極悪な奴ら/THE EVIL HERO   作:早乙女

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第12話「堕天使への鎮魂歌《レクイエム》」

堕天使が屯っているという教会の近くに一つの魔法陣が現れる。

 

地面が青白く光り、そこから2人の美女の形を形成する。

 

現れたのはリアス・グレモリーと姫島朱乃。ここにやってきたのは街に潜伏している堕天使を叩くためだ。

 

「イッセーさんたちは無事に潜入できたようですね。・・・サクラさんはどこに行ってしまったんでしょうか?」

 

黒髪ポニーテールの朱乃が微笑みながら言う。桜を心配する言葉には顔を曇らせてはいたが。

 

「きっとアーシアを救出しに行っているわ。全く手のかかる後輩だけど・・・」

 

ふと、ザザッという音共に現れる二つの影。その人物には黒い羽が生えている。

 

「全くレイナーレ様ったら、人使い荒いよね」

 

「仕方がないだろう。要であるあのシスターがいなくなったことで、ご立腹だしな。探してやらないと後が怖い」

 

ブツブツと文句を言っているのは金髪と白黒のゴスロリ服を着ている少女・ミッテルト、もう一人はイッセーを殺そうとしたトレンチコート姿で帽子を被った男・ドーナシークだ。

 

「アタシらより下等な妖魔ごときに攫われるなんてとんだ大失態だ。グダグダ言ってないでとっとと探すよ。このままじゃ教会に帰れないよ」

 

そこに長い髪で胸元を大きく開いた上着とミニスカートを履いた女性・カラワーナが現れて促す。

 

3人はどうやらレイナーレに命じられて誰かを探しているようだが、見つかっていない様子。恐らくアーシアだろう。

 

「さて、私たちは私たちの仕事を終わらせようかしら」

 

紅の髪のリアスがそう言うと堕天使の男女3人がリアスたちの方へと気付く。

 

「ほう。ふふふ、また会ったな、グレモリー家の娘。・・・? あの女はいないのか?」

 

「ドーナシーク、あの女って何のことだ?」

 

「グレモリー家のビッチがいるってことは他の仲間もいるってこと? っていうか、アイツ1人でレイナーレ様に挑んでいくみたいだけど勝てるわけないじゃん! だって元カレだもん! レイナーレ様にアイツのこと聞いたけど、もう大爆笑!」

 

ミッテルトの侮辱に他の2人の堕天使もイッセーをクスクスと嘲笑い始める。その行動がリアスに火を付けた。その表情は怒りに満ちている。

 

「貴方達、今すぐにその口を閉じなさい・・・」

 

リアスが赤い滅びのオーラを全身に纏わせる。

 

そんな時、遠く離れた木の上で三つの影がオーラをそれぞれの場所に集めていた。

 

金髪の少女は銛のような形状を持った青い槍の先に青いオーラを、紫ヘアーの少女は二つの胸先から紫色のオーラを、銀髪の神父服姿の青年は額に緑色のオーラを集めている。

 

「「「『閃光(ライオ)』」」」

 

言葉と共にそれぞれの集めたオーラを堕天使に目掛けて放射する。

 

ズバアァァァァァァァァン!!

 

「「「!!?」」」

 

凄まじいオーラに気付いた堕天使の三人は蜘蛛の子を散らすようにオーラを避ける。

 

「な、何者だ!?」

 

「何だい今の攻撃は!?」

 

「な、何!? 何なの!?」

 

突然の攻撃に堕天使たちも動揺しているようだ。

 

リアスたちも驚いてはいたものの、オーラの感じから誰かかは察していた。

 

・・・このオーラは、もしや・・・。

 

そして近くの木の上に3人の男女が瞬間移動で現れた。

 

「また会いましたね。リアス・グレモリー」

 

「ごきげんよう、部長さん。さっきぶりですわね♪」

 

「朱乃さん、また会ったな」

 

「エレン、リリー、ウィル、あなたたちも来たのね」

 

リリーは槍を抱え持ちながら、枝の上に座り右足を枝に乗せて左足をぶらぶらさせ、ウィルは枝に足を引っ掻けながら逆さになり、エレンは2人よりも高い木の上で立っている。

 

「当然です。黒幕の正体を掴んだので、そこを叩きに行くところです」

 

「そしたら、何やら気になる現場を目撃しちゃったので、ちょっかいを出しに来たのですわ」

 

「まあ肩慣らしにはちょうどいいんじゃねぇか? 呆気なく終わっても、退屈だしな」

 

3人はそのままリアスたちと同じ地面に瞬間移動すると武器を構えて戦闘態勢になる。

 

「ここは私たちに任せてください」

 

「大丈夫ですの?」

 

「朱乃さん、心配いらないですよ。私たちを誰だと思っているんですか?」

 

「機関がこんな、いかにも三流っぽいカラスに負けるわけねぇだろ」

 

「それに・・・」

 

エレンたち3人はリアスと朱乃のほうを向いて微笑んで言う。

 

「私たちは契約を結んだ仲じゃないですか。あなたがたの弱点を補ってやるのも、思いやりの1つでしょう?」

 

「・・・何か気に触る発言だけども、それもそうね」

 

「じゃあ、決まりだな。その代わりと言っちゃ難だけど、お二人さんは周囲の妖魔をどうにかしてくれよ」

 

ウィルが言うと同時に何体もの数の妖魔が現れ、周囲を取り囲む。その数30体以上はいる。

 

「これ・・・サクラが討伐した妖魔よりも多いわね・・・」

 

「でもまあ、カラスさんたちを相手にするよりはマシですわね」

 

リアスと朱乃は妖魔の群れを睨む。その刹那、ウサギ型の妖魔の何体かが朱乃に飛びかかるも、朱乃は電撃を放って感電させ、炎で妖魔を焼き尽くす。

 

また蛾型の妖魔はリアスに向かって羽から魔力の弾を放つも、リアスは滅びの魔力を放って弾を打ち消して消し飛ばした。

 

そして機関の3人は堕天使たちと対峙している。

 

「・・・貴様らはあの女の仲間か?」

 

「・・・だとしたら、どうすんだ?」

 

「アンタらのような人間に、アタシたちが負けるわけないじゃない」

 

「・・・それはどうでしょうか?」

 

「アタシたちのためにわざわざやられに来てくれて、あざっす」

 

「・・・・・・」

 

エレンは自分の髪を結わえながらリリーとウィルに話しかける。それも悪魔のような笑みで。

 

「2人とも、学園生活は楽しいですか?」

 

「まあ悪くは無いわね。あの妹がいるからかしら」

 

「楽しいね~。向こうに言ってるときよりはよっぽどマシだぜ」

 

2人はクスクスと笑い始める。エレンも2人の発言に笑みを絶やさない。

 

「ちょっとアンタら! アタシたちを無視してんじゃないよ!」

 

そんな余裕を見せた談笑が癇に障ったのか、カラワーナが光の槍を投げてくる。

 

その槍はエレンの右手に持っている黒塗で十字架の装飾を施し、青色の線が入ったリボルバー型の銃から放たれた紫色の雷弾に消し飛ばされた。しかもそのエレンは飛んでくる方向も見ずに。

 

「・・・私たちの会話を邪魔するとは無粋な連中ですね」

 

エレンが振り向きながらカラワーナを睨む。そこにウィルが頭の後ろに手を組んで言う。

 

「俺たちが不謹慎すぎるのが相手の挑発になってるからじゃね?」

 

「別に普通じゃないんですか?」

 

「空気が読めないからじゃないの? っていうかさあ、アタシうるさいの大嫌いなんだよね。悲鳴や甲高い声なんか聞いただけでアタシのスベスベの肌に鳥肌が立っちゃうし、喉笛を引き裂いてやりたくなるのよ。というわけでエレン、あのゴスロリビッチ殺してもいい? うるさそうだし」

 

「じゃあ、俺はあのコートの男でも殺りましょうかねぇ。見た目強そうだし」

 

「他人を見た目で判断するのが気になりますが、まあいいでしょう。私は私の邪魔をしたあの淫乱ではしたない女を滅するとしましょう」

 

3人は武器を構え直し、それぞれの堕天使に向かっていく。

 

「悪いが、こちらも急いでいるのだ。さっさと終わらせてもらうぞ、人間風情が」

 

「人間様だからって見た目で判断するのはよくないぜ?」

 

「アンタなんか一瞬で倒してやるんだから」

 

「やってみなさいよ。この妖怪キャラ被り」

 

「・・・アタシを舐めると痛い目を見るわよ」

 

「その発言で言うと私を楽しませてくれるんでしょうね」

 

今ここに3対3の戦いが開戦する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まずはリリアンヌとミッテルトの戦いを見てみよう。

 

ミッテルトはリリアンヌの周囲を飛び回りながら、光の槍を数回に分けて放つ。

 

「いくわよ! サファイア」

 

『はいはい』

 

リリアンヌはそれを軽く避けながら、時には刃先が銛のような形状の槍を振りながらいなしていく。

 

『Freeze!』

 

そしてお返しとばかりに氷柱を複数出現させ、槍を横に振るってミッテルトに向けて放つ。

 

「くっ!」

 

ミッテルトは一部の氷柱が服をかすめるも、それを交わすと再び光の槍を複数出現させて放つ。

 

「フン」

 

リリアンヌは飛び出すと光の槍の中に突っ込んでいき、ミッテルトに向けて槍を縦に振るう。

 

「うわぁ!」

 

ミッテルトはそれを交わして、リリアンヌと距離を置く。リリアンヌは木の枝に着地して槍を肩にかけ、ミッテルトを見上げる。

 

「アンタの攻撃なんか避けちゃえばどうってことないんだから」

 

「ふーん?」

 

ミッテルトが余裕を見せるが、リリアンヌも笑みを浮かべながらどこか余裕だった。

 

リリアンヌは地面に瞬間移動すると口笛を吹き始めた。

 

「~♪」

 

「何アンタ? 口笛なんか吹き始めちゃって。可笑しくなったの?」

 

「~♪~♪~♪」

 

「ちょっと、何か言いなさいよ」

 

「~♪~♪~♪~♪~♪」

 

リリアンヌは余裕をぶっこきながら口笛を吹いている。足もどこかうろうろとしながら。

 

その行動にリリアンヌの周囲を飛び回っているミッテルトは腹の底から何かが湧き上がってくるのを感じた。そう、これは怒りだ。

 

アイツ、アタシを馬鹿にしてるんだ。人間のくせに・・・・!

 

体をワナワナと震わせながらミッテルトは・・・。

 

「アッタマ来たッ! アタシの光の槍で消えろォ!」

 

先ほどよりも多い光の槍を出現させ、数回に分けて乱れ撃っていく。

 

「~♪~♪~♪~♪」

 

リリアンヌは口笛を吹きながらヒラリヒラリと交わしていく。

 

「このッ! このッ! このォッ!」

 

怒りの声を上げながら光を乱れ撃つもリリアンヌには当たらない。ぴょんと飛びながら、側転しながら光の槍を交わしている。

 

ミッテルトが光の槍を全て飛ばし終えたとき・・・。

 

「そこ!」

 

リリアンヌが両手で槍を持ってミッテルトに向かって振るう。すると刃先の根本に付いている青い宝玉の1つからロープのようなものが現れ、その付いている針がミッテルトのゴスロリ服の裾の部分に引っかかる。

 

「そーれぇ!」

 

「えっ、な、なに!? きゃあぁぁぁぁ!」

 

リリアンヌが一本釣りをするかのように、槍を思いっきり後ろに投げるような感じで振るう。するとミッテルトのドレスが引っ張られ、投げ出された彼女は地面に叩きつけられてゴロゴロと転がった。

 

『Freeze!』

 

リリアンヌはロープを宝玉に引っ込めるとすかさず、ミッテルトのほうへと飛び上がる。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

槍を頭の上に振り上げて青く光らせて槍身を伸ばすと、そのままミッテルトに突き立てようと振り下ろす。ミッテルトの転がったところが土煙に包まれる。

 

その直後、土煙の中からミッテルトが飛び出してきて地面にゴロゴロと転がる。

 

「・・・うぅ・・ぅぅ・・!」

 

うつ伏せに突っ伏しながら呻くミッテルト。前を見ると土煙の中から現れたリリアンヌが現れる。槍を突き立てた場所は氷が張っていた。

 

「光の槍を出すしか攻撃方法の無いカラスの割にはよくやるわね」

 

リリアンヌが侮蔑と褒めの入り混じった言葉をつぶやくと突っ伏していたミッテルトが立ち上がる。

 

「・・・ふん。アンタ・・・人間なんかに・・・やられるもんですか・・・」

 

「ふーん。まあ、威勢だけは認めてあげるわ。でも・・・」

 

ふと前にいたリリアンヌの姿が消える。次の瞬間・・・

 

ブシャアァァァァァ

 

ミッテルトに血が噴き出すよう音が聞こえた。しかも自分の背後で・・・。

 

「えっ?」

 

ミッテルトが間の抜けた声を漏らす。一体、何の音・・・?

 

そう思い、後ろを振り向くとそこには槍を振り上げたリリアンヌの姿。

 

そして、宙に舞う、自分の黒い羽、右腕――――

 

「キャアァァァァァァァァァァッ!!」

 

遅れて状況を判断したミッテルトの悲鳴。そしてリリアンヌが横へと槍を振るって、ミッテルトの胸を斬り払う。

 

「腕がぁぁぁ! アタシの腕がぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

斬り払われ倒れたミッテルトが片腕を斬り飛ばされた腕を抑えながら痛みに地面を這いずり回る。

 

「堕天使よりも更に堕ちた印の羽なんていらないでしょ? だからアタシがもらってあげる」

 

「よくも・・・よくも・・・アタシの腕を! 絶対に許さない!!」

 

リリアンヌの言葉に多少の恐怖を覚えるも、斬られた腕を抑えながら立ち上がったミッテルトが怒りの声を上げる。

 

「あら、斬り飛ばされた羽は気にしないんだ。だったらもう片方の羽ももらっていいわよね?」

 

再びリリアンヌの姿が消える。同じ手に引っかからないと残った片方の腕で光の槍を構え、背後を振り向くミッテルト。しかし、リリアンヌの姿は無い。

 

「どこ!? どこにいったッ!?」

 

辺りを見渡してリリアンヌの姿を探す。

 

ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

「!?」

 

すると機械音のような音がミッテルトの耳に入る。音の出場所を見るとそこには槍先に青いオーラを集束させるリリアンヌの姿があった。

 

先程放った青いオーラを飛ばすのだと考えたミッテルトが更に光の槍を複数出現させて構える。

 

「『閃光(ライオ)』」

 

「そんな攻撃で・・・!!」

 

リリアンヌが青いオーラを集めた槍先を横に振い、広範囲になるように放射する。ミッテルトも青い光線が放たれるのと同時に光の槍を一斉に放った。

 

ズバアァァァァァァァァァン!!

 

二方の攻撃は押し合いになることはなく、青い光線は光の槍を全て消していき、ミッテルトの眼前に迫った。

 

チュドォォォォォォォォォン!!

 

爆発音が起こり、大きな煙が上がる。

 

煙が晴れていくとそこにはボロボロになって突っ伏すミッテルトと立っているリリアンヌの姿があった。

 

「アタシを一瞬で倒してやるんじゃなかったの? 偉そうに言っておいて、立派なのは口だけだったってわけ?」

 

「うぅぅ・・・まだ・・・負けて・・・ない」

 

リリアンヌの挑発を受けて立ち上がるミッテルト。

 

「あら、まだ戦えるわけ? 虚勢を張れるのは本当に立派ね。でももうアタシ、アンタに飽きちゃった。だから・・・」

 

リリアンヌはもう一本槍を作り出す。それは今自分が使っていた槍とは粗末な物であるが、それでも刃先は銛のような形状をしている。

 

「アタシのとっておきでトドメをさしてあげる」

 

そう言うと使っていた槍の刃先に付いていた4つ全ての宝玉を槍を上に振ることによって取り外す。その宙に飛んだ宝玉を作った粗末な槍の刃先の周りに付ける。

 

「おりゃっ!!」

 

そしてそれをミッテルトに目掛けて投げる。槍は一直線にミッテルトへと飛んでいく。

 

「きゃっ・・・え、何!? 体が、動かない!?」

 

その槍はミッテルトの体を貫くと彼女の後ろに落ちるが、貫いた瞬間に2つの宝玉がミッテルトを亀甲縛りにして動けなくする。更にもう2つの宝玉が彼女の前に六角形上の水色の魔法陣を出現させる。

 

「・・・アンタらはアーシアを攫ったんだからねぇ。死を持って落とし前をつけないと・・・」

 

悪魔のような笑みを浮かべてリリアンヌが今まで使っていた槍を投げるように持ち替える。

 

それを見たミッテルトが恐怖の声を漏らす。

 

「・・・い、いや・・・やめて・・・!」

 

「フフフ、アンタの怯えた顔いいわねぇ~。アタシそういうの好き。・・・・・・でも、許さない」

 

怯えた表情のミッテルトの姿に恍惚とした顔するリリアンヌだが、そんな顔はすぐに消えた。彼女の怒った低い声と共に。

 

『Freeze! Freeze! Freeze! Freeze! Freeze!』

 

『Freeze Strike!』

 

リリアンヌは青い槍を投げつけるとその場からダッシュした瞬間に姿を消す。

 

そしてそのダッシュの勢いのままに青い槍の横に瞬間移動すると、そのまま槍を持って魔法陣に先端を触れさせる。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

更に押すように突くと魔法陣は拘束されたミッテルトの方向に円錐のように尖り、リリアンヌの槍の刃先になったかのようになるとそのまま刃先はミッテルトの胸に突き刺さり、リリアンヌも一閃した。

 

「ひう!!」

 

青い魔法陣を突き刺されたミッテルトが小さな悲鳴を上げて顔を上に仰け反らせる。

 

一閃したリリアンヌはミッテルトの背後に立ち、槍を貫いたような格好になっている。4つの宝玉は青い槍の刃先の根元に戻っている。

 

体から魔法陣がすうっと消えると、硬直したミッテルトの体は全身にヒビが入り崩れ落ちた。その体はその色のまま氷漬けになっており、血もまるでシャーベットのようにさらさらになっていた。

 

「堕天使のシャーベットのできあがりってね。羽も凍らせちゃったけど、まあ、いっか」

 

そう言ってリリアンヌは崩れた氷と化したミッテルトの翼を手でもぎ取った。

 

「普通の羽と氷の彫刻のような翼。綺麗で素敵ね。フフフ」

 

同じなようで違う羽を持ったリリアンヌが嬉しそうに笑い、その様子を見ているサファイアは溜息を付く。

 

『アンタって本当に物騒ね』

 

「どうでもいいでしょ? そんなこと。それにしても、こんなヤツにあれを使うまでもなかったわね、サファイア?」

 

『まあそれを使ってアンタが耐えられるかって問題もあるからね』

 

「心配はいらないわよ。アタシは自制心は聞く方だから」

 

『そうかしら・・・嫌な感じしかしないのだけれど?』

 

「心配いらないって言ってるでしょ。うるさいわね。戻るわよ」

 

リリアンヌはこうしてリアスたちの元へと戻っていった。もはや溶け始めている『ミッテルトだった』ものを残して・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の場所ではポニーテールにしたエレンとカラワーナが戦っている。

 

カラワーナが光の槍を次々と投げつけ、エレンは右手のリボルバー型の銃から紫色の光線を放ってそれを消し飛ばす。

 

これでは埒が明かないとエレンは走りながら光の槍を避け、一本の木の陰へと隠れる。

 

「隠れたってムダだ!」

 

カラワーナがエレンの隠れた一本の木の後ろを見るも、そこに彼女の姿はない。

 

「!?」

 

「私は逃げも隠れもしていませんよ?」

 

ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

どこからともなく機械のような音が聞こえてくる。その音の出所を探るとエレンが腕を大きく広げ、二つの胸先に紫色のオーラを集めていた。

 

「『閃光(ライオ)』」

 

ズバアァァァァァァァァァン!!

 

エレンは二つの胸先から紫色のオーラを光線状にして放射する。

 

ドォォォォォォォォン

 

爆発音が響き、大きな煙が上がる。

 

間一髪で飛んで避けたカラワーナだったが、そこに空中に瞬間移動したエレンが現れて、左手に持っている白塗で黒の線を施した銃から雷を纏った紫色の光線を放った。

 

「ぐわっ!!」

 

光線が体に直撃し、感電したカラワーナが地面へと落ちる。エレンが地面に着地しカラワーナに両手の銃を構える。

 

「あなたは狩の獲物としては一級品ですね。抵抗する方法が少ないのがたまにキズですけど」

 

「図に乗るな、人間風情が!」

 

カラワーナが光の槍を作り出し、羽をはばたかせてエレンの方に向かっていく。

 

エレンは構えている銃を下ろすと振りかざしてくる光の槍を右手の銃で受け止めた。

 

「確かに、あなたは舐めるべき相手ではありませんね・・・」

 

「私は人間なんかよりも強いんだ。負けていいわけがないんだよ!!」

 

カンッ カンッ カンッ カンッ!

 

カラワーナの光の槍とエレンの両手の銃が何度もぶつかり合う。

 

「死ね!!」

 

ふいにカラワーナが飛び退き、光の槍を複数出現させてエレンに目掛けて放つ。

 

エレンはそれを体で捻って避けながら、時には紫色の光弾で撃ち落としていく。

 

そして体から紫電を迸せると二丁の銃を構え、紫の電気の玉を放つ。

 

バチバチ ドゥン!!

 

二つの電気の玉はカラワーナに目掛けて放たれ、爆発が起こる。

 

煙がたち込めるも黒い羽の羽ばたきで煙が晴れる。カラワーナの服はボロボロになっていた。

 

「へぇー、あの攻撃でも倒れることはないんですね。感心しました」

 

「舐めるな人間。そうやって余裕ぶってられるのも今のうちだ」

 

「ククク・・・面白い・・・実に面白い!! こんなに面白いのは久しぶりだ!! あなた、名前は?」

 

エレンは口元に笑みを浮かべながら、銃を下ろし問いかける。あまりにも異常な発言に、カラワーナは額に冷や汗を滲ませる。

 

「カ、カラワーナ・・・」

 

「ではカラワーナ。あなたに面白いものを見せてあげましょう。きっとあなたも感動しますよ。自分が強いと豪語するあなたに私たちの『悪』の神髄を」

 

エレンがそう言うと彼女の体がドス黒いオーラに包まれる。髪を結わえていたものが解け、ゆらゆらと揺れる。

 

アウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

狼の遠吠えが響いたと共に、彼女の体から黒い闇を纏った狼が2頭、否、何体も出現していく。

 

エレンのその異様なオーラを纏った姿にカラワーナの表情が驚愕と恐怖に包まれる。

 

その直後に黒い狼がエレンの体から飛出し、カラワーナに襲い掛かる。

 

「う、うわあぁぁぁぁぁ!!」

 

カラワーナは恐怖で光の槍を乱れ撃つも、黒い狼は光の槍を砕きながら、あるいは避けながら迫り、カラワーナの両肩と左腕に齧り付く。

 

「ギャアァァァァァ!!」

 

カラワーナが痛みで絶叫を上げる。黒い狼たちは両肩を抉り、左腕を引き千切って食べるとエレンの体へと戻る。

 

「・・・あぁ・・・あぁ・・・」

 

「ほらほら、どうした? 夜は始まったばかりだぞ? 楽しみは始まったばかりだぞ? もっともっと私を楽しませろ!!」

 

エレンが凶悪な笑みを浮かべながら、こちらに歩み寄ってくる。痛みで呻いていたカラワーナは足音に気付くとひぃっという声を上げて、残った片腕を動かしてエレンから後ずさる。

 

「な、な、な、何だその姿は!? き、き、貴様は一体!?」

 

「まだそんな言葉が吐けるということは楽しむことはできるということだな?」

 

「私の言葉を無視するな!! その姿は何なのかと聞いている!!」

 

錯乱気味カラワーナの疑問を無視して、嬉々した言葉を吐くエレン。恐怖で頭がどうにかなりつつも、カラワーナは怒りの声を上げる。

 

「何って、ヘルハウンドですよ? 別名『ブラックドッグ』。それがどうしたのですか?」

 

エレンが口調を元に戻すと自分の異様な姿のことを簡潔に語った。

 

「イ、イギリスの地獄の獣が、何故貴様の中に!?」

 

「察しの悪い女だ。・・・『絶望を司る異人(ファントム)』とでも言えば分かりますか?」

 

「ファ、ファントム・・・?」

 

それを聞いてカラワーナはハッとした。

 

そうだ。聞いたことがある。この世界の1000人に1人は化け物に姿を変えているものがいると・・・。

 

そんな奴らが何故ここに・・・!?

 

「・・・何を考えているのかは知りませんけど、私は怪物ではありませんよ。かといって人間でもない。人間であって人間ではない、といったほうが正しいでしょうかね」

 

エレンは再び黒いオーラを迸らせる。

 

「さて、もう無駄なお喋りはいいでしょう。もっと私に向かってきて、もっと強いあなたを見せてくれよ」

 

「く、く、来るなぁ!!」

 

恐怖が高ぶったカラワーナは羽をはばたかせ、エレンに背中を向けて逃げようとする。

 

エレンは特に臆さずに黒い狼のオーラを纏いながら、嬉々した表情で右手の銃をカラワーナに向ける。その瞬間、カラワーナの両方の翼が消し飛び、両足が切断された。

 

「グギャアァァァァァァァァァ!!」

 

獣のような絶叫を上げてカラワーナが地面へと落ちる。

 

「ガハッ!!」

 

地面に突っ伏したカラワーナをエレンが歩み寄って腹を蹴る。カラワーナは蹴り飛ばされて、木に激突する。

 

「・・・ぐうぅ・・あぁぁ・・・」

 

「どうしたんですか? 無様に突っ伏して、変な声出して。まだ足と黒い羽が無くなっただけでしょう? ほら、早く来なさいよ」

 

「・・・ぐぅぅ・・ば、化け物・・・!」

 

―――化け物

 

木に背中を支えて体を起こしたカラワーナのその言葉を聞いたエレンの顔から表情が消え、カラワーナを冷めた目で睨む。

 

「・・・そう。貴様もそういうヤツなのか・・・この出来損ないのカラスが。いや、カラスというのもおこがましいかもな。ドブネズミとでもいうべきか・・・本当にくだらない出来損ないの生き物め」

 

「ほざくな!!グフッ・・・機関の・・・玩具め・・・犬に成り下がったお前なんかに―――」

 

「黙りなさいッ!!」

 

怒りの叫びを上げたエレンが自分の左右に魔法陣を出すと、生身の大きな狼――バスカヴィルを出現させる。

 

更に複数のヘルハウンドを自分の右腕に集め、一匹の大きなヘルハウンドの形を作り出す。

 

「あなたは犬のエサにしてあげよう。精々食われてクソになってしまえ」

 

右腕をかざすとヘルハウンドと二頭のバスカヴィルが飛び出し、カラワーナに襲い掛かる。

 

「ひっ!? き、ギャアァァァァァァァァ!!」

 

ヘルハウンドと二頭の狼がカラワーナを食らう。三頭が体を食い漁り、地面と木に血が大量に飛び散る。飛んだ手も食らい、顔も内臓も食らっていく。

 

やがて数分も経たないうちにカラワーナの姿は血と肉片のみになった。

 

ヘルハウンドを自分の体に戻してドス黒いオーラを引っ込めると、同じく戻ってきた二頭のバスカヴィルを優しく撫でる。

 

「よしよし。いい子たちですね。戻りなさい」

 

エレンがそう言うと二頭のバスカヴィルは遠吠えを上げて、姿を消した。

 

そしてカラワーナがいた場所を冷たい目で見下ろす。

 

「所詮はこんなものですか、出来損ない。こんな調子ではレイナーレという堕天使も程が知れますね」

 

エレンは二丁の銃を収めると血だまりに背を向けて歩き去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ウィルとドーナシークが対峙している。

 

「そらっ!!」

 

「ふん!!」

 

大剣と光の槍が空中でぶつかり合う。そして互いに押し合って飛び退く。

 

「やるねぇ、おっさん」

 

「ふん。貴様も中々だな。しかし、これならどうだ?」

 

するとドーナシークが光の槍を複数出現させて、ウィルに投げる。

 

「おうおう。攻撃方法を変えるとは、いいねぇ。ワンパターンじゃつまらないからな!」

 

ウィルは大剣を回転させて、光の槍を弾く。

 

「そんじゃあ、お返しにこれやるわ」

 

そう言うと大剣を木の幹に刺し、ウィルは額に緑色のオーラを集め始める。

 

ドゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

「『閃光(ライオ)』」

 

ズバアァァァァァァァァァン!!

 

ウィルは額に集めたオーラを光線状に放った。

 

「ぐっ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

ドーナシークは持っていた光の槍で受け止めるも、押し返すにはいたらず逆に押し返されていく。

 

チュドォォォォォォォォォォォン!!

 

ドーナシークが落ちたところに爆発音が起こった。

 

「あ~あ、やり過ぎちまったかな?」

 

ウィルが頭を搔きながらドーナシークが落ちた場所を見る。

 

すると土煙が吹き飛ばされて、ドーナシークの姿が露わになる。よく見ればトレンチコートがボロボロになっている。

 

「おっさん、もう終わりか?」

 

「舐めるな!」

 

ドーナシークが再び光の槍を作り出し、ウィルに投げる。

 

しかしウィルはそれを大剣を振って弾き飛ばした。

 

「ったく、ワンパターンでつまんねぇな!!」

 

そういうとウィルの姿が消え・・・・・・

 

「ガハッ!?」

 

ドーナシークの口から大きな息が漏れた。

 

ウィルが瞬間移動してドーナシークの腹に拳を叩き込んだのだ。

 

「・・グゥゥ・・・グハッ!?」

 

そして呻いている隙を狙い、ドーナシークの顔に顎を殴り、上空へと吹き飛ばす。

 

「トドメと行きますかね。そらっ!!」

 

ウィルは大剣をドーナシークの飛んだ高さよりも、高く放る。

 

「んんんんんんんんん・・・!」

 

両手を握るように力を入れると、付けている銀色の手袋に緑色のオーラを集まっていく。

 

「とうっ!!」

 

そして上空へと飛ぶとクルクル回る大剣をキャッチする。すると銀色の手袋のオーラが移り、大剣が緑色に光る。

 

「どらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

大剣を自分の頭の上へと振り上げ、ドーナシークへと向かっていく。

 

「ふぅん!!」

 

吹き飛んでいたドーナシークはウィルの姿を捉えると体勢を立て直し、光の槍を構えて迎え撃つ。

 

ガキンッ!

 

互いがの武器が一閃する。2人は地面に着地し、背を向け合う。

 

その刹那・・・ドーナシークの光の槍が折れ・・・

 

「お、の・・・れ・・・」

 

ブシャアァァァァァァァァァァ

 

体が真っ二つに裂け、地面に落ちる。

 

ウィルは大剣の血を払って背中に収めるとドーナシークだった死体に目を見遣る。

 

「まっ、こんなもんですかね。物足りないけど・・・」

 

そこにリリーとエレンが瞬間移動して現れる。

 

「おっ、そっちはもう終わったのかい?」

 

「ええ、終わったわよ」

 

「終わりましたよ。そっちも終わったようですね」

 

「ああ。でも物足りないけどな。もっと手応えのある奴だと思ったけどさーコイツ、ワンパターンな攻撃しかしなくって・・・」

 

死体を踏みにじりながらウィルが言う。ふとリリーの持っていたものに目をやる。

 

「なあ、リリー。その凍った黒い物みたいなのはなんだ?」

 

「見りゃわかんでしょ? あのゴスロリビッチからもぎ取ってきた翼よ。瞬間冷凍してね」

 

「・・・いやわかんねぇよ。だってそれ、大分溶けてるじゃねえか・・・」

 

「えっ? ・・・ああぁぁぁぁぁ!! あ~ん、せっかくコレクションしようと思ったのにぃぃ・・」

 

「そんな汚らしい物なんか集めてどうするんですか・・・」

 

エレンがジト目でリリーのことを見遣る。呆れたような目だ。

 

「まあいいわ。もう片方の翼もあるし、こっちを持ち帰ろ~っと」

 

明るい笑顔で言うリリーにエレンはジト目を通り越して蔑みような目になっていたが、すぐに諦めが付いたかのように溜息を吐いた。

 

「まあいいです。殺した証拠にはなりますし、あの堕天使の見せしめにもしてやりましょうか」

 

「・・・こんなクッセーもんを持っていくのか?」

 

「私たちを煩わせたあの出来損ないの堕天使を絶望でもさせてやるんですよ。どうせコイツらはアイツのお友達か何かなわけですし」

 

エレンが無慈悲な発言をしたところで・・・・・・

 

「エレン! ウィル! リリー!」

 

「こっちは終わりましたわよ!」

 

こちらに高い声が二つ聞こえてくる。上空を見るとリアスと朱乃の姿だった。

 

「ああ、リアス・グレモリーさんと姫島朱乃さんですか」

 

リアスと朱乃がそのままエレンたちのほうに向かって降りてくる。

 

「あなたたち大丈夫だったの?」

 

リアスが問うとエレンはフンと鼻を鳴らし、リリーはピースで笑顔を浮かべる。ウィルに至ってはニッカリしながら親指を立てる。

 

「その様子だと楽勝だったみたいですわね」

 

「おう。楽勝楽勝♪」

 

朱乃の言葉にウィルが笑顔を浮かべながら応える。朱乃もニッコリと微笑んでいた。

 

「そっちは大丈夫だったんですの?」

 

「ええ。ちょっと疲れちゃったけどね。妖魔がいろんな場所から四方八方出てきて大変だったわ・・・」

 

リリーの問いにリアスが応え、ふうっと息を漏らす。

 

「そうでしょうか? 私は妖魔さんたちがまるで痛めつけてくださいと言ってるみたいで楽しかったですわ。ウフフフ」

 

舌舐めずりしてサド発言をする朱乃にリアスが半眼で見る。

 

そこにリリアンヌがリアスにのそのそと歩み寄って耳打ちで話しかける。

 

『部長』

 

『何?』

 

『シキからも聞いていましたけど、朱乃さん侮れない魔性のドSですわね』

 

『え、ええ。妖魔たちに囲まれて私も結構、危なかったのだけれど・・・朱乃ったら余裕で楽しんでて、ちょっと怖かったわ・・・』

 

『人にもいろんな方がいるんですわね。いや、悪魔ですけれども』

 

とここで朱乃が口を開く。

 

「そんなことよりも、早くイッセーさん達と合流しません? あの子たちでも危ないと思いますわ」

 

「ええ、そうね。レイナーレも残っているし、急がないとね」

 

リアスたちが教会へと向かおうとしたとき、エレンがふいに口を開く。

 

「待ってください。少し確認したいことがあるのですが、よろしいですか?」

 

「何、エレン?」

 

「先程の私たちが倒した堕天使、確かアーシアを探していると言っていましたね。おまけに妖魔に攫われたとも言っていました」

 

「そうだけど、それがどうしたのよ?」

 

「奴らは教会を本拠地にしているはず。そのアーシアが攫われたということは・・・」

 

「・・・だったら教会にはいないはずだよな?」

 

「レイナーレという堕天使も恐らく、彼女を探しているはずです。つまりは・・・・・・!?」

 

エレンは顎に手を当てて思考していると、1つの考えに思い当りハッとした。

 

「ちっ・・・!!」

 

顔を顰めて舌打ちをすると、エレンが教会に向けて走り出す。

 

「ちょっと、どうしたの!? エレン!?」

 

「おい!! どうしたんだよ!?」

 

状況を理解できていないリリーとウィルが遅れてエレンの後を追う。

 

「私たちも行きましょう」

 

「了解です」

 

一体どうしたのかという顔をしつつもリアスと朱乃が悪魔の翼を広げて、3人の後に続く。

 

林の中を走りながら、リアスはエレンに追いつき問いかける。

 

「一体、どうしたっていうの!? エレン!?」

 

「リアス・グレモリーさん。今すぐに教会にいかないとあなたの仲間が危ないです!!」

 

「なんですって!?」

 

「ちょっと、どういう意味よ!?」

 

「分かるように説明しろ!!」

 

驚愕の表情を露わにするリアスと、それに続いてリリーとウィルが走りながら問いかける。

 

「あの教会は元々使われていないはずの教会なんです。でも神父がいた。おかしいと思って私は調査をしたのですが、神父は普通の神父で特に怪しいところはなかった。しかし、この前見つけたあの教会のポスターに邪気を感じて私は撃ってみたんです。そしたらそのポスターが妖魔に化けていたことが判明した。それで確証したのです。あの教会は元々使われていないと・・・」

 

「私も聞いたことがありませんわ。あの教会に神父がいるという事実は」

 

「ですからあの教会は妖魔が本拠地に利用していた場所だと推測しているのです。そうすればこの街に妖魔が異様にたむろい始めたのも、アーシアを攫ったはずの堕天使が妖魔陣に彼女を奪われたことも納得が付く」

 

「・・・なるほど、確かにそう言えるかもな。でもそれとグレモリー眷属イッセーの3人が危ないこととどう関係があるんだ?」

 

「・・・レイナーレはきっとアーシアを探しています。あの地下には儀式を行うための道具がありましたよね?」

 

「ええ、それがどうしたの?」

 

「3人は恐らくアーシアが地下へといくはずです。そこの場所は蛻の空なわけです。でもあの教会には怪しげな神父がいる・・・その神父が妖魔を裏で操っているものとすれば、3人は妖魔陣の罠にはまってしまう!!」

 

「!?・・・それは不味いわ!! 急ぎましょう!!」

 

5人は急いで教会へと向かう。しかしそんな彼らを邪魔するかのように大量の妖魔が出現する。

 

「クソッ!! こんなときに、邪魔な奴らが・・・!!」

 

「しかも私たちが倒した数の数倍はいるわ・・・」

 

「このままじゃ、間に合わないですわ!!」

 

「・・・くっ!!」

 

エレン、リリー、ウィルの3人は武器を構えて戦闘態勢に入る。

 

「リアスさんと朱乃さんは急いで3人の元に行ってください!! 私たちでコイツらを何とかします!!」

 

「・・・で、でも」

 

リアスは不安な声を出すも、先ほどの戦闘の最中に少しだけ3人が堕天使を圧倒しているのを見ているから知っている。

 

この3人なら、きっと生きて帰ってきてくれると・・・。

 

「部長!!」

 

「あっ、ええ、分かったわ。朱乃、ジャンプの準備を」

 

「はい!!」

 

部長に言われると朱乃は呪文を唱え始める。

 

とそこに妖魔が4体ほど、2人に襲い掛かるもリアスは滅びの魔力を妖魔にぶつけて消滅させる。

 

するとリアスの背後からウサギ型の妖魔が飛び出す。リアスはとっさに気付いたために素早く反応ができなかった。

 

「しまった・・・!」

 

キシャアァァァァァアァァ!!

 

妖魔はリアスに爪を立てようとするが、それは紫色と青色の光線に阻まれた。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「怪我はしてません!?」

 

「え、ええ、大丈夫よ」

 

朱乃はほぼ呪文を唱え終え、赤い魔法陣を地面へと出現させる。

 

「・・あなたたち、絶対に生きて帰りなさい!!」

 

リアスはそう言い残すと朱乃と共に魔法陣に乗ってワープしていった。

 

エレン、リリー、ウィルは2人がいったことを確認すると妖魔の大群に対して身構える。

 

「2人とも、準備はいいですか?」

 

「当然でしょ。久々の大きな仕事だもの。気合入れていくわよ」

 

「ぶっちゃけこんだけの数を相手になると気が遠くなりそうだけどなぁ。まっ、退屈しのぎにはなるだろう」

 

「フフ・・・万全のようですね。では、行きますよ!!」

 

エレンの合図と共に3人は妖魔たちに向かって飛び出した。

 

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