「じゃあ……な、ハル……遠くに行っても元気でな」
「ウン、ナギ。私ガ遠クニ行ッテモ、忘レナイデネ」
「当たり前だろ。忘れるわけないよ」
「ウン、アリガト……ジャアネ」
「じゃあな………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…………ハル」
ぐっと体を起こす。時刻は……5時半。まあまあかな……
「よっ……と、支度して学校行くか」
もそもそとベットから出て制服に着替える
そのまま階段を降りてリビングに出る。トントントンと音を立てて階段を降りると、ふと味噌汁の良い匂いが漂ってきた
「おはよ、鷹ねえ」
「あ、おはよ、凪」
台所に、中学生の制服に赤と黒のチェック柄のエプロンをした、焦げ茶の髪をボブヘアーにした少女がこっちを見た
鷹姉………本名を古鷹 小鳥という。俺が物心つく前から隣の家の幼馴染で、鷹姉と呼んで慕ってる人だ。最近は両親が各地に出張で、家にいる時が半年に1〜2回なので、鷹姉に俺の世話や家の掃除などを頼んでいるのだ
「お味噌汁がもうちょっとで出来るから、座ってて」
「りょーかい」
椅子に座ってテレビを付ける。内容は、北海道のマスコットキャラとも言える小っちゃい戦艦レ級に「レナ」という名前が決まったこと。ほっぽちゃんと言う、幼稚園生と間違えてしまう程小さな姫級の深海棲艦が、マジで幼稚園に入園しちまった事。港湾棲姫……通称港さんへの人間からの求婚が通算約500件を超えた事、深海棲艦の「マジカル❤︎ちふリン♪」番組視聴率が、過去最大の99.9%を記録した。もうこの番組を見てねえ深海棲艦はいねえと話題になってるらしい
「こんなもんか……鷹姉ー急がないとヲガタ占い始まるぞー」
「え、ええ!!い、急がなきゃ……」
あたふたと動き回る音が聞こえる。これは…あれだな、必ずドジる
「ひゃぁ!!!」
直後に聞こえた可愛らしい悲鳴に、小さく笑って椅子から立つ
「鷹姉、昔から急ぐとロクなこと無いんだからさ……怪我は?」
「う、うぅぅ……指の先火傷しちゃった……くすん」
床にペタンとお尻をつけて、両目を涙で潤わせている鷹姉の人差し指をぺろっと舐めた後パクッと口に含む
「…………////」
「ほら、もう大丈夫だろ?今CMだから急がなくても良かったわ」
「むー………」
グイッと引っ張る。零した味噌汁のお椀を片付けて、味噌汁を新しく注ぎ、ご飯と唐揚げやサラダの乗ったトレイを持っていく
「ほら、ちょうど始まった、牛乳ちょうだい」
「あ、うん。はい」
トプトプと牛乳をコップに注ぐ。この牛乳はとある後輩が経営してる店で毎朝購入している牛乳だ
ピンポーン
「噂をすれば影ってな、鷹姉俺の出たら何位だったか宜しく」
「うん、速吸ちゃんに宜しくね」
うーい、と言って玄関に向かう。扉を開けると、ジャージにミニスカの外ハネショートヘアの少女が立っていた
「おはよう速吸」
「はい!おはようございます!先輩。これ、今日の牛乳です」
と言って差し出された牛乳缶を受け取る
「先輩の好きなコーヒー牛乳と灯油は放課後持っていきますね!ではまた学校で!」
「おー、また後で」
それだけ言うと、速吸は白い自転車にまたがって、キコキコと走り去っていった
「鷹姉、今日の牛乳缶は冷蔵庫入れとくよー」
「あー、うん」
「何位だった?」
リビングに入って椅子に座る
「4位、リア獣死すべし。だって」
「ヲガタの野郎………ラッキーパーソンは?」
「ポッキーを献上せよorzだって」
「ヲガタの野郎………」
今度見かけたらとっちめるか
「それじゃあそろそろ学校行こうか鷹姉」
「うん、そうだね」
時刻は7時、この時間に行けば30分には着くだろう
「鷹姉弁当はー?」
「台所に置いてあるよ、ハンバーグ入れてたから。好きでしょ?」
「あざーす」
そう言ってお椀などを水洗いして弁当を手に取る
「鷹姉ー、そろそろ出るよー」
「あーん、もう少し待ってー!」
玄関で声をかけてから靴を履き始める。トントンとつま先を地面に当てて、ホゥと息を吐く
「お待たせっ、行こう」
首を後ろに回すと、黄色のセーターを着た鷹姉が靴を履いて立ち上がった
「ん、行こっか」
バックの中から青黒のチェック柄のマフラーを首に巻く。これは中学一年の時に鷹姉が作ってくれた物だ
「んふふ」
「なに?行くよ」
「うんっ」
それを見て嬉しそうに微笑む鷹姉に一言言って家を出る
「おはよう凪、朝から随分とイチャついてるわね」
外に出て1番最初に会うのは、緑色の髪を後ろで纏め、これまた緑のリボンで纏めた少女と言っていいほど若々しい……戸籍上鷹姉の保護者となる夕張さんだ
「おはよ、メロンちゃん」
軽く手を上げて挨拶する
「メロン言うな、ドラム缶投げるわよ」
にっこり笑いながら片手でドラム缶を持ち上げるメロンちゃん
「日頃から永遠の18歳を名乗るひ弱な美少女がドラム缶を投げるかよ」
「あら、私だって昔はドラム艦って呼ばれたものよ?」
「でもメロンちゃんって足遅いよね。前の市民運動会堂々の最下位だったもんね」
「うぐ………」
年に一度ある運動会の100m走では、小学生やほっぽちゃんと一緒に走っておいてぶっちぎりの最下位を得たメロンちゃんだ
「あと深夜過ぎてもアニメ見るのは良くないよ。ぶっちゃけニート生活と同じもんだよね」
「な、なんでそれをしってるのよ」
「いや……アニメやゲーム音量でかいから……流石に何度か起こされたこともあるし、めっちゃ明るくて普通に徹夜してるの分かるわ」
「お母さん?」
「こ、小鳥?あの……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。と鷹姉の背後から声が聞こえたような気がする。そう!鷹姉はいつもは優しく穏やかだが、一度こうなってしまうと
「もう、ダメですよ?深夜まで起きてちゃ」
「ごめーん、今度から気をつけるわー、今度から」
怒るはずもない。こういうところが、うちの学校では大天使フルタカエルなどと呼ばれている
「それじゃあ行ってきます。お母さん」
「行ってらっしゃい、凪、小鳥」
「行ってくるわー」
メロンちゃんに手を振って鷹姉と歩き出す。その後海沿いの道を通って学校へ行く
「……何か見える?」
「別に?深海棲艦とサーファーが遊んでる所ぐらい、かな」
白い息を吐くほど寒いのだが、サーファーの中にはそれすら気にしない奴がいるようで、朝っぱらから深海棲艦と泳いでる奴もいる
「そっか……」
「ん……」
それからは2人とも無言で歩く。学校に着くと、鷹姉は用があるからと先に校舎に入る。鷹姉は俺たちが通う学校の生徒会長を務めていて、それの仕事があるんだろう。俺は野球部に向かった
「あ!来ました!先輩、おはようございます!」
マウンドから、ぴゅーーーっとこちらへ走ってくる少女を見て苦笑する
「おはよ、速吸」
「はい、おはようございます。先輩」
白いジャージにミニスカ、朝それで寒くないのか……
「今日は一段と寒いですね……くしゅん」
やはり寒かったのか、くしゃみと同時に体をプルプルと震わせる
「ったく、世話のかかる後輩だなぁ。ほら」
首に巻いてたマフラーを速吸に巻いてやる
「あ、ありがとうございます///」
「ん、他の奴らは?」
「いえ、先輩が1番です」
「了解。速吸は少し待っててくれよ」
それだけ言って、トンボを持ってグラウンドへ向かう。グラウンド整備をするためだ
「はい!先輩…………すんすん……はわぁ……先輩の良い匂いが一杯……先輩分を補給しなくちゃ……ふわぁ…」
「んー?なんか言ったかー?」
「いえ!何でもないです!くんくんくん!」
?それなら良いんだが………
その後、グラウンド整備を終えて、速吸と一緒に校舎へ入る。速吸は一年の為一年の教室へ、俺は二階へ上がって自分の教室へ入る
朝、隣の家の幼馴染の姉とご飯を食べて登校し、部活の後輩、マネージャーと校舎に入ってから教室で別れる。その後は天然だが、時折ヤンとデレを見せるクラスメートと話をしたり授業を受け、放課後部活動に精を出して後輩マネージャーと一緒に帰る。そんな普通の生活を過ごしていた俺は……昔交わした約束を果たしたあの娘へと、こう告げる
「お帰り、ハル」
「ただイマ。ナギ」
ーーと
はいどうも。第一話どうでしたか?今回出てきたのは……ま、まあ名前出してた古鷹と速吸は1発で分かったでしょうがあ……メロンちゃんとヤンとデレの天然クラスメートとハルはわかる人いないでしゃう!!
ワカッタヒトハドミナントーーー!!!
次話の前書きから登場人物の設定を一話1人ずつ載せていこうと思います。ぶっちゃけ長いので飛ばすこともお考えください。ではでは今回はここら辺で(・ω・)ノ