平凡な僕がプロデューサーになりました   作:夜明けの月

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ちょっと文章がおかしくなってるかも……
それとタイトル詐欺になってる可能性があります。


デスクワークは意外に疲れるものです。

麗らかな日差し、眠気を誘う暖かい気温という中で僕はホクホク顏で街を歩いていた。

 

何故僕がこんな顔をしているのか。学生ならば誰もが共感するであろう事実があった。

 

今は、春休み。学生なら待ち憧れる長期休暇である。まあ、二週間ぐらいだけど。

 

でも、僕にとっては二週間でも好都合なのだ。

 

「〜〜〜♪」

 

鼻歌を歌いながらある場所へと向かう。

 

そうしているうちに目的地が見えてくる。346プロだ。

 

「早く仕事に慣れないとね」

 

僕は、気合いを入れて仕事に向かう。さて、今日も頑張りますか。

 

 

 

☆♪♡◇

 

 

 

「ええっと、ここはこうで……これはこうで……」

 

僕は人生初のデスクワークをしていた。パソコンを普段あまり使わないためか、タイピング速度も遅ければ、資料をまとめるのも遅い。

 

武内さんに「まずは慣れるところから始めてください」と言われたので、説明書などを見ながら淡々と資料をまとめていく。うん、これなら慣れるのにそう時間はかからないね。

 

「うーん、ちょっと休憩」

 

背もたれにもたれかかり、大きく伸びをする。気づけば、デスクワークを開始してから二時間が経過していた。スーツなので座っていても結構疲れる。

 

「あぁ……疲れた……」

 

集中が切れたわけではないのだが、さすがに少し気分転換がしたい。

 

「飲み物買いに行こうかな」

 

僕は椅子から立ち上がり、部屋を出て自動販売機のもとにたどり着く。

 

ここの自動販売機は品揃えが豊富で、飲みたいものが手に入りやすい。その中で、僕はエナジードリンク、通称エナドリを買う。千川さんに以前から仕事している時には飲んでおいたほうがいい、と言われたからだ。

 

「これ美味しいのかな……?」

 

ちなみに飲んだことなど一度もない。缶を開けて一口飲んでみると、口の中でシュワっと炭酸のような感じがした。味は柑橘系だ。素直に感想を言えば、普通に美味しい。僕は一気にそれを煽る。

 

するとすぐに中身がなくなる。飲みやすく、美味しく、そして目が覚める。三拍子揃ったいい飲み物である。

 

「今度もこれ買うかな……」

 

缶を捨てようとすると、どこかから扉の開く音がした。気にすることはないと思っていると、声が聞こえてきた。

 

「はぁ、疲れたね」

 

「祝福の時間……(やっと休憩時間です……)」

 

「イイ汗、かきました」

 

「アーニャちゃん……これ、使っていいから、汗拭こう……?」

 

「みんなだらしないにゃ!レッスンは基本中の基本!大事なことなの!疲れていたらダメなのにゃ!」

 

声から判断するに、昨日会った子達だろう。だが、別段話すこともないためそそくさと与えられた事務室に退散しようとすると、

 

「あ、ぷ、プロデューサーさん」

 

気づかれた。気付いて欲しくなかったのに。このまま退散して仕事に集中しようかなぁって思ってたのに……。

 

「……何にゃその顔は?」

 

「…………別に」

 

ただ気づいて欲しくなかっただけですよ?

 

「そういやみんなは何してるの?レッスン?」

 

「うん。初めてだから結構苦戦してて」

 

苦笑いを浮かべながら新田さんは言った。五人は全員息を切らしているため、相当頑張っているのだろう。

 

なら僕も頑張らなくては。年下の子達が頑張っているというのに、年上の僕が頑張っていないとなると示しがつかない。というか僕のプライドが許さない。

 

え?凡人にプライドなんかあるのかって?踏んで蹴って犬に食われる程度のものならあるけど。って自分で思ってて悲しくなってきた。

 

「そうなんだ。頑張り過ぎて無理して体壊さないように。それじゃあ、頑張ってね」

 

僕は笑顔でそう言って去ろうとする。うん、これなら自然にここから退散できる。

 

と、僕は思っていた。

 

「そうだ。レッスン見ていかない?」

 

「はい?」

 

 

 

☆♪♡◇

 

 

 

「よし、それじゃあ基本のステップいくぞ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

どうやら全員かなりやる気があるらしい。返事に気迫が感じられる。

 

「はい、ワン、ツー、スリー、フォーって緒方ずれてるぞ。しっかりついていけ。新田は固くなりすぎだ。もっと肩の力を抜け。前川、テンポを合わせろ。アナスタシアはアレンジを入れずにちゃんとやれ。神崎、お前はキレがないぞ」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

でも、ミスが目立つ。まあ素人だから仕方がないよね。けれど、彼女たちにはいつもとは違う何かがあった。

 

「……………」

 

僕にはもちろんない、そして今まで知り合った女子にはない『何か』がそこにはあった。僕はそれに魅せられたのか、無言で見入っていた。

 

それからどれくらいの時間が経ったのだろう。気づけば、外は橙色に染まっていた。

 

「今日のレッスンは終了だ。お疲れさん。ストレッチはきっちりやっておけよ、以上!」

 

「「「「「はい!ありがとうございました!」」」」」

 

新田さん達はトレーナーさんにお辞儀をしてストレッチへと移る。僕はレッスンが終わったのを確認して、レッスン室を出ようとするとトレーナーさんに呼び止められる。

 

「おい、そこのあんた」

 

「……僕ですか?」

 

「ああ、あんただ。この子達のプロデューサーだよな?」

 

「ええ、まあ……。って申し遅れました、蒼崎弘弥といいます」

 

「よろしく。私はトレーナーの青木(あおき)(しのぶ)だ」

 

トレーナーの青木さんとの自己紹介を終えると、樋代さんが真面目な顔で言った。

 

「あの子達を見てどう思った?」

 

「………へ?」

 

「私はこういう立場の人間だからな。多くのアイドル達をレッスンしてきた。だから、あまりそういうのを見たことがない奴の感想を聞きたかったんだよ。で、どうだ?あの子達は」

 

青木さんは僕を横目で見ながらそう言う。どうだ?と言われても僕にだって分からない。というより言葉にできない。

 

確かに僕はこういうのは見たことがないし、さっきまであの子達のレッスンしている姿を見入っていた。だけど、なぜ見入ってたのかは分からない。

 

ただ、言葉にできることを強いて言うなら、

 

「普通の子達にはない、『何か』が感じられました」

 

「ほぉ?その『何か』とは?」

 

「………分かりません。僕にもそれはよく分からなくて」

 

僕がそう言うと、顎に手を当て考える素振りをする青木さん。なんでか笑っているような気がするけど、気の所為かな?

 

「お前は他の奴らとは違ったものを感じ取ったんだな」

 

「……どういうことですか?」

 

「他のプロデューサー共はレッスンを見たところでなにも感じていない。どうだったか?と聞いても、返ってくるのは『将来有望』だとか『成功する』だとかその子達をちゃんと見てすらいない」

 

青木さんはさっき見せた微笑みのような顔ではなく、眉間に少ししわを寄せている。その子達の運命を変えた身としては、樋代さん的にも気づいて欲しいものがあったのかな?

 

「だけど、あんたは違った。まあ『何か』と曖昧だが、違う答えが聞けて私は満足だ」

 

「はぁ……」

 

「とりあえず、こっちは任せてくれ。あの原石を磨くのは私たちの仕事だ」

 

ニッと笑って僕の肩を叩く青木さん。その笑った顔は、口調からは感じられない優しいものだった。率直に言うと可愛い。まあ口には出さないけど。

 

「よろしくお願いします」

 

「だが、磨いた後、輝かせるのはお前だ。それだけは忘れるなよ」

 

「肝に銘じておきます」

 

僕はそう釘を刺されてからレッスン室を出た。そしてあることを忘れていたことに気づく。

 

「あ、仕事………」

 

良いものは見れたけど、今からは地獄を見そうだよ……。

 

 

 

☆♪♡◇

 

 

 

「もう…無理……」

 

僕は机に突っ伏した。残っている仕事に取り掛かって早2時間、終わる気配が一向にしない。最初の浮かれた気分は何処へやら。今は逃げ出したい気分です。

 

「効率が悪いのかな〜……?」

 

ようやく慣れ始めてきたとはいえ、やはり操作やタイピング速度が仕事の進行を阻害している。こればかりはマスターしないとどうしようもないんだけどね……。

 

「春休み早々、幸先悪いなぁ……」

 

などとぼやいていると、目の前にあるドアがコンコンとノックされる。今の時刻は6時過ぎ。誰かが来るとしても武内さんか、せんk……ちひろさんの二人しかいないのだけど。あの二人、ノックなんてたまにしかしないからなぁ………。

 

「はい、どうぞ」

 

と、適当に入ることを許可する。まあ誰が来るかは予想は出来てるけど。

 

「お兄ちゃん、様子見に来たよ」

 

入ってきたのは、僕の5つ下の妹、花梨(かりん)だった。

 

予想外すぎる。まさかのここで身内が出てくるとか、てかどうしてここに!?

 

僕はあまりのことに椅子から滑り落ちる。その際、全身を強打する。痛い、物凄く痛い。だけど今の状況の方が痛みより重大なことだ。

 

外は暗くなり始めている。なのにどうして僕の妹なんかがこんなところにいるのだろうか。

 

「どうしたのお兄ちゃん?そんな盛大にこけて」

 

「どうしたはこっちのセリフだよ!どうしてここにいるのさ!?」

 

僕は息を荒げて言う。それもそうだろう。いきなり予想だにしない人が僕の目の前に現れたのだから。

 

「お兄ちゃん観察日記5冊目を書き………お兄ちゃんの様子見に来たの」

 

もう何もかも手遅れだよ。言い直そうとしてたけど遅すぎるよ。言っちゃいけないこと、さらっと言っちゃってるよ。

 

てか何、その『お兄ちゃん観察日記』って?しかも5冊目って言わなかった?まさかそんなものが4冊もあるの?

 

「それはともかく、どうして帰りがこんなに遅いの?お母さん心配してたよ?」

 

花梨が怒ったような口調で言った。そうか、心配かけさせちゃってるのか。なら、今日は仕事を早めに切り上げて

 

「サボってるんじゃないかって」

 

前言撤回。今日は遅く帰ってやる。

 

人が悪戦苦闘しているときになんていう心配かけされてくれてるんだ。僕はがっかりだよ。

 

「じゃあこう言っといてよ。今日の分の仕事が終わったら帰るって。少し遅くなるかもだけど」

 

「あ、いいよ。終わるまで待つから」

 

「なんで?」

 

花梨が待つとは珍しい。だけど、絶対に何か裏がある。この妹はそういうやつだ。

 

僕がなんでと聞くと、なぜか嬉しいような悲しいような表情を浮かべて、

 

「この人たちに捕まって……」

 

花梨が指差した所、ドアの近くを見てみると、そこには隠れようとしてあまり隠れきれていない五人の姿があった。そう、シンデレラプロジェクトの子達だ。

 

「………何やってるのそんな所で」

 

僕が呆れた声をかけると、五人は隠れて返事もしない。どういうことだろう?訳がわからない。

 

「じゃあ、事務所の中で待ってるから。終わったら来てね〜」

 

そう言って出て行く花梨。さすがに長い間待たせるのは悪いから早めに終わらせられるように努力しよう。

 

そう決意して椅子に座ると、何やら楽しげな声が聞こえてきた。

 

『花梨ちゃんとPチャンって本当に兄妹なんだ』

 

『勿論です。私達の兄妹愛は誰にも負けませんよ!』

 

僕の執務室は、事務所と併設しており、目の前のドアを開けると事務所になっているのだ。なので、事務所で話していることがある程度の声量だと普通に聞こえてくるのだ。

 

結構あの五人とは打ち解けているようだ。多分、ここに来るまでに幾つか話でもしたのだろう。でも、何言っちゃってるんですかねあの子。そんな恥ずかしいこと堂々と言うかな普通。

 

『なら蒼崎君のこと、いろいろ知ってるんだ』

 

『ええ勿論です。個人情報から過去にあった細かな失敗まで全て把握しています』

 

あれ?このままいくと、有る事無い事話されそうな気がするんだけど……流石に気のせいだよね!っと、そんな事より仕事仕事……。

 

『あ、メアド交換してもらえますか?未来のアイドルさんとお友達になりたいです!』

 

『いい、ですよ』

 

『くくく……我が鴉の行方を求めるか……。よかろう、ならば汝に教えてやろう!(メールアドレスですか?是非お願いします!)』

 

賑やかそうに話しているのを聞いて、僕の心も和む。和みながらもキーボードを打つ手は止めない。僕はその後も賑やかな話し声を聞きながら仕事を進めていった。

 

 

仕事が終わりかけた時に、花梨に盛大な爆弾(黒歴史)を落とされて、手元が狂って打ち終わっていた資料内容を一部消去してしまい、泣く泣く削除した所を打ち直したのは別の話。

 

 

 

☆♪♡◇

 

 

 

蒼崎弘弥活動記録③

 

春休みに入って初めてのデスクワークだった。慣れるのは大変そうだが、これはプロデューサーとして必要な事だと思う。明日からも頑張らなくては。

あと、今日はレッスンを見た。あの時の彼女達は、どうしても言葉にできない『何か』があった。それが何なのかは今考えても分からない。まあそのうち分かるだろう。

さて、明日は二回目の顔合わせだ。あとの六人を一斉にする。どんな子達なのか楽しみだ。

 

 




オリキャラとオリジナル設定

トレーナー 青木 忍

はい、あのトレーナー四姉妹の一人です。後々、残り2人も出ます。

弘弥の妹 蒼崎 花梨
茶髪のサイドテール、ブラウンの瞳
身長 159cm 体重 45kg 血液型 O型
スリーサイズ B 71 W 52 H 71
いつもは明るいが、落ち込んだ時と寝起きは暗い。思った事を口にしてしまう。弘弥を兄として恋い慕うブラコン。

という事で、オリ主の妹です。物語とどう関わるかはお楽しみに。

次回は、残り六人です。
それでは、次回もお楽しみに。
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