人の祈りの形として生み出された、顔のない王。
かの若者はその一人。
その弓は、イチイから作られ、若者は森と一つになった。
イチイは不浄を清める聖なる木。
その力が宝具となれば・・・
「こんな事に成る訳だ。」
先に動いたのは、緑衣のアーチャー...ロビン・フッドだ。
彼は、宝具を使い、サモナーを巨大な木に取り込んだ。
「どうだい。俺の宝具はこんな使い方もできるんだぜ。その内お前はイチイと一つになる。」
「うわあ...最悪だな。白野どうしたらいいと思う?」
こんな状況でも、サモナーは普通に話しかける。
え、っと・・・取り合えず、木を燃やすとかしたらどうでしょうか?
「そうだね・・・良い案だ。」
「は?ちょ、ま!」
アーチャーの静止も無駄のように、イチイの木は突然燃える。
炎に苦しむかのように、イチイの木は激しく燃える。
「燃えろ燃えろ、木よ燃えろ。朽ち果てたその木炭から生まれるは、新たな炎。生まれ出は炎の竜…」
サモナーの詠唱が、燃えるイチイの木を変化させる。
「召喚————神炎皇ウリア。」
炎の柱がイチイを灰と化す。
やがて、その炎は形を成し、巨大な竜となる。
『—————————!!!!!』
炎から生まれし、赤き竜。
その産声はアリーナを、いや全ての決闘場を揺らす。
「激辛麻婆豆腐のお陰で召喚できたのはいいけど…もうちょっとなんかあった気がするが、まあいいか。」
え、あの麻婆豆腐の所為でこんな巨大な竜が出て来ちゃったの?!
私の所為?!
「いや違う奴が出て来るかと思ったんだけど…まああいつが出て来るのはもっと先かな。」
……あのさ、一体何を召喚しようとしてたの?
「んー。不死鳥でも召喚しようとしたけど、あいつは供物かなんか要るのかな・・・それとも、量が足りなかったのかな。」
此奴にはもう激辛麻婆豆腐...いや何も食わせまい。
あぁ、青子さんにまた怒られる。
サモナーが召喚するにあたって、何かを召喚するのはまだいい。
しかし、召喚するにあたって、周りのデータを取り込んで変換する所為で、サモナーの熱量が半端じゃない。
しかも、取り込んだデータは解体するしか方法は無く。
溜まれば溜まるほど、サモナーに負荷がかかり、周りにも影響が出ると言う。
勘弁してほしいよ・・・。
「おいおい、何出して来てんだよあんた。」
「はっはっは!どうだ、本物の幻想種に会うのは初めてだろう?しかも、人が生み出した幻想では無く、星が生み出した脅威そのもの。凄いだろう!召喚できる僕って凄いだろ!」
「自慢してる場合かよ!?」
炎の竜は、口を大きく開け、アリーナの空気・・・いや、データを吸い込む。
「まじかよっ!?旦那!!!」
「うむ。汝がマスター、ダン・ブラックモアが令呪を以って命ずる。アーチャーよ……
ダン卿の右手にある令呪が輝く。
軌跡を生み出せる令呪を此処で使うという事は・・・彼は・・・
「イチイの木よ……燃え尽きることなく、葉を散らせ。今こそ、その牙を見せろ!
「ウリア、
二度目の宝具は令呪の力もあり、サモナーの時と比べ物にならない巨大な木。
しかし、炎の竜もやすやすと飲み込まれる事は無く、その吐き出される吐息はまさに炎そのもの。
その炎はイチイの木を燃やす。
だが・・・令呪を使用された宝具は、炎の勢いにも劣らず、竜を飲み込んでいく。
「参ったな・・・ライダーのように対軍宝具だったら、聖なるバリアを使えるけど・・・対人じゃあ難しいな。」
「どうだい、旦那にとって負けられない戦いなんだ。おたくはさっさと死んでくれよ。」
「なに馬鹿な事言ってんだよ...。」
「そうでもないんじゃねえか?おたく、あの炎の竜を召喚して、もう魔力ないんだろ。お嬢さんと如何言う契約したのか知らねえけど、ここらで終わりにしようぜ。」
「・・・・・・・・・。」
炎の竜・・・神炎皇ウリアは、イチイの木に取り込まれ、イチイの木は葉を散らす。
断末魔さえもイチイの木は飲み込む。
アーチャーが言っている事が正しいのなら、魔力が無いサモナーは何も召喚できない。
「まさか・・・僕が本当に此処で終わりだと思ってるのか?令呪の一画を使われただけで、終わりだと?とことん馬鹿だよな。」
「はあ?」
「体を蝕む事が出来るのは、何も毒だけじゃないだろ。」
そう。
私は確かに止めたはずだった。
だが、それが甘かったのだと今日この日思い知った。
ライダーが何故、サモナーを深く信じるなと言った意味が、この日ようやくわかった。
理不尽なんて唐突にやって来る。
それは、考えもせず、ましてや予想すら出来ない。
そんな理不尽をサモナーは、振りかざしたのだった。
「発動———————死の破壊ウイルス」
彼の心臓は死、そのもの。
遠ざける事も出来ず、避けることも出来ない。
出来る事としたら、別れの覚悟のみ。
だけど、死は突然やって来る。
覚悟なんて、出来ない。
デッキ無いから許せ。