英雄伝説 斬の軌跡(凍結)   作:玄武Σ

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今度は戦闘描写なしの語らいイベント。そしてラストで急展開に。


第13話 壁を超える者 そして

「何? チョウリ元大臣が死んだが、犯人と思しき集団も同日に死亡だと?」

 

三獣士による良識文官の暗殺、それが予想だにしない形で終わったという報告をナジェンダは受けていた。やはり早期から調査をして犯人の目星をつけようとしていたのだが、無駄に終わる形となっていた。

 

「ああ。で、護衛の一人で元大臣の娘だけが行方不明なんだってボス。例の偽物を潰したのがその娘か、潰した連中に連れてかれたか、どっちかみたいだ」

「その娘のスピアって子は皇拳寺の槍術で皆伝を取ったらしいけど、落ちていた帝具の残骸からその子と護衛だけで敵討ちするのは難しいみたいですよ」

 

伝書鳩の代わりに使われたマーグファルコンという危険種の持っていた報告書から、レオーネとラバックが状況の説明をする。

残骸から判明した帝具は、単純な攻撃力がずば抜けて高いベルヴァーク、精神に干渉するスクリームだ。一つ一つが一騎当千の力を与える帝具でそれを同時に使われたら、どれだけ優秀な戦士も勝ち目はない。

 

「ナジェンダさん、もう一つ報告なんですけど今日エスデスの配下でリヴァって奴の葬式があったらしくて、そいつも犯人なんじゃないかって予想されてるみたいですよ」

「リヴァ将軍が……エスデスの配下、だと?」

 

最後にされた報告でリヴァの名が出て来た時。反応したのはブラートだった。

 

「たしか、ブラートの軍時代の上司だったか?」

「ああ。牢に入れられた後で、何かエスデスに心酔するようなことでもあったんだろうな。正しい物が認められない今の帝国に、絶望しちまったんだろう」

 

オネスト大臣に賄賂を贈らなかったために更迭されたリヴァ。その所為で官僚たちに絶望してしまったブラートはエスデスに配下として見初められ、彼らを武力と権力の双方で黙らせることが出来たリヴァは爽快だったという。

長らく会ってはいなかったが、信頼していた上司だけあってある程度は察したのだろう。

 

「ボス。無茶は承知で、頼みたいことがある」

「なんだ? まあ、ある程度は想像がつくが……」

 

そんなブラートが伝えた頼みは、ナジェンダの想像通りだった。

 

「俺を帝都の墓地に行かせてくれねぇか?」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「まさか、あの三人組があっさりと負けるとは」

 

ある日、ロイドたち支援課組は街での情報収取中、三獣士の戦死というニュースに混乱していた。そろって帝具使いな上に腕が立つため急な脂肪は戸惑いがあった。

 

「例のナイトレイドという人たちの仕業でしょうか?」

「その線もあるが、可能性は低いな」

 

リーシャは三獣士がナイトレイドに倒されて死んだと推測するが、ロイドは否定した。ロイド自身、彼らがナイトレイドの名を騙っていたのはその評判を落とし、良識文官を守るのと評判を守ろうとする本物をおびき寄せる、という物が推測された。

 

「どういうことですか?」

「まず、もし彼らを葬ったのがナイトレイドだったら、まずその殺された元大臣を死守するために陰から護衛に参加しているだろう。革命軍としても、政治で現大臣に対抗可能な人物は生き延びさせるだろうから、動きが入る前に別の勢力が彼らを始末したとみるのが妥当だな」

 

ロイドがリーシャの疑問に答える形で詳細を語る。ナイトレイドの任務は非常に高い危険が伴うため、条件はベターも許されず常にベストであるのが当然だからだ。

しかし、そうなるとある疑問が起こった。

 

「だとしたら、一体誰が?」

「革命軍と別に帝国に対抗する勢力、異民族かこの大陸の別国家が妥当だが、証拠も無いから断定できないな」

 

流石にロイドも、身喰らう蛇がこの大陸に乗り出しているとは思いもしなかったようだ。

ひとまずこの話題は打ち切ることにし、ロイド達は書店に向かっていた。帝具に関する資料が断片的にしかないため、ロイドは古本屋や図書館に文献が残っていないかを調べに来たのだ。

 

「ここは貸本屋……ダメもとで覗いてみるか」

 

古本屋は調べたら一式なかったので、国が運営する図書館ならともかく個人経営の貸本屋に文献があるとは思えなかった。しかし、そもそも図書館事態が帝都に無かったようでこの選択となった。外部に貴重な情報を漏らさないように、オネスト大臣かそれ以前の政治関係者が潰したか建てなかったものと思われる。

 

「はい、いらっしゃ……あ」

「あ」

 

ロイドが貸本屋の中に入ると、カウンターに立つ店主と顔を合わせて互いに反応する。そこにいたのは、なんとラバックだった。

 

「あんた、確か最初にリィン達と会った時の……」

「まさか、君がここの店主なのか?」

「ま、まあ一応。どうせばれてるからこっそり教えるが、俺は手配書が無いから情報収集目的でな」

 

予想外の人物が店の経営者だったため、ロイドも驚いてしまう。

 

「ロイドさん、知り合いですか?」

「ああ。一応、彼もナイトレイドのメンバーなんだ」

「一応って。しかもこうあっさりバラシて……まあ、あんたの仲間なら明かしても心配ないだろうけど……って、うぉおお!?」

 

ロイドの反応にラバックが呆れていたが、リーシャの姿を見て驚愕する。

 

「と、ととと……」

「と?」

「……トランジスタグラマーだ」

 

尤も、理由は彼らしいことこの上なかったが。

取りあえず、ラバックを落ち着かせた後で自己紹介をし、そのまま目的を告げた。

 

「残念だけど、ウチは漫画やら小説やらの娯楽作品しか置いてないぜ。まあ、アジトに行きゃ文献もあるけど持ち出し厳禁だから駄目だな」

「そうか。無茶を言ってすまなかった」

 

やはり帝具に関する情報は貴重らしいので、ここでの入手も難しかった。ラバックから得た情報によると、帝具は開発から五百年が経ったときに起こった内乱で、半数ほどが国外流出してしまったらしい。流石に開発から千年もすればその間に何かあるのは当然で、その際に文献なども失われたりしたのかもしれない。

 

 

「ラバック、戻ったぜ」

 

そんな中、いきなり人もいないのに扉が開き、男の声が聞こえてきたのだ。

 

「え……その声、アニキ!?」

 

誰もいないのに聞こえたその声に、ロイドは亡き兄ガイのそれを思い出してつい反応する。

 

「……なんで、会っても無いのに俺をアニキ呼びするんだ?」

 

直後に扉の前の空間が歪んだかと思いきや、そこからインクルシオを纏ったブラートが現れた。リィン達から聞いた話と手配書のおかげで、初日に鎧越しで顔を合わせた程度でも誰かは把握できた。

 

「確か、ブラートさん? 何処から出てきたんですか?」

「ああ。インクルシオの奥の手で透明になってたのさ」

 

ブラートによると、インクルシオはタイラントという竜型超級危険種の筋繊維や外殻を加工した鎧なのだという。タイラントは強大な戦闘力だけでなく、異常に高い自己進化能力と環境適応能力を兼ね備えており、灼熱の砂漠でも凍土でも生きられるという。透明化は帝具の素材にすべく追われたタイラントが、追跡から逃れるために身に着けた力がインクルシオにも反映されたのだという(ただし気配はそのまま)。しかもタイラントの闘争本能や筋肉が今も生きており、装着者の力量や精神の成長具合に合わせて性能が上がる、すなわち鎧そのものが進化する力が備わっていた。

 

「……インクルシオもそうだが、それ以上に材料のタイラントって危険種が凄いな。で、味方でもない俺達にそんなことを教えて、大丈夫なのか?」

「暗殺稼業に身を置いてるとはいえ、俺の本質は直接戦闘にあるから特に問題ないな。それに、例えて敵にそれを知られても俺の情熱は止められねぇさ」

 

ロイドはブラートがあっさりとインクルシオの強大な力を教えたのが気になり、問い尋ねるがブラート自身は特に問題ない様子だった。

 

「ブラートさん、確か手配書が出てたはずですけど帝都に居て大丈夫なんですか?」

「どうしてもしておきたいことがあってな、さっきの透明化と暗殺行で気配消すのに慣れてたから、それ使ってその用事だけ済ませてきたとこだ」

 

今度はエリィがブラートを心配するが、そこは一流の殺し屋だけあって心配無用だった。

 

「で、折角ここで会えたから少しいいか?」

 

そんな中、ブラートがあることをロイド達に頼み込む。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「すまねえな、無理に誘って。あと、酒はいけるか?」

「どっちも問題ないさ。俺もナイトレイドと直に話したことが無かったから、ちょうどいい機会だと思ってな」

 

その後、ブラートに連れられてロイドは革命軍の協力者が経営する酒場を訪れていた。ブラートはリィン達の正道を歩む心意気、それを気に入って仲間に入ることを強要しなかったし、タツミがそれに付いて行ったことも認めていた。しかしシェーレの死という事態の発生、仲間達は悲しみ戦力も減った。

そしてシェーレはリィン達とも少なからず交流があったため、彼らも焦燥することとなる。ブラートはそれを気にして、その仲間であるロイドに話を持ち掛けようとしたわけだ。ロイドはブラートが二人きりで話したいとしてカウンター席に、連れていたエリィとリーシャは離れた相席にそれぞれ座っている。

 

「この間の戦闘で、あなた達の仲間が死んだ。直接会ってない俺でも堪えてるんだ、そっちもショックは大きかったんじゃないのか?」

「……まあ、堪えてないっていやぁ嘘になるな。けど、戦争やっててしかも闇討ち上等の暗殺部隊にいるんだ。報いを受ける覚悟は俺や死んだシェーレだけじゃなく、今ナイトレイドにいる全員が覚悟している」

 

ロイドがシェーレの死についてブラートに触れるも、以前にシェーレを屠ったセリューと交戦したメンバーにレオーネが語ったことと同じ答えを出した。

 

「……確かに、俺もこの国の現状は最悪だとは思うし早急に変えるべきだと思う。そしてこの国で正道を歩むことは難しいとも思っている」

 

いきなりロイドが口にした言葉に、ブラートは静かに耳を傾ける。

 

「俺も、故郷のクロスベルが裏工作に巻き込まれて司法機関もまともに機能しない、つい一年前までそんな政治状態だった。けど、俺達はそんなどうしようもない政治状況、大きすぎる壁を仲間達と乗り越えてそんな状況を打破出来た。あんたはそんな風に逆境や壁を越えようとは思わなかったのか?」

 

ロイドは亡き兄の意志を、当時に彼の上司だったセルゲイ・ロウが形にして立ち上げたのが特務支援課だ。警察でありながら遊撃士のような柔軟な動きが可能なこの課が、宗主国の二大強国に属す汚職政治家と、彼らと繋がりのある裏組織の陰謀を続けて乗り越えた。何処までもまっすぐに正道を歩み続けた結果、得られた勝利である。

ロイドはブラートに、そんな道を歩めなかったのか聞かずにいられなかった。

 

「俺が帝国軍にいたころ、上官だった将軍のリヴァって人と二人で帝国のために戦っていたんだ」

 

いきなりブラートが自分の身の上話を語り出したかと思いきや、それがブラートの答えに通じるのだと察し、黙って聞いていることにした。

 

「でも、オネストが大臣に就任する際に多くの官僚や将軍が賄賂を贈ったらしくてな、リヴァ将軍はその賄賂を贈らなかったのを理由に更迭されてそのまま牢屋行き。それまでいくつも功績を上げて帝国に利益をもたらした筈なのにな」

「そんな無茶苦茶な……」

 

あまりのオネストの横暴ぶりに、ロイドですら驚愕した。革命軍の帝都内拠点の一角だからこんなことが言えたが、他の店や街中だったらこれを理由に逮捕されていたかもしれない。

 

「民を食い物にし、帝国のじゃなく己の利益にしか目が無い男だ。それくらい当然だったようだ。で、俺も大きな妬みを持たれたらしくて大臣派に加担することで俺を罪人に仕立て上げようとしたから、インクルシオを持って逃亡、そのまま革命軍入りしたってわけだ」

「……なるほどな。正道を歩みたくても、それが出来ない状況に追いやられてしまった。それでも国を憂いた結果が、今という訳か」

 

想像以上に重いブラートの過去、流石のロイドも納得せざるを得なかった。

 

「で、今日わざわざ帝都まで来た理由は、リヴァ将軍が死んだらしくて墓参りにきたんだよ。何故かエスデスって将軍の配下になってたらしくて、そのおかげで葬儀も開かれたらしい」

「!? 大臣派だって聞いた最強将軍の……」

「流石に噂位は聞いてるか。牢屋に入ってる間に、奴に心酔する何かがあったんだろう。仮に生きて会えても、今は互いに分かり合えないだろうな……」

 

ブラートも先程より落ち込んでおり、ロックのウイスキーを一気に煽って呟く。ロイドもそれを聞きながら、ちびちびと水割りのウイスキーを口にする。

 

「酒の席に誘ったのも、今の話以外に確認したいことがあってな」

「確認?」

「とうとうナイトレイドにも死人が出ちまって、お前らもこの国の歪みをいやというほど目にしただろ。それでも、お前らはまだ正道を歩めるのか?」

 

ブラートは確かに、あの時にリィン達の気概を気に入ったが、それが今後も続くとは限らない。妬みや己が性癖の為だけに人の命を奪う、そんな悪意無き邪悪が闊歩する地獄で、僅かに改心の余地があろうとその前に歪みの一員としてナイトレイドや反大臣派の人間に屠られる。法があってないような惨状であった。

こんな状況でも、ロイド達は正道を歩めるかブラートは気になった。出来なかったら、所詮は彼らもそれまでと見限る必要があった。

 

「歩む、歩んでみせる。リィンが危うい状況になっていているが、少なくとも俺や支援課の仲間達は歩んで見せるし、リィンのフォローだってしてみせる。そして俺達全員の力で、この巨大な壁を越えて見せる」

 

しかしロイドは迷わずにハッキリと告げた。そしてそのまま続ける。

 

「俺のなくなった兄貴、ガイ・バニングスに故郷を守ると誓い、それと同じで無垢な命をこの国の歪みから救うために、その後に異民族や異国との問題に備えて正道から救って見せる」

「……少なくとも、ロイドに関してはその心配は無さそうだな。他の仲間の心が折れそうになっても、お前なら何とかしてくれそうだ」

 

ロイドのその迷いのない目に、ブラートは満足した様子で納得した。

 

「で、さっき俺のことをアニキ呼びしてたのは、そのガイって奴と……」

「ああ。何故かよく似てた声をしててな、つい」

 

最後にそれだけブラートが聞いてきたので明かす。そしてその後、帝都に長居するわけにもいかなかったので、全員が酒場を後にするのだった。

 

(ガイさん、だったか? あんた、なかなかにいい弟を持ったじゃねぇか)

 

心の中でブラートがロイドと彼の亡き兄について、そんなことを思う。そしてロイド達を見送って、その場を去ろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(だろ? どんな甘言にも屈さず、どれだけ心を折られようと必ず立ち上がる。そんな自慢の弟だぜ)

「!?」

 

その直後、自分とよく似た声が聞こえたのでつい辺りを見回す。しかし、辺りには誰もいなかった。

 

「まさかな」

 

そしてブラートは帝都を出て、アジトに帰還していった。

 

 

陽が沈み切った頃、ロイド達一行はメルカバに到着する。しかし、ロイドは信じられないことを聞かされた。

 

「り、リィンが宮殿に捕まった?」

「い、一体何が……」

「それが、今日……」

 

そして、アリサが昼間に起こった出来事を語った。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「リィン、本当に大丈夫なの?」

「正直、大丈夫じゃないな。けど、そうも言ってられないだろ」

 

先日の三獣士戦での傷が癒え、リィンとアリサも帝都での情報収集に向かっていた。以上犯罪者を何度も目の当たりにし、精神的余裕が無い影響でまさかの敗北、更に精神は削られた。何かあった時に備え、エステルとヨシュアも同行している。

そんな中、リィン達はある光景を見てしまった。

 

「あ、あれは……」

 

なんと路地裏で売春行為をしている一人の少女がいた。マインと同じピンクの髪をしており、目には生気が感じられない。そこに異常な何かを感じ取り、一行は隠れてそれが終わるのを待ち、客らしき人物が去っていったところで少女に声をかける。

 

「君、さっきのを見てしまったんだけど大丈夫かい?」

「……はい、お気遣いありがたいです。わたし、どうしてもやらないといけないことがあるんでお金を」

 

その言葉を聞き、ヨシュアが何かに気が付いてそれについて尋ねた。

 

「まさか、誰かに復讐するためにお金を?」

「……はい。その為の依頼費を」

 

そこで少女は語り出した。少女の名はエアというらしく、元は田舎から二人の友人と共に奉公に出て来たという。しかしその奉公先の相手のバックという男は、人身売買のブローカーで帝都内の以上性癖者に彼女たちを売りつけるために連れてきたのだという。そしてそのバックに売られた、友人のルナとファルという二人の少女がそれぞれ、両目と両足を潰されてしまい、エア自身も買い手の愛犬に犯されたるという辱めを受けたのだった。

しかもファルは拷問に耐えきれず死亡、ルナは先に心が折れて自ら命を絶ってしまい、生き残ったエアは復讐する機会を得るために買い手に気に入られようと従順になったという。そして、ナイトレイドへの依頼料を稼ごうとこっそりと買春行為に入っていたという。

 

「この子、タツミと同い年くらいかしら?」

「イヤ、もう少し若いかもしれない。まさかこれで……」

「私達が日曜学校に行っていたくらいの歳じゃない。それでこんな……」

 

これから生まれる命への暴虐を最初の方で知り、さらに別で年若い命を脅かすという狂気がこんな所にも存在していた。

 

 

(何で……何でこの国の人間はこんな恐ろしいことが出来るんだ? なんで、なんで、なん、デ………?)

 

そして、ついにリィンの心に限界が来てしまう。

 

「……すまない、アリサ。もう、限界だ」

「リィン?」

 

直後、リィンが呟いたその言葉にアリサは嫌な予感を感じる。そして、すぐにそれは現実のものとなった。

 

「エア、君の買い手の男とバックという男の居場所、わかるか?」

「は、はい……今日西通りで一番大きい酒場を貸し切って、バック主催のパーティーを開くそうです」

「そうか、わかった……」

「リィン、まさかあなた?」

 

エアからバックの居場所を確認するリィンの姿を見て、アリサは彼の考えを察してしまった。

 

「少し……暴レテクル」

 

喋っている最中に片言になったかと思いきや、直後にリィンの髪が白く染まり、瞳も赤くなった。

 

「な、なにそれ?」

「リィン、君は一体……」

「リィン、今それを使っちゃダメ!」

 

エステルもヨシュアもリィンのその異変に驚愕する中、その力を知るアリサはリィンに呼びかける。しかし、

 

「アリサ、ゴメン……」

 

アリサに対する謝罪を口にし、リィンは異常な跳躍力で移動を開始した。




リィンの精神の斑は、暴走イベントを挟むためのフラグだったのだ(我ながらわかりにくい!)。
イェーガーズ集結と合わせてるので、一気にストーリーが進展する予定です。

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