”創られた”少女と、自由な狩人   作:通行人 放浪

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やっと投稿。

忙しいってやなのです。

さて、始まりますよ。


名前

 

実に不味いなこりゃ。

 

正体もわからん奴に武神さん見られちまった。

 

これで触れられてでもしたら、一般人なら何かに憑かれたかのように暴れだすからなぁ。

 

かといって、幼そうな子に攻撃を加えるってのは流石に良くない。

 

 

 

思考している心の中とは裏腹に、表面上だけでも不敵な笑みを浮かべつつ、此方を酷く警戒している目の前の少女の目を見てみる。

 

 

あれに触れた奴特有の狂気に苛まれた色は微塵もなく、彼女の瞳から読み取れるのは、皮膚を削がれたかと思うほど鋭い敵意。

 

だが、殺意の色は無く、あくまでも警戒の範囲のようだ。

 

 

...助けたはずなのに、人間と変わらない姿をしている子供にまでこんな攻撃的な視線受けてるのはどういうことですかね?

 

今まで倒してきた魔物達の恨みかなんかか、お前さんは?

 

 

 

「...さっきからヘラヘラと。馬鹿にしているの?」

 

相手の思考の読み合いとなっていた静寂の中、痺れを切らしたように、全身に魔力を張り巡らせている少女が、此方を睨みながら言った。

 

明らかに、苛立ちが見て取れる。

 

「いや、馬鹿になんてしてないさ」

 

内で少しだけ毒舌吐いてたなんて言えやしないな。

 

笑うな、と陰に言われた気がしたので、ポーカーフェイスを作った。

 

 

「あのさ...一ついい?」

 

頭を面倒臭さに掻きながら、溜め息を吐きつつしている目の前の謎の少女に、話し掛ける。

 

「何?」

 

突如質問したからか、視線の鋭さが増したように感じる。

 

実質、声色も、見た目相応のものよりも、少し暗く聞こえた。

 

 

もうこれあんまりだー...

 

泣いてもいいよね...

 

 

まぁ、無論そんな悲しみは表面に出さずに、軽めに思考した言葉を言い直す。

 

「いやね、その剣、触った?」

 

すると、彼女は、電灯の光で、艶やかに煌めく銀の髪を揺らし、ちらり、と武神さんを一瞥すると、俺の予想していたものとは真逆の、とんでもないことを言った。

 

 

「...触ったけど」

 

 

俺の時間が、何処かの幽波紋の能力の如く止まった。

 

 

え、なんで暴走してないんだ?

 

矢鱈騒がしい剣に変化しているアニマに好かれたとかそんな、俺と同じ口か?

 

んー、でも、アニマは、この子のことあんまり気に入ってないようだし...

 

全く、この少女は訳がわからないことだらけだ。

 

だが、一応念のために聞いておくことにしよう。

 

「なんか気分がおかしくなったりとかねぇか?無駄に気分が高揚するとか」

 

すると、少女は、あからさまに顔をしかめた。

 

 

あ、しばらくアニマさんは黙っててくれて結構です。

 

 

 

 

 

 

 

彼方からしたら、私は敵のはず。

 

拠点らしきここに連れ込んだ理由も、その類いのはずなのだ。

 

だが、彼からは、全く敵意を感じない。

 

睨み付けているものの、私は『目の前の男は敵ではないのではないか』という疑問を捨てきれず、心中は思考の渦に巻き込まれている。

 

その渦から脱却するため、依然警戒しているように見えない目の前の男に、問うてみた。

 

「...敵を心配するなんて、何を考えてるの?」

 

すると、男はこう言った。

 

 

「敵と思ってないぞ、俺ぁ」

 

 

また、あの不敵な笑みを浮かべながら。

 

私の睨みを微塵も意に返していないかのように。

 

 

この目の前の男への敵意が、不思議と薄れていくのを感じた。

 

いや、少し語弊がある。

 

最早、この男を敵と認識するのさえ無駄なのではないか?

 

そう不覚にも思ってしまったのである。

 

もしかすると、この男、単なるお人好しかなんかではないだろうか?

 

 

「じゃあ、何故、ここに私を連れてきたの?」

 

小さく溜め息をつきつつ、私は次に思いついた疑問をぶつける。

 

やはり、男は軽い口調で答えた。

 

 

「だって、あんな真っ暗な林の中に、ほったらかしには出来ねぇだろ」

 

 

「...はぁー...」

 

引き締めていた精神を大きく緩ますように、盛大な溜め息を吐き出す。

 

私は、彼に助けられたのだ。

 

それがはっきりと分かった今、彼に敵意を向けるのはお門違いというものだろう。

 

纏っていた魔力を解き、やや小さめに、彼に、謝罪の意味を込めて、頭を下げる。

 

 

「ごめんなさい、貴方の事を誤解していた。助けてくれたのよね?」

 

 

「頭をあげてくれ」と、急に態度を一変させたからか、若干引き気味の男が言う。

 

私が、言葉に甘えて顔を上げ、青年の顔を見据えると、

 

「助けたつもりだったんだがな...ま、自己紹介もしてないし、警戒するのも当たり前だな」

 

 

そう言うと、外套のポケットに手を容れ、のんびりと『剣』の近くの椅子に座ると、悠然とした態勢で、椅子に凭れかかる。

 

 

「俺はリベラだ、お前さんは?」

 

 

私の...名前?

 

そんなの...

 

 

 

 

『―名前が欲しい?そうだな、君の名前は―』

 

 

 

 

分からない、と言おうとした瞬間、頭に白くぼやけた謎の光景がフラッシュバックした。

 

 

そして、私は、『私の名前』を思い出す。

 

 

 

「私は―リリア...リリアよ」

 

急に頭に浮かんだ名前に狼狽えながらも、私は、確りと、リベラと名乗る青年の顔を見据え、名前を告げた。




リリアの元は、ラテン語でユリを意味するリリアン(Lillian)から。

次は設定を投稿しよう、うん。
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