多摩姉さんと球磨姉さんが言う。
話してみろ、話してくれないかと。
その言葉のせいで、俺の想いがあふれてしまった。
口が勝手に動き出す。
「俺は、幸福者さ。姉貴に囲まれて、此処には、球磨型が皆揃っていて…。でも、俺はきっと幸せになってはいけないんだ。
俺は、地獄に堕ちる方がいい。仲間が目の前で死んだのに、俺が助けられなかったからなのに、俺だけが生きている。
でも、怖いんだ。
死にたくないんだ。
死ぬのが怖くてたまらねぇんだ。
馬鹿馬鹿しいだろう?戦う身でありながら、仲間1人救えず、死ぬのが怖いとほざく。
笑えて来るよな?
俺は、まるゆさえも盾にしたんだ。あいつ、俺の前に出るなって行ったのに。勝手に出て来て…。刀で…貫かれて、死にそうなのに静かに、逃げてって俺に言うんだ。
それで、俺は、残る仲間のことも考えず、ひたすら走ったんだ。……最低だよな、俺。」
涙が止まらない。
ギュッ。姉さんに抱きしめられた。暖かい。
「辛かったクマね。痛かったクマね。怖かったクマね。
悪いのは木曾じゃないクマ。木曾は、悪くないクマ。悪いのは、そこの指揮官クマ。それに、死ぬのが怖いっていうのは、皆おんなじクマ。」
「そうだニャ。多摩だって怖いニャ。木曾は、独りじゃないニャ。独りで悩み過ぎニャ。もっと頼って欲しいニャ。」
「ほんとだよ。」
ビクゥッ!!
「「提督、いつからそこにいたクマ(ニャ)!?」」
「俺は、幸福者さ。の辺りから。」
「「ほぼ、最初っからクマ(ニャ)…。」」
提督か……。解体だろうか。だろうね。脱走したんだ。
「…。解体か?」
「そんなわけないでしょ。ただ、力を貸して?貸してくれるなら、今日から貴女の提督は、私。斎藤乃愛よ。絶対に誰も殺させないし、轟沈させない。約束する。だから、約束して?絶対に沈まないって。」
「…。わかった。最高の勝利を与えてやる。」
姉さん二人に抱かれながら言うセリフじゃないな。
「後、ひどい隈が出来てるからよく寝なさい。提督命令です。
そんでもって
明日。千鳥型水雷艇、四番艦の初雁ちゃんに会って欲しい。」
俺があいつに?俺は、天龍に殺されかけるあいつが鎮守府に取り残されてしまうってわかっていて、置いてきちまったんだ。今さら会わせる顔がねぇ。
「駄目だ。初雁に会わせる顔がねぇ。」
もう提督は、いなかった。
「…。寝ようか。」
俺は、立ち上が…
れなかった。
身体にもう、力が入らない。ここまで消耗してしまったとは…。まぁ、2週間海で走り回って(一睡もせずに)、1週間、医務室で治療。3週間悪夢に魘されていたんだ。当たり前か。
「どうしたクマ(ニャ)?」
「肩、貸してくれないか?」
「抱っこしてあげるクマ。」
ひょいっ
「多摩は、ご飯持って来るニャ。」
ちょっと恥ずかしい。心がくすぐったい。
「何で俺の布団に入って来るんだよ!?」
「一緒に寝るためクマ(ニャ)」
この二人、寝相悪いのに…。
Zzz Zzz
寝るのはやっ!?
そんで、俺は、二人専用の抱き枕かよ!!
俺の意識も薄れて消えていった。