ライザーとの決戦、当日。私はリビングでケーキを嗜んでいた。お茶を啜り、ケーキをフォークで切り分けて口に運ぶ。
今は夜の十一時頃。リアスとライザーのレーティング・ゲームまで残り一時間といったところだ。それまで自分の自由な時間を楽しんでいる。
私はレーティング・ゲームには参加しない。お家騒動に巻き込まれるのは私の柄じゃないし、それ以前に私はリアスの眷属ではないのでもしかしなくても参加は不可能に近い。
グレイフィアは私が参加しないのを知っているようだが、魔王様が私に会いたがっているからぜひ見学に来てほしいと言われた。本当は怠いから行きたくないのだが、リアスの兄である魔王がどんなヤツなのか興味はあったので行くことにした。
これから日本一面倒臭いことが起きるのか。ああ、怠い。私の場合はお見合い相手などすぐさま斬り捨てるというのに・・・。
・・・・・・冗談だ、半分な。冷たくあしらって追い返しているよ。現在では没落している、当時のお家の当主を継ぐ気もなかったしな。
そんなことを思いながらケーキを嗜んでいうちに三十分が経ってしまったな。もうそろそろ出かけなくてはならない。いろいろと準備もあるしな。
私はケーキを食べ終え、お茶を飲み干すとすぐに立ち上がり、自室へと戻ってタンスの扉を開ける。そこから薄桃色の振袖を取り出す。
今、着ているのは普段着ている青い着物。この着物は動きやすいように作られた特注品だ。着物が捲れ上がって下が見えてしまうかもしれない。最低限としてお偉い方と面会するには服装は重要だと考え、私は格好から変えることにした。そのぐらいの礼儀は私もわきまえている。
私は青色の着物をはらりと落とすと、振袖に腕を通す。青色の帯をしっかりと締めると短剣を腰に提げる。
そしてベッドに置いてある機関が着ることの多い黒いローブを手に取る。普段は外出時に着ることの無い黒いだけのローブ。私からして見ればよくは出来ているが、地味で粗末なものだ。
着るのは面倒だが、今日は上層部との面会がある。もとい魔王に会うのだ。仕方ないから着ようか。
私は黒いローブを仕方なく羽織り、部屋を後にする。もちろんフードを被るのも忘れないように。
「今夜も出かけられるのですか?」
「・・・ああ。魔王に会ってくる」
「魔王様、ですか」
玄関でわざわざ出迎えてくれた秋山にも一応返事をしておいて、ブーツを履く。
振袖にブーツは少し変かな? でも、ローブを被ってるから目立つわけはないか。それに迷っていると時間になってしまう。このままで行こう。
「行ってらっしゃいませ」
秋山の声を背後で受けながら、玄関のドアを開ける。外はすっかり暗くなっている。まあ、夜だから当たり前だが。
「サークーラー!」
調子のよい声が頭の上から響いたかと思えば、私の肩の上に真っ白な大福が乗っかった。もといモコナ、またお前は勝手に出てきて・・・。
「珍しいね。黒いローブを着るなんて」
「・・・面倒だけど、魔王に会うからな」
・・・本当は暑苦しいからこんなの着たくないんだけど。
「モココも一緒に行っていい?」
「・・・・・・好きにしろ。その代わり騒ぐなよ」
「ふぎゃ!?」
私は少し沈黙した後、モコナの頭を掴んでローブの懐の中に押し込んでおく。こんな緊張感の無いヤツがいたら気が散るしな。
どうせ断っても着いてくるだろし、出かけ早々面倒なことを起こしたくはない。
玄関の門を開けて外に出た後、私は片手をかざして闇の回廊を作り出す。中へと入り、一気にオカルト研究部の部室の中に入る。
「おっ、サクラ来たな、ってうわっ!?」
「だ、誰!?」
私の姿を見て驚いているイッセーとリアス。他の眷属も何故か戦闘態勢に入っている。こいつらは莫迦なのか?
私はフードを取って素顔を見せる。・・・ああ、暑苦しい。
「な、何だサクラか・・・」
「オレ以外に誰が来るっていうんだ、この莫迦」
イッセーに一言申した後、私は壁に寄りかかって目を瞑った。
部員たちが思い思いの時を過ごしている中、リアスが唐突に私に聞いてきた。
「サクラ、そのローブ姿は?」
「・・・機関の服装」
「どうしてその格好をしているの?」
「人に会うからに決まってるだろ」
「・・・人って誰に?」
私がその問いに答えようとした時、部室の魔法陣が光り、グレイフィアという名のメイドが現れる。
「皆さん、準備はもうお済みになりましたか?」
グレイフィアがそう言うとリアスたちが立ち上がる。私が見る限り、グレモリーの眷属は全員揃っている。準備はもう万端と言ったところか。
グレイフィアが確認するとグレモリー眷属たちへ説明を開始する。
「開始時間になりましたら、ここの魔法陣から戦闘フィールドへと転送されます。場所は異空間に作られた戦闘用の世界。そこではどんな派手なことをしても構いません。使い捨ての空間なので思う存分にどうぞ」
それは要するにどんなに力を使っても文句は言わないということだ。爆発を起こしても、建物を壊すような危険な力でも咎められることはない。
いっそのこと現実世界でもそのような場所があればいいんだけどな。私としては、どんなに殺しをしても揉み消してくれる世界が欲しい。
「あの、部長」
「何かしら?」
「部長にはもう一人、『
眷属は揃っているという言い方は誤解のある言い方だったな。正確に言えば戦う面子は揃っているということ。そういえばリアスにはアーシアの他に『僧侶』がもう一人いるのだが。
そもそも合宿に来ていないということが問題だ。眷属であるなら大人しく従うべきだろう。何をやっているんだが、その『僧侶』というヤツは・・・。
兵藤がそんな質問をしたとき、周りの空気が重苦しく変わったような気がした。兵藤とアーシア以外のメンバーはすっかり口を閉ざしてしまった感じだ。
「・・・残念だけど、その『僧侶』は参加できないわ。いずれ話すときが来ると思うわ」
リアスは兵藤に目線を合わさずに言う。余程の事情があるんだろうかと思うが、私には知ったことではない。
「今回のレーティング・ゲームは両家の皆様も他の場所から中継でこのゲームをご覧になります。さらに魔王ルシファー様も今回の一戦をご覧になっておりますので、それをお忘れなきように」
それはもう知っている。魔王がここに来ているということは。まさかこんなくだらない余興のために足を運ぶとは思わなかったけどな。まあ、妹が大事なのは分からなくもないが。
そのことを聞いて部長が心底驚くような顔をしていた。
「お兄様が?・・・そう、お兄様も直接見られているのね」
「その魔王様に会わせてくれるんだろう?」
「はい」
私がグレイフィアに問うと肯定した。リアスはそれを聞いて疑問の声を上げた。
「サクラ、会う人ってお兄様だったの?」
「冴えない交渉人に会うつもりだとでも思ったのか?」
私は若干嫌味を含みながら返し、更に言葉を続ける。
「招待されたんだよ。魔王直々にな。とはいっても、電話の相手はグレイフィアだったけどな」
本当にどうでもいいことを話したような気がする。これぐらい言えば莫迦でも分かるだろ。
それにしても、何でグレイフィアが私の電話番号を知っているんだ? 教えたわけでもあるまいし。どこから手に入れたのかが物凄く疑問だ。
多分、情報源はリアスだと思うが、まあ、どうでもいいか。
「・・・あ、あの、俺の聞き間違いでしょうか? 今、部長が魔王様のことをお兄様って・・・」
兵藤がどうやら疑問を感じているようだ。全く、察しの悪いヤツめ。
「聞き間違いじゃない。部長の兄は魔王だよ」
「ま、魔王ぉぉぉぉぉ!? 部長のお兄さんって魔王だったんですか?」
「ええ」
即答するリアス。それにしても、この変態はうるさい男だ。ファミリーネームが違うせいで頭が混乱しているのか?
先の大戦で魔王は致命傷を負って死亡し、いなくなってしまった。悪魔は魔王がいないと統率を計れない。そこで悪魔たちは魔王の名前を残し、強大な力を持つ悪魔に引き継がせることにした。それが現在の魔王の方針なのだ。
そういえばサーゼクスの前にもう一代、別の魔王がいた気がするんだが、思い出すのも面倒なのでやめた。とにかく「ルシファー」も「ベルゼブブ」も今では個人名ではなく、役職名と同じわけだ。
私が今まで測った力の度合いを見ると三すくみの中では悪魔側が一番弱い。まあ、弱点が多いせいもあるな。悪魔の社会も首の皮一枚で繋がっているということだ。
「じゃあ、最上級悪魔として部長のお兄さんが魔王に選ばれたってことか」
兵藤の問いに木場が頷く。
サーゼクス・ルシファー。『
だから、リアスは当主を継がないといかないわけだ。今回はライザーと結婚したくないというくだらない理由によるゲームだけどな。
「そろそろお時間です。皆様、魔法陣の方へ」
グレイフィアに促され、リアスたちは魔法陣に集まる。そして、リアスたちは私に顔を向ける。
「・・・じゃあ、行ってくるわね。サクラ」
「・・・さっさと行け」
魔法陣の形が変わり見知らぬものへと変わると光を発し、強くなった光がリアスたちを包み込む。光が消えたころにはリアスたちの姿は消えていた。
「・・・移動したか」
「その通りです」
グレイフィアが肯定する。私はグレイフィアのほうへと顔を向ける。
「・・・魔王はどこにいるんだ?」
「では、こちらです。サクラ様、ゲームを見学する場所へ案内いたします」
私は黒ローブのフードを被るとグレイフィアの後を着いていくように魔法陣の上に乗った。すると先ほどと同じように魔法陣が光り出し、私の体を包んだ。
エレンの転送魔法でも感じたような浮き上がる感覚が私の体に伝わった。
気が付くとそこは部室ではなく、物が何も見当たらない簡素な感じの部屋だった。部室よりかは広いが、そこまで広いという感じの部屋ではない。
「サーゼクス様、風花桜様をお連れしました」
グレイフィアが頭を下げた先には紅髪の美青年がそこに立っていた。
「はじめまして、風花桜君。リアスから君の話は聞いているよ」
私はフードを取った後に口を開く。
「アンタが、魔王ルシファーか?」
「そうだよ。私が魔王サーゼクス・ルシファーだ。」
優しげに話してはいるものの、言葉の一つ一つに威厳さを感じるものだ。底知れない雰囲気を持っている。これが魔王というものか。
「さあ、ここに座ってくれ。一緒にリアスたちのゲームを見ようじゃないか」
サーゼクスはそう言って座っている自分の隣の椅子を差す。アイツの近くにいるだけでも、興奮してしまうというのに。
私は椅子とサーゼクスを交互に見つめた後、諦めたように彼の隣の椅子に座った。
すると目の前に二分割された大きなモニターが表示され、どうやらグレモリー家とフェニックス家の両方を映し出しているようだ。
なるほど、駒王学園が今回の戦いの舞台か。まあ、レプリカだろうけどな。本当にあんなところでやったら、後片付けが大変なことになっているだろうな。
私は周囲を見渡した後、疑問に思ったことをサーゼクスに問う。
「・・・他の奴らはどうした?」
「ん?」
「グレイフィアが言うには、他の両家も来ていると聞いていたんだが」
「いやなに、キミと個人的にお話がしてみたくてね。他の人たちは別の場所で見ているよ」
「あっそ」
それはよかった。私は社交が嫌いだからな。あまりにも人の多いところにいるとムカムカしてしまうかもしれない。
「本来ならキミがリアスたちに関わるのはおかしな話だが、私はむしろそれが面白いと感じているんだ。それはキミが元・エクソシストでありながら、私たち悪魔を討伐対象として見ていないからだよ」
「何の話だ」
この男・・・何が言いたい・・・? 先程からムカつくことばかりを言ってくれる。
正確に言うならば、私は元ではなく現・エクソシストだ。私が名乗っていないのは、憎たらしいエクソシストの肩書なんか背負いたくないだけ。はぐれと呼ばれるのも心外だ。
私の心の中の感情が沸々と湧き上がってくる。
「言っただろ? 私はキミと話したいだけなんだ。エデンのNo.4『妖艶なる神殺し』の風花桜君」
・・・!!!!
私は座ったまま腰の短剣を握り、黒いオーラを出しながらサーゼクスのことを睨みつける。エデンの情報をそこまで知っているとはこの男は只者じゃない。
「・・・何でオレの番号を知っている? しかも肩書まで。機密事項だったはずだ」
「すまないね、驚かせてしまったようだ。実はエデンの七傑とは昔からの知り合いでね。その一人であるキミの師匠から教えてもらったんだよ」
・・・あのおしゃべりババア。酒に酔って余計なことをベラベラと話しやがったな。いつか、解体して内臓を挽肉にしてやる・・・!
というか、師匠は魔王と知り合いだったのか。はぁ、余計な縁を結んでくれたな。
「それにキミからは悪魔の血は当然だが、人間の血でもない何かをひしひしと感じているよ」
!!? まさか、コイツ・・・私の正体にも気づいているんじゃ・・・!?
私は更に警戒心を強め、炎を体全体から迸らせるように纏う。
その様子を見てどう思ったのかは知らないが、グレイフィアが驚いて危険だと感じたのかサーゼクスに駆け寄ろうとするが、彼が手で制する。
「いい力を持っているね。一介の悪魔であれば、寒気を覚えているところだが、私たちと同じ赤い炎だ。その姿を見ていると私の戦役時代を思い出すよ」
な、何だ、コイツ? 私が威嚇しているのにも関わらず、動じてないだと?
相手も狼狽えていないので攻撃する気にもなれず、私は短剣から手を離して全身の炎を収めた。チッ、面白くない。
私は席をモニターのほうへと座り直した。
「ふん。アンタ、本当に部長の兄か? 雰囲気といい態度といい、とても血の繋がった兄妹とは思えないな」
わずかだが、この男からはリアスの倍以上の底知れぬ滅びの魔力を感じる。兄妹でここまで差が出るものなのか?
「私とリアスは正真正銘の血の繋がった兄妹だよ。確かに私は異質と言われるほどの常識外れの力を持っているがね。あと私はキミのように年上に対してもそういう喋り方をしてくれるほうが好みだよ」
余裕綽々に言うサーゼクス。相も変わらず落ち着いた雰囲気を醸し出している。笑顔が本当にムカつく。
・・・興味は無いけど、一応聞いてみる。
「ということは、リベリオンが危険な魔剣だということも知っているのか?」
「まあね。話ぐらいは聞いているよ」
サーゼクスが肯定すると私は立ち上がって右手を横にかざして、黒い粒子を集めてリベリオンを出現させる。そして、それをサーゼクスに見せる。
「これが、魔剣リベリオンか。他の魔剣とは違って異質だ。何やら底知れない何かを感じさせる魔剣だね。まだまだこの魔剣には秘められた力があるようだ」
サーゼクスが私の魔剣を見ただけで何かに気付いているようだ。さすがは、魔王といったところか。やはり他の悪魔とは違う何かがあるな。
私は魔剣リベリオンをしまうと席に座る。警戒心はまだ少しあるが。
「・・・で、オレをどうするつもりだ?」
「私はキミと争うつもりはないよ。キミには危険性が無いと分かっているからね」
・・・それは要するに危険と分かっていたらこの場で私を滅ぼすという意味にも捉えかねないよな?
ふん。どいつもこいつも、危険だとすぐに抹殺しようとする異端審問官と性格がそっくりだな。
「それに、私の妹にも協力してくれたようだし」
「・・・ただの気紛れだ」
「それでも構わないさ。どんな関係であっても、妹の力になってくれればね」
「・・・・・・」
そう言って笑うサーゼクス。ああ、そうか。この男は、私の苦手なタイプだ。
でも、その笑顔には妹思いの兄としての姿が感じられた。私も姉妹がいるし、分からないことも無い。
ふとモニターを見ると兵藤が何やら必殺技を披露しようとしている光景だった。
『くらえ! 俺の新必殺技! 「
パチンと指を鳴らすと、ライザーの眷属であろう三人の女性の服が弾け飛んだ。
・・・・・・・は? 何だこれは?
『イ、イヤアァァァァァァァァァァッ!!!』
響き渡る悲鳴を上げ、三人はその場にうずくまって下を隠そうとしている。下を隠している女性の意味も分からなかったが、兵藤の必殺技のほうが全然分からなかった。
『アーッハハハハハハハハ!! どうだ! 見たか! これが俺の必殺技! その名も「ドレス・ブレイク」ッ! 俺の脳内で女の子の洋服を消し飛ばすイメージを延々と浮かべ、延々と妄想し続けたんだよ!! 魔力の才能を、すべての女の子を裸にするために使った!! これがアーシアとの修行の成果だ!!』
・・・・・・最悪だな。あの合宿で何をやっていたんだ、あの大莫迦野郎は。おまけにアーシアまで巻き込んで。
あれがアーシアと一緒に修行をして、得た成果だというのか? 本当にアイツは呆れて物も言えないくらいの莫迦だな。期待して損した。
この場にリリーがいたらとんでもないことになっていただろうに。怒り狂って大暴れするかもしれないな。
『最低! 女の敵!!』
『ケダモノ! 性欲の権化!』
彼女たちが涙目になりながら、兵藤のことを罵る。気持ちも分からないまでも無い。私もあんなことをされたら、兵藤の腹を陥没するまで踏みつけるかもしれない。
「・・・あんな奴らについていける気がしない」
「あははは、まあそんなことを言わないでくれたまえ」
・・・・・・言いたくもなる。少しアイツに失望した。何故、私はあんなヤツの友人をしているのだろうか。
それはそれとして、サーゼクスの話に戻るとする。
「・・・アンタは今回の婚約をどう思っている?」
リアスのことを思っているのにも関わらず、感情を無視して強硬策にでる家のことは不浄だとしか言いようがない。
「私個人の考えとしては、リアスには自由な恋愛をして好きな相手と結婚をしてもらいたい。私もそんなところだけどね。周囲からは随分と反感を受けたが、私はグレイフィアと結婚する道を選んだ」
ほう。サーゼクスとグレイフィアは結婚していたのか。サーゼクスの『女王』でメイドをしているグレイフィアが。
「私とグレイフィアのラブロマンスは結構有名だからね。そこら辺はリアスにでも聞けば分か――――」
「アンタらのラブロマンスなんかどうでもいい。結局、どうなんだ?」
話を遮って脱線しそうだった話を戻そうとする。正直、恋愛なんか心底どうでもよかった。
「まあ、そうだね。私は婚約にはどちらかというと反対だ。だが父上やフェニックス家の者は純血悪魔の血を途絶えさせるわけにはいかないと今回の婚約を成功させようと躍起になっているようだ」
その話はリアスからも聞いている。純血悪魔の血が消えようとしているということも。
だが、そんなのはリアスでなくてもできることだ。他の純血悪魔同士でも、純血悪魔は増やすことはできるはず。だから、一生懸命になっているのが心底くだらないんだよ。
どうやらいくら魔王でも婚約の話を白紙にしようなど無理な話らしい。魔王も感じなときには使えないヤツだ。
「アンタは本当に顔が見たかっただけか? どうでもいい話ばかりさせられてこっちも疲れたんだけど?」
「それはすまなかったね。そうだね。本題は・・・」
そもそも顔が見たいなら二人っきりになる必要はないし、他の場所でも十分なはずだ。二人っきりにしたということは、私にしか話せない何かがあるということだ。
そして、サーゼクスがこう言った。
「桜くん、キミはリアスが勝てると思うかい?」
どこかと意味深のある言葉。それはまるでリアスがライザーに勝てないと言っているように感じられる言い方だ。
まあ、私はリアスとライザーの実力の差などこの戦いで測らなくとも分かる。フェニックス家が一体、どんな能力を持っているのかを知っていればな。
私はその問いに答えようとした、そのとき・・・・・・。
ドォンッ!!!
モニターから聞こえる突然の爆発音。一体、何があったのか。
『・・・・・・こ、小猫ちゃん!!』
小猫が兵藤と少し離れた場所で煙を上げながら倒れていたのだ。
『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
兵藤が悲鳴を上げながら、小猫に駆け寄る。周囲を気にしていなければ、一瞬何が起こったのか分からない音だ。
どうせ何かをやり遂げたことに満足して、敵が別の場所で狙っていることに気付かずに油断したんだろう。全く、修行不足だな。
「・・・決まっている」
私はモニターでそんな状況が起こっている中、サーゼクスの質問に改めて答えるとする。
「勝てるわけがない。この勝負は最初から決まっているさ」
私が冷たい笑みを浮かべながら、そう答えたとき、あのフィールドからグレモリー眷属が一人。姿を消した。