極悪な奴ら/THE EVIL HERO   作:早乙女

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番外編5「実りの駒王の・・・ 後篇」

「ドラゴン!」

 

「やっぱりな。ドラゴンのキメラは予測できた」

 

これがヤツが作っていた食獣植物とドラゴンのキメラか。見た感じは戦闘目的で作られたようにも見える。でも、これが違うだと?

 

「どうやらグレイフィア様がおっしゃっていたのはこれのようですわね」

 

「手間が省けたわね・・・ん?」

 

グレモリーは何かに気付いて視線を向けたので、私も向けてみるとそこは木陰で誰かが手を拱いているのが見える。

 

「エレンにウィル? 何をしているのかしら?」

 

「!? リアスさん、誰か来ますですぅ!」

 

ラウラが背後から誰かの気配を察知して、グレモリーに知らせる。確かに人の気配がする。

 

「みんな隠れて!」

 

グレモリーたちは2人の隠れている木陰に身を潜める。私はエレンとウィルの動向が気になったので、グレモリーの言うことに従うことにした。

 

「ここで何をしているの?」

 

「・・・ちょっとヘマをやらかしてしまいましてね」

 

エレンがバツの悪そうな声で言う。よく見るとエレンの修道服は部分的にボロボロになっていて、肌や下着が露出していた。

 

「アンタ、服がボロボロじゃない! 何があったのよ!?」

 

リリーが声を上げながら言うとウィルが代わりに説明する。

 

「実はな、お前らを待っている間に妖魔共がこの付近に現れた」

 

『!?』

 

妖魔という言葉にイッセーたちが驚いたような顔をする。

 

「いつものようにぶっ殺そうとしたんだが、突然あのキメラがパックリと割れてエレンに襲い掛かったんだ。このように服はボロボロになったけど、何故か無傷で解放した。一旦アイツらの目から俺たちを林の中をかく乱してここに隠れてたってワケだ」

 

「あんまり、直視しないでください・・・」

 

ウィルがエレンを見ながら説明していたので、エレンが顔を赤らめながらこう言った。

 

私はエレンのほうを一瞬だけ見て、キメラのほうに視線を戻した。

 

ん? アイツらは・・・。

 

「おい。見てみろ」

 

私の言葉にグレモリーたちが視線を向けるとそこには寝間着姿の少女2人が見えているだろう。

 

「あれ・・・うちのクラスの片瀬と村山じゃねぇか」

 

いつも変態3人組をケダモノとして見ては、変態行為に及ぼうものなら竹刀でしばき倒しているあの2人だ。アーシアとも友人付き合いはしている。

 

2人は意志の感じられない目とは裏腹に、しっかりとした足取りでキメラのほうに歩み寄る。キメラの前で止まると、そのキメラの周囲の蔓状の触手が蠢き、先がパックリと割れると2人の胸に喰い付く。すると何かを吸い上げるように脈動し、2人が艶かしい吐息を漏らす。

 

「う、動いていますよ・・・?」

 

「エレンも襲われて、胸をあんな感じに吸われてたぜ。でも、すぐに解放された」

 

ウィルが説明すると、姫島が言う。

 

「精気を吸い取っていますわね」

 

なるほど・・・女子生徒は貧血ではなく、精気を吸われて疲労を感じていたから欠席していたというわけだな。そう思えば、大よそ検討は付く。

 

・・・? 何やら、邪悪な気配が・・・!?

 

「アイツ・・・!」

 

「待て兵藤」

 

木陰から飛び出そうとした兵藤の頭を下げて制する。

 

「でも、サクラ!」

 

「あれをよく見ろ。お前らもだ」

 

視線のほうに指を差すとグレモリーたちは驚愕した。そこにはミツバチ型の妖魔がいたからだ。しかも、10体もいる。

 

体長は4メートルぐらいあって、普通のミツバチとは逸脱した大きさとなっており、しかもお尻には鋭い針を構えている。

 

「妖魔!?」

 

「ど、どうしてここに・・・?」

 

兵藤とアーシアの言葉に、私が答える。アーシアは心なしか、体が震えていた。

 

「あのキメラにも吸い上げてきた精気を魔力に変えたものがある」

 

「その女性たちの吸い上げた精気にあの妖魔たちが群がってきたのね」

 

「そのようですね」

 

私はグレモリーの言葉には肯定せず、代わりにエレンが肯定した。

 

「あのキメラ・・・何の目的で精気なんか吸ってるのかしら? しかも女性限定で」

 

「どうしたの、リリー? 何か気になることでも?」

 

リリーは一瞬グレモリーのほうを見つめると口を開いた。

 

「大体、精気なら男からも吸い上げることができるんじゃないかと思うんだけど。でも、あのキメラはエレンの精気を吸おうとしたけど、ウィルのことは吸おうとしなかった。これっておかしいと思わない? 自分の力を蓄えるためならまだしも、女性限定で狙ってるということはあのキメラは何かしらの目的があるってことでしょ? あの変態悪魔が大人しく連行されたということはアイツはもう必要ない、あのキメラは精気を吸って何かを生み出そうとしているかとしか考えられないわ」

 

「なるほど・・・それも一理あるわね」

 

「さすがリリー様ですぅ! どこでそんな推理を覚えたですぅ?」

 

「アタシを誰だと思ってるのよ? これでも前の学校では秀才だったんだから」

 

リリーがラウラに称賛されて、フフンと鼻を鳴らす。

 

「あ、あの・・・助けなくていいんですか?」

 

「今までの事例から見て命を奪うわけでは無さそうだし・・・」

 

「そうだな。でも、あのハチの妖魔だけは殺さなくちゃいけねぇな。人を喰らうわけでも無いようだけど、あのキメラから精気を奪って悪用でもされたら面倒だしな」

 

「妖魔は知能もありますしね。そのぐらいは考えられますわ」

 

「でも、もうしばらく様子を見ましょう」

 

グレモリーがそう言った直後、片瀬と村山から触手が離れ、2人はフラフラと去っていった。

 

「女生徒に術をかけて、夜な夜なここに来るように仕込んでいるようですね」

 

「そして精気を吸い取って、それを養分にしているのですね」

 

「そんなことができんのかよ!?」

 

木場と姫島が続けて言う。あのキメラもそれなりに知能はあるということだな。ばれないようにしていたあたり、結構狡賢いな。

 

2人の姿が完全に見えなくなると囲んでいた妖魔たちが少しずつキメラのほうに近づいていく。するとキメラは触手を振るって妖魔を追い払おうとしているようだった。

 

「あのキメラもせっかく蓄えた精気を一つも譲りたくないようですぅ」

 

「人に危害を加えるわけではないみたいだが、野放しにするのも厄介だな」

 

「っていうか妖魔は絶対に排除だからね。どっちにしろ殺すわよ」

 

私とリリーが木陰の前から姿を現し、同時にグレモリーも一緒に出る。その後ろから兵藤たちもついて、全員姿を現す。

 

「まあ、なんにしても―――私たちにばれてしまったのが、運のツキね!」

 

グレモリーたちはキメラのほうに目線を向け、私とリリーとウィルとエレンは妖魔のほうへと視線を向ける。

 

キメラはグレモリーたちを認識すると触手を一斉に振るって攻撃してきた。妖魔たちもそれと同時に私たちのほうに襲いかかってきた。

 

リアスは飛び上がって攻撃を避け、兵藤とアーシアも間一髪で触手を避ける。

 

「油断しないで。攻撃開始よ!」

 

「はい、部長」

 

グレモリーは滅びの魔力を打ち出すのに対し、姫島は制服から巫女衣装に着替え雷を放つ。

 

「・・・ぶっとばします」

 

妙にやる気に満ち溢れた小猫がキメラに目掛けて鉄拳を振るう。

 

「学園の平和を乱す者は倒さないとね!」

 

木場は襲い来る触手を斬り落としていく。

 

「オレと踊りたいってか? いいぜ!」

 

私は白い鳳凰の翼を広げると宙へと飛び、右手を天にかざして魔剣リベリオンを出現させる。そして左手に持ち替えて、襲い来る妖魔を真っ二つにする。更に襲い来る妖魔の攻撃をいなしながら斬り捨てていき、時には右手から聖なる炎を放って焼き尽くす。

 

「いくわよ、ラウラ!」

 

「ですぅ!!」

 

『Freeze!!』

 

リリーはラウラに飛び乗ると妖魔へ向かっていき、作り出した粗末な槍を妖魔へと投げつける。妖魔は氷漬けになりバラバラになった。その後も、ラウラを滑空させながら妖魔を倒していく。

 

「フッ! はぁ!」

 

エレンは妖魔の頭を『聖銃創造(アルマ・デ・フエーゴ)』で作り出した銃で電撃を纏った紫色のエネルギー弾を放ち、正確に撃ち抜いていく。すると複数の妖魔が球のように群がってエレンに突進してくる。

 

「束で集まっても無駄だ」

 

エレンは不敵な笑みを崩さないまま、やや大きめのアサルトライフルのような形をした銃を作り出すと銃口の先にエネルギー弾が集め、ピンポン玉程度の大きさになるとそれを放った。

 

妖魔の塊は巨大な紫色のエネルギー波に包まれ、その姿を消した。

 

「はぁっ! おらぁっ!!」

 

ウィルは襲い来る妖魔を大剣で斬り捨てていく。時には拳で妖魔の顔を潰し、フラついているところを飛び上がって、大剣を縦に振りおろし真っ二つにする。

 

「うおっ!?」

 

すると妖魔たちが猛スピードでウィルを囲むように群がり始め、球のようになり彼の姿が見えなくなっていく。もしかして、蒸し殺そうとしているのか?

 

しかし、そんなことを気にするまでも無く、切り刻むような音が聞こえてきたかと思うと周りの妖魔たちはバラバラの肉片と化した。

 

「暑苦しいのは勘弁だぜ」

 

ウィルは頭をポリポリと搔きながらそう言った。

 

「よっしゃあ! 行くぜ!! ブーステッド・ギア!!」

 

『Boost!!』

 

兵藤は左腕に赤い籠手を出現させ、籠手から電子音が鳴る。それと同時にキメラの触手が兵藤に襲いかかって来た。

 

「でやあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

兵藤は籠手を振るって攻撃を繰り出すも、触手は網のように張り巡らせると兵藤の攻撃を防いだ。

 

「!? っ!」

 

そこへ触手が兵藤を叩きつけようとして、兵藤はそれを避ける。

 

「コイツ、案外賢いぞ!?」

 

そりゃそうだろ。このキメラはドラゴンの頭のせいか、知能もあるのだから。

 

小猫は触手を掴んで引き千切り、木場も切り刻んでいき、グレモリーが滅びの魔力を放つも、触手はあっという間に再生していく。

 

「これじゃあキリが無い!!」

 

「再生力が攻撃を上回っているのよ。本来以上の能力を引き出されている。人間界の空気と土、そしてこの学園の生徒の精気が余程合っていたのね」

 

私たちのほうも、珍しく長期戦をさせられている。ハチの妖魔がいくら倒しても、次から次へと湧いて出てくるのだ。

 

「こっちも倒しても、全然減らないわよ!?」

 

「そういや、ハチってのは集団で行動する生き物じゃなかったけか?」

 

「そうだな。これだけの集団が湧いて出るとなると、どこかに巣を作ってる可能性というのもあり得る。そこの女王バチを潰さない限りは無限に出てくるかもな」

 

その様子をアーシアが心配そうに見守っている。彼女は非戦闘員だから攻撃はできない。

 

「大丈夫でしょうか・・・皆さん・・・」

 

アーシアがそう呟いた、次の瞬間・・・!

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

アーシアの地面から穴が空いたかと思うと、キメラの触手が地中から飛び出しアーシアを縛ってきたのだ。

 

「アーシア!!」

 

「きゃあ! ちょっ、何なのこれ!?」

 

兵藤が助けに向かおうとするも、今度はグレモリー。そしていつの間にか、姫島や小猫まで捕まってしまっている。

 

「しまった!」

 

「ちっ!!」

 

私は助けに向かおうとすると、触手が私のほうにも伸びてきた。

 

「っ・・・!? うわあぁっ!!」

 

触手を斬り捨てて向かおうとするも、すぐに再生しおまけに大量の触手が襲い掛かってきて対処しきれずに、私も触手に捕まってしまった。

 

「このっ・・・!! きゃっ!!」

 

リベリオンで切り離そうとするも、敏感なところを触手に弄られてリベリオンを地面に落としてしまった。

 

くそっ・・・こんな触手如きに・・・!!

 

「ちょっ、離しなさいよっ!!」

 

よく見るとリリーまでもが触手に捕らわれてしまっている。

 

「リリー様はべしっ!」

 

ラウラはリリーを助けようと飛んだが、触手に弾き飛ばされて木に激突し気絶してしまった。

 

「サクラ! リリー!」

 

エレンとウィルは助けに向かおうとするが、大量の妖魔たちに阻まれて近寄れない。

 

「チッ・・・先にこいつらを何とかしないとダメか!」

 

ウィルはぼやきながらも、妖魔を切り刻んでいく。

 

「あらあら、エッチな触手さんですわね」

 

「・・・変態」

 

「ぁ・・・っ・・・」

 

「この役立たずっ!!」

 

私は触手を引き剥がそうとするが、敏感なところを弄られているせいか力が入らない。しかも、触手に付着している白い液体が纏わりついて気持ち悪い・・・。

 

くそっ、私のほうがコイツなんかよりもパワーはあるっていうのに・・・!!

 

「これじゃあ、迂闊に攻撃できない!」

 

「クソッ、どうすれば・・・!?」

 

兵藤の声が途中で驚愕に変わった。どうしたんだ・・・?

 

私は自分の姿を見てみると・・・!!??

 

私の着物が・・・溶けている・・・!?

 

「あらあら、困りましたわね・・・」

 

「・・・ヌメヌメで気持ち悪いです」

 

「うぅぅ、ヌルヌルが服を・・・」

 

「このヌルヌルというか、ヌメヌメというか・・・服を溶かすようだわ・・・」

 

「ちょっ、やめなさいってば・・・!!」

 

よく見ると他の捕まっているグレモリー眷属も、姫島は巫女服を、アーシアと小猫とグレモリーは制服を溶かされていた。おまけに胸に吸い付いているために下着までも溶かされて胸が露出し始めている。

 

当然、私の藍色の着物もだ。ああ・・・これお気に入りの一着だったのにな・・・。

 

「部長の魔力で弾くことはできないんですか?」

 

「ダメ・・・滅びの魔力がうまく発動できない・・・」

 

「こちらも雷撃が作り出せませんわね・・・」

 

2人の攻撃の拠り所は魔力だが、この粘液が魔力の放出を絶っているのか?

 

「小猫、あなたの力で引き剥がせないの!?」

 

「・・・ヌルヌルが滑って」

 

いつもの小猫なら引き剥がせそうだが、ヌルヌルのせいで物理的な力がうまく入らないらしい。

 

「あの粘液が魔力を練れなくされているのか? このままでは・・・」

 

「皆、全裸になっちまうぜ!! はぁはぁ・・・これは何とも・・・! いや、大変なことだぁ!!」

 

・・・私はこの瞬間、とてつもない殺意を芽生えたのが、約1名いる・・・。それは、私たちを助けようともせずに、裸にされていく姿を見て興奮している性欲の塊のようなヤツだ。

 

「ちょっとっ!! こっち見んな、変態っ!!」

 

『Freeze!! Freeze!! Freeze!!』

 

リリーは兵藤を睨みながら抗議の声を上げる。

 

「イッセー! 見てないであなたも戦いなさい!!」

 

「! そうだった! ドラゴン―――!」

 

グレモリーに叱られた兵藤は我に返り、ドラゴンショットを放とうとしたが、そのときアーシアと小猫の胸から触手が外され、2人を投げ捨てるように放った。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

「アーシア!!」

 

兵藤は飛び出しアーシアを受け止める。小猫は自力で地面へと着地した。

 

しかし私とリリー、グレモリーと姫島は捕らえられたままだ。

 

「何でアーシアと小猫は解放したの? あぁん!」

 

疑問を持つグレモリーの大きな胸に触手が吸い付く。

 

「んんっ!」

 

「ひゃっ! ちょっ、やめっ」

 

私とリリーの胸にも触手が吸い付く。そして、何だ・・・この感覚はっ・・・。私の精気が、吸われている?

 

「あぁん、んん!! む、胸だけを執拗に攻めてきますわ・・・ここから精気を吸い取っているようですわ・・・ぁあ!」

 

「い、嫌らしい動きね・・・ぁ、いやっ」

 

「ま、またそんなところを攻めて、あっ・・・い、いい加減にやめっんんん!! なさいよ・・・ぁああん!!」

 

「んっ・・・く、うぅ・・・あっ・・・んんっ・・・うんぅっ」

 

胸を嫌らしく吸い上げられていく感覚に私は何ともいえないものと嫌悪感に駆られる。アイツと○○チして以来か? こんな感覚・・・。

 

「これは・・・?」

 

「何て素晴らし・・・いや、何て嫌らし・・・いやいや! 何て恐ろしい攻撃なんだぁ!! 女性のおっぱいを吸い出して精気を吸い取るなんてっ!!」

 

・・・兵藤の声が若干・・・いや、ほぼ興奮しているように聞こえるのは気のせいか?

 

あっ・・・私に何か、別の感情が湧いた。

 

『Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!!』

 

電子音がまた聞こえたので向かい側を見てみるとリリーが顔を伏せたまま、ワナワナと震えている。

 

「でも、どうして胸を・・・」

 

木場はこんな状況でも冷静でいられている。お前は紳士だよ、本当に。

 

「分かりきったことを言うなぁ! 俺だって部長や朱乃さんのおっぱいに張り付いて精気を吸いたいわぁぁっ!!」

 

「怪物に共感しないでください!!」

 

エロ発言をする兵藤に、胸を隠しながらアーシアがツッコミを入れる。

 

・・・あれ? アイツを見てると軽く殺意が湧いてくるな・・・。

 

『Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!!』

 

電子音が更に聞こえ、リリーから黒いオーラのようなものが漏れ出す。ああ・・・そろそろキレるぞ、コイツ。

 

「共感ではないっ!! 俺は今、モーレツに嫉妬しているのだぁ!!! おのれ、キメラめぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「嫉妬もダメですぅ!!!」

 

ダメだコイツ・・・早く何とかしないと・・・。ああ、また殺意が湧いてきたな・・・。

 

「・・・加減に・・・」

 

すると怨嗟のような声が低く聞こえたかと思うと、リリーの手に力が籠められる。

 

『Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!!』

 

「いい加減にしろよっ!!!!!! この変態大ボケナスビがァァァァァァッ!!!!」

 

捕らえていた触手を凍らせたかと思えば、一気に魔力を爆発させて触手を消滅させると地面に着地した。

 

「ふぅぅぅぅんっ!!!!」

 

私も触手の先を殺意と共に炎で燃やすと魔力を爆発させ、触手を消滅させると地面に着地する。

 

「何でテメェはいっつもそうなんだよッ!!?? 助けろつってんだろ!!! 助けろよッ!!!! このボケ!! ボケ!!! 変態!!! 変態野郎めッ!!! 悪魔以下!!! 人間以下!!! 猿以下ァッ!!!! ミジンコ以下ァッ!!!!!!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃ!!? リリーちゃんがキレたぁぁぁぁぁ!!??」

 

「気安く名前呼ぶんじゃねぇよッ!! ゴキブリ以下!! 一辺、死ねよッ!!」

 

「ごめん!! ごめん、リリーちゃんッ!!」

 

リリーと兵藤が追いかけっこを始めてしまっている。敵前で何をしているんだか、コイツらは・・・。まあ、兵藤の自業自得だけど。

 

「アンタみたいなバカがいるから、世界中の女が可哀そうな思いをすんだよッ! このバカ!! 変態!! 発情スケベ!! エロ魔人ッ!!!」

 

「ご、ごめんッ!! 本当にごめんって!!」

 

あーあ、完全にキレてるな・・・私、知ーらない・・・。

 

「リ、リリーさん、また口調が・・・」

 

「放っておけ。あれはしばらく治まらん」

 

アーシアが涙目でビクビクしながら言うも、私はアーシアを諭してキメラのほうを向く。

 

ここで木場があることに気付く。

 

「そういえば、体調不良を訴えていたのは、胸の大きな女性ばかりだった!」

 

「っ! そうか! つまりコイツの得物は、巨乳限定!!」

 

兵藤が何かに結論付いたようだが、その背後を釘付きバットを持ったリリーがもの凄い形相で走ってきていた。

 

「待てつってんでしょうがぁぁぁぁッ!!!!」

 

「っ、どわあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

兵藤とリリーの追いかけっこ再開。もう、本当にどうでもいい。

 

「あ、争っていないで何とか・・・あぁん!!」

 

抗議の声を上げるグレモリーだが、その声は艶かしい喘ぎへと変わる。本当にこのキメラは嫌らしいヤツだな。

 

するとグレモリーの前に再び通信が入り、そこにグレイフィアの姿が映される。

 

『上級悪魔の淑女たるもの。そのような卑猥な声を漏らしてはいけません』

 

「グ、グレイフィア!? そ、そんなことより、何か新しい情報を・・・いやっ!」

 

グレモリーの醜態を気にするまでもなく、グレイフィアが淡々と言葉を告げる。

 

『はい。例のキメラは、胸の大きな女性から精気を吸う習性が―――』

 

「わ、分かってるわよ! 今まさにそうされているんだから、ぁはあん!!」

 

更に激しく嬌声を上げるグレモリー。本当に無様な姿だな。笑える。

 

「あぁ! あぁん!! ふぁあぁん!!」

 

悶えているかのような声を散々上げても全く意に介さず、グレイフィアはキメラの方を見る。何ていうか、あそこまで冷静になれるのも凄いな。まあ、私も普段あんな感じだけど。

 

『それともう一つ、特殊な能力を付与されているようで』

 

「特殊な?」

 

私はグレイフィアの視線にあるものを見てみると、先程のキメラの蔦に何やら実みたいなものが生え・・・!?

 

生えているものは・・・まるで、胸のようなものが・・・。

 

『このキメラが実らせた実を口にするとどんなに胸の小さな女性でも、たちまち豊かなサイズになるそうです』

 

・・・・・・はぁ?

 

「えっ・・・?」

 

追いかけっこをしていたリリーと兵藤の動きも止まる。

 

「はいぃぃぃぃぃぃ!?」

 

兵藤が絶叫する。

 

『はぐれ悪魔曰く―――』

 

 

―――世の女性が巨乳になれば、女性の心は豊かになり、男性も夢を持って羽ばたける!!

 

 

―――貧乳は罪であり、残酷だ!!!

 

 

―――世界を巨乳にッ!!!!!!

 

 

―――乳・アァァァァンド・ピィィィィィィィィスッ!!!!!!

 

 

『―――と』

 

・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・・。

 

・・・それは、世の中に女子に喧嘩を売っているという認識で、いいんだな・・・?

 

私がこれまで以上の殺意を抱く中、共感していた大莫迦野郎がいた。

 

「っ! 乳、アンド、ピース・・・? 何て・・・何て壮大な夢なんだ!! こんなにも素敵な野望実現があったなんて!!! おっぱいのサイズに悩む女性のために生み出された究極の生物ッ!!! それにあの悪魔は部長のおっぱいをガン見し、従える虫も朱乃さんやリリーちゃんのおっぱいをッ!!! 胸にそこまでの執着があったからこその行動理念ッ!!! 主を裏切ってまでの夢の実現ッ!!! 感服するぜ!!!」

 

・・・もう何て言ったらいいのか分からん。今、思っているのはコイツとこの莫迦に対する殺意だけだ。

 

―――ブチッ!!!!!!!!

 

莫迦の後ろにいたリリーも顔を伏せていたが、こんな音が聞こえたような気がした。

 

「フ、フフフフフ・・・ウッフフフフフフフフフ!!! フフフフフフフ!!!!」

 

『Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!!』

 

すでに怒りを通り越して笑いすらも覚えてしまったのか。リリーは虚ろな低い声で笑い始めた。

 

「・・・とことんアタシを馬鹿にシタイのネェ・・・? あの変態悪魔・・・!! アッハハハハハ!!!」

 

『Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Freeze!! Frrrrreeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeze!!!!』

 

顔上げたリリーは満面の笑みだったが、体中から悍ましいとも言える黒いオーラが醸し出されていて、目には陰が出来ていた。しかも、声もよく聞けば怨念が憑りついたかのように二重になっている。ヒールの足を踏み鳴らすと地面にヒビが入った。

 

刃先が銛のような形状を持った青い槍を右手に出現させ、先端が氷の槍の形状を持つと青い光を放ち始めた。

 

バゴォッ!!!

 

更に背後では赤いオーラを放っている小猫が自分の2倍以上の大きさがある大木を持って、怒りの形相を浮かべていた。

 

さすがのこの2人の憤怒の感情に、兵藤は目をヒクつかせていた。

 

「・・・貧乳は罪、貧乳は残酷?」

 

「こ、小猫ちゃん・・・リリーちゃん・・・?」

 

日頃から胸を好んでいる兵藤の先程の言葉も、2人にとっては怒りを燃やす燃料でしかないだろう。まあ、この次にどうなるかは大概予想は付くが・・・。

 

「・・・ぶっつぶす!」

 

「死ねぇぇぇぇぇッ!!!」

 

キメラに目掛けて大木を振り回す小猫。そして、リリーはその状態の青い槍をキメラ目掛けて投げつける。

 

大木攻撃を喰らい続けるキメラに、リリーの槍が回転しながら先端に枝分かれした氷の刃を作っていく。そして、キメラの体を貫く。更にそこに小猫の大木が襲う。

 

リリーは更に複数の青い槍を出現させるとそれらを全てキメラへと次々に投函していく。

 

「うわあぁぁぁっ!! 小猫様とリリー様がお怒りだぁっ!?」

 

兵藤は真ん前にいたので、小猫の大木が当たらないように頭を伏せている。

 

「・・・あうぅ、どうせ私は部長さんや朱乃さんのようなおっぱいはありません・・・」

 

アーシアは卑屈にぼやきながら暗い表情をしていた。たかが胸ぐらいで落ち込む方が分からん。

 

ドゴォッ!!!

 

小猫が大木を投げつけられ、リリーの猛攻撃を受けて、すっかりふらふらとなったキメラ。

 

「リ、リリー!? 何でそんなにキレて―――」

 

「黙れ♪ アンタには分かんないのよ。散々コケにされる屈辱が!!」

 

異変に気付いたエレンが妖魔に対応しながら話しかけるも、即一蹴。もはや話など通じない。

 

「それは分かりますけど、今は手が離―――」

 

何とか話そうとするエレンだが、その直後エレンの周囲の妖魔が一瞬にして氷漬けになりバラバラになった。

 

「おわっ!? な、何だよこれ!? って、リリーのヤツ・・・すっかりお怒りモードになってるぜ。何があった・・・?」

 

よく見るとウィルのほうにもいた妖魔も一瞬でバラバラになっていた。ウィルは訳が分からなかったが、リリーのほうを振り向いて察したようだ。

 

「さあ、アンタも加勢しなさいよ♪」

 

「でも、まだ女王バチの巣が―――」

 

リリーは全部の話を聞くまでもなく、青い槍を用意すると林の奥に目掛けて投げた。すると何かに刺さって砕けたような音が聞こえた。女王バチの巣に当たったのか、ハチが湧いて出てこなくなった。

 

「はい、終了♪ さあ、キメラをぶちのめしましょ♪」

 

「は、はあ・・・」

 

エレンは冷や汗をかきながら、リリーの後ろに着いて行った。

 

「アイツ、一度ブチギレるとエレンですら手が付けられなくなっちまうんだよな・・・」

 

ウィルは頭を搔きながらそう言った。

 

一方、キメラの方に視線を向けると木場が飛び上がって、触手を斬りはじめる。

 

「部長たちは僕が!!」

 

「待つんだイケメェェェェン!!」

 

兵藤は叫ぶとキメラの前で堂々と宣言をした。

 

「部長!」

 

「な、何!?」

 

「こいつを見逃してやってください!! こいつは、全男性の夢を実現する最高のキメラだと思うんです!!!」

 

・・・そんな夢を持ってるのはお前だけだ!

 

「何言ってるの!? もう! こんなときにイッセーのエッチなスイッチが入るなんて!!」

 

「あらあら、困りましたわね・・・」

 

グレモリーと朱乃が困惑しても、兵藤の顔は莫迦なくらいに真剣だった。男の涙って軽いな・・・。

 

そんな兵藤の顔をキメラの触手が攻撃する。

 

「こいつがいれば、貧乳の女性の悩みが解決するんです! いてぇッ! そして、はぐれ悪魔の言うように大きなおっぱいを見て男性も立ち上がれる! 痛ッ! って、人が折角擁護してやってるって言うのに!!」

 

宣言する節々で触手に引っ叩かれる兵藤。キメラもこんなヤツに庇われたくもないようだな。

 

「・・・どいてください、イッセー先輩。そのキメラは私の敵です」

 

木を抱えながら兵藤の背を見る小猫。その表情は怒りに満ち溢れていた。

 

兵藤は体をプルプルと震わせていたが、すぐに胸の形をした実を籠手のある手で指さす。

 

「あれを見て小猫ちゃん! あれを食べれば、小猫ちゃんだってたちまち巨乳に―――」

 

「邪魔だっつってんのよッ!!!!」

 

「ガハッ!!!!」

 

そこに満面の笑みを浮かべながら激しい怒りを覚えているリリーが瞬間移動して、兵藤の顔を青い槍でしばき倒した。顔が変形するんじゃないかくらい殴打された兵藤は間抜けな声を上げて、地面に倒れた。

 

ザシュッ!!

 

その隙に木場が木の実ごと触手を切り裂いて、グレモリーを解放、ウィルは大剣を振るって姫島を解放した。

 

「ほぁ! ひばぁぁぁ!! ふぃうぅぅぅぅぅ!! はにひやがるぅぅぅぅぅぅ!?」

 

「お前、仲間が捕らわれの身になってんだから助けろよ」

 

上手く喋れていない兵藤が木場とウィルに抗議の声を上げる。ウィルが珍しくツッコミを入れている。

 

一方、地に足を付けたグレモリーが大きく溜息を付く。

 

「・・・イッセーにも困ったものね」

 

「ぶ、部長! これは世の中の女性のためを思って! 俺の希望と未来を―――!!」

 

まだ言うか、この胸フェチ男は。往生際の悪いヤツだな。諦めろよ。所詮、悪魔とキメラなんかが共有できるわけがないんだから。

 

「いいからお聞きなさい!!」

 

「はい!!」

 

「あのキメラを倒したら、私と朱乃の胸を一晩中好きにしていいわ!!」

 

「あらあら・・・」

 

グレモリーが胸を揺らしながら言う。傍から見れば品の無い格好だよ、アンタは・・・。

 

「なぁっ・・・!?」

 

兵藤がその誘いに驚愕を露わにする。好きにしていいって、年頃の女がそんなこと言っていいのか? まあ、それも面白いけどな。

 

兵藤はグレモリー2人の胸とキメラを横目で見比べている。嫌らしい視線だぜ、見てる人から見れば。

 

そして、膝を付く。まあ、選択肢的には胸の大きい女性が沢山欲しいのか、それとも今そこにある胸を堪能したいのか・・・。

 

・・・・・・ああ、考えたくもない。そんなものだろ。

 

そして、兵藤は結論が付いたようだ。手を挙げて宣言する。

 

「はい! 目の前のおっぱいには適いません!」

 

・・・ああ、やっぱりそう来たか。この莫迦は・・・。

 

「やっぱりここは、届かぬおっぱいよりも、届くおっぱいッ!!」

 

そう叫ぶと兵藤はキメラに赤い籠手を向ける。

 

「俺は今からお前をぶっ潰す!! 覚悟しろキメラ野郎ぉッ!!」

 

・・・本当にこの莫迦は、プライドの欠片も無いな。ここで堂々とキメラの味方さえしていれば、少しはお前を称賛してやったのにな。

 

「イッセーさん・・・」

 

「ホント、クズ野郎ね・・・」

 

「俺、女と何人か付き合ったことはあるけど、あそこまでのクソはしたことねぇぞ・・・」

 

アーシアのかつてない冷めた声と、リリーの呆れと侮蔑の混じった言葉がやけに重く響く。ウィルも兵藤の姿を見て呆れている。

 

今の彼女たちには、あの赤い籠手の光でさえ莫迦莫迦しいと感じているだろう。

 

「イッセー、私に力を貸して頂戴!」

 

「任せてください!!」

 

『Boost!!』

 

キメラは触手から白い液体を放つも、兵藤はそれを避けながら赤い籠手の力をブーストしていく。

 

あくまでもキメラを倒すという名目の元、私は空を飛びあがると触手に目掛けて聖なる炎を放つ。触手の先端が黒く焦げて消滅するも、また新しい触手が生えだす。

 

「まだだ!!」

 

『Boost!! Boost!! Boost!!』

 

バジュッ、バジュッ、バジュッ!!!

 

エレンが横から電撃の纏った弾を3発放つ。触手に当たって弾けるとその周囲にある触手まで消滅し、全ての触手が消えた。が、再び触手が生え始めている。

 

「もう一声!!」

 

『Boost!! Boost!!』

 

アーシアの隣では、リリーがラウラの足を掴みながらスイングしている。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「な、何をするですぅ、リリー様!? ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅッ!?」

 

リリーはそのままキメラに目掛けてラウラを投げ飛ばした。ドラゴンの頭の部分に当たったキメラは頭突きを喰らわされたのと同じになり、そのまま後ろへとよろけて倒れた。

 

「よし、今だ! 部長!! この力、お渡しします!!」

 

『Transfer!!!!』

 

籠手から放たれた力がグレモリーに注がれる。これは『赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』いうヤツ。倍増した力を他人に譲渡できるというものだ。

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

艶かしい叫び声と共にグレモリーの魔力が増大していく。

 

ほう、これが赤龍帝の力か。レーティング・ゲームのときも見ていたが、コイツは面白い力になりそうだ。

 

「確かに、一部の女性の悩みを解消できる力かもしれない。でも、そのために犠牲者を出すわけにはいかないわ」

 

グレモリーの言葉に、小猫が頷く。

 

「消えなさい!!」

 

巨大な腕のように形成された滅びの魔力がキメラを直撃する。赤い光の柱のように輝き、キメラは跡形もなく消し飛んだ。

 

ふーん、これがパワーアップしたグレモリーの力か。これはこれで面白い・・・。でも、口は聞いてやらない。私は、こんな弱い『(キング)』は認めてないから。

 

「終わったわ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

戦いが終わり、女性陣がボロボロになった服を修繕する。アーシアはそこまでできないために、朱乃に直してもらっていた。

 

「全く、しょうがないわね・・・後でタルト奢んなさいよ」

 

「ありがとうございます」

 

シキとリリーは自分の魔力で服を修復、エレンはできないのでリリーにやってもらった。

 

「さあ、撤収しましょう」

 

「待ってください! 部長!! 朱乃さん!! 約束通り、お二人の素晴らしいお乳を一晩!」

 

(グッフフ、部長か! 朱乃さんか!? どっちのお乳が甘いのかぁ!?)

 

イッセーが手をワシャワシャとさせながら、嫌らしい顔で待ち惚けしている。

 

コンッ

 

「痛ッ。?」

 

しかし、リアスはイッセーの頭を叩いただけだった。そのまま背を向けて歩き出し、振り向き様にこう言った。

 

「ダーメ。オイタをしたからお預けよ」

 

リアスは舌を少し出してウフッと笑った。

 

「そ、そんな馬鹿な!?」

 

「なあ、イッセー」

 

抗議の声を上げるイッセーだが、その肩をウィルがポンッと叩く。

 

「な、何だよ、ウィル!?」

 

「お前さあ、何か忘れてねぇか?」

 

「忘れてるって何をだよ?」

 

疑問の声を漏らすイッセーだが、背後から聞こえる冷めた声、明るく怖さを感じる声と冷たい声に振り向く。

 

「おい」

 

「ねえ、ボケナスビ~♪」

 

「・・・あんな怪物を庇うなんて」

 

笑顔で言うリリーと無表情な顔で言う小猫。

 

「こ、小猫ちゃん、サクラ、リリーちゃん・・・」

 

「お前、少しは頭を冷やした方がいいんじゃないのか・・・?」

 

「・・・最低です」

 

「アンタ、少しはしゃぎ過ぎたんじゃない? 土風呂に入れてあげるから頭を冷やしなさいよ♪」

 

「つ、土風呂って、うわぁああぁあ!」

 

小猫はイッセーを持ち上げると先程のキメラがいた穴に放り込む。そこにリリーが足を踏み鳴らしてイッセーの首から下を氷漬けにし、サクラがリベリオンの刺した反動で土を崩すと首だけを出して埋めた。

 

「なんでぇ!?」

 

叫ぶイッセーの頬をリアスがそっと撫で上げる。

 

「そこで一晩反省よ。さあみんな、帰りましょう」

 

リアスはそう言って、イッセーの元を歩き去っていく。

 

「ア、アーシア!! 助けてぇ!!」

 

叫ぶイッセーだが、アーシアもさすがに許せないようで・・・。

 

「部長さんが、イッセーさんにはちょっとだけ反省が必要だと・・・」

 

「ほっときなさいよ、こんな浮気性の変態ボケナスビなんか」

 

「・・・いいから帰りましょう、アーシア先輩、リリー先輩」

 

黒焦げになったラウラを引きずるリリーや小猫の遥かに冷たい声。それは静かな怒りすら感じられた。

 

「サ、サクラ、俺たち友人だよな・・・?」

 

イッセーが自身を見下げるシキに声を掛けるも、サクラの態度は冷たかった。

 

「・・・今回はお前が悪いだろ、莫迦」

 

「お、おい! サクラ!!」

 

サクラはそれだけ言い放つとイッセーに背を向けて去っていく。

 

「あはは、ごめんねイッセーくん。お先に」

 

「てめぇ!! 爽やかに見捨てる気か!?」

 

祐斗は爽やかな笑顔を見せながら、その場を立ち去っていく。

 

「うふふふ、おっぱいはもう少しお預けですわね。イッセーくん」

 

朱乃がイッセーの目の前で胸を揺らし、そのまま帰っていく。

 

「イッセー、悪ふざけが過ぎだな~。因果応報と自業自得という言葉を知らないなら、調べたほうがいいと思うぜ」

 

「このイケメン野郎!! いつかぶっ殺してやるッ!!」

 

「やれるもんならやってみなぁ~! そんな無様な姿でよ! アッハハハハ!!」

 

ウィルはイッセーを嘲笑いながら帰っていく。

 

「・・・・・・・・・」

 

エレンはイッセーのことを冷徹な顔で見下げていたが、何も言わずに背を向けて歩き出す。

 

「エ、エレンさーん! 何で? 何で何も言わずに行っちゃうんですかぁ!? ねぇー!?」

 

こうしてイッセーの目に映っていたのは、自分から背を向けて帰っていくグレモリー眷属とサクラチームの面々。

 

「うわ~ん!! 置いてかないで皆ァー!!」

 

その背後に向かって叫ぶも、誰1人としてその声に振り向く者はいない。

 

「ごめんなさい、部長ー!! もうしませーーん!!!!!」

 

リアスに対しての空しい泣き叫ぶ声と同時に、残った触手の残骸に付いていた胸の実が萎れた・・・。

 

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