Fate/Rage   作:ぽk

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第三回戦(後)

 

 

小さな生き物たちの足音を、聞いたことがあるだろうか?

小さき者たちにとっては当たりまえだが、大きな者たちは、その足音を聞いた事が無い。

 

それもそうだ。

 

己よりも小さき者の足音など、聞こえはしない。

 

だが、もしも、その音が聞こえるようになったら…君は、どうなるのだろうか。

 

 

———————————————————

 

 

「お姉ちゃん、こっち!」

 

「早く早く!」

 

 

ありす達に手を引かれ、私は廊下を駆け抜ける。

いや、今現在疾走中だ。

 

原因は...勿論、私達を追いかけて来る、アレだ。

 

 

後ろに振り向けば、迫って来る底が知れない黒いバグの様な蜘蛛や、四肢が柔らかい不気味な人型をした何か。

まるで、アリーナに出て来る敵性プログラムのようだが、それらとは、全く違う部分が一つある。

 

 

それは……

 

 

「お姉ちゃん、危ないっ!」

 

「白兎さん、お姉ちゃんを助けて!」

 

 

黒いアリスのお陰で、迫って来る意味不明な軍団に捕まらずに済んだ。

 

ありがとう、と礼を言う。

 

しかし、これは一体何でこうなったの?

 

 

「そんなもの、アイツの所為に決まってるわ」

 

「そうよ。お姉ちゃんに酷い事ばかりする、アイツの所為よ」

 

 

アイツ...、って言えば、サモナーしか出てこない。

前にもこんな事件があったしね...キャンドル大量発生事件が懐かしいね。

 

傍から見れば、呑気に話しているようにも見えるが、実際にはかなりギリギリだ。

 

アリーナに入れば楽になるかもしれないが、何故がアリーナに移動できないし、言峰にも連絡を取ったけど、「何やら、おかしなバグがムーンセルに入り込んだお陰で、処理が間に合いそうにない。もうじき収まると思うが、それまでは頑張りたまえ。」、とか言われた。

 

あの神父……端末越しでも分かるくらい喜んでたよ。

 

 

「ねえ、あたし(アリス)ジャバウォック(お友達)は呼んじゃダメなの?」

 

「駄目よ、あたし(ありす)。あんなもの、ジャバウォックが逆に飲み込まれてしまうわ」

 

「でも、このままだと、お姉ちゃんが獲られちゃう」

 

「折角お姉ちゃんを助けることが出来たのに」

 

「これじゃあ、意味が無い」

 

 

助けた...?

私を?

 

私は別に、囚われのお姫様とか、そう言うものではないけれど。

 

 

「違うの。違うの。お姉ちゃんを見つけた時には、もう遅かった」

 

「あんな奴に魅入られてしまった、可哀想なお姉ちゃん」

 

「だから、あたし(ありす)あたし(アリス)は、ずっと待ってた」

 

「あいつの瞼が閉じる時を」

 

 

瞼を...一体どういう事だろう?

今現在走っていなければ、じっくり聞きたいところだ。

 

カサカサなどと言う可愛い足音では無く、カツンカツンと、金属を叩いている音がする。

 

それに、足音もそうだが...何より敵性プログラムと違うのは...

 

 

『ハクノはくの白野をカエせ』

『返してかえせ帰しなさい』

『アアアアァァァァアアァァァア』

 

 

等と言う、聞きなれた声と、意味不明な泣き声。

これはもう...サモナーだろ。

 

だって、アリーナの敵性プログラムは問答無用で襲い掛かって来るし、鳴き声とか上げないもの。

それに、私の名前呼ばないから。

 

一体どうなっているのかは知らないが、サモナーは辛うじて姿は保ててはいるが、その原型は崩れかけている。

 

片足が骨となり、蔦に絡まれ、尻尾…みたいなのも生えてるし。

サモナーの周りが、何故か一種の結界みたいに歪んでいる。

 

驚くべきことに、サモナーの異形化は今現在…進んでいる。

 

こうして、私とありす達が逃げている間にも、サモナーは着々と異形のものへと変貌し続けている。

学校のデータを取り込んでいるのだろう。

 

まあ、幸いな事に、凛やラニと言ったマスター達や、NPCは取り込まれてはいないが...恐らくそれも時間の問題だ。

 

最悪のパターンは2つ。

 

1つは、このまま逃げ続けていれば、聖杯戦争参加者を取り込んで終うかもしれないという事。

1つは……

 

橙子さんが言っていた、最悪の場合。

 

 

サモナーに取り込まれた様々なデータが一つに固まり、凝縮、凝固、圧縮、圧迫、等を繰り返し…最後には、爆発する。

 

爆発は、取り込んだデータの量と熱量によって、爆発の規模が変わるらしいが...

サモナーが今まで取り込んだデータなど、検討も知れない。

 

何かを呼び出すには、捉え・命令・解析・復元して、ようやく召喚できるらしい。

 

だが、橙子さん曰く、過去の英雄にそんなことが出来る英雄はいない。

ソロモン王も、そんな事は出来ない。

そんなもの、別の世界を知っていなければ不可能だ、と。

 

 

『Vaaaaaaa!!!!!』

 

これ以上ない怒涛に満ちた声。

それはまさに狂戦士(バーサーカー)に相応しい唸り声だ。

同時に……

 

「なによ...あれ?」

 

「うそ…うそようそようそよ!!!だって...アレは...」

 

 

橙子さんや青子さんが居る教会までもうすぐだと言うのに、白いありすと黒いアリスは立ち止まる。

何故ならば、目の前にサモナーが出会った時の笑顔で、行く手を防いでいた。

 

立ち止まったのは...まだ良いとしよう。

だが、ありす達の様子がおかしい。

 

 

「あなた、もしかしたらと思ってたけど...やっぱり■■■■なのね」

 

 

アリスがありすを庇うように前に出る。

サモナーは...先ほどと変わらず微笑んでいる。

 

後ろは、お前もうバーサーカーで良かったんじゃないか?と疑問を抱くような姿をしているサモナー(多分)。

前には、不気味さなど感じられない微笑みで、立ちふさがっているサモナー(多分)。

 

どちらが本物…?

いや、本物などあるのか?

 

返して(許さない)その子は、僕のマスターだ(許さない許さない許さない許さない)。」

 

二つの(思考)が重なって聞こえる。

これは...どちらもサモナーのものだ。

 

サモナー。私は大丈夫だから、部屋に帰ろう。

三回戦目のマスターが発表される頃合いだろうしさ、ね?

 

 

 

 

その瞬間、小さな悲鳴が上がった。

 

 

 

 

 







まだ寒い
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