

 

 

「ほんとに?」

 

 

何でこんな時に嘘つかなきゃいけないんだ?!

 

 

「だって・・・空気を読んだら、此処は僕って言う所でしょ?」

 

 

言わないね。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 

ある意味、必死に止めたらサモナーは大人しくなった。

何をしようとしたなど今更聞きはしない。

 

だがな...

 

これ以上アリーナを壊してやるのはよそう。

 

名前はもう他から聞かないので、それでいいだろう?!

 

 

「うっ、マスターが酷い...!嫌がらせにあいつ等を、ってもう居ないし?!」

 

 

サモナーが血涙流してる最中に帰ったよ。

毒ってホント怖いね。

 

あんな武人と戦うなんて...考えただけで恐ろしい。

 

 

「心配しなくても勝てるよ。何のために自分で自分の心臓刺したと思ってるの?」

 

 

え...っと、怒りの勢い余って?

 

 

「流石に、そんな事で自分の心臓貫く奴がいたら拝見して見たいよ。そうじゃなくて、下準備だよ、下準備。」

 

 

下準備...って事は罠って事?

あれが?

 

 

「そうだよ。目に見えない攻撃が、毒だけとは限らない。毒と違ってアレは蝕んだりしない。その代わり...毒よりも酷く、悶え苦しむだろうね。」

 

 

やめよう。なんて物騒な罠仕掛けてるの?!

外しなさい!

 

 

「えー!?折角僕が態々自分から心臓貫いたのに?!滅茶苦茶痛かったのに?!」

 

 

知るか!

それと、短剣を心臓に刺さったまま普通に話してる、サモナー本当に如何かしてるよ?!

グロイから元に戻してよ!

 

 

「・・・・・・おかしいな。か弱い白野は何処に行ったのかな?」

 

 

 

 

 






FGOでザビ男の礼装が出た。
ザビ子が当たる時は来るのだろうか?
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