オバロ二次 設定適当の駄文   作:むみあ

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死の支配者と■■ 7

 嘗てないほどの熱気が闘技場としもべ達を包む。

 未だ目の前の男に飛び掛かる者が居ないのが、不思議を通り越し奇跡とすら呼べるのではないかと思えるほどだ。

 そんな中、しもべ達の言葉に、態度に、大きく間を置いて後。

 

 「・・・ふむ、『主君に諫言するということは、戦場での働きよりも勇気のいること』だったか」

 

 アインズは静かに、そしてはっきりと口にし、そして続けた。

 

 「静まれ、者ども。 その諫言、その忠義、確かに受け取った。 

 お前たちの言い分はわかった故、再度命じよう―――鎮まれ、とな」

 

 

 

 

 

 そうして、暫し間を置いたにもかかわらず、その熱気が治まりきらない場を見渡しながら、アインズは様々な感情を乗せた吐息を大きく吐き出した。

 そうして、相対する男へ、オウルへと言葉を投げる。

 

 「やれやれ、お前の意気に『敬意』を払って心の内を語ってやれば、期せずしてこの子らの『忠』を見せつけられる事になってしまったな」

 

 冥利に尽きる、と言うのかね、などと続けたアインズに、それを投げられた相手と言えば、

 

 「・・・ったく、勘弁してほしいね。 これだけで心臓が止まるかと思ったわ」

 

 先刻よりも増した圧力と熱気に充てられながらも、その表情に緊張と苦みを増しつつも、それでも笑みを崩さずにそこに在った。

 その姿にふむ、と一つ頷いたアインズだったが。

 

 「さて、しかし困ったものだ」

 

 と、さして困ってもいない声音で語りだした。

 

 私は友の残したこの子らをむやみに損ないたくない。

 そして、この子らも私を損ないたくないと来た。

 互いが互いを大事に思い、お前と事を構えさせたくないと言う。

 そして、そんなお前は我が軍門には降れない、この列に並ぶはその『忠』に対して礼を失すると。

 その言やよし、故に私はその心意気に敬意を払おう、認めよう。

 しかし、だからと言って我らが譲ってやる事もないわけだ。

 なんと言っても、我らの方が強いのだから。

 その気概に敬意を払えども、その心意気一つで譲ってやるほど我らが『威』は軽くはない。

 だがしかし、携えるその二振りの魔剣はいささか以上に物騒なのだ。

 だが、それさえなくばそもそもこうして場を態々と拵えて、長々と問答などせずに問答無用で屈服させている所だとも言い換えられる。

 故に、

 

 「オウル・アマルガムよ。 

 貴様にその気概に見合うだけの『力』が本当にあるのか、私に見せてはくれないかな?」 

 

 その二振りを用いずとも、我らに認めさせられるだけの『力』があるのか。

 その意気地を張り通せるだけのモノを本当に持ち得ているのか。

 我らに降らずに立つことを許すだけのモノを持ち得ているのか。

 

 「首を垂れるのが嫌ならば、『納得』させてみろ。 この私を、この子らを」

 

 ここに居る階層守護者達との個々の戦い、それをもって力を証明せよ。

 

 「そして、それを成して我が『盟』に加わるがいい」

 

 そこまで言い切って、アインズは静かに前を見据える。

 返答は如何に、と。

 

 視線の先、そこには先ほどまでの容貌から苦みを一切消し去り、獰猛に笑う男が居る。

 

 「上等・・・! やって、やろうじゃあねえか!!」

 

 オウル・アマルガムはそう吼えた。

 その瞳の中に、碧の炎が燃えていた。

 

 

 

 

 

 ■■■■

 

 

 

 

 それぞれと一対一、命のやり取りはなし、一戦ごとに魔法による回復を掛けてもらえるが、連戦の為にMPと精神的な疲労は回復しない。

 そして、天世界の門(オーロラサークル)世界樹紋章の剣(ヒュプノカイエン)の二振りを使用せず。

 それどころか、聖域を出る際に精霊より賜ったと言う緋魔王(イフリート)以下数点の装備も外し、本来自身が所持していた物を装備した。

 それを見たアインズによって、守護者達の装備もある程度の制限をされることとなった。

 尤も、その制限も殺傷能力が明らかに過剰な物だけを除いた物だけであり、実質的な戦闘力が大きく落ちるような物ではなかった。

 そうして、階層守護者達とオウル・アマルガムの戦いは始まり、各階層守護者達及び珍しくこのような場で参加を願い出て来たセバスとも最後に戦った結果として、アインズの目の前で精も根も尽き果てた様子で倒れ伏す襤褸雑巾が出来上がった。

 簡潔に経緯と結果を述べるならば・・・。

 

 第一戦、シャルティア・ブラッドフォルーン。

 まず、命のやり取りが無しとされた事、そして相手がどの程度の実力や戦い方がはっきりしないが為に、そして何よりも生来の慢心が祟ってシャルティアが序盤でいきなり劣勢に立たされる。

 しかし、オウルはオウルで明らかな格上相手に対するその優勢に疑問を持ち、ごく僅かに攻め手が鈍り時間逆行を使用されてしまう。

 それからは一転してオウルが劣勢に立たされるも奮闘し、二回目の時間逆行を使用させる所までは辿り着くも、それ以上はダメージによって動きが鈍り、倒されはしないが防戦一方になる。

 そのまま終局かと思われたが、またしてもシャルティアの慢心によって生じた一瞬の隙を突いた一撃からの流れるような連撃によって攻守が入れ替わる。

 しかし、そのまま死力を振り絞って畳みかけんとする、傍から見ればティーンエイジャーに満身創痍で目を血走らせて襲い掛かるという、その性犯罪者の如き絵面に耐えられなくなったアインズによる制止によって終了となる。

 

 第二戦、コキュートス。

 遠近両方の総力戦の様相であったシャルティア戦と違い、互いに接近しての斬り合いになるも終始オウルは劣勢のままに推移する。

 ある程度の手傷を負わせ善戦するも、最後まで劣勢のまま近距離で打ち合い、そして打ち負ける。

 

 第三戦、アウラ・ベラ・フィオーラ。

 開始前に使役する魔獣の使用の是非を問うたアウラに、オウルもそれならば未だ未使用の『鎧』の効果を使用して対する旨を述べる。

 それにより、闘技場内では都合が悪いとの話になり、場外での戦いとなる。

 ちなみに、オウルは正式名称を知らない全身を覆う緑のタイツにしか見えぬその『鎧』の名は、緑宝石の鎧(スネークグリーン)と呼ばれ、使用すれば大量の樹木を触手のように展開することが可能となる。

 その伸ばした樹木から魔法の使用すら可能であり、木造建築であればそれに擬態も可能である。

 尤も、他にも効果があるのだが、これを村より出る彼に送った母も『身を守ることに特化している』程度の認識しかしていない為に、当人はそれを知る機会が今の所存在しない。

 こうして、アウラの使役する強力な魔獣の群れと、オウルが身に纏う緑宝石の鎧(スネークグリーン)の特殊効果により発生する樹海の激突によってただでさえジャングルな第六階層が樹木による混沌と化す。

 あまりにも混沌とし過ぎて全体の把握が困難になり、戦いが長引いた事により膨張する樹海に第六階層が酷い事になりかけた為に勝負がつかぬまま終了することとなった。

 

 第四戦、マーレ・ベロ・フィオーレ。

 場所を闘技場内に戻し、緑宝石の鎧(スネークグリーン)の使用を控えたオウルと、自主的に似た効果を発動する魔法の使用を自粛したマーレによる近・中距離での魔法・打撃戦となる。

 攻守を入れ替えながらも、マーレが手の内を限定される中でありながら常にやや優勢で戦いを運び、オウルの惜敗という結果に終わる。

 

 第五戦、デミウルゴス。

 距離を取っての遠距離魔法戦となる。

 既に格上との連戦で回復魔法では補えない部分で消耗していた為か、態々遠距離の魔法戦に付き合った、と言うべきか付き合わされたというか言うべきか、によってオウルは終始押し負ける。

 それでも粘りながら継戦するも、その劣勢を覆すことなく完封される。

 

 ガルガンチュアとヴィクティムは元々参加させるつもりがなかった為に、本来であればここまでであった。

 しかし、珍しくこう言った場面で出張ったりなどしないセバスが、ここに来て参戦を願い出て来た為にもう一戦が追加される。

 

 第六戦、セバス・チャン。

 互いに何か感じるモノがあったのか、セバスは人間形態のまま、オウルは何故か武器を手放し素手で格闘戦を開始した。 

 これまでと違って派手さがなく、非常に地味で、しかし最も見ごたえのある戦いが展開された。

 アインズは昔読んだ格闘技漫画を思い出しながらそれに見入った。

 互いに満身創痍と言った様相を呈し、長い打撃戦の末に最後に立っていたのはセバスだった。

 

 こうして最後の戦いの終わりと共に、観客となったしもべ達による歓声に包まれる闘技場内、アインズの視界の先に襤褸雑巾となったオウル・アマルガムが出来上がったのだった。

 

 「ふむ、皆見事であった。 双方共に得る物もあっただろう」

 

 アインズはそう言って戦い終わった者達に声を掛けると、ペストーニャ・S・ワンコにオウルの治療及び『客に与えるに適当な部屋』で休ませるように命じた。

 そうして自前の回復手段をもってだろうか、辛うじて自力で立ち上がることは出来ていたオウルを連れて闘技場を出て行く姿を見届けた後。  

 

 「相対した者にしかわからぬ事もあろう。

 セバスも含めそれぞれにこの戦いで、オウル・アマルガムという男に何を思ったか、各々のそれを交えた後にお前たちの考えを聞かせてもらうとしよう」

 

 そう言って、その後連れ立って玉座の間に来るようにと告げ闘技場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アインズが去った闘技場内にて、オウルと矛を交えた階層守護者達並びにセバス、そしてお前達も加わるようにと残されたアルベドとプレアデスの面々が言葉を交わしていた。

 

 「さて、何を、何から言うべきか・・・色々と思う所が多すぎて言葉に困りますね」

 

 そう言って最初に口を開いたのはデミウルゴスだった。

 冷静沈着、頭脳明晰、ナザリック一の智謀を誇る彼をもってしても、オウルの登場からの一連の出来事は何から口にするかを迷わせるだけの、経過した時間に比して濃密すぎる怒涛の展開であった。

 僅かに逡巡した彼だったが、ふと名案を思い付いたとばかりにこの場に居る一人に向き直った。

 

 「ふむ、シャルティア、今思っている事を忌憚なく口にしてもらえるかな」

 

 そう言ってデミウルゴスが話を向けたシャルティアは。

 

 「あ、あああああアアアアインズ様が私を大切な、たたた大切な娘をほほほほうひひひぃ。

 ああああ、私は、わらわはああああ、ああああ今すぐにでもこの溢れ出る狂おしいほどの想いをすべべべて受け受け止めて、らめえ!私そんなにされたらあひぃ、ひぐぅ、ひやぁぁぅ、こここ壊れちゃううぅぅぅぅ!!」

 

 突如壊れたかのようにガクガクと震え身悶えながら、堰を切ったかのように口から止めどなく言葉を吐き出し始めた。 

 

 「ちょ!? アンタ、そんな事考えながらやってたからボコボコにされたんじゃ・・・って聞いてない!?

 まさかずっと静かだと思ってたら正気じゃなかったの!? い、いつから!?」 

 

 そんなシャルティアの言葉にアウラが即座にツッコミを入れるも、いつもであれば即座にやり返してくるはずのそれがないどころか、口から流れ出る言葉が止まらないまま体を激しく震わせるその様子に焦ったような叫びを上げる。

 そうして正気に戻そうと両肩を掴んで激しく揺さぶるが、

 

 「んほぉ、ひぎぃ、そんなに激しくされたららめなのぉぉぉぉ!!」

 

 止まらないどころかその狂態を加速させるばかり。

 

 「ひいぃぃぃぃ! 血の狂乱より性質が悪い!?」

 

 仕舞にはガクガクと膝と震わせて腰砕けになり、べしゃりとその場に倒れ伏してなお口から妄言を吐きながら、デュフフ、ウェヘヘェ、と笑いながら震え続ける姿に、流石のアウラも戦慄し距離を置く始末。

 その姿を見た全員が思った。

 何故そんな事になっているか、至高の御方の御心の一端を明らかにされたあのお言葉に、未だ心の震えが止まらないのは自分もである、心情はこの上なく理解できる、理解できるのだが・・・。

 

 流石にこれはない、と。

 

 そんな周りを見回したデミウルゴスは、満足げに頷き。

 

 「さて、シャルティアが我々にとって最も重要でありながら本題ではないそれについて、全員を代表して体現し、今も体現し続けてくれている事ですのでありがたく本題に入りましょうか」

 

 しれっとした顔でそう告げた。

 ぎょっとした顔で皆が振り返り注視するその表情はいつも通りの冷静な物であった。

 しかし、全員がその顔に、

 

 君たちはこうならないように

 

 と釘を刺された気分になり、そして再度こう思った。

 

 流石にこれはない、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 













 そして前回の大仰さからこのオチである(白目)
 
 おのれペロロンチーノォ!!





 正直、バトルを描写してたらそれだけで燃え尽きる予感しかしないので巻きました、盛大に。
 こういう作風だとご容赦願いたく。
 べ、別にバトル展開を書ける自信が全くなかったとか設定をちゃんと理解しきれてる自信が欠片もないから逃げを打ったわけじゃありまsん(吐血)

 
 ちなみに、シャルティアはバトルの最中ずっと妄想を垂れ流さない鋼の忠誠心を発揮して妄想の中に溺れていました。
 それでも戦えるなんてなんて守護者の鑑!でも忠誠心が下の□からダダ漏れだ!?
 
 デミウルゴス「しかし、それ故にフラットな状態で戦えたのかもしれませんね」

 コキュートス「無我トイウカ忘我トイウカ、ソノ状態デモ鞘走ル技、カ。
        感心スルベキデアロウカ・・・イヤシカシコレハ・・・」

 アウラ「馬鹿の考え休むに似たり?
     殺さないように手加減とか考えてたら逆に動きが鈍ったかもね・・・」

 マーレ「我を失ってても慢心とかするんだ・・・」

 ルプスレギナ「きっとダメージもアインズ様からのご褒美とか思ってたっすよ」


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