今日も今日とて模擬戦中。私を追いかける大量の魔力弾に対し、私は出来るだけ細い道を通りながら逃げる。
王様は高火力広範囲の魔法を得意とする分、細かな精密誘導はあまり得意ではない。だからこうやって細い道をウネウネと逃げ回れば、自然に壁とかにぶつかって消えてくれる。ふふふ、もう一年近く経つんだ。王様よ、私がいつまでもやられてばかりだと思わない事だね。
そう思っていると、目の前に黒い球体が現れる。やば、座標指定系魔法だ。そう考えた瞬間、私は即座に方向転換する。これも王様の魔法の特徴だけど、規模が大きい分発動までにタイムラグがあるから、素早く判断して逃げれば何とかなる。問題は広域殲滅魔法系……王様が好んで使うレギオン・オブ・ドゥームブリンガーは、詠唱を必要とするけど、緩やかに対象をホーミングするので避けずらい。
「我が敵射抜く剣の兵よ。紫天の光りの元、軍勢となり、この空を埋め尽くさん」
「ちぃっ!?」
考えてた矢先にきやがった……この詠唱は、間違い無くレギオン・オブ・ドゥームブリンガー。
「剣兵召喚、乱数展開」
詠唱も後一文で完成する。けど、大丈夫……私だって伊達に今まで喰らってきたわけじゃない。この魔法は展開時に対象をロックオンし、射出後に機動の調整のみを行う。つまり滅茶苦茶な機動で飛んでくる訳では無く、あくまで直線状にターゲットを狙って迫ってくる。数もそこまで多い訳じゃないから。しっかりと引きつけて……
「重ねて汝等の王が命ずる。更なる軍勢を呼べ、刃を連ねて射抜け……剣兵追加、乱数増量」
「おい、こら」
何勝手に詠唱追加してんの……それ数めっちゃ増える奴じゃないですか!?
「殲滅せよ! レギオン・オブ・ドゥームブリンガー・フィアニッヒトゥング!」
それは文字通り天を埋め尽くすほどの攻撃。豪雨の様に降り注ぐ剣の雨に飲み込まれ、巻き上げられる煙と共に私の意識はとける様に消える……訳が無い!
この魔法はもう何度も見てるし、対処法が無い訳じゃない。この魔法は王様の周囲に大量の剣を生みだして射出し、剣は着弾と同時に爆発する広域殲滅型の魔法。この魔法の特性は対象者を緩やかにホーミングする事だが、全ての剣が同時に着弾する訳ではない。王様の周囲に円状に展開する性質上、着弾には時間差がある。
私はその時間差を利用し、最初の剣を避けると同時にプロテクションを張り爆風で加速。前転の様な形で高速移動する。するとどうだろう。剣の速度が一定であり、私をホーミングする性質上、私が過ぎ去った場所に次々着弾して爆発。私の転がる速度は上がり剣も着弾地点をホーミング性能によって修正。そこで私は足がめっちゃ痛かったけど、さっき転がった方向に跳躍。高度なホーミング性能は無い以上、そうなると残る剣は私が方向転換したことには気付かす着弾する。そして私は巻き起こされた煙に潜んで、こっそりとチャンスをうかがっていた。
「ふはは、どうやら終わりの様だな」
王様の笑い声が聞こえる。それもそうだろう、昨日まではこの辺りで私がダウンすることが多かった……が、今回は違う。ゆっくりと降りる影を視界に捕らえ、その足が地面に着いた瞬間全力で王様に向かう。
「なにっ!?」
よっし、完全に虚を突いた! 王様は驚きで微かに動きが固まり、私にとって必殺のタイミングとなった。しかし魔力弾を用意する暇はない。煙の中から撃っても王様には避けられただろうし、魔力の流れで気付かれる恐れもあった。だから魔力弾は撃てない。そうなれば……
「もらったあぁぁ!」
拳に魔力を集中させ、動きの止まっている王様に打ち込む。
「はあぁぁぁ!!」
渾身の……必殺の意思を込めて振るわれた私の拳は、王様のバリアジャケットに当り……あっさりと防がれる。
「……」
「……」
私弱っ!? こんだけ虚を突いてこの程度なの!? 何か、攻撃された王様の方が気まずそうな表情浮かべてるし!
拳を突き出したままで固まる私と、困った様な表情の王様。少し沈黙が流れ、王様は数歩下がり、私の手前に魔力弾を撃ち込み煙を巻き上げる。
「ふはは、どうやら終わりの様だな!」
仕切り直してきた!? しかもさっきと同じ様にゆっくり下りて、その上わざと視線を外して隙だらけになってる。え? なにこれ、もう一回さっきのやれってこと?
とりあえず煙の中から飛び出して、さっきと同じ様にへっぽこのパンチを放つ。
「ぐぅっ!?」
そして私の拳が当った王様は、わざとらしい声を上げ、大袈裟に5メートル位吹っ飛んで地面を転がる。そして、苦悶の表情を浮かべながら起き上る。
「……くっ、まさか煙を隠れ蓑にするとは……やるではないか。チビひよこ……」
「心が痛いわ!!」
なに、さっきは喰らってやれなくて悪かったみたいに、そんなあからさまにダメージ貰いましたみたいな顔するの!? その優しさが、心に突き刺さる様に痛いよ。むしろ、傷口えぐられてる気分だよ。
訓練のデータを整理すると言うユーリに断りを入れて、王様と一緒に休憩室で紅茶を飲む。
「さて、チビひよこ。記念すべき1000連敗目だが、何か思う所はあるか?」
「精々、今の内に仮初の勝利に酔いしれて戦闘記録を付けていればいいさ……その内煌々と輝く黒星を見て、咽び泣く日が来るからね」
「ほう、貴様が我に勝つ日が来ると? 面白い。ならば、貴様が我に一度でも土を付けたら、貴様の願いを一つ聞いてやろう」
「うん? 今、何でもするって……」
「言っておらん」
「ちっ」
そんな風に王様と他愛の無い雑談をしていると、扉が開きユーリが入ってくる。長い金髪を後ろでポニーテールにしている姿は殺人的に可愛らしい。私の中でははやてがちょっと前に連れてきたくっそ可愛い大天使リインと同じく、大天使のランクに入っている。ちなみに王様はその二つ下のツンデレ猫。頂点は神で、フェイトだ。うちの妹が一番可愛い!
「お疲れ様です。アリシアさん。大分『その戦い方』に慣れてきたんじゃないですか?」
「うん。最近は割と、上手く動けてるかな?」
「ええ、最近は一戦30分くらい戦えてますし、ディアーチェも戦いにくいんでは無いですか?」
「ふん。まぁ、動きは悪くなってはいないな……」
余談ではあるけど、王様の家族は目の前のユーリを除いてまだ二人、シュテルとレヴィってのが居るんだけど、私が訓練をする時に付き合ってくれるのは基本的に王様とユーリだ。理由は単純で、王様とユーリ、シュテルとレヴィが別部隊に所属していると言うだけだ。王様のうちでご飯食べる時は一緒に食べるし、休暇の時は訓練に付き合ってくれたりする。
私が見てきた中、その四人の内で一番強いのはシュテルだと思う。勿論戦局とかで変わるだろうけど、個人の戦闘力と言う意味では私が知る魔導師の中でもトップクラス。フェイトと同格と言って良い天才魔導師。だけど四人の中で一番立場が上なのは王様で、シュテルは王様に忠誠を誓っている感じだ。王様は文字通り王様って感じで、シュテルはそれを守る騎士って表現がピッタリだ。
レヴィ……レヴィ・ラッセルはフェイトにそっくりな戦い方をする子で、顔も私達によく似てる。ただ、性格的には私の方が似ていて、何と言うか私とフェイトを合体させたような印象を受けた。ただ、頭はあんまりよくないと言うか……得意不得意がハッキリしていて、王様からは割とアホの子扱いだった。
っと、そんな事を考えていると、ユーリが手に持っていた何枚かの紙を机に置く。
「アリシアさんのデバイスの、簡単な設計図が完成しました」
「おぉ! まってまし……あれ? どれが?」
以前作ってくれると言ってから8ヶ月ほど経っての待ち望んだ報告。私が魔導師として初心者でへっぽこだった事もあり、ユーリは私の訓練データをいっぱい集めてデバイスの設計を進めてくれていた。ホントユーリには頭が上がらない……王様? 可愛いよね。
しかし喜びもつかの間、ユーリが机に置いた紙にはいくつものデバイスの設計図があり、どれが私のデバイス候補なのか分からなかった。
「全部ですよ」
「ファッ!?」
「……ほう、マルチデバイスとはまた珍しいものを……それで、時間がかかっていたのだな」
広げられた複数のデバイス設計図が、全て私のデバイスだとの言葉に首を傾げるが、王様は何故か納得した様な表情で頷く。
「マルチデバイス?」
「……知らぬのも無理はない。ともすれば、ユニゾンデバイスよりも使い手は少ない」
「ふむふむ」
「簡単に説明するなら、マルチデバイスとはストレージデバイスの集合体だ。通常デバイスの様に形態変化……俗に言うモードチェンジでは無く、デバイスコア自体を複数用意して束ね、形態では無くデバイスその物を戦局に合わせて切り替える万能デバイスと言える」
私が知っているデバイスは一番主流のストレージデバイス。最近研究が進んでる近代ベルカ式に適したアームドデバイス。フェイトやなのは、エース級魔導師が持つ高度AI搭載のインテリジェントデバイス。そして大天使リインこと、リインフォース・ツヴァイの様に人間と変わらない感情を持つユニゾンデバイス。その四種類だ。
王様の説明を要約すると、マルチデバイスってのはストレージデバイスの派系型って感じらしい。デバイスコアがいっぱいあるのが特徴らしく、パッと思い浮かんだのは数珠の様な形だったけど、そのイメージで間違いないらしい。その特徴は非常に万能な事。そりゃそうだ。何本もデバイスを持って戦う様なものなんだから、普通のデバイスより遥かに万能なのは頷ける。しかし、そんな凄そうなデバイスなのに使い手が少ないのはどうしてだろう?
「でもさ、話聞く限りじゃ凄そうなのに……何で珍しいの?」
「理由は概ね三つ……まず一つ目は、その扱いにくさ故。デバイスコア自体が複数ある形式上、高度AIの連携搭載が難しく、AIによる魔法のサポートが受けられんし、複数のデバイスを持って戦闘すると言う行為自体が難しい。そして二つ目に、執務官等の例外はあるが、部隊所属の魔導師と言うのは基本的に小隊で動く。態々そんなデバイスで戦うより、仲間と連携した方が効率的だからな」
「なるほど……三つ目は?」
「……デバイス自体の性能だ。万能デバイス等と言えば聞こえはいいが、極端に言えばストレージデバイスの寄せ集め。しかも組み合わせの難しさから、基本的に搭載できるのは下級ストレージばかり。まぁ、技術的な面はユーリが解決するであろうが……インテリジェントデバイス等と比べ、劣っているのは事実と言える」
成程、言われてみれば確かにそうだ。万能と言えば良い様に聞こえるけど、早い話が器用貧乏なデバイスって事だ。確かにそれなら態々扱い辛いデバイスを使うなら、単騎で色んな事が出来るインテリジェントデバイスを選んで当たり前だ。でも、私はこのデバイスちょっと気に入った。
「へぇ……私とそっくりじゃん」
「……確かに、貴様もレベルは低いが、様々な術式を行使できるな」
「それに、アリシアさんの戦い方なら、このデバイスはきっと力になってくれます」
「ほえ?」
性能低くても上手く使っていこうと思っていた私に、ユーリが含む様に告げて微笑む。
「確かに、通常のマルチデバイスは一つ一つの性能が低いですが……この子は、違います」
「なにか、案があるのか? 技術的には、それぞれに並のストレージを越える性能は搭載できぬ様に思うが……」
「はい。一点の機能に特化させ、その他の機能を排除します」
「ううん?」
「……成程、そう言う事か! 確かに、その方法なら……」
おーい。何二人で納得してんの? 私まだ全然意味が分かってないんだけど……そんな私の心境に気が付いたのか、ユーリはこちらを向いて真剣な目で説明してくれる。
「私がアリシアさんに作るデバイスは、一つのデバイスコアにつき一つの能力しか与えません」
「えっと……」
「例えば、剣の形なら魔力刃生成のみ、銃なら魔力弾生成のみのサポート。魔力刃の遠距離射出や、砲撃魔法等の補助機能は全て捨てます。その代りそれぞれに特化させる。一つのデバイスにつき、一つのことしか出来ない代わり、その性能は通常ストレージを遥かに上回る事が期待できます」
「元々扱い辛いデバイスを更にピーキーにするという訳だ。だが、まぁ……それでもそれを使いこなせば、貴様でも上級魔導師と刃を交えることが可能かもしれん」
元々器用貧乏なデバイスを、更に極端な形に作る。その代り、その一つ一つの性能をぐっと上げる。なにそれ、すっごく面白そう。物凄く扱い辛いらしいけど、そもそも私の性能自体が扱いにくいからね。
「……なんか、光明が見えてきた感じだね。本当にありがとうユーリ」
「お礼は、完成してからで……」
「うん……じゃ、帰るね!」
「貴様は、もう少し空気を読めるようになれ」
ありがたい提案をしてくれたユーリにお礼を言って、そそくさと帰り支度をする。
「いや、実は今日フェイトが試験受けててさ……応援に行きたかったんだけど、関係者以外立ち入り禁止でね」
「……ああ、執務官試験か」
「成程、それは結果が気になりますよね」
そう今日はフェイトの執務官試験の日。本当はもう少し早く変えるつもりだったんだけど、デバイスの話についつい夢中になってしまった。合格だったらお祝いしなくちゃいけないし、不合格だったら慰めないといけないから、速やかに帰宅しなくちゃ。重ねてユーリにお礼の言葉を告げ、早足で部屋を後にする。
早足で家に戻り、リビングに向かう。もうこの時間なら、フェイトは結果を聞いて戻って来ていてもおかしくない。や、本当に早く戻ってくるつもりだったんだけど……ユーリの提案が素晴らしくて、ついつい聞き入ってしまった。玄関には予想通り靴があり、フェイトが帰ってきているみたいだ。
「たっだいま~!」
「……おか……えり……」
「……」
明るくリビングの扉を開けて……一回閉める。なんか、燃え尽きたボクサーみたいなのが、椅子に座って項垂れてたんだけど?
もう一回、今度はゆっくりと扉を開くと、俯いているフェイトが居た。
「ふぇ、フェイト?」
「……何で、あんな問題を……いっぱい勉強したのに……私は駄目な子……」
どうしよう。もう聞かなくても結果分かったよ。そっか、フェイト執務官試験に落ちちゃったんだ。確か、私と会う前に一回落ちてるって聞いたけど、その時は丁度試験の前日になのはが入院したって聞いて、当日は全然集中出来なかったみたいだし、今回だって私に色々教えたり付き合ったりで、勉強の時間が減っちゃったんだろうけど……
フェイトは強い子だけど、若干打たれ弱い所がある。特に失敗とかすると全部自分のせいだって考えるタイプだから、落ち込みようが尋常じゃない。まぁ、それでも何日か経てば気を持ち直すだろうけど……
「フェイト、試験落ちちゃったんだね……筆記かな?」
「……うん……」
「ほ、ほら、難しい試験なんだし、失敗することだってあるよ」
「……」
執務官試験は、管理局内の試験でも最難関だって王様に教えてもらった覚えがある。なんでも、年一回しか実施されてないけど希望者は膨大で、合格率は2%以下……合格者ゼロの年だってある位、物凄く難しい試験だって聞く。
落ち込むフェイトを見ながら、机の上に置かれた問題集……恐らく今回の筆記試験で出たであろう問題を見てみる。流石フェイトと言うべきか、綺麗な字で自己採点してあって間違えた所には赤い印が付いていた。点数は947/1000……1000問もあるの!?
「フェイト、コレって何点以上で合格?」
「……950……」
3点届かなかった訳だ。そ、そりゃキツイ。全然及ばず落ちるよりずっとキツイ。
とりあえずフェイトが間違えた問題の一つを見てみるが……何これ? 問題の答えが分からないと言うか、問題文が何聞いてるか分からないんだけど?
「こ、古代語の翻訳かな?」
「……法律……」
「あ、そう……」
全然元気ないよ。ホントどうしよう……惜しかったって声かける? いや、こんな感じだと逆効果かも……でも、こんなフェイトは見てられないし、まぁ、ちょっとお姉ちゃんが元気出させてあげよう。
そう考えながら椅子に座って項垂れているフェイトに近付き、頭を抱える様に優しく抱きしめる。
「……え?」
「……頑張ったね。フェイト。凄いよ、こんなにいっぱいの問題を解いてさ、殆ど正解しちゃって……私には真似できないよ」
「……お姉ちゃん」
「今回は残念だったよね。落ち込んじゃうよね? でもさ、フェイト。今日間違えちゃった問題は、もう次に同じのが出てきたら間違えないよね?」
「う、うん」
フェイトの頭を撫でながら、優しく、優しく……子守唄の様に告げていく。この子は今まで褒められたりした経験が少ない。だから何かって言うと自分が悪いって考えてしまう。だからこそ、この子には必要なんだ。この子の事を褒めてあげる……落ち込んだ時に背中を押してあげられる存在が居れば、この子はもっともっと強くなれる……それが私だと、嬉しいな。
「だったら大丈夫。フェイトは立ち止まってなんかいない。ちゃんと前に進んでるよ。今回は947点だったかもしれない。でも次は1000点取れるかもしれないよ? フェイトは、駄目な子なんかじゃないよ。私の自慢の妹だから……ね、もう顔を上げて」
「お……姉ちゃん……」
「……甘えて、良いんだよ? 私はフェイトの味方だから……落ち込んでたら慰めてあげる。間違ってたら叱ってあげる。嬉しい事があったら一緒に笑ってあげる……だからほら、また頑張ろう?」
「……うん……お姉ちゃん……お姉ちゃん……」
「うん、私はちゃんとここに居るよ」
フェイトは私にしがみ付く様に手を回し、何度もお姉ちゃんと呼びながら涙を溢す。でもその涙は、決して辛そうなものじゃなく……泣きつく声は、安心した様なものだった。
いっぱい泣いてから、嬉しそうな笑顔を浮かべるフェイトの頭をもう一度撫でてから立ち上がる。
「じゃ、元気になった所でご飯でも食べにいこっか!」
「う、うん!」
明るく頷くフェイトの手を取り、それを引く様に玄関に向かう。
「あ、そうそう。フェイト、私順調に強くなってるよ。今日だって王様に……えと、に、二発攻撃を入れたからね!」
「あの、ディアーチェに? す、凄いよお姉ちゃん! やっぱり、お姉ちゃんは凄い!」
「あ、あはは……」
二発……で良いよね? 確かに、私は二発王様に当てた。そのうち一発が哀れみからくる同情の産物で、ぶっちゃけダメージ無かったとしてもね。お姉ちゃんは、ちょとだけ見栄を張りたいんです。ハードルまた上がった気もするけど……
でもさ、今日は改めて実感したよ。この子を、フェイトの事を支えてあげたいって。
フェイトにとって、守らなきゃいけない相手はいっぱいいたんだと思う。でも縋れる様な、泣きつける相手は少なかったんだと確信している。ちょっとずつ、この自分を責める部分を直してあげられたらいいなぁ……
大丈夫。時間はいっぱいある。もう私とフェイトは『同じ時間』を生きていくことができるんだから……
フェイトのシスコンがマッハ!
そしてアリシアが使うのは、ストレージデバイスを複数組み合わせたマルチデバイスと呼ばれる(オリジナル)デバイスになる予定です。
私が別作で書いたアリシアを知っている方にも、それとはまた違った形になると言っておきます。一部は同じですがね。
そして次回は番外編? ここまでのお話を、フェイト視点で見返すような形になる予定です。
王様の追加詠唱魔法はオリジナルです。