やはり三浦優美子の青春ラブコメは幕を開けたばかりだ。 作:Minormina
季節が春から夏に変わろうとするとき、まるで梅雨を予兆させるかのように生ぬるく湿った空気が吹きぬける。それはこの屋上も例外じゃない。・・・そんなにうっとうしいならこなくちゃいいのに、なんて思うけどここが一番あたしが落ち着く場所であったりする。
(……あったかい……)
珍しく晴れた日だったのか、降り注ぐ日の光が心地いい。……そんなときはゆっくりと……。
「…………えーと、お邪魔だったか?俺」
がちゃりと無機質な屋上への扉の音が聞こえ、相変わらず死んだ目をしたあいつがのそりと屋上へと現れる。
「…………別に。好きにすれば」
ついあっけらかんとそんなことをいってしまうけれども、実はあたしはこいつに頭が上がらない……というより好意を寄せていたりする。……もちろんこいつはそんなこと知らないし、ってか大志すら知らない。
(……ってあいつにバレたら……死ぬ。間違いなく死ぬ)
……コレってもしかしてあたしが告白するしかないんじゃ……?
(……あああああ……!)
「……なにしてんだお前?」
「……な、なんでもないから!あ、あんたには関係ないでしょっ!?」
ついいつもの悪い癖でわーわーとまくしたてて言わなくてもいいことをいってしまうあたし。
「まぁ……確かにそうだが……」
歯切れ悪くどこか落ち着かない風にそう答える比企谷。そりゃそうだ、目の前に顔を真っ赤にしてわたわたしてる・・・ってん?あたし、今顔・・・・・・。
「・・・・・・あんた今こっち振り向いたら殺すからね」
背中越しに心配そうな視線を感じるけれども、ここはあたしのプライドにかけても赤くなってるのは悟らせないようにしないと・・・。
「・・・・・・おう・・・」
あたしの後ろでびくっとしてきまずそうにあいつが気を紛らわせるためにスマホを触り始めるけど・・・。なにこの空間。気まずすぎるんだけど・・・。
「・・・・・・そ、そういえばさ、けーちゃん元気にしてるか?」
あいつも気まずく感じたのか、けーちゃんの話題を切り出してくる。・・・・・・こういうところがちょっとおせっかいというかやさしかったりするんだけど・・・。
「うん・・・・、元気にしてるよ。・・・ひさびさに『はーちゃん』に会いたいって言ってたわ」
(・・・・・・・ってどさくさにまぎれてこいつのことはーちゃんなんて言っちゃって・・・・・・!!)
なんか自分でも何言ってるのかわからなくなってきちゃって、けーちゃんがさびしがってるとかなんとか言っちゃったけど・・・、
「おう。そんじゃ今度お前ん家かどっかで久々にけーちゃんと遊んでやるか・・・・・・って川・・・なんとかさん?」
まだ頭いっぱいの・・・・・・って・・・・え・・・?・・・・・・・・一瞬何が起こったかわからなかった。きょとんと狐につままれたような顔をしてる比企谷と・・・あたし?一瞬現実から逃避しようとぱちくりとしてみても、目の前には比企谷。
「・・・・・・・・・・あんたのバカーーー!!!」
途端に何も考えられなくなったあたしは、ささっと脱兎の如く屋上を後にする。・・・・・・絶対死ぬ。あいつにあの顔を間違いなく見られた。
(・・・・・・・どうしよう、ああ言っちゃったからいまさら後には引けないし・・・)
ばたばたと廊下を走りながら熱くなった頭を冷やそうと必死になる。階段を降りて教室へと向かおうと角を曲がろうとしたとき、
「……わっ……!?」
「……キャッ……」
どさり、と思い音が辺りに響いてお互いに尻もちをついた格好になる。……なにも考えずにただ走ってるからだ……。
「……ごめん。ちゃんと角確認してなかったから……大丈夫?」
比較的痛みもなかったのでゆっくりと立ち上がっておしりを払って、右手を差し伸べる。……って三浦?
「……ありがとね。あーしの方こそぼぅーとしてたから……」
三浦はあたしの差し伸べた右手をぐっと掴んで身体を持ち上げる。……っていつもと調子違うような気がするんだけど……。いつもはこう……強圧的というか、なんというか。
「……いいえ、こちらこそ。怪我してない?」
「……うん。大丈夫だし……」
そういうと立ち上がった三浦は廊下の先へとどこか力なくあたしに背を向けて歩いて行く。あたしはさっきの出来事は頭からいつの間にかすっかり抜けていた。
初めてのサキサキ回にして初めての番外編でした。なんとなくサキサキを書きたい衝動に駆られて書いてみたのですが・・・、うまくかけているかはちょっと心配です。
いまあげておいて言うのもなんですが、もしかしたらこの続編を作るかもしれません。・・・そこらへんは活動報告とかのほうでもみなさまに聞いてみようかと思ってますのでぜひともコメントをいただければ。