「ここは・・・」
「博物館?」
リアスの仕事に付いて行くため、魔方陣並び闇の回廊でやってきた先は博物館。
館内には大昔あったような石の置物や棺などが置かれていた。
「これはグレモリーさん」
館内に現れたのは白衣を着た髭が似合う中年の男だった。
「ごきげんよう、教授。例の願いを叶えに来ましたわ」
「おお! それはありがたい限りです!」
リアスが依頼を引き受けに来たことを伝えると中年の男は喜びの声を上げる。
「こちらは西浦教授。様々な古代文明の研究をしているの」
リアスが皆に中年の男のことを紹介する。サクラとリリーはそんな紹介よりも、この博物館で邪悪な気配を感じていた。
教授に連れられてやってきたのは彼の研究室。そこで出迎えたのは巨大な石棺だった。
「何だあれ?」
「古代の棺のようだね」
「・・・っ」
黒塗りのその棺はよく磨かれたような金属のような光沢を持っていて、描かれているものも巧妙かつ複雑なもので見事なものであった。
イッセーと祐斗はともかく、サクラはその棺から何かを感じ取っているようで不機嫌な顔が更に顰めたような顔になっていた。
「ある遺跡から出土したもので、貴重な歴史的遺産なのですが・・・」
教授が説明していると、アーシアが自分の身体を抱きしめる。リリーは体調が悪そうに顔を顰めていた。
「うぅ・・・何だか寒気がします」
「アタシも頭が痛いんだけど・・・」
「確かに、オーラが棺から漏れているわ」
「アーシアとリリーがここまで感じているということは相当危険なものだということだな。現にオレも入る前からその棺から嫌なものを感じているぜ」
それに対してリアスとサクラは険しい顔をしていた。
「やはり! 実はこの棺に関わった者たちが謎の病に掛かったり! 不可解な事故にあったりなど、不幸になるケースが続出しておりまして!」
「興奮気味に語っているけど、大丈夫ですぅ?」
何やらワクワクしたような感じで語っている教授に、ラウラが呆れたように声を漏らす。
「あらあら、それは・・・」
「・・・呪いかもな」
「ひぃっ! 怖いですぅ・・・」
「マジかよ・・・呪いとか!?」
サクラの呟きにビビったアーシアがイッセーに抱き着いてくる。それを見ていたリリーが歯軋りしながらイッセーのことを睨んでいた。
その不可解な出来事も気になるが、この棺にはもう一つポイントがあった。
「あの象形文字なのですが・・・」
この棺の上部には象形文字の縦書きの文とその上に何かを象ったような絵が描かれていた。
「丸い絵が二つあって、まるでおっぱいみたいだな・・・って何考えてんだよ、俺は!? 象形文字にまでエロスを求めてどうするよ!?」
ふと漏らしたイッセーの言葉にサクラとリリーと小猫がジト目で見ていた。何を考えているんだ、この馬鹿は・・・。
しかし、教授がすでに解読していた象形文字の言葉をもっと馬鹿馬鹿しい内容だった。
「ここにはこう書かれています。『我が眠りを覚ますのは乳の豊かな美しき魔なる女性だけ』と」
「・・・・・・」
「はぁ!?」
サクラはそれを聞いてこの棺に入っている人物をもう特定していたが、あまりにも馬鹿らしくて帰りたくなった。
リリーは驚いたような声を上げて、怒りが湧き上がった。
「美しき、魔なる女性の乳・・・?」
「・・・いつの時代も莫迦はいるもんなんだな、コイツとか」
「何で俺を指さすんだよ!?」
イッセーは呆れたように声を出し、サクラは小馬鹿にしたようにイッセーに指を差して言った。
「要約すると『私はおっぱいの大きな悪魔の美女に起こされたい』と!」
「要約しすぎだろ!!」
「要約しすぎでしょ!!」
教授の要約にイッセーとリリーが同時にツッコミを入れる。
「まあ、おっぱいの大きな悪魔の美女に起こされたいというのは分かるが」
腕を組んでエッヘンというような格好で言うイッセー。
「分かるんだ・・・」
「・・・イッセー先輩ですから」
呆れるような祐斗の呟きと諦めたような小猫の声。
「いつの時代も変態はいるのね。男ってのは嫌だ嫌だ」
「こんな莫迦がいるから、世界中の女が不幸になるんだろうな」
リリーとサクラがジト目でイッセーを見ながら、侮蔑の言葉を述べる。
「ちなみに、今まで呪われた学者の方々はみんなムサイ中年男性ばかりでした」
「ふーん。それでグレモリーを呼んだってわけだな」
「まあ、そんな感じです」
中年男性がダメなら女性が棺を調べるのはどうか。この教授はそう言った意図もあったようだ。
しかし、だからといって一般の部外者の女に触らせるのは職務上問題があるし、女性の研究員も付き合わせるほど暇な者もいない。だから、悪魔の美女であるリアス・グレモリーに今回の調査を依頼したというわけだ。
「とにかく調べてみましょう」
「おい、気を付けろグレモリー。女性だからといって迂闊に触って呪いを受けないとも限らないんだぞ」
棺に近づくリアスに、サクラが叱りも入ったかのような言葉を後ろから投げかけながら棺に近づく。
いくらムカつくとはいえ上からの圧力がある以上、監視対象であるこの女に勝手に呪殺されても困るので、サクラも一緒に調べることにしたのだ。
リアスは右から、サクラは左から棺を調べようとする。リアスが髪をかき上げながら棺の上に身を寄せて上部の象形文字を観察する。サクラは側面のほうに確かなものがないか、しゃがみ込んで調べている。
リアスは象形文字をもっとよく見ようと顔を近付けると胸が例の象形文字に触れる。すると棺が青白く光りはじめた。
「!!?」
「っ!、なに!?」
驚いたリアスとサクラが棺から体を離す。
「おお! やはり! 悪魔の女性によって棺が開かれるのか!」
興奮気味に歓喜の声を上げる教授を余所に、棺の蓋が重い音共に少しずつずれていく。
ゴドン!!
棺が完全に開かれると紫色の気体のような煙が部屋中に蔓延する。瘴気だ。封印物や出土品などの悪い気配の封印が解かれると放出される気体のこと。
「ど、どうなってるんだ!?」
困惑するイッセーを余所に、手や袖などで鼻を覆うリアスやサクラが棺の中身を確かめる。サクラはそれを見た途端、表情が険しくなった。
中に保存されていたものはミイラだった。保存状態は極めて良好。副葬品もしっかりと納められていて、相当に地位が高かったことが伺える。
死んでいるようにしか見えないが、サクラはこのミイラから生命反応の異常を察して、警戒心を強めたのだ。
彼女たちに続いて、何も分からないイッセーが棺の中身を見る。
「ミ、ミイラ?」
「・・・イッセー、気を付けて」
リアスも何かを感じるようでイッセーに忠告する。
「!! 兵藤、離れろ!!」
サクラが怒鳴るように言うも時すでに遅し。イッセーが振り返ったその瞬間、ミイラの左目が開いたかと思えば赤く怪しく光り、イッセーの姿を捉える。
「ぐぅあ!? あがが・・・」
イッセーは顎を開いたままガタガタと震える。すると立ち上がったかと思えば、まるで何かに縛られたかのようにガクガクと痙攣する。
「ど、どうしたんですか?」
戸惑ったように言うアーシア。
「わーれを目覚めさせたのはだーれかー?」
ガクガクと震えるイッセーの口から彼が発するとは思えないような口調が飛び出す。
「イッセー?」
イッセーの様子がおかしいことに気付いたリアスが疑問の声を上げる。
(な、何だよこれ!? 体が動かない!?)
意識の中のイッセーも突然の出来事に戸惑っていた。意識はあるのに体が金縛りにあったかのように動かない。
「・・・あのミイラに体を乗っ取られたのよ」
「ええ!?」
(な、何だと!?)
リリーが険しい顔を告げるとアーシアから驚愕の声が上がり、意識の中のイッセーも信じられないといった感じだった。
「口寄せとは違うと思うけど、余程意志の強いミイラが貧弱なエロ猿に乗り移って会話をしようとしてるのよ。霊の気配が感じないということはそのミイラはまだ生きてるということになるわね」
「そ、そうだったんですか・・・?」
と言った言葉を漏らす、アーシアにリリーのイライラが溜まった。
「もう! アンタも教会の宿舎で習ったでしょうが!!」
「そ、そうでしたっけ・・・?」
アーシアは頬をポリポリと搔きながら、目線を逸らした。
「あなたを目覚めさせたのは私よ」
「ほほぉう!」
リアスが威風堂々とした態度でイッセー、もといミイラ男と対峙する。一方、イッセーのほうは完全に体を乗っ取ったのか震えが止まり、脱力したような格好になる。
「ごきげんよう、ミイラ男さん」
「フッ。わーれはウナスなりー! 高貴なる神官にしてー、呪術を執り行うものであーる! わーれを目覚めさせたことー! 礼を言わずばなるまーい!」
奇妙なポーズを取りながら、節々で間延びしたような口調で言うミイラ男。
その姿に小猫は本当に乗っ取られてるのかと思うような胡散臭げな目で見る。
「なあ、ホントにアイツ乗っ取られてるのか? いつもの莫迦じゃなくて?」
「そ、そのはずだけど・・・何ていうかね・・・?」
「イッセーさんはあんなポーズしませんよぅ・・・」
霊感までは分からないサクラはジト目でリリーに伝えると、彼女はばつの悪そうな顔で視線を逸らす。アーシアは涙目で全否定していたが・・・。
「意識を飛ばして、私の可愛い眷属の体を乗っ取るなんていい度胸ね。いますぐそこから立ち去りなさい!」
指を差してビシッと決めるリアス。しかし、そんなリアスにウナスは不敵に笑うだけだ。
「その願いは承諾しかねるぅ!」
「なんですって?」
ウナスはミイラとなった自分の肉体を示しながら言う。
「この呪われし肉体に再度戻ることで我が魂の安息を保てるか!? いや! 保てはせぬぅ!!」
(いいから俺の体を返せ! このミイラ野郎!!)
意識の中でイッセーがウナスに抗議の声を上げている。
「うふふ。でも、呪術師が呪いを受けるなんて、ちょっと情けないですわね」
「っていうか、ただの莫迦だろ」
「人を呪わば穴二つって言葉知らないのかしらね」
侮蔑の言葉を述べる朱乃、サクラ、リリー。
「黙れーい! わーれは呪術師として更に高みを目指そうと、高位の悪魔を呼ぼうとしただけだー!!」
語るごとにいちいちポーズを決めるウナスに、小猫の目が冷たくなっているようにも感じる。
「高位の悪魔? 一体、誰を?」
「聞いて驚くがいい!! 大公アガレスの縁者の女悪魔であーる!!」
それを聞いて周囲に驚きの声が上がる。
「大公といえば、魔王・大王の次に権力のある家柄ですわ」
「だが交渉どころか、わーれは肉体と共に呪術の大半を封じられてしまったー!! 故に、わーれは永い眠りにつくしかなかったのであーる!!」
相変わらず奇妙なポーズを取りながら語るウナス。
「・・・威張って言うことなのか?」
「男の踊りってキモッ」
サクラが冷たくツッコミを入れ、リリーはもう見たくないと言いたげに吐き捨てる。
「逆に呪いを?」
「何故そんなことになったのかしら?」
「・・・・・・」
祐斗とリアスは疑問の声を上げていたが、サクラはどうせヘマをやらかしてそうなったんだろと思っている。
「この呪いが解けぬ限り、わーれがこの肉体を返すことはありえぬぅ」
(って、俺関係ないじゃん!!)
意識の中でツッコミを入れるイッセー。
「要するに兵藤は目的を達するための人質ってわけだな」
「恩を仇で売るなんて、これだから男は・・・」
(何でお前らはそんなに呑気なんだよ!?)
サクラが言い、リリーは相も変わらず侮蔑の言葉を述べている。
「リリー様も案外売ってるですぅ」
「どこがよ?」
ラウラが呆れたように言うと、リリーがラウラを睨む。
「まあいいわ。こちらも私の大切な眷属の体を奪われるわけにはいかないの」
(部長ー!!)
リアスの言葉に、イッセーは感涙にむせぶ。
「呪術者ウナス。あなたの呪いを私が解いてあげる!」
威風堂々とした態度でリアスが言う。
「ふむ。汝も相応の力を宿した悪魔だと見受けられる。ならば頼らせて頂こうか! 赤い髪の女人よ!」
ウナスもリアスに乗ることにしたようだ。
「それで、何をすればいいのかしら?」
「わーれに掛けられし呪いは三つ! それらを解くには悪魔、それも美女の力が必要なのだ!」
ウナスがイッセーの体を使って棺の中を弄る。
(なるほど、これは確かにアガレスの紋様だな)
それを余所にサクラは蓋の裏に出現した紋様を確認していた。
一方のウナスが取り出したのは―――――踊り子風のビキニだった。
「この衣装を身に着け、わーれの前で舞を踊るのだ!」
「はぁぁ!?」
(な、何だそりゃ!?)
「・・・・・・」
リリーとイッセーが訳が分からないといった驚きの声を上げる。サクラは呆れたようにジト目をするだけだったが。
リアスも呆れてはいたが、兵藤が実質人質となっているので仕方がないといったように溜息を漏らす。
「・・・わかったわ。それを着て踊ればいいのね?」
そう言うリアスを尻目に、ビキニを見る小猫の目は冷たかった。
そそくさに部屋の外を出て着替え終わったリアスが戻ってくる。ピンク色のベールでフェイスはもちろん、身体も部分的に覆われて飾りも付いてはいるものの、その姿は明らかに乳首と下半身の大事なところを皮で隠したようなほぼ裸も同然の格好だった。
そのリアスの格好に一部のギャラリーが驚く。
踊りが始まると荒れ狂うように胸と腰を揺らしながら手を動かす。両手を天に上げながらターンをして胸を揺らし、ギャラリーに後ろ向けて腰を揺らす。両手を広げながら歩いて後ろ中央へと戻ると身体をクルクルと回転させてから、激しく胸と腰を揺らす。
それは本気で男でも誘惑できそうな扇情的な踊りであった。
リアスはグレモリー家でダンスの教養を受けているので、このぐらいのダンスならお手の物なのである。
「す、素晴らしい!」
(た、たまらんなこりゃ!)
イッセーとウナスは今回ばかりは利害が一致したようで、二つの意識は興奮していた。
「・・・ねえ、サクラ」
「・・・何?」
「何かアイツの思うつぼにされているような気がするのは気のせい?」
「・・・オレも感じてはいる」
リリーもサクラも違和感を感じているようだ。何故、呪いを解くのにウナスを楽しませなければいけないのか? あまりにも緊張感が無さ過ぎな気がする。
「・・・怪しい、です」
「小猫も感じてるのか?」
「・・・はい」
小猫もイッセーのエッチよりも、別の何かに違和感を感じているようだ。
そうしている間にリアスの踊りが終わり、蓋の裏に書かれている紋様、三つある矢印と円の内、一つが消えた。
「・・・この紋章は確かにアガレスだな」
「サクラ、知っているの?」
「・・・悪魔の文献に書いてある」
サクラはリアスの疑問にしかめっ面をしながらも、一言だけ述べて口を閉じる。
「フッ。アガレスの呪いが一つ砕けたようだ!」
「まだ、あと二つありますわ」
朱乃の言った通り、まだ呪いは完全に解かれてはいない。矢印の紋様が一つ消えただけだ。
「次の呪いの解呪は、魔なる女性の口づけであーる!」
(な、何ッ!?)
両手を広げながら言うウナスは、リリーに目を向ける。
「な、何よ?」
「そこの小さき女人! 先程からわーれに向け、熱き視線を送っておったなぁ?」
勝手な妄想をするウナスに、リリーの心にイライラが溜まる。同時に小猫の視線も冷たくなる。
小さき女人・・・?
「ハッ、誰がアンタみたいな変態に!」
腕を組みながらウナスから目線を逸らすリリー。しかし、ウナスの勝手な発言は続く。
「いーや、違う! わーれは感じた! そなたの熱き視線を!」
「何でアンタみたいなアホ呪術師に熱い視線を向けなきゃいけないのよッ!!」
イライライラ・・・・・・!
『Freeze!』
ウナスに憤るリリー。そんな彼女の怒りも露知らず、ウナスはリリーに近づく。
「なればこそ、次なる解呪は貴殿に任じよう!」
「何、勝手に決めつけてんのよッ!?」
イライライライラ・・・・・・!
『Freeze! Freeze! Freeze!』
「さあ、わーれにその視線が如く、熱き口づけを!!」
「ちょ、ちょっと、こっち来ないでよ!!」
リリーはウナスを睨みつつも思わず後ずさり、ウナスもリリーに詰め寄る。
イライライライライライラ・・・・・・!!
『Freeze! Freeze! Freeze!』
(ま、待て! このままだと俺はリリーちゃんとキスをしてしまう! いや、その前にリリーちゃんの制裁が!!)
イッセーの忠告のような言葉はウナスには聞こえているとは思うが、そんな言葉を気にせずウナスがリリーに目掛けて嫌らしく唇を付き出す。
「っ・・・!!」
(いや、もしかするとリリーちゃんが願いを聞き入れて・・・キスを・・・!)
到底あり得ないことをイッセーが思っていると迫られたリリーの怒りは頂点に達し、ウナスが肩に触れたその瞬間―――。
ドゴォォッ!!!!
「何すんのよッ!? 変態ボケナスミイラがぁ!!!」
ウナス(イッセー)の腹に、神器(セイクリッド・ギア)によって力をチャージされたリリーの強烈な足蹴りがめり込んだ。
(ですよね、やっぱりぃぃぃぃ!!)
蹴り飛ばされたウナス(イッセー)は床をツーバウンドすると大きく飛び上がって3回転ぐらいして床に激突した。
「リ、リリーさん・・・」
「フンッ・・・!」
それを見たアーシアがリリーに青ざめた表情を向けながらプルプルと震え出す。リリーはそっぽを向いて鼻を鳴らす。
「あれはやり過ぎですぅ! いくらなんでもあばら骨折れてるですぅ!」
「だったらアンタが行きなさいよッ!!」
『Freeze! Freeze! Freeze!』
怒りを覚えているリリーはラウラの牽制にますます怒りがあがり、侮蔑の表情を浮かべながらラウラの背後から強烈な回し蹴りを叩き込んだ。
ドゴォォッ!!
「ですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!??」
吹っ飛ばされたラウラはウナス(イッセー)と同じツーバウンドすると大きく飛び上がって3回転ぐらいして、仰向けで伸びているウナス(イッセー)へとダイブ。そして――――。
チュッ
イッセーの頬にラウラの唇が触れた。
(偶然とはいえ、メイドのラウラちゃんにほっぺにキスして貰っちゃったぁ!! ラッキー!! っていうか、リリーちゃん、俺を殺す気かぁ!?)
美少女のラウラにキスをされてイッセーは大喜びだったが、サクラは真実を知ったらショックを受けるんだろうなと思っていたのだった。
何はともあれ、矢印の紋様が一つ消え、残る封印は一つなった。
「2つ目もクリアできたようね」
(あと一つ、あと一つでわーれは完全復活できーる!)
(ふ、復活だと!? こいつ・・・!)
ウナスの心の声はイッセーにも聞こえていたが、イッセーの叫びを無視してウナスは言う。
「最後の一つは、最高難度の呪い!!」
「最高難度?」
リアスが疑問の声を上げる。
「フッ、それは――――」
ウナスは朱乃を指さす。
「乳のゆーたかな女性にパフパフしてもらうことであーる!!」
(パ、パフパフ!? ミイラの分際でハイカラな言葉をぉぉ!!)
思わず嫌らしい顔になってしまうイッセーだが・・・。
(いやいや、待てい!!)
胸を触ろうとするウナスに、イッセーの意識がわずかだが抵抗する。
「っ、邪魔をするな! あと少しで貴様も解放されるのだぞ!!」
(ふざけんな!! お前、魂の安息と言ってるが、本当はこの世に復活しようとしてるんだろうが!!)
「っ、なーにを言っているのだ!?」
(俺には全部聞こえてんだよ!!! お前の心の声がな!!)
ウナスの意識とイッセーの意識が牽制を始める。身体は互いに反した行動をしようとしているため、全く動こうとしない。
(大体、お前はエロ過ぎる!! どうせ碌でもない呪術師だったんだろ!? あぁ!?)
「あの乳がわーれを待っている! あの乳でわーれは復活を遂げるのだぁ!! そこに乳が! 乳があるのだぁぁぁぁぁ!!」
手をわしわしとしながら朱乃の胸に伸ばそうとするウナス。
(なんてスケベパワーだ!! 俺に匹敵するぜ!!)
『あらあら、困りましたわね・・・』
互いに朱乃の全裸姿を想像し、嫌らしい顔で欲情した。この2人はエロなら波長が合うのかもしれない。
「復活・・・?」
一方、サクラはウナスがうっかり呟いた言葉に疑問の声を漏らす。
乳の豊かな美女・・・エロ行為・・・自分の欲望を満たす・・・アガレスの呪い・・・。
・・・・・・なるほどな。
そして、全てを察した。
「な、何かアイツおかしくなってない?」
「・・・まさにその通りだな、この茶番も」
リリーが困惑するようにサクラに言うが、サクラは余裕の笑みを浮かべている。
その間にもウナスとイッセーの鍔迫り合いは続いている。
「もとい、朱乃さんの乳をこいつに許してはいけない!!」
「少年よ! 想像するがいい!! あの乳に顔を埋める至福の瞬間を!!」
「何ィ!?」
イッセーとウナスの人格が争いながらも、イッセーはウナスの言われたことを真に受けて想像してしまう。
自分の顔を朱乃さんの胸に埋め、彼女は笑顔で自分をなでなでしてくれている・・・!
「それはまさに、天に昇るような優越感!! 快楽ぅ!!」
「か、考えるな、俺!! 朱乃さんの乳はいつの日か必ず俺の意志で!! ああああ! ああぁぁぁぁぁ!!」
「うんぅぅぅぅ、至福の瞬間ぅぅぅぅぅぅ!!」
イッセーとウナスの人格が争っていたが、やがてイッセーは―――――。
「あっはぁぁぁん♪」
「んぅ・・・!」
――――誘惑に負けて、間に割り込んできたサクラの胸に体を埋める。
「そんなに揉みたきゃ、オレが好きなだけ揉ませてやるよ!」
「あぁぁぁぁん、ここは天国だぁー♪」
サクラのそれなりに大きな胸に顔を埋めすりすりし、優越感に浸るイッセー。そのとき、イッセーの体から何かが飛び出し、棺の中のミイラに入っていく。
矢印の紋様が消え、円の紋様が浮かび上がると強い光を放つ。
「・・・邪なオーラが強まりました・・・!」
「全員退避ーーー!!!!」
サクラの叫び声と共に、オーラが強くなっていき――――。
ドガァァァァァァァァァン!!!!!!
――――溢れた力が爆発した。
土煙が大分晴れてくるとサクラの翼が大きく広げられていて、脇にはアーシアと朱乃が抱えられていた。また、四方に作られた氷の壁が消え去るとそこにはリリー、そして彼女の脇には小猫がいた。
2人とも爆発する寸前にサクラがアーシアと朱乃を、リリーが小猫を抱えて、先程の展示のある場所へ瞬間移動したのだ。ちなみにイッセーと祐斗は地面に倒れている。
「ハッハッハッハッハ!! アーッハッハッハッハッハ!! ハハハハハハ!! フハハハハハハ!!」
サクラは2人を下ろし、リリーも小猫を下ろすと高笑いと共に壊れた壁の穴から人影が現れた。
「わーれの名は偉大なる呪術師ウナス!! ここに復活せり!!」
現れたのは全身に白い包帯を巻き、右手に黄色と黒を彩った杖を持ち、蛇形記章を頭に付けた色黒肌の古代エジプト人の男―――ウナスだった。
「大儀であった悪魔の諸君よ。あのアーガレスの女め、昔年の呪いが解かれた今! 必ずや復讐を遂げん!!」
ウナスはイッセーを乗っ取ったときと同じ奇妙なポーズを取りながら言う。
「クソッ! アイツは最初から自分を復活させるために俺たちを利用してたんだ!!」
「そんなことは分かってる!」
サクラは怒鳴るように言う。
「こんな事だろうと思ったわ」
サクラたちの周囲にいない人の声が響く。とある展示品の高所の上に踊り子風ビキニのリアスの姿があった。
「部長!」
ここでリアスは威風堂々とした態度で気になっていたことをウナスに訪ねてみる。
「聞いてもいいかしら?」
「なーんだ?」
「どうして呪いを掛けられたの?」
ウナスは高所でストレートに問うリアスに一瞬慌てつつも、すぐに取り繕って質問に答える。
「呼び出した悪魔の女性がとびきり美しかった故、迷わず願いを伝えたのだ。求婚、いや! 我が奴隷とかせ!っとな・・・」
それを聞いたサクラは溜息を盛大に吐くと口を開く。
「お前、莫迦なんじゃないのか? 大公は上級悪魔だ。何の代価も無しに願いを叶えてくれるわけがないだろ。そんなことも知らないなんて、呪術師が聞いてあきれるぜ」
「さすがにそれは・・・怒りを買って当然だわ」
それはさすがの皆もうんうんと頷いていた。
「ええい、黙れ! まずは貴様から倒してくれるわ!!」
「逆ギレする男って、ちっさ」
リリーは侮蔑の言葉を述べる。
「なら復活祝いに魔剣の味でも食わせてやるよ!」
サクラはそう言いながら、右手を天にかざして魔剣リベリオンを出現させる。
「小猫ちゃん! イッセーくん! リリーちゃん」
祐斗は『魔剣創造(ソード・バース)』で魔剣を作り出す。小猫も拳を構えて臨戦態勢になる。
「ブーステッド・ギア!! ブースト!!」
『Boost!』
イッセーは左腕に赤い籠手を出現させ、籠手にパワーを溜めはじめる。
「アタシもセクハラ未遂のお礼をしないとね」
リリーは青色の槍を出現させ、臨戦態勢に移る。
「全く・・・」
臨戦態勢となった3人の前にリアスが飛び込んできて、2階の柱の陰に隠れていた教授に声を掛ける。
「教授、このミイラ男は危険です。消し去ってもよろしいですか?」
「・・・大変もったいないのですが、仕方ありません。でも、せめて棺だけでも残して頂けると・・・・」
「分かりました。棺だけ残して、後は消えてもらいましょう」
リアスと教授の交渉が成立したところで、ウナスがリアスに対して怒りを露わにする。
「むぅぅぅ、その傲慢な物言いが、あの忌々しい女悪魔を思い出すわ! ぬあああ!!」
掛け声と共に全身に巻かれた包帯が一斉に飛び出す。
「オレに2度も同じ手は通用しないぜ!」
サクラは迫ってくる包帯を魔剣の一振りでボロボロにした。
「あぁ!」
「・・・あっ」
「あらあら・・・」
「・・・っ!」
「きゃあ!」
しかし他の女性たちは全員包帯に巻かれて、上へと持ち上げられる。
「・・・またこのパターン」
「もういい加減にしてよ!!」
「・・・リリー」
サクラがリリーを軽蔑するかのような目で見る。一回やられたんだから、すでに見切ってると思ってたのに、また巻かれるなんて・・・。
「どうして俺たちと敵対する奴らはグルグル巻きが大好きなんだ!?」
「・・・エッチな体をしてるからじゃないのか?」
「いや、真面目に答えなくていいから! まあ、俺も好きだけどな・・・」
「・・・好きなのかよ」
「行くぞサクラ!! 木場!!」
「分かってるっての」
そう叫んで出て行こうとするが・・・。
「動くな! 動くと女たちを絞め殺ーす!」
ウナスがそう言った直後、拘束されたリアスの甘い悲鳴が聞こえてくる。
「あぁぁぁ! ん、んぅ、んぅぅ、あぁぁぁぁぁぁん!!」
「部長!」
包帯をよく見ると邪悪な紫色に光り出しており、これで女性陣を締め上げ、更にはウナスの念力が縛った包帯を通して肌を弄りまわし、楽しんでいるのである。
「くぉの包帯は私が長年念を込めた、特別製。ちょっとやそっとでは、外れないのであーる!」
勝ち誇ったように言うウナス。リアス以外の女性陣も、ウナスの包帯に締め上げられて甘い声を漏らしている。
「こ、これは少し、厄介ですわね・・・」
縛られた肌から感じる快感に甘い声を漏らしながら、朱乃が言葉を紡ぐ。
そこにイッセーの側にサクラが余裕の笑みを浮かべながら言う。
「フッ。やっぱりお前は莫迦だな」
「何ィ!?」
「そんな無駄な時間を費やして作った小細工でオレたちを倒せると思ったら大間違いだぜ?」
そこに拘束されているリアスの声が響く。
「そうよ・・・私たちを相手にしたのが運のツキよ! イッセー、あれを使いなさい!」
イッセーは一瞬分からなかったが、自分が前に編み出したあの技を思い出し全てを理解した。
「そうか! 分かりました部長!! いくぜ、ブーステッド・ギア!!」
『Explosion!!』
籠手の宝玉が光り出すとイッセーは走り出す。
「な、なーにをする気だ!?」
叫ぶウナスを無視してイッセーは展示品のガラスを壁キックして、リアスのほうに飛ぶと身体へと手を伸ばす。
「でやあぁぁぁぁぁ!!」
パンッ
「あぁん!」
リアスが甘い声を上げながら、ぷるんと揺れる彼女の胸にイッセーの魔力が付加される。
そして、朱乃。
「てい!」
パンッ
「あぁぁん!」
アーシア。
「てやっ!」
パンッ
「んぅぁん!」
小猫。頬を染めて睨みつけていたが・・・。
「・・・・・・・」
「ごめん、小猫ちゃん!」
パンッ
「ひゃぁ・・・」
リリー。彼の考えていることは察しているのでヤケクソになって・・・。
「・・・さっさとやりなさいよ!」
「リリーちゃんもゴメン!!」
パンッ
「あぁぁん!」
順番に女性陣の体にイッセーの魔力を付加していった。
「!?」
「ドレス・ブレイクッ!」
ウナスが戸惑いの声を上げる中、イッセーは地面に着地をすると籠手を装着している左腕を鳴らした。
「あっ・・・ああぁぁ!」
バババババババ!!!
小猫の身に着けている制服が・・・。
「あっ・・・ああぁぁぁぁん!!」
バババババババ!!!
朱乃の身に着けている制服が・・・。
「!?・・・っ・・・あぁぁん!!」
バババババババ!!!
アーシアの身に着けている制服が・・・。
「あっ・・・ふっ・・・あぁぁぁん!!」
バババババババ!!!
リリーの身に着けているドレスが・・・。
「・・・・んぁぁぁぁん!!」
バババババババ!!!
リアスの身に着けている踊り子風のビキニが、ビリビリに破けたと共に、女性陣は拘束されていた包帯からも解放された。
「うぉぉぉ! 眼福です!! 全員の裸を脳内保存!! ありがたやぁ! ありがたがぁっ!? ごぉ!?」
ドォンッ!!
拘束された女性陣全員が全裸になったことに感激し手を合わせて拝むイッセーだったが、その上から小猫とリリーが彼を制裁するかのように頭を踏み付け、床に顔面を叩きつけた。
「・・・見ないでください」
「見んな! 変態!!」
地面に顔面をめり込ませられているイッセーを睨み付ける2人。
「イッセーさん、大丈夫ですか?」
全裸のアーシアが胸を隠しながら、イッセーに言う。
「こ、これは!? 何と素晴らしき技かな!! わーれは感動したぞ、悪魔の少年よ!!」
自分の体を抱きしめながら、嫌らしい顔で女性陣の全裸を堪能するウナス。
「だったらもう思い残すことなんてないよなぁ?」
「?」
女性の声に気付いたウナスがその方向に視線を向けると翼を広げたサクラがリベリオンを左手に、右手の炎を燃やしている姿があった。
「古代エジプト人はなんでこんな下品な奴を棺に保存しようと思ったのか分からないな。復活祝いのせめてもの慈悲だ。死体は死体らしくオレが火葬して燃え滓にしてやるよ」
「ま、待て!」
動揺する左側から赤く光るのが見える。ウナスが気付いて視線を向けてみるとそこには右手に消滅の魔力を練り込んでいる険しい顔のリアスの姿があった。
「悪魔の女性に淫らなことをしようとする不貞の輩。その罪、万死に値するわ。グレモリー公爵の名において、あなたを吹き飛ばしてあげる!!」
「くっ・・・!」
歯軋りをするウナスの右側からバチバチと音が耳に届く。そちらにも視線を向けてみれば、朱乃が笑顔で左手に雷を宿していた。
「あらあら」
「ひっ!」
「せっかく永い眠りから目覚めたのに、悪い子にはお仕置きですわ!」
笑顔から一転して険しい顔になった朱乃が雷を構える。
「お、おのれ・・・!!」
「あーあ」
「!?」
前からも残念そうな声が聞こえたかと思うと、視線を向けてみればリリーが青い槍の先に更に氷で矢じりを生成していた。
「セクハラ未遂で氷の彫刻程度の保存で勘弁してやろうと思ったのにさ・・・もうセクハラしちゃったもんねぇ? 氷漬けよりももっと酷い殺し方をしなければ気が済まないのかしらねッ!!」
「ひひぃっ!?」
「おらぁぁぁ!!」
リリーはウナスに目掛けて槍を投げつける。槍は一直線にウナスの身体へとすっ飛んでいく。
「ま、ま、ぐぁぁ!! がぁ・・・」
槍はウナスの胸の部分を貫くとそのままウナスを一瞬で下から上まで氷漬けにした。
「燃え尽きろ!!」
「滅びなさい!!」
そこへサクラの鳳凰のように形成された炎、リアスの消滅の魔力、朱乃の雷が襲い掛かる。
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
断末魔の叫び声を上げ、永年の眠りから目覚めた偉大なる呪術師は、わずか数分足らずでその生命に幕を下ろしたのであった。
「結局、悪魔の仕事や生き方ってのは今まで通りでいいってことなのかな?」
教授からの依頼を終え、部室へと戻ってきた私たち。兵藤が開口一番で言葉を口にする。
「悪魔は永い時を生きるのだから、ゆっくりと生き方を考えていけばいいのよ」
「まあ、オレたちはまだまだガキのままだから、慌てずに自分の適した生き方を見つければいいんじゃないのか?」
「そうですよね! なあ、アーシア?」
「はい!」
まあ、人生が長いということはそういう時間もあり得るということだな。グレモリーのくせに、たまには良いことを言う。
だけど、考えっ放しの毎日じゃ人生を無駄遣いするだけだと思うぜ。
「主よ、私が立派な悪魔になれるように見守っていてください。はうっ!」
アーシアがまた神にお祈りをして、頭痛という名のダメージを受けている。
「アンタもいい加減その癖を、悪魔の永い人生とやらでどうにかしたら?」
「はうぅ・・・」
ベリータルトを食しながら、アーシアを皮肉るリリー。
「ところで兵藤」
「何だよ、サクラ?」
「さっきオレの胸にお前がダイブしてきた件だが・・・?」
「え? あっ・・・」
兵藤は何のことだか分からないような顔をしていたが、さすがは記憶力のいい奴だな。すぐに仕舞い込んでいたタンスの中の記憶を引っ張り出してこれるとはな。
でもちょっと沸々してるから、さすがに許せないな。
「いや! あれはミイラ男の誘惑に感化されたっていうか、自分でも自制が聞かなかったというか――――」
「黙れ。女の肌に触ろうだなんて高くつくんだよ。という訳で明日、駅前の高級ショートケーキを奢れよな」
「ま、待てよ! 今、俺の財布は金欠で―――」
私は兵藤の言い訳を最後まで聞かず、腰の短剣を引き抜くと兵藤の眼前に向ける。
「お・ご・り、な?」
「・・・はい」
兵藤は本気で金を持っていない様子だったが、そんなものは私の知ったことではない。足りないんだったら、銀行から金を借りればいいだけの話だ。
そんなことをしている余所で、姫島が部室へと入ってきた。
「部長、今度は古代中国の遺跡から出土した棺を調べて欲しいと・・・」
どうやらまたグレモリー専用の依頼が来たようだが、また棺か?
どうせ変態魔導師だとか、変態呪術師の納められている棺かなんかだろう。面倒臭い・・・。
「またエロい呪術師だとか!?」
この莫迦は、何を期待してるんだ。大体、大昔の変態なんかに会って何の需要がある。
その依頼を聞いていたグレモリーは嘆息しながら素気なく告げた。
「それ、他の上級悪魔に回してもらえる?」
「えっ!?」
「あんな思いをして出てきたのがあれだもの。胡散臭いのは懲り懲りだわ」
あの変態ミイラ男にやらされた踊りはグレモリーにとってはかなり応えたようで、もううんざりといった顔をしていた。
発掘したものなんか碌な思い出が詰まってないのは私も同感だ。全く、古代人が聞いて呆れるぜ。
「それがいいでしょうね」
木場はそう言いながら、流しそうめんを嗜んでいる。
「マジか!? 本当に他の悪魔に回しちゃうの!?」
だから何をそんなに動揺しているんだよ。私は強い奴なら大歓迎だけど、あんな殺す価値も無い軟弱な古代人しかでないなら興が冷めるというものだ。
騒ぐ兵藤を余所に、同じく流しそうめんを嗜む小猫が流されるそうめんを箸でパシッと取ってから一言。
「・・・やっぱりイッセー先輩はいつもスケベ顔です」
「はい・・・すいませんでした・・・」
キツイ一言をお見舞いされ、軽く落ち込む兵藤。エロスイッチの入った兵藤は碌なことをしないからな。いいお灸だろう。
「イ、イッセーさん・・・」
落ち込むイッセーに呆れたような、哀れむような視線を見せるアーシア。
「これだから、男は・・・」
タルトを食べながら、兵藤に侮蔑の視線を向けるリリー。
「あらあら、うふふ」
その様子を見て楽しそうな視線を向ける姫島。
まあ、私もそんなコイツらの雰囲気を楽しんでいるよ。もっとも、兵藤の野望が潰えたときの悲惨さ、がほとんどだが。
期待しても望んでも無駄だけど、一応思ってはおくぜ? この雰囲気がもっと面白くなるようにだけどな。
私はそんなことを考えながら、密かに酷薄な笑みを浮かべた。
ストックはまだあるけど、今年はここまでにしておきます! いい区切りでしょう。
ではみなさん、よいお年を!!