こればかりは誰にも譲れぬのが私の性よ。
さて、今作もサービスサービス!
一匹、また一匹と魔物が霧散して行く。
その中心...いや、そこにいる魔物殺しは、三人。
「リベラにボコされたのとは比べもんにならねぇな!」
長い剣を異形に変異した片手で堂々と構え、相手の攻撃を、口調の荒々しさとは裏腹に、華麗にいなし、確実に一頭ずつ首を落とすアウシ。
「レベルが低いのです、アウシ...」
テンションがハイになったアウシを宥めながらも、逆手に持った短剣で、まるで蝶が舞うかのように空を舞い、その都度敵を切り刻み、急所を刺し貫くセラフ。
そして、その大将格は―
「もっと指揮官が優秀なら手負いくらいにはなったかもしれんね」
挑発を欠かさず行い、左手に持った自動拳銃を寸分の狂い無く魔物達の頭に直撃させ、且つ、コートをはためかせながら、凄まじい連射と、近接の格闘を繰り広げているリベラだ。
三人の内誰かの背後から迫ろうとしても、他の三人の内の誰かがカバーする。
リベラの場合は、背後に迫った敵に、まるで後ろに目があるかのような正確で、強烈な回し蹴りと、魔力が籠った銃弾をお見舞いしていたが。
そんなレベルの違う敵を見ても、魔物達は怯むことなく突撃し、塵と化す。
操っている『人型』としては、魔物達の命なぞどうでも構わないのだ。
そんな『人型』の魔法の扱いを見切ったのか。
「...敵ながら、天晴れと言えるクズさだ」
魔物達を狩っていたリベラの目が、敵の波ではなく、『人型』の方へと向いた。
呟いた言葉も合わせ、『人型』への明確な敵意を、真に抱かせたのは、見るまでもない。
それに気付いたのか、セラフが、ちらりとリベラを一瞥する。
そして、少々の微笑みを浮かべながら、近くの敵を切り裂き、リベラの横を通り過ぎる刹那、彼の耳許で、小さく囁いた。
「リベラ様、私達なら大丈夫ですよ」
彼女が言い終わった時既に、笑みを浮かべたリベラは『人型』の方へと、躊躇い無く突っ込んでいった。
『ちっ...クズ共、さっさとこいっ!』
舌打ちしながら、『人型』は、自分のところに突っ込んでくる青年一人を黙らせる為に、魔物達の壁を集めた。
そのなかには、4m超えの、巨大な魔物もちらほらいる。
その中の一頭の、巨大な、風化した大剣を携えた魔物が、リベラを捕捉し、突っ込んでくる彼に向かって、大振りに剣を振り下ろした。
飛び散る土煙に、剣を持つ魔物は、猛々しく咆哮する。
明らかに当たったのは間違いない。
それなのに、当たる直前の彼は、勝ち誇った、そして、恐怖を微塵も持たない不敵な笑みを浮かべていた。
―メシャッ。
太い何かを引きちぎった音が響き渡る。
気になったのか、剣持ちの魔物は、晴れてゆく土煙に突っ込まれた腕を見つめる。
―その魔物の腕は、手首から上は、既に無かった。
「ーッ!ガァァァ!?」
突然の大怪我に、剣を持っていたはずの腕が消え去った魔物は、狂ったかのように吠え、巨体を生かして暴れまわる。
勿論、周囲の味方である筈の魔物達の壁にも影響を及ぼす。
『ぐ...このクズが!』
自分の、チェスで言う、クイーンやルークレベルの手駒の酷い失態を見、苦痛の声をあげた。
ほぼ、『人型』を護っていた魔物達の壁が吹き飛んだ頃、大型の魔物は、息も絶え絶えに、敵意をギラつかせ、土煙が曇っていた所に、威光を送る。
大型の魔物の目に写ったのは。
皇帝のように、風に揺れる長く、そして白く輝るマントを纏い、白銀の鎧を纏った、『人ならざる者』の姿。
その『人ならざる者』は、かつて自分の物であったはずの、鉄塊のような荒削りの剣で、他ならぬ大型の魔物の胴を、あっさりと両断した。
上半身と下半身が別れ、崩れ落ちる大型の魔物。
更に、次の瞬間、フッ、と姿を消した『人ならざる者』が、崩れ落ちてゆく魔物を通り過ぎていった。
『お前の剣...悪いもんじゃあ、無かったぜ』
そう『人ならざる者』が、自分に刃を向け、散っていった者への敬意を込めた呟きをした瞬間、その手に持っていた剣が音を立てて砕け散り、そして―
―大型の魔物は、肉眼で捉えられない程に、粉々に切り刻まれた。
大型の魔物が塵に帰るのを見届けた『人ならざる者』は、震え上がっている『人型』の頭を、右腕で鷲掴みにした。
『た、助けてくれ...』
『人型』の命乞いを無視し、ギリギリと力をゆっくりといれて、『人ならざる者』は力をいれてゆく。
そして、汚物を見るかのような冷たい目で、『人型』を見下ろし、吐き捨てた。
『お前は魔物よりも、魔物だったよ...リリアまで狙ってくれるとはな』
彼は、無慈悲に、そして、冷徹に、『人型』の頭を握り潰した。
『人ならざる者』が居たところには、やけに物悲しそうな目をしたリベラがいた。
そのリベラに、剣を納めたセラフとアウシが駆け寄ってゆく。
彼女達もまた、魔物達を切り終えたのだ。
何時もの軽さが抜けたリベラに、申し訳無さそうに、セラフが語りかける。
「リベラ様...行きましょう?」
「...あぁ、そうだな...」
すっかり消沈したように呟くリベラを見て、アウシも小さく溜め息をついた。
...が。
「...帰ったら飯だ!飯食うぞ!」
心機一転、と言うほどに、一瞬でニヤリと笑みを浮かべ、先程の暗さを吹き飛ばし、町へと全速力で駆けていくリベラ。
「...あっ、おい!」
「...はっ!り、リベラ様ー!?」
唖然としていた二人の対刀も、我に返り、リベラを追い掛けて行く。
何故、リベラは、悲しげな目をしていたのか。
今はまだ、知るよしはないだろう―
終わったッ!戦闘編(リベラ&セラフ&アウシ)完ッ!
こんな風で良いのか、良く分かんないですがね...