ゆうかりんか   作:かしこみ巫女

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断章 希望と絶望

「先日送ってもらった貴方の考察は、実に興味深かったわ。二つの意味でね」

 

 パチュリーが書類を置き、こちらの顔を見つめてくる。

 

「それはどういうこと? 何かおかしいところでもあったかしら」

「そうじゃないわ。貴方が入れ込んでいるということが良く分かったからよ。思わず嫉妬を覚えたほどね」

 

 パチュリーの軽口に、アリスは思わず眉を顰める。

 

「ふざけないで」

「ごめんなさいね。ところで、紅茶のお代わりは?」

「いらないわ」

 

 アリスが断ると、パチュリーは自分のカップにだけ紅茶を注ぐ。

 今日紅魔館を訪れたのは、先日送りつけたレポートについて意見を貰うためだ。自分の先走りでないか、客観的な意見が欲しかった。私情は挟んでいないつもりだが、断言できるほどの自信はない。

 

「私としては、貴方の予測は正しいと考える。状況が改善することはまずないと思う」

「…………そう」

「砂上の楼閣という言葉があるでしょう。今の状態を例えるならそれね。ただ、崩壊するのがいつかは私にも分からない。一年後か、十年後か、それとも一週間後――」

「やめて。今のあの子は安定している。だから、当分は大丈夫よ」

「そう? それなら良かったわね」

 

 パチュリーの言葉を遮り、自分に言い聞かすように言葉を吐き出す。パチュリーは感情の篭ってない言葉で頷いてみせる。

 燐香はフランドール、小悪魔とボードゲームで遊んでいる。一喜一憂するその姿は見ていて微笑ましい。最近は発作もなく、非常に安定しているように思われる。幽香の思惑通り、鎖は順調に増えている。

 だが、不安を掻き立てられる。本当にこのままで良いのかと。砂上の楼閣をいくら補強したところで無駄なこと。そう思えてならない。だからパチュリーに事情を打ち明けて相談した。同じ魔法使いである者の意見が欲しかったからだ。

 

「それで、風見幽香はどうしているの? 何か変わった様子は?」

「特にないわ。いつも通り燐香には冷たく当っているみたい」

「……そう。それはそれで、間違ってはいないのでしょうけどね」

「――けど?」

「簡単な話よ。憎しみを維持し続けるというのは非常に難しい。一緒に暮らしているならなおさらでしょう。慣れ、もしくは諦めに変化していってしまってもおかしくない。現に、その兆候は出始めているみたいだし」

「……諦め」

 

 アリスもそれは薄々感じている。幽香に対して憎しみを抱いているのは間違いないだろうが、逃走、亡命などの手段を選んだのは、諦めの感情が強くなったからではないか。それが顕著になり始めると、本来の性質が顔を覗かせる。人間に対する煮えたぎる憎悪。

 アリスの推測する限り、燐香は二つの属性から成り立っている。白と黒。黒が強くなりすぎれば、バランスが崩れてしまう。それは、取り返しのつかない事態を生む気がしてならない。あの、黒い靄。あれは良くない兆候の顕れにしか見えないのだ。

 

「もしくは、風見幽香自身が耐え切れなくなっているのかも。本人もそれに気付いたから、外に出す気になったのかもしれないわ。憎まれ続けるというのは、相当精神を削るのではないかしら」

「…………」

 

 アリスには何も言えない。この十年間、幽香はひたすら自分だけを憎悪させるべく非情に接してきたはずだ。誰にも触れさせないよう、無菌室でひたすら冷酷に。本人に尋ねれば確実に否定するだろうが、全ては燐香のためなのは間違いないだろう。誰にも言える事ではないが、そう思う。

 

「ただし、貴方が唯一の対処法として挙げた手段。私は強く反対するわ」

 

 パチュリーは、無表情で言い切った。

 

「それは何故?」

「上手くいくとは到底思えないから。絵の具と一緒よ。混ざり合ったものを元に戻すことはできない。不可能よ」

「最悪の状況を防ぐ為にはそれしかない」

「仮に上手くいったとして。……それは果たして、風見燐香と呼べるのかしら。私には疑問ね」

「構成する要素さえ残っていれば、必ず戻せる。時間は掛かっても、私が戻してみせる。霧散さえ防げばなんとでもなる」

「失敗した時、貴方は精神に深刻な傷を負うことになる。友人として忠告するわ、アリス。止めておきなさい」

 

 パチュリーがまるで子供に言い聞かすように、言葉を投げかけてくる。アリスは首を横に振る。パチュリーの忠告は正しいのだろう。だが、受け入れられない。

 

「悪いけど、それはできないわ。でも、貴方の気遣いには感謝している」

「アリス。あるがままに受け入れるというのも一つの選択肢よ。妖怪だっていずれは死ぬ。時間に多少の差はあるでしょうけど」

「まだ生まれてから10年よ? 妖怪として死ぬには早すぎる。私には認められない」

「つまり、貴方の我が儘なのかしら?」

「なんと受け取ってもらっても構わないわ。状況が悪化するようならば、私は絶対にやる」

 

 アリスが言い切ると、パチュリーは穏やかな笑みを浮かべた。

 

「そう。なら私も協力してあげましょう。色々と準備も必要でしょうし」

「……どうして協力してくれるの? 貴方は反対と言い切ったのに」

「何もおかしいことはないわ。だって、困っている友達を助けるのは当たり前でしょう。ふふ、このセリフ、一度言ってみたかったのよね。なるほど、中々悪くない」

「…………」

「ああ、お礼の言葉はいつでも受け付けるからご遠慮なく」

「……ありがとう」

「どういたしまして」

 

 と、燐香が悲鳴を上げて机に突っ伏すのが見えた。喜ぶフランと小悪魔。また一人負けしたようだった。アリスとパチュリーはそれを見て苦笑するのだった。

 

 

 

 

 

 

 家に戻り、軽く弾幕の練習を行った後、アリスは燐香にパンケーキを焼いてあげた。彼女はなんでも喜ぶが、特にこれが好物のようだ。人形たちを付き添わせ、楽しいおやつの光景を作り出す。彼女の白の部分を強化するために。

 ルーミアの言葉を思い浮かべる。白と黒、燐香はこの二つから成り立っている。だが、荒れ狂う黒に対して、白はあまりにも小さすぎる。いつ飲み込まれてもおかしくない。だからアリスは不安になる。それが感じ取れるようになってからは尚更。今の状態を維持出来ている事がまるで奇跡のように思える。だからこそ安定させ、鎖を増やし、白を強化する。現状取り得る手段としては、それが最善なのだ。

 

「――ちっ」

 

 アリスは舌打ちして、天井を睨みつける。外を警戒させている人形の視覚に反応した。招かれざる白黒の客だ。

 

「燐香。ちょっと森に必要な材料を取りに行って来るわ」

「あ、なら私も」

「直ぐに戻るから、待ってて。それに貴方、まだ食べてる途中じゃない」

「あ、そうでした」

「上海は置いていくから、何かあったら呼びなさい」

「はい!」

 

 元気な返事に笑った後、アリスは外に出て家に聴覚視覚阻害魔法を掛ける。中からは何も異常が起こっていないように思わせるため。燐香は知らなくて良いことだ。

 勢いよく飛び上がり、人形達と相対している白黒魔法使い――魔理沙に話しかける。

 

「それで、何の用?」

「遊びに来たんだ。良い天気だしな」

「今は忙しいから帰ってちょうだい」

「お前に用はないさ。私は燐香と遊ぶために来たんだ。ちょっと森に連れ出してやろうと思ってさ。探検ってやつだ。お前に迷惑はかけないよ」

 

 魔理沙が友好的に笑う。だが、アリスは首を横に振る。

 

「生憎、今日は駄目よ。大人しく帰りなさい」

「明日ならいいのか?」

「明日も駄目よ」

「じゃあ、いつなら良いんだ?」

「さぁ。その時が来たら連絡するから帰りなさい」

 

 アリスが言い放つと、魔理沙の顔が引き攣る。

 

「おい。流石に横暴すぎるだろ。私がアイツと遊んだって別にいいだろうが。何が気に喰わないんだ」

「前も言ったけど、貴方には教える必要がない」

「ったく、親馬鹿も度を過ぎると毒にしかならないぜ? だからさ、何か事情があるなら聞いてやるから話してくれよ。私だって魔法使いなんだしな。きっと手伝えるぜ」

 

 魔理沙が協力を申し出て来る。これを受け入れたらどうなるか。メリットとデメリットを考える。使える物は全て使いたいところだが……。

 

「…………」

「…………」

 

 ――アリスは目を瞑り暫し考えた後、首を横に振る。

 

「やっぱり断るわ。貴方の実力は一応認めている。だけど、貴方の言動はあまりにも軽すぎる。不安要素は一つでも排除しておきたい。とても信用できないし」

「失礼な奴だな!」

「事実でしょう。それなら聞くけど、貴方の何を信用しろというの」

「この前の鬼との対決は聞いてるだろ。私は一緒に戦った仲間だぜ。いわば戦友だな!」

 

 伊吹萃香との戦いのことか。あれも余計なできごとの一つ。燐香の髪が黒に変化している写真が一枚だけあった。憎悪が強くなってしまった結果でもある。

 やはり人間との接触は極力控えさせたい。今後は、紅魔館、アリスの家、太陽の畑のみで行動させるべきだ。風見幽香の方針は正しい。

 

「大事な仲間だと思うなら帰りなさい。それが最善の行動よ」

「へへ、嫌だね。私は私の思う通りに行動するだけだ。どうしてもって言うなら、押し通るまでさ!」

「……そう、良く分かったわ」

 

 アリスは魔道書を出現させる。周囲に待機させていた人形を全て集結。魔理沙の周りを完全に取り囲む。

 

「お、おい! ちょ、ちょっと待て。なんだよその魔力は!」

「既に勝負は始まっていたのよ。相手に気付かせないのも技術の一つ。第一、貴方が聞き分けるはずもないのは分かっていたもの。……まずは一週間からね」

「なにがだ?」

「貴方の治療期間よ」

 

 アリスは手を振り下ろすと、一斉に攻撃を仕掛けた。戦闘開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘を終えたアリスは、家の中へと戻る。突撃型の弾幕を受けたため、アリスの手はダメージを受けている。人形を数体自爆させたので、後で増強しなければならない。

 本気とまではいかないが、かなりの力を出したのに被害は予測を上回った。人間は寿命が短い分、成長力に長けている。負けるつもりは欠片もないが、魔理沙を侮るのは危険だ。あれは、今後もしつこく何度もやってくるだろう。先が本当に思いやられる。自分だけで手におえなくなってきたら、妖夢だけではなくルーミアとフランドールの力を借りるのも悪くないかもしれない。彼女達は、信用できる。

 

「……寝ちゃったのね。ちょっと静かにさせすぎたかしら」

 

 パンケーキを食べ終えた燐香は、ソファーに寄りかかって眠っていた。上海人形を抱きしめて。アリスは魔道書を机の上に置くと、毛布を用意してかけてやる。

 

「……片付けは、後でいいか。私も少し、疲れた」

 

 猛烈な睡魔が襲ってくる。睡眠は取る必要がないはずなのに、妙なことだ。久々に大量の人形を操ったせいかもしれない。もしくは、知らず知らずの内に気が昂ぶっていた反動か。

 アリスも燐香の隣に座ると、そのまま目を瞑る事にした。

 

 

 

 

 

 

 ――どれくらいの時間が経っただろうか。重たい瞼を開け、アリスは周囲の様子を観察する。明らかにおかしかった。自分の家ではないことが一目で分かる。一面に咲き誇るのは向日葵の花。その中にポツンと混ざっている赤い彼岸花。

 

(夢か。それにしては、随分はっきりしているわね)

 

 

 と、楽しげな声が聞こえてきたので、そちらへと目を向ける。妖精と無邪気に遊んでいるのは燐香か。今よりももっと幼い。それを優しげな視線で見守るのは風見幽香。今では考えにくい光景だ。流石は夢である。

 と、妖精と追いかけっこをしていた燐香が、転んでしまった。思わず近寄ろうとしたが、それより前に幽香が駆け寄っていた。心配そうに助け起こすと、燐香は幽香に抱きついた。そして、泥だらけの顔で明るく笑っている。幽香が噴出すと、妖精たちも大笑い。幸せそうな光景だった。

 

(……これは、私の願望? こうあってほしいという? よく分からない)

 

 

 ノイズが混ざり、場面が飛ぶ。今度は風見幽香の家の中か。ベッドで寝ているのは燐香。だが、その目は開かれたまま。焦点が合わない目で、何かをぶつぶつと呟いている。これは、呪詛だろうか。よく聞き取れない。

 それを悲痛な表情で見守っている風見幽香の姿。こんな顔はみたことがない。やはり夢か。どれだけの時間が流れたか。太陽の光が消えると同時に、燐香の身体から黒い靄が発生し始めた。輪郭が消え始める。

 幽香は慌てて妖力を燐香の身体に注ぎいれる。輪郭は再び形を成し始めたが、靄は止まる事がない。

 穴の開いた風船に、ひたすら息を送り続けているような。そんな光景だった。

 やがて燐香だったものは霧散し、そこには靄を纏った彼岸花だけが残された。幽香は疲れた表情でフラフラと立ち上がると、彼岸花を持って部屋を出て行った。

 

(どういうこと? これは、一体何なの?)

 

 アリスには理解できなかった。だが、何か大事なことのような気がする。だから、目に焼き付ける。夢から覚めても覚えていられるように。

 すると、再び場面は最初へ戻る。同じことが何回、何十回と繰り返される。時間は穏やかに、そして激しく流れていく。徐々に変化していくのは幽香の表情だ。最早幽香の顔には笑みはなく、回数を重ねるごとに絶望だけが増している。

 

 

 そしてノイズ。またベッドで寝ている場面だ。燐香の身体からは少しずつ靄が抜け出ていく。だが、幽香は今度は何もしようとはしない。諦めてしまったのだろうか。その背中には疲労感が強く滲み出ている。

 更にそのまま時間が流れた後、背後から指を鳴らす音が聞こえた。同時に、燐香の身体から放出されていた靄が停止する。時間が止まったかのように。

 アリス、そして幽香が振り返ると、三日月を象った杖を持ち、青い装束を身につけた悪霊がいた。悪霊と判断したのは、邪気が凄まじい事、そして足がないからだ。

 

『とりあえず止めてやったが。……ったく、なんて顔してるんだい。情けないねぇ』

『……来てくれるとは思っていなかった。正直驚いたわ』

『それはこっちのセリフだ。まさかお前がこの私に頼みごととはねぇ。……まぁいい、見せてみな』

 

 悪霊は目を青白く輝かせて、幼き燐香を凝視する。暫くすると、小さく溜息を吐く。

 

『一体何度繰り返したんだ? ――いや、何年間、こんなことをしているんだ?』

『もう正確には覚えていない。でも、始まりは、多分あの時だった』

『そうかい。こいつはお前の妖力で維持できているようなもんだ。どれだけ注ぎこんだのやら。妖力が水代わりとは、まるで本物の彼岸花みたいじゃないか』

『……そんなことを聞く為に呼んだんじゃないのよ。それより、もう時間がない』

『そう慌てなさんな。物事には順序ってものがある』

 

 悪霊は幽香と暫し会話を行なった後、その手に消え入りそうな白い光を出現させる。悪霊が何かを話し始めるが、声が小さくなり聞き取れなくなる。だが、契約書のようなものを出現させると、幽香におしつける。

 試すような表情の悪霊に、幽香が深く頷くと、その光は燐香の身体へと入っていった。

 

 

『先に言っておくが、これはその場しのぎに過ぎない。どれだけ安定させられるかは、お前の頑張り次第だ』

『ちょっと待って。今のは、まさか魂?』

『ふん、そんな高尚なものじゃない。維持するための性質をコレに与えただけさ。魔法実験に使おうと思ってた奴だが、まぁいいさ』

『……変質させたというの? 約束が違うわ』

 

 殺気を露わにする幽香。悪霊は苦笑しながら手を上げて制止する。

 

『おっと、文句は言いなさんな。いいかい、コレは水や空気みたいなモノなんだ。もとより、正体なんてものはないんだよ』

『違う。この子は生きていた。言葉は話せなくても、確かに生きていた。長い時間を私たちは――』

『違わないね。コレは朽ち果てた人間共の無念や怨念の残滓だ。長い年月を経て、人知れず霧散するのが定め。そうあるべきだったモノ。だがお前はコレに呼びかけてしまった。何の偶然が重なったのかは知らないが、コレは形を成してしまったのさ』

『……違う。感情を持っていた。例え魂がなかったとしても、間違いなく存在していたわ』

『それはそうだろう。お前がそう望んだからだ。コレは、お前の願望をそのまま映し出していただけのこと。お前は認めたくないだろうがね』

『違う、私は何も望んではいない。全て気紛れでやっていたことだもの』

『なら見殺しにすれば良い。それで全てが解決だ。そうだろう?』

『…………』

 

 沈黙する幽香。

 

『答えに窮すると押し黙る癖、とっとと直しな。みっともない』

『もう一度言うけれど。全て、ただの気紛れよ。それ以外の何物でもないわ』

『そうかいそうかい。ま、なんでもいいさ。お前の感傷なんぞに興味はないんでね』

 

 

 虚ろな瞳で呟く幽香。悪霊はそれを聞き流すと、指を鳴らして魔法で契約書を奪い取る。

 

『さて、約束通り私はコレを助けてやった。水に絵は描けないが、凍らせれば話は別だ。お前は溶けないように努力しなければならない。最初に説明したが、やるべきことは分かってるな?』

『何度も言われるまでもない。何も、問題ないわ』

 

 幽香がはっきりと言い切る。

 

『そうか。まぁ、どう色づくかは、お前さん次第だ。……だが、いつまで耐え切れるかな? ククッ、お前、本当に耐え切れると思っているのか? なぁ?』

 

 悪霊は心底愉しそうに口元を歪める。幽香の顔からは感情が完全に消えている。

 

『余計な御託は沢山よ。それで、私に望む代償は何?』

『ふふ。それはこれから沢山頂けるだろうさ。釣りが出るぐらいに、いや抱えきれないくらいにねぇ。私はそれを酒の肴にするとしよう。精々足掻いてもがいて、最期まで楽しませておくれ。――だから、こんな無粋なモノはもういらないのさ』

 

 悪霊は手に炎を纏わせ、契約書を焼き尽くす。灰が幼き燐香に降りかかる。幽香はそれを静かに払いのける。

 

『…………』

『末永く、お幸せに』

 

 悪霊が笑う。そして、悪霊はこちらを見た。――いや、アリスを見ているのだ。

 

(え?)

 

 アリスと悪霊の目が合う。悪霊は再び笑った。その悪戯っぽい笑みは、つい最近、見た記憶がある表情だった。

 

 ――アリスはそこで目を覚ました。




一気に最終章突入!
というわけではないです。あくまで断章です。

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