冒険者?いいえ農民です。-凍結-   作:上やくそう

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どうも、燕返し(挨拶)

今回はいろいろとおかしい所があるかもしれないけど、どうか見つけたら指摘してはくれませんか…。
え?そんなの毎回だって?ははは、こやつめ。
極東編を執筆するに当たって一応七巻を購入はしたけど、逆に言うと七巻のみなんです。てへぺろぺー☆


百姓青年の日記、其の弐

@月∴日 晴れ

 

 

 

今日も今日とて鍛練鍛練。

 

と思って畑に行ったらクソでかくてオーラ的なモノを纏っているイノシシがいたので斬り捨てといた。

大分強くて時間がかかりそうだったので森の奥まで誘い出して斬った。

 

一撃受けると即死なので、刀で受け流していたが刃こぼれしてしまった。泣きたい。

恐かったけど、それ以上に楽しかったんだよなあ。

ちょうどそこらの獣では物足りなかった所に出てきてくれて、いい腕試しができた。

願わくば、人型の相手と戦ってみたいものだ。

 

大きかったから肉を燻して保存しとこうと思ったんだけど、なんか霧散した。どういうこっちゃ…。

 

 

 

昼過ぎになり、畑仕事を早めに終わらせてまた鍛練しようと社に戻ると春姫ちゃんが命たちと遊んでた。

 

春姫ちゃんは社には住んでいない。

じゃあ何処に住んでいるのか、となんとなく聞いてみた。

 

なんでもこの山の麓にある武家屋敷に住んでるらしい。

 

 

えっ、あそこ大分大きくなかった?

 

 

案の定、春姫ちゃんは貴族でした。

なんでも、代々神様に仕える家柄なんだとか。

 

俺が言う事じゃないけど、仕えられてる神様側(タケさん達)がボンビー生活ってどうなんだろうか。

 

本当は家から出ちゃダメなんだけど、命たちが連れ出してるんだとか。ソレ箱入り娘じゃないですか。

 

というかあの警備がついてる屋敷から連れ出すとかどんだけー、と思い命たちを問い詰めたら、神様達にこっそりニンジャ的な事を教わっているらしい。

 

 

何それ知らないんですけど…。

 

 

妹達に一人だけハブられているという事実に割と本気で落ち込んでいると、命が慌てて恥ずかしそうに事情を話してくれた。

 

なんでも、強くなって俺を驚かせたかったらしい。ぐうかわである。

 

十分に驚かされてしまったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

……え、恩恵?お前らそんなの貰ってんの?

 

 

 

 

 

@月T日 晴れ

 

 

 

───こちらスネーク、潜入に成功した。

 

 

命たちだけずるいので俺も潜入する事にした。スニーキングミッション開始だ。

 

 

…別に俺だけ「恩恵」とやらが貰えてないから八つ当たり気味に来たわけじゃない。断じて違う。

 

命達から話を聞いた後、ジト目でタケさんを睨んでも何も無かったから怒ってる訳でもない。

 

 

気分は伝説の傭兵。足音を立てず、するすると春姫ちゃん(ターゲット)まで接近。

 

まだお姫様だっこはキツイので春姫ちゃんを肩車して脱出。なにこれ超楽しい。

 

ほらみろ、俺だってこんくらい出来るわボケぇ!恩恵なんてなくたってできるし。

 

春姫ちゃんは終始俺の上ではしゃいでいた。

 

 

社に着くと、近くの川で皆で遊んだ。

因みにその時、俺一人で行った事を命に怒られた。何故だ。

 

 

皆が疲れてお昼寝してる時に修行しようと立ち上がったら春姫ちゃんが起きていたらしく、お話しようと言ってきた。

鍛練も欠かせないけど、春姫ちゃんを無下にする程でもない。

 

春姫ちゃんはおとぎ話とか童話とか、そういうのが好みらしく、俺が知っている限りの物語を春姫ちゃんに話した。

 

…調子に乗って話しすぎてしまった、やばい。

この世界には桃太郎とか一寸法師とかあるんだろうか。

 

まあ、もしなくても適当にごまかそっと。

 

 

 

 

@月≒日 晴れ

 

 

 

 

 

 

 

うぇえええぇい( ^ω^ )ノシ←刀

 

 

 

 

 

今日も変わらず修行である。

 

いや、変わった事もある。最近は居合斬りでそこらの樹や竹をスッパリ切れる位には成長した。順調かどうかは分からないけど、まあ上達はしているのだろう。

 

命達がステータスを手に入れてからというもの、なんと彼奴らが模擬戦の相手をしてくれている。

いや、前々からずっと人と手合わせしてみたいと思っていたので助かった。

 

と思ってワクワクしながら命達と模擬戦をしたんだけど───

 

 

 

───ちょ、お前ら強すぎねぇ…?

 

 

命、桜花、千草の三人纏めてドヤ顔で

「かかってこいよ>(´<_` )」的な事言ってたら普通に負けた。

 

いや、マジで最後まで押されてた。

 

恩恵凄すぎでしょうよ…。

 

お前ら恩恵しなくていいよ…。けいおん!してろよ…。

 

まぁ、ならお前何で恩恵受けないんだって話なんだが、俺が恩恵を受けないのには一応ちゃんと理由がある。

 

確かに、彼奴ら三人が恩恵を受けてて俺が受けられないって事は無い。

 

…無いよね?

 

恩恵を受けて「ステイタス」なるものをゲッチュすれば、三人みたいに変態的な挙動も可能になって、更に強くなれるだろう。

 

 

───だが。

 

 

俺の今の目的はあくまで剣技の上達、燕返しの修得、オラリオへ行くこと。この三つだ。

 

三つ目の「オラリオへ行く」ためにはどっちにしてもステイタスが必要なのだが、今の俺には必ずしも必要という訳ではない。

 

そして何より、俺には確信があった。

 

───ここでステイタスを取得すれば、俺は其れに驕り、刀を疎かにする、と。

 

これは俺に限った話だ。ステイタスを取得しても、全く鍛練を怠らず、技を磨き続ける人も勿論いるだろう。

 

だが、俺にそれが当てはまるかどうかは分からないのだ。今まで通り剣に励んだとしても、必ず何処かで今の必死さ(・・・)を忘れてしまうと思う。

 

「恩恵」は「神の力」だ。アレは人間を超える力だ。

 

 

ドラゴンと戦う戦士の様に。

鬼に挑まんとする武士の様に。

 

 

佐々木小次郎は人間の弱さ(・・・・・)を忘れてはならない。

 

 

俺が鍛えんとするのは、脆弱な人の身で遥か格上の存在の猛攻をいなし続けられるモノ。

数値で決まる単純な力で強引に破壊するのではなく、果てしない自己研磨の末にのみ得られるモノ。

 

 

即ち、(わざ)なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

あ"ぁ"〜それっぽく言ってみたけどステイタス欲しいわ〜。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Å月A日 曇り

 

 

十五歳くらい。年齢を数えてない。

 

最近は彼奴ら三人の攻撃も割と余裕を持って捌けるようになってきた。

それでも結構ギリギリだが。

 

それはともかく。

社の生活が苦しくなってきた。

 

いや、俺が命達より弱くて精神的に苦しいとか、そういう話ではない。

単純に金が足りなくなってきたのだ。

 

っちゅーか天照様も凄い神なんだから、どこかから搾り取れば言いのに。あんな美人なんだから朝飯前だろ。

まあそれをしないから女神様なのだろうが。

 

 

閑話休題。

 

 

このままじゃやべぇ、という事で、皆で働く事になった。

ぶっちゃけ、畑仕事と家事全般と狩りと鍛練をやってる俺にこれ以上何を求めてんだって言いたいけど仕方ない。

 

修行がやりたすぎて禁断症状が出るレベルだけど、家族の生活にゃ代えられんのである。

 

あー、気が重い…。

 

 

 

 

Å月≫日 晴れ

 

 

 

やばい。

 

俺は天才かもしれない。

 

凄い事を思いついてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

金を稼ぎたいならオラリオ行けばいいジャン!と。

 

 

 

 

 

 

 

 

却下された(´;ω;`)ブワッ

 

 

 

 

Å月#日 雨

 

 

 

昨日は「あわよくばオラリオ行けるかも作戦」が開始二秒で頓挫した事に枕を濡らしたが、考えてみれば当然だった。

俺はともかく、ちびっ子どもはまだ十歳そこらなのだ。

 

けど、そんなこと言ってたら俺は何時オラリオへ行けるのだろうか。

俺はもう十五程だ。高校生くらいの年齢だ。

 

できる事なら早く行きたい。まあ焦っても仕方ないけれど。

 

 

 

で、だ。ここからが本題。

 

 

オラリオの外にも魔物というものは跋扈している。

ダンジョンの魔物と比べるとかなり弱いらしいが、それでもステイタスを持たない一般ピーポーには十分な驚異である。

 

で、そんな魔物を討伐すると結構な額が稼げるのだとか。

 

 

俺<キタコレ

 

 

こんな感じだった。

なので、俺の役割は

 

・家事全般

 

・畑仕事全般

 

・狩り全般

 

・魔物討伐の依頼的なものがあれば斬りに行く

 

 

ひとまずはこんな感じで決定。更に、これらすべてにプラスして(+合間に鍛練)が入る。

 

ちょっと俺への負担が頭おかしい事になってるけど、そもそも鍛練が趣味でやってる事だからしゃーないのである。

 

 

依頼を探しに町へ降りるのは明日からだ。がんばろう。

 

 

 

Å月\日 雨

 

 

鬼が出た。

 

おに、と書いて(オウガ)と読むらしい。

 

鬼と言うからにはイノシシより強いんだろうけど、さてどうなるか。

 

けどオラリオの外で大分弱体化してんだろうなぁ…。

 

だが鬼は人型。つまり、剣の腕を試すにはもってこいなのである。

 

鬼っつっても災害レベルが鬼とかそういう感じじゃないだろうから、まーなんとかなるっしょ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぐっはあああああああああ腕折れたああああああああ( ^ω^ )

 

やっべぇ倒せないかと思ったわ。

 

強い、堅い、でかいの三拍子揃ってました。

 

まあ隙見て両目と口内刺したらなんとか倒せた。

 

力では圧倒的にあちらが勝っていたが、俺の目標通り「受け流し」はかなり良い線行ってるんじゃないだろうか。一発避けきれなかったんで左手捨てたけども。

 

やっぱりまだまだ話にならない。こんなんではド素人もいい所だ。もっと精進しなければ。

 

激痛で動けなかった所を、心配して様子を見にきてくれた三人に介抱されながら帰った。

 

 

 

 

 

もうステイタス取るまで魔物討伐禁止された。ですよねー。

 

 

 

 

 

⊿月≪日 晴れ

 

 

───こちらスネーク、潜入に成功した。

 

スニーキングミッション開始だ。

 

気分は伝説の傭兵。足音を立てずに、するすると以下略。

 

 

 

別に腕折れたから刀振るなって言われてても春姫ちゃんと遊ぶなとかは言われてねぇしぃ?(ゲス顔

 

よく考えたら仕事もせずに遊びに耽るクズ野郎である。けど腕折れてるからね、仕方ないね。

 

 

慣れた手つきで春姫ちゃんの部屋に入ると、包帯ぐるぐる巻きの腕を見て春姫ちゃんが驚いてた。

 

春姫ちゃんをお持ち帰りしてると、屋敷が騒ぎになっていた。どうやらバレたようだ。

 

春姫ちゃんが帰ったら怒られるかもしれない罪悪感がちょっと湧いた。ゴメンね。

 

 

二人でお喋りしたりかくれんぼしたりして過ごした。

何処の国でも美少女の笑顔は最高である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

∵月!日 雨

 

 

 

もう十八かそこらになる頃だ。命が十一になったからその位だと思う。

 

鬼に腕折られてから、畑仕事と家事と鍛練だけをしている。もうとっくに完治して元気バリバリなのに。

 

出稼ぎくらいは任せてくれと皆に言われちゃしょうがない。

 

 

そろそろ森の落ち葉を全部真っ二つにできるようにはなってきた。

 

鍛練もいいけど、最近春姫ちゃんの顔を見ていない。よし、潜入するか。

 

「そうだ、京都に行こう」的なノリで貴族の屋敷に不法侵入である。

 

部屋に行っても春姫ちゃんはいなかった。最早顔馴染みとなった屋敷の仲居さんに聞くと、春姫ちゃんは勘当されてもういないという。

 

 

 

 

 

(´・ェ・`)…???

 

 

 

 

 

 

詳しく事情を聞くと、屋敷に泊まっていた客人───小人族(パルゥム)の役人───の天照様に捧げる品物、神饌(しんせん)を春姫ちゃんがこっそり食べた事に春姫ちゃんの父親が激怒、春姫ちゃんは勘当され、その役人に引き取られたのだという。

 

 

 

…ふぅん(海馬風)

 

 

疑いたくはないけど(春姫ちゃんを)、彼女は間違ってもそんな事をする子ではない。そもそもそんな度胸がない。

そんな事をしたら、ぶっちゃけ挙動や尻尾と耳の動きで丸分かりになると思う。

こう、ずっとソワソワしながら元の持ち主の方をチラチラ見て、目を合わせられたら勢いよく真逆を向いて、尻尾と耳は常に彼女の心を表すようにビクビクしっぱなし。

盗んだ物はずっと後ろ手に隠してて、挙動不審で不自然極まりない。

 

多分、いや絶対にこうなる。

 

もし他人にこんな印象を与えておいて、自分を容疑者から外す様に企んでいたら大したモノだ。

 

 

けど、春姫ちゃんはしない。できない。

 

 

他人の物を盗む、なんて考え方は多分彼女の頭の中には存在しないと思っている。

 

 

つーか神饌ごときが原因で俺たちの幼馴染を取られてたまるか。

 

 

だからこのままいなくなるってのはちょっと頂けないのである。

 

 

 

役人の住む町まで八里ほど。

 

聞けば、春姫ちゃん達が屋敷を出たのは昨日の夜。

 

今は未の刻。

 

 

…ちょっとやる事ができたなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、お帰り小次郎─────何かある。いや、あったって顔だな」

 

 

「おう、構わんが…何でまた。お前さん、あんなに遠慮してたじゃねぇか」

 

 

「──────そうか。……おう、気にすんな。お前の思う通りにやればいいさ。なに、俺も責任は取る。心配するなって」

 




感想評価指摘駄目出しアドバイス等、お待ちしております(´・ω・`)

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