さ、どんどんいきますよー!
あ、モンハンクロス...
机に並べられた食べ物の数々は、ものの数分で、自分でも驚くほど早く完食してしまった。
食欲は、満ち足りた。
それと共に、情けなさで一杯であるが。
「御粗末様でしたー」
リベラは、私が食べ終わったのを見計らってか、食べ終えた、幾つもの皿を器用に持つと、先ほど入ってきた部屋に、さっさと行ってしまう。
彼の横顔は、『貸しを作ってやった』とでも言いたそうな悪意はなく、寧ろ、『手助けできて良かった』という、安堵を含んでいた。
私は、リベラが扉を閉めたのを見て、ソファへ凭れ、態勢を崩し、小さく吐息を吐く。
―ここまでしてもらって、どうやって借りを返せばいいだろうか?
そうこう考えてる内に、不意に睡魔が私を襲う。
眠っていても攻撃されない、という安心感は、ここ最近は味わってなかった暖かさだ。
「...悪くない」
心からの気持ちを、ぽつりと呟く。
でも、そうそうすぐに眠る訳にはいかない。
そんな、隙だらけには―
「リベラぁーっ!帰ってきたぞー!」
私は、家の、玄関の扉を思い切り蹴破るように開くと、『家に帰って来るときにしなければならない挨拶』ってやつを、大声で言ってやる。
でも、寝てるのか、はたまた別のことをしてるのか、返事がない。
買い物頼んでおいて、そりゃないだろ。
私が手を腰にやって、不貞腐れていると、横からひょいっ、と、私の片割れが、少し困ったように肩を竦めて、顔を出す。
「アウシ、余り騒ぐとまた、リベラ様に御飯抜きにされるのです」
成る程、そりゃあ宜しくねぇな。
あいつの飯を食いっぱぐれるなんて、愚の骨頂だ。
ついでに腹も減るし。
「分かってるよ、セラフ。さっさと買ってきたやつを、リベラに渡しに行くぞ」
ちっ、と軽く舌打ちして、私は細心の注意を払いつつ、靴を脱ぎ捨てる。
普通なら買い物袋を振り回してやりたいが、牛乳とか入っている袋だと、アニマとリベラの二人に小一時間説教くらうからな...
『私の兄か父親のつもりか』と言いたくなるほどだ。
やれやれだぜ。
ついつい悪い笑みをうかべていると、苛立ったのか、セラフに囁かれた。
「どこかの不良高校生みたいなことを考えてないで、早く行くのです」
こいつ...心の中を読みやがったっ...
そんな、何時もの他愛も無いやり取りをしながら、リベラがよく居る、事務所って部屋の扉を開け放つ。
部屋には、毎日飽きないのか、と思うほど、居眠りをしているリベラが―
「んん?」
「あら?」
二人一緒に、間抜けな声をあげる。
理由?簡単だ。
それは、私達の特等席である、ふかふかのソファに、見たこと無い白銀の髪をした女の子が、うとうとしながら、態勢を崩して惚けていたからだ。
どうやら、私達の事を認識出来ないほど眠いらしく、思い切り開け放った扉の方を、見向きもせず、ただぼーっと、虚空を見つめていた。
「あ、アウシ、あんまり近付くと危ないのです」
ええい、セラフは奥手だからいけねぇ。
こういうときは、正体が剥がれるのを待つより、剥がした方が早いし有効なんだよ!
狼狽えてるセラフをほったらかして、私は惚けてる少女の前に立つ。
「お前は一体誰だ?ここで何をしてやがる?」
少々威圧的に言ってやる。
すると、ちらりと、瞼が半分くらい下がりかけたまま、少女は、あまり興味無さそうに、口を開いた。
「...眠い」
そりゃ、そんだけうとうとしてたら、眠いだろうな。
―ってちげぇだろ、私は理由を聞いてんだ、理由を。
心の中で突っ込みをいれながらも、なんとか会話しようと試みたが...
「アウシ、寝かせてあげた方がいいのです。それに―」
セラフが、私が少女に触れようとする直前に、私を宥めすかすように言い、溜め息をついた。
『それに―』の先の言葉も、大体は見当がつく。
「...あぁ、直接本人に聞き出した方が良さげだな」
私は、少々口許を引きつらせて、次にリベラが居やすい部屋の扉を睨み付けた。
少々昼間は眠いですね...
別のサイトで出してた小説が意外に読まれていたので、そっちも書きたいなー、とか思ったり。
...過労死待ったなし。