オバロ二次 設定適当の駄文   作:むみあ

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死の支配者と■■ 2

 モモンガ、改めアインズ・ウール・ゴウンは、先ほど相対した四人が生き残った村人と会話する姿を遠目に見ながら被った仮面の下で考える。

 表情として動く部位なぞ既に皆無に近しいが、その表情を険しく歪める。

 表に出そうが出すまいがどうせ判別がつかないのであるから、そう言った意味では仮面を被る意味なぞその動く部位と同じく皆無に近しい。

 しかし、そもそもがその顔自体を表に出すのが得策ではない、という事を先ほどの邂逅で思い知ったためこの仮面でその白骨の様相を覆う事としたのだ。

 

 この嫉妬の仮面で。

 

 (全く、迂闊だったな色々と。 異形種だからと怯えられるのも神だなんだと慄かれるのも正直勘弁してもらいたいからな・・・まあ、この世界でのそれに対する反応を知りたかったというのもあるし、うん、そういう事にしておこう)

 

 そう考えながら村人たちと会話する四人、と言っても主に話しているのはンフィーレアと名乗った少年だったが。

 アインズがデスナイトを遣わせる前に既に兵士達は彼によって無力化されていたらしく、生き残った者達は口々に彼に対する感謝を口にしている。

 

 (デスナイトは必要なかったか・・・それに止めるのが遅れたのも痛い。

 ほぼ無抵抗の兵士を嬲り殺しにしただけで、逆に怖がられるだけとか、はあ)

 

 オウルと言うあの男と互いに警戒して時間を無駄に浪費する間に兵士たちは漏れなく縊り殺され、一人残らずゾンビと化していた。

 エンリとネム、助けた二人の姉妹の説明によって一応の感謝はされたが、その姿はどう見ても、どう考えても、思い切り腰が引けていた。

 

 (はあ、助けた二人とンフィーレア君からは凄く感謝されたからまあいいんだけどさ)

 

 正直な話、生き残った村人全員に感謝されずともその三人、正確には『剣』の使い手であるンフィーレア一人に恩を着せることが出来たことの方が余程大きい。

 あんな小指一本程度ですら余るような塵以下の兵士に皆殺しにされかかる村人などを何ダース並べたところで、神器級(ゴッズ)アイテムを明らかにユグドラシルでは考えられない自由度で振り回せると思しきあの少年の重要度に比べればまさに塵屑以下の何物でもない。

 情報についても彼はエ・ランテルという都市で高名な薬師であるとの話だし、その点についてもこんな鄙びた開拓村の村人如き、と言って良いだろう。

 

 (尤も、彼からしたら村人の感謝なんかより隣の『彼女』のそれが欲しかっただろうが、な。

 ずっと抱き寄せたまま離れもしないし、随分グイグイ行くじゃあないか。

 ほら、エンリだって困惑しっぱなしだし、と言っても頬を染めて満更でもないのか?

 クソ、これがリア充というやつか、爆発させたい)

 

 まあ、自分が助けなければ間に合わずに死に別れるところだったのだから、一時も離れたくないのだろう。

 それ故に自分に向ける感情もはっきりとわかるほどに好意的ではあったし、それ故のあの積極性なのであろうとは思いつつも、嫉ましい思いが消えることなく仮面の下で燻ぶった。

 顔を覆うこの仮面、数あるアイテムの中からコレを迷わず選び取ったのは正にそういった心境からであった。

 

 (聞けばあの姉妹の両親も亡くなったようだし、助けた俺が親代わりとしてこの親心を開放すべきではないのか、リア充を爆発させるべきではないのか?

 ペロロンチーノさんも言っていたじゃないか『嫉妬の心は親心』と)

 

 嘗ての自分であれば爆発『させたい』ではなく『しろ』と言ったであろうが、今は『させる』力が備わっているのだ。

 であるならばさせるべきではないか『爆発』を。

 あの『剣』の力があれば死にはしないだろうから思う存分に弾けていいのではなかろうか。

 

 死を超越し、生を憎むことはなくなったアンデッドでありながら性を憎む心は超越できなかった性夜(クリスマス)を呪う仮面の亡者(敗者)がそこに居た。

 

 尤も、そうでなくともこの仮面を手に取ったのではないか、という予感もするのではあるが。

 

 

 

 

 

 

 (はあ、馬鹿な事を考えて現実逃避してないで真面目に考えよう)

 

 仮面の下でそっと息を吐いて視線を移す。

 ンフィーレア達を取り囲む村人たちの輪の外で、そんな様子をニヤニヤと眺める一人の男。

 明らかに他と隔絶した気配を身に纏い、特にそれを隠そうという気配もないが、それを露骨に露わにしようという意思も感じられない男。

 そう言った実に自然体な、それでありながら場を俯瞰して見ると一人明らかに不自然なその男。

 

 (オウル・アマルガム、とか言ったか・・・一体何なんだアレは)

 

 内心で呟きながら頭を抱える。

 先ほどの対峙、互いに警戒しながらの会話でわかったことは偽りでなければ『プレイヤーではない』事と、プレイヤーであったとしても『初心者同然のプレイヤースキル』であること。

 

 (なんなんだ一体・・・誰にも教えを請わず、wikiも見てない育成素人のソロプレイヤーを相手にしたようなこの徒労感、『オンラインのくせにオフライン』だったか、そんな輩と絡んだ気分だ。

 そのくせ装備してるアイテムが出鱈目かつ極悪なまでにこっちと相性が悪い)

 

 ぼやきながらそのオウルと言う男の姿を視界に入れつつ、現在は外している装備を思い返す。

 

 

 

 ユグドラシルにおいてほぼ例外なく狂った設定の世界級(ワールド)アイテムに相応しい、狂った性能を誇る二振りの魔剣。

 そして性能に上乗せして狂った逸話を持つ、非常に有名な二振りである。

 

 文字通りプレイヤーが墓場まで持って行った、と言われるぶっ壊れ武器だ。

 

 事は単純明快、所有するプレイヤーがそれを所持したまま現実(リアル)で死んだからだ。

 そしてそれだけではなく、そのプレイヤーが所属していたギルドが全員が例外なく死病持ちでギルドごと『死んだ』からだ。

 挙句にどういう経緯を経たのかは知らぬが、ギルド拠点丸々その死後に運営によって『聖域』としてイベントマップに組み込まれたのだ、その所持していた財貨ごと丸々と。

 ギルドメンバーの遺言だの遺産が寄付されただの、運営の身内か親会社の幹部がどうだのと様々な噂が実しやかに囁かれたものだった。

 そして『死蔵』したワールドアイテム二振りを取得できるクエストが実装された挙句に、その難易度にトチ狂った阿呆の一人がイベント後半のボスを聖者殺しの槍(ロンギヌス)で消し飛ばし進行不可能になったというもう乾いた笑いも出ない経緯を経た曰く付きの一品である。

 そして、挙句の果ての果てに、その二振りはイベント進行の途上でプレイヤーが限定的に所持し、振るう事が出来たのだが、進行不可になった後に性能が更に盛られている事が判明し、プレイヤーを煽っていくスタイルと大炎上を起こした。 

 イベントクエストの条件さえ満たせば、クリア不可の為に消滅せずに残り続ける為、皆が振るえるワールドアイテム。

 しかしもう永遠に手に入れる事が出来ないアイテム、文字通り聖域の失われた遺産、世界級ならぬ幻想級などと言われ情報だけでなく実感として最も皆が感想を共有する『ぶっ壊れ世界級(ワールド)アイテム』の代名詞。

 それこそがその二振り、『世界樹紋章の剣”ヒュプノカイエン”』、『天世界の門”オーロラサークル”』、別名『魔獣殺し』と『百人殺し(ミリオンジェノサイダー)』である。

 

 (まあ、相性云々以前に論外な性能なわけだが・・・修正前だろうと修正後だろうと)

 

 これ見よがしにため息を付きたくなるのを抑えてその性能に想いを馳せる。

 

 (うちは異形種かつカルマ値の問題で『聖域』に入れないのばかりだったから直接手にしたことはないけれど、動画やwikiで散々上がってたもんなアレ)

 

 まず、世界樹紋章の剣(ヒュプノカイエン)だ。

 その性能は斬りつけた相手に掛かった能力上昇(バフ)効果に比例したダメージを与え、同じくそのバフ効果に比例した時間だけ相手を『樹』に変えて硬直させるという物。

 

 (確か増大する力を無意味で長大な生命力(樹木)へ変換する、だったか?

 特に種族特性で能力が肥大化する異形種への効果が大きく、樹どころか森になってしまうとかいう設定だった筈・・・そう、最初は設定文だけだったんだよな、コレ)

 

 そう、最初の性能はこれだけだった。

 と言っても、そのダメージ量と拘束時間はえげつないものでありこれだけでも十分な『壊れ』ではあった。

 問題は、クエストが進行不可になった後の修正である。

 

 能力上昇(バフ)効果だけでなく、能力低下(デバフ)もダメージ計算に上乗せされ、尚且つ種族レベルに応じた過剰なダメージと硬直時間、異形種は掠っただけで即死ならぬ絶死、人間種でも即死、ワールドエネミーも多分即死するか硬直が解ける前に嬲り殺し、と言われる呆れた性能である。

 何よりも問題なのが、恐らく世界級(ワールド)アイテムを所持していても、斬られた時点でその効果を防げないだろうと予測される点である。

 そしてもう一つの問題がある。

 

 (ゲームから現実となった影響で、『樹』になってから戻れるのか、というより『樹になっている最中に死ぬことができるのか』がわからないというのがマズイ)

 

 NPC達はそこに書き込まれた設定を踏まえたモノとして己が意思を持ってそこに在り、先刻の命を下したデスナイトの様子、その自由度の変化等から言っても嫌な予感しかしなかった。

 説明文には『増大する力を無意味で長大な生命力(樹木)へ変換する』とあったのだ。

 これを文面通りに現実化した場合の可能性、それを考えて頭を抱える。

 

 (増大する力、これが何を指すのかだよ。

 バフ、デバフ効果と種族レベルは間違いないとしてだ、レベルじゃなくて生命力とか経験値にまでそれが及んでいたらどうする?

 そもそもが、『変換する』だぞ、ユグドラシルみたいにデスペナだけで済むのか?

 消費されつくしてレベル1になるまで絞られてそのまま枯れ落ちて消滅とかなったらどうする? 

 デスペナがないNPCはどうなるんだ、永遠に『樹』のままなのか?)

 

 様々な可能性が浮かんでは消える。

 理由をつけて何かに使用させて検証するにも、元々の樹木の寿命からして数十年は見なければならない。

 更にそれが寿命か剣の効果が終ったことによるそれかも判断できるか怪しい物だった。

 

 (いや、力の大きいモノは変換して森にまでなるというのだからその時点で全てを吐き出しているという事で・・・って、それじゃあ蘇生する余地すらなく完全に存在そのものが『樹』になっているんじゃあないか?

 クソッ、ここで考えるだけではどうしようもない。

 とにかく今は敵対的ではない事、その弟子(ンフィーレア)がこちらに非常に好意的である事に満足して様子を見るしかない)

 

 そこまで考えて一旦思考を切って息を吐いた。

 尤も肺もないから吐き出す息も存在しないのだが、等と益体もない事を考えつつも警戒心は抜けなかった。

 

 (そもそも、ウダウダと考えてはみたものの・・・もう一振りのアレがある時点で考えるだけ無駄な気がしてくるよな・・・)

 

 そう考えて再度息を着く。

 

 もう一振りの魔剣、天世界の門(オーロラサークル)

 その性能を長々と語ることもできるが、こちらはもう一方と違って不確定な物が多い。

 いや、不確定と言うよりはあまりにもあからさま且つ単純明快すぎる効果に、その限界や用途の検証をしきれていない、と言うべきか。

 ただ、一言で言い表された身も蓋も無い通称があり、その名も―――

 

 

 

 『絶対殺す剣(ゼッタイコロスケン)

 

 

 

 

 である。

 

 

 

 

 





世界樹紋章の剣(ヒュプノカイエン)「―――イーバウッ!」

天世界の門(オーロラサークル)「―――なんて、無様」
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