冒険者?いいえ農民です。-凍結-   作:上やくそう

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BBの方が描写に困難してるのでこっちを投稿。
ふと思いついたネタ。




百姓小童の日記、其の壱

○月○日 晴れ

 

 

 

ふと思いついたので、今日から日記でも書いてみようと思う。

 

筆を持てるようになってから早いものでもう四年程。今はもう八歳程になった。

 

俺の前世は日本人だ。あまり思い出せないけど。

けれどまあ、思い出さない方が幸せなのだろうと思っている。

知識とか、意味記憶的なのはバッチリと覚えていたのは幸か不幸か分からないが、若返って人生をやり直せるとポジティブに考える事にした。

 

現在は気がついたら赤子になって森にぽつんと一人あぅあぅ言っていた俺を拾ってくれたおじさんと、他のおじさん達とおチビ達と一緒に山中の神社に住んでいる。

 

宮司さんとかでもないのに神社に住むなんて良いのだろうか、とも思ったけどおじさん達は神様だから寧ろ此処が住処らしい。

 

 

へぇ〜。

 

......え?

 

 

冗談だろと思ったけれど、言われてみれば出会った時から全く歳取ってないしなんか凄い神々しいオーラを常に纏っているもんだから、そんなもんかと割とあっさり納得。

 

我ながら単純だと思うが、そもそも命の恩人を疑いたくはないものである。

 

 

俺を拾ってくれた神様のおじさんの名前はタケミカヅチ。

 

 

おじさんと言ってはいるが、かなりイケメンだ。

甘いマスクではなくワイルド系のイケメンという感じだろうか。

 

羨ましいとは思うけど爆発しろォ!って程ではない。むしろ兄貴分が男前で誇らしく思う。

 

そんなこんなで、普段は畑を耕したり山菜を採ったりして生活している。

かなり質素だが、景色も良いし空気が美味しいし、俺はこの生活を凄く気に入っているのだ。

 

多分此処は日本だろうが、元現代人の俺としては電子機器が無いのはやはり不便さを感じる事もある。

しかしタケミカヅチさんやおチビ達と一緒に作業したり、蹴鞠や鬼ごっこなど自然の中で遊ぶのも中々に楽しいのだ。

 

 

うーむ、思考がちょっと老人っぽいな。俺こんな老成してたかな。

 

まあ今が楽しいからそれでも良いや。

俺は期せずして森ガールならぬ森ボーイになったのである。ふはは。

 

 

ところで、そんな俺の名前だが。

 

 

 

 

 

 

 

『佐々木小次郎』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NOUMINじゃないですかヤダー。

 

 

 

 

 

 

¥月<日 晴れ

 

 

 

佐々木小次郎は剣豪である。

 

そして俺の名前も佐々木小次郎である。

ならばやることは決まったも同然だ。

 

 

修行あるのみ。

 

 

正直、おチビどもと遊んだり農作業するのも楽しいっちゃ楽しい。

それこそお昼寝挟んで一日中ずっとそうしてられる位には。

 

だが今は修行する。

 

俺は希代の剣豪と同じ名前を何の因果か頂戴しているのだ。

男ならば燃えるなと言う方が無理な話だろう。

 

それに、俺が強くなって獣を狩れる様にでもなれば、食卓にお肉が増えるかもしれない。これは大きい。

 

 

閑話休題。

 

 

さて、今日から剣の修行に励む訳だが。

 

 

『佐々木小次郎』と言って俺が真っ先に思い浮かべるのは某型月のNOUMINだ。

 

どんな攻撃もいなし、返す刀で瞬時に首を落とす。

 

 

そしてなによりあのチート魔剣。

 

 

物理法則なんざクソ食らえと言わんばかりに、人間の限界に思い切り中指をおっ立てるあの魔剣だ。

 

 

せっかく佐々木小次郎になったのだからアレは是非とも修得したい。

 

 

タケさんにこの世界の事を聞いてみたところ、「おらりお」なる場所には魔法もあれば魔物もいるらしい。

 

 

....行きたい...!

 

 

だがしかし、子供の俺がそんなことを言っても断られる事は火を見るよりも明らかだ。

 

ここはもっと成長して、実力を付けるまで我慢だ。

 

 

そうと決まれば俄然やる気が出てくる。

 

 

今の俺には普通の刀でさえまだ重くでかいが、ちょうどいい。

 

どうせ俺が使いたい、というか絶対使うのは某物干し竿。それに、長刀というのも中々にオツだ。

 

 

いよし、目指せ佐々木小次郎。

 

 

 

あ、俺佐々木小次郎だった。

 

 

 

 

&月-日 曇り

 

 

 

修行開始から二週間程。

 

真剣でなければ意味がないので、普通の鉄製の刀を神社から借りて修行だ。

 

タケさんには渋られたけど、鞘付きで振るならとOKされた。

 

通常の長さの刀とはいえ、まだ子供の俺にとっては十分に長い。

早く様に成りたいものだ。

 

まあ本家の方も独学、決まった構えを持たない我流の剣術だったようだし、焦ることはない。

 

途中で遊びに来るちびっこ達を構いながら、農業の合間に時間があれば即修行。

 

 

迅く、鋭く、しなやかに。

 

 

あまり筋力を鍛えようとは思っていない。

そもそもガキが腕力で刀を振ろうなんて愚行である。

 

俺は唯々、とにかくひたすらに技術の向上に努めるのみ。

 

タケさんに見てもらった所、「俺も武神のはしくれだ。剣術も当然収めちゃいるが、小次郎程の奴は見た事ないな…」と言われる位には俺に剣術の才があるらしい。何それ凄い。

 

ただまあ、評価は嬉しいけどそんなものは眉唾だ。

 

 

...嬉しいけど。

 

 

しっかし、やればやる程夢が膨らんでくる。

 

アニメや漫画のキャラの真似とかしながら修行するのも楽しいし、強くなったら何しようかな、と想像しながら修行するのもまた楽しい。日本刀を見てると卍解したくなるのは仕方のない事なのか。

 

 

あぁ、それにしても早く俺が狩ったお肉を使って皆と鍋でも囲みたいものだ。

 

 

 

 

よし、がんばるぞ。

 

 

 

%月=日 雨

 

 

子供を拾った。三才位の女の子だ。

(ミコト)」と名を付ける事にした。

 

タケさんに保護できないか頼んだら即OK。さすがタケさんだ。

 

だけど面倒はお前が率先して見ろよ、とタケさん。

その後にもちろん俺も精一杯手伝うけどな、と言ってくれたので正直助かる。

 

 

まあ、先程から俺の甚兵衛の袖を離してくれないので俺が世話する事になるんだろうな、と思った。

 

 

 

( ˘ω˘ )スヤァ月#日

 

 

 

久しぶりに日記をつける。

 

俺は十歳程になった。程、というのは自分の年齢を詳しく知らないからだ。

 

最後に日記をつけてから二年。

 

命は俺の後ろをいつも「にいさまー」と言って、とてとて付いてくる様になった。

 

 

......超かわええ。

 

 

最近は命や桜花達と遊んだり農業したりしながら、毎日毎日修行の日々だ。

 

明朝起床、メシの下ごしらえと畑にて野菜の収穫

皆の朝食作り

朝食

鍬を手に農作業。おチビ達と遊ぶか、時間があれば鍛練

昼食

おチビ達が昼寝している間に鍛練

起きたおチビ達と遊ぶ

夕食

畑にて鍛練。偶に来るイノシシと戦闘

オフトゥンにぶっ倒れて爆睡

 

 

こんな忙しい生活を送っていて日記を書く時間が取れなかった。

 

まだまだ未熟だが、畑を荒らすイノシシの突進を抜き身の刀で傷を付けずいなせる程には成長した。

 

最近はイノシシと刀を使って闘牛ごっこをするのがマイブームである。

 

手首や肘などの関節を柔らかく使うのがポイントだ。

 

 

そういえばこのイノシシも大きくなってきたので、そろそろ食べることにした。

 

 

某ゾル○ィック家の肢曲のようにゆらりゆらりと歩いて誘う。

突進してきた所を左へ摺り足。

体を風車に見立てて、鞘の鐺をイノシシの鼻先に当て、突進の威力を殺しつつも勢いを借りて回転。そのまま抜刀、すれ違いざまに首元を一閃。

 

イノシシは突進したまま、刀を鞘に収める音とともに崩れ落ちた。

 

 

 

刀に血は付着していないけど、イノシシの首から血がすごい流れ出ていた。

 

やはりまだまだ未熟だ、精進せねば。

 

イノシシの肉は確か牡丹(ぼたん)、と言ったか。

寝る前にこいつを捌いて、血抜きもしておこう。

防腐処理もしておかなければ。

明日は牡丹鍋だな。楽しみだ。

 

 

 

 

@月$日 晴れ

 

 

 

この前日記をつけてから、更に二年。十二歳程。

 

牡丹鍋は週に何回かは食卓に並ぶようになった。

 

鍛練はもはや気付いたらいつの間にか刀を振っているレベルだ。

練度はせいぜい森の中で落ちる落ち葉を三枚くらいは地につくまでに真ん中を真っ二つにできる程度。

 

足りない、まだ未熟。

 

修行を初めて早四年。

もちろん、皆との団らんも忘れてはいない。命や桜花達ともちゃんと遊んでいる。

 

 

そういえば最近、新しく遊ぶ友達が出来た。

サンジョウノ・春姫ちゃんという娘だ。

 

 

この春姫ちゃんなのだが、狐耳である。

 

 

 

 

狐 耳 で あ る

 

 

 

 

初めはびっくらこいた。ぶったまげたと言ってもいい。

 

いくら燕返しを目指しファンタジーなオラリオへ行くために日々技を磨いているとはいえ、現物で生物学的にファンタジーな女の子を見ることになるとは。

 

タケさんに聞けば、オラリオにはこんなケモミミな人達がわんさかいるのだという。

ますます、オラリオへの興味が深まるばかりだ。

 

 

一回はオラリオに行ってみたい。そのためにはもっと技を磨かねば。

 

 

 




原作を友達に借りてしか読んだことないから近いうち全巻買わねば(使命感
なのでおかしい所があったら指摘オナシャス!

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