祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた   作:ボストーク

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皆様、こんにちわ~。
昨日、深夜まで執筆し、しかも何故か今日は異常に早く起床したために早々と1話が書きあがってしまいました……これで五日連続投稿、しかも執筆時間最短……
もしかして、これって何かのフラグなんじゃ?(滝汗)

それはさておき今回は……いよいよラストバトルが開幕です♪
そのわりにはサブタイは呑気ですが(^^

最近、”過剰戦力(オーバーキル)”という単語が妙に気に入ってます(笑)


第14話 ”コンコン狩り作戦、発動です!”

 

 

 

「ところで西住ちゃん、なんか作戦名(コードネーム)決めない?」

 

「えっ? コードネームですか?」

 

少しみほは考えてから……

 

「強襲追撃隊は猟犬みたいに森に隠れてる獲物を追い出しますし、別働隊は猟師みたいに待ち伏せて狙い撃つ……獲物、相手は用心深く狡猾……そっか!」

 

閃いたっ!という顔になり、

 

「”コンコン狩り作戦(オペレーション・フォックスハント)”とかどうでしょう?」

「おっ、いいねー。敵を狐に見立てたのかい?」

 

みほは頷き、

 

「相手が狡猾なら、こっちはもっと狡猾な罠を張ってしとめるだけです」

 

そしてその場にいる全員を見て、

 

「コンコン狩り作戦、発動ですっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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件の森より南方約10km

 

 

 

【九九式七十五粍自走榴弾砲】は、九七式中戦車の車体に九〇式野砲とその砲弾や砲撃に必要な装置一式を収めた、体感的には史実の三式中戦車以上の巨大な旋回砲塔でなりたっている。

同じ九〇式野砲を起源とする九四式七十五粍戦車砲を搭載する九五式/九八式重戦車との違いは、装甲の薄さなど細かいことを言うよりも砲その物の使い方の違いを語ったほうが良いだろう。

九五式/九八式重戦車は主砲を直射砲……直接照準し、直線的な弾道で敵に命中させる。

対して九九式七十五粍自走榴弾砲は、主砲を榴弾砲(曲射砲)として使う。放つ砲弾に放物線を描かせ直線ではなく点として頭上から着弾するように作られている。

無論、前者より後者の方が射程が長い。

そのために砲には戦車には取れない大きな仰角が取れるようになっていて(理論上、理想放物線=最遠投射仰角は45度)、そのために大きな砲塔が採用されているのだ。

戦車砲が届く距離で殴りあうことを想定していないため装甲は薄く、精々機関銃弾や敵榴弾の破片を止められる程度のものでしかないため、見た目よりは重量が軽い。

 

とまあこんな特徴を持つ九九式七十五粍自走榴弾砲であるが、前出の通り射程は長く……九〇式野砲の最大射程と同程度の射程を持つ。

ということは最大射程14kmなわけだが……よく聞く”最大射程”はあくまで「弾が届く最大距離=砲自体の性能限界」であり、「期待通りの命中率や散布界(数発撃ったときの砲弾の散らばる範囲)を示す距離」は”有効射程”という。

有効射程は照準機やら何やらの性能も考慮せねばならず、例えば九九式七十五粍自走榴弾砲の場合、最良の条件で11km前後と言ったところだった。

 

もっともこの11kmでさえも当然、自走砲からその距離が直接見えるわけではなく間接照準と着弾観測による弾着修正が必須であった。

つまり、何が言いたいのかと言えば……

 

 

 

「だんちゃぁーく、いまー」

 

双眼鏡を覗いていた先……森の中で、煙柱が四つ立った。

 

ここは視界の悪い森の中からギリギリ見えない距離の小さな丘。

逆に言えば双眼鏡を使い丘から見下ろせば、森の中は観測できるポイントだ。

方角無視して距離だけで言えば、自走砲隊と森の中間地点……のやや森寄りと考えていい。

 

「アンズ、どうして4門だけ撃ったの? 残る4門は故障?」

 

同じく私物らしき双眼鏡、軍用品ではなくライカあたりの舶来高級民生品(おそらく飼い主が買い与えたのだろう)を覗き込んでいたレレイがそう問うた。

ここが戦場だとわかっていながらも、杏の情況を理解していようが知的欲求は止められないらしい。

良くも悪くも自分の知識欲に忠実で、空気を読まないのがレレイのキャラだ。

それに彼女はそれを許される。何しろ砲撃前に既に一仕事終えていたのだから。

 

 

 

森との距離を考えれば、間違いなく攻撃魔法なら届かなかっただろうが物理的な力を伴わない……相手の術式に干渉をかけて、敵術者に気付かれないように光学迷彩効果魔法を弱めることが出来たのだった。

 

そして、それまで自然に見えていた……不自然さを感じなかった森の中に奇妙な”違和感”が生まれた。

 

「いんやー。今は弾着から照準補正してるとこだからね……第2射、上げ0.5、右1!」

 

その”違和感”……光の屈折率が違うために生まれた”歪曲”に向けて杏は砲撃を支持したのだ。

それがわかっているから、杏はクソ忙しいにも関わらずレレイの疑問を無碍に扱ったりしない。

いくら小さな森とはいえ、それこそ当てずっぽう撃ったところで効果は薄い。

森ごと吹き飛ばすような力が無い以上は、可能な限り効率的に物事は進めるべきだと杏は考えていた。

 

 

 

『了解! 砲弾、既に発射!』

 

弾着修正指示から砲撃までのタイムラグが短い。どうやら回された自走砲隊の錬度はかなり高いらしい。

 

(重畳重畳♪)

 

杏は上機嫌に上空に聞こえる砲弾の風切り音を聞きながら、

 

「8門あれば4門づつ交互に撃って、照準と効果の最適解を出すんだよ。効力射……全門斉射(サルヴォー)はそれからだよ」

 

さっきよりほんの少しだけ遠く、ほんの少しだけ右に集弾する。

それを満足げに眺めた杏は、

 

「弾着修正良し! 左右方向良し! 1砲撃毎に0.1上げ! 指示があるまで全力効力射!」

 

左右の修正はいらず1弾撃つたびに少しづつ遠方へ着弾させろ……そう砲兵に指示を出してから、

 

「こちら中隊長車(カメ)第1小隊長車(アンコウ01)、そろそろ出番だよぉー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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”ZuVooooooooM !!”

”ZuDuuuuuuuuuuM !!”

”GuVaaaaaaaaaaaM !!”

”GuwoooooooooooM !!”

 

「な、なにが起きたっ!?」

 

一方、視点は変わりここは森の中。

いきなりあがった連続した爆炎に、今回の遠征の総司令官を勅により任された”帝国”子爵、ヘルム・フレ・マイオは目玉が飛び出さんばかりに驚いていた。

 

「お、おそらくはニホンの砲撃かとっ!」

 

炸裂音にまけないよう大声を出す参謀役の一人に顔をしかめ、

 

「ばかなっ! ここは敵大砲の射程外だぞっ! 今までこの距離まで届いた砲弾はないと結果は出てるんだっ!!」

 

まあ間違ってはいない。

今、”イタリカに配備されてる重砲”では確かにここには届かないだろう。

しかし、今まさに沿線工事をしているイタリカーアルヌス間の鉄道でなら……

 

それは別の話だとしても、まさか「砲弾が届かないなら大砲が自ら走って届くところから撃てばいいじゃないか」などと斜め上の発想をするとは思わなかったろう。

 

また彼らの不幸は、敵の到来に気付くはずの早馬が”コンコン狩り作戦(オペレーション・フォックスハント)”発動から一騎も帰ってこないことだった。

 

作戦発動の瞬間から、みほ達をフォローすべくイタリカ師団司令部も動いたのだ。

臨時編成の「独立装甲大隊」を秘匿するために真っ先に早馬が狩られた。

 

特に【馬98式改狙撃銃(第一次大戦参戦で入手したGew98小銃を改造した狙撃銃)】や【九七式自動対装甲小銃(史実の九七式自動砲の近似小銃)】を装備する狙撃隊の活躍は特筆すべきだろう。

後方へ戻ろうとする早馬へ向け、狙撃ポジションからじっと待っていた馬98式使いは騎手を、九七式使いは馬ごと文字通り狙い撃ち、彼らの意図を砕いたのだから。

 

更に意外な活躍をしたのが捜索連隊の騎馬隊だった。

彼らが”帝国”騎兵に扮して「送り狼」をやっていたことは数話前に書いたと思う。

その彼らが命令一過そのまま狩人に転身、隠し持っていたベ28式短機関銃(ハーネルMP-28)や武35式自動拳銃を使い、西部劇さながらに早馬をしとめたのだ。

 

これらの”早馬狩り”を生き延びた騎馬……非常に少なかったが、その彼らとて命は長くなかった。

”帝国”野戦司令部がある森に帰還するということは、あるいは行軍中のみほたちを発見するということは、全周囲警戒しながら進軍していたみほ達からも発見される危険性が高いということだ。

現在かき集められる最良の機甲戦力を集結させた装甲大隊に早馬が遭遇すればどうなるか……

騎手が戦車隊を発見できる距離が、戦車砲の射程外というのはあまり現実的ではないだろう。

 

 

 

しかし、ヘルム以下”帝国”野戦司令部の者たちの不幸は、この降り注いだ「たった4発の75mm弾」が攻撃の全てではないということだった。

この砲撃は所詮、「崩壊の始まりを告げる号砲」に過ぎなかったのだから。

 

次の4発の着弾。

さっきよりも確実に司令部に近づいてきた。

ヘルムは判断に迷う。”撤退”という文字を頭に浮かべながら……

 

そして、やがて降り注ぐ砲弾は8発1単位と生ってきたところで誰かが告げた。

 

「戦車だっ! ニホン人どもが戦車でやってきやがったっ!!」

 

残念ながらヘルム司令官が思考に費やせる時間は、さほど残ってはいないようだった。

 

 

 

***

 

 

 

時間は少し遡る。

そう、本格的な効力射が始まりみほ達が森へ向けて進軍してる時だ。

 

「中隊全車、”水平砲列陣形(ラインバレル)”で前進開始!」

 

なんのことはない。

火力最大限に生かすために戦車を横一列に並べ、そのまま前へ移動してるだけだ。

 

中隊長車(カメ)随伴車(カモ)を除く第6戦車中隊の12両がゆっくりと前進を開始し、その後方を九五式軽戦車が随伴するという形だった。

中隊火力全てを前方に集中投入できる反面、敵に有効な対戦車兵器があった場合、各個撃

破されやすい陣形だが、相手が”帝国”なら特に問題はないだろう。

 

 

 

「んふふ♪ 燃えるシチュエーションねぇ♪」

 

戦の臭いを嗅ぎ取り、一層愉悦に満ちた笑みを浮かべるロゥリィに、未だ上半身をキューポラから乗り出したままのみほはクスリと笑い、

 

「それに関しては同感です」

 

と相槌を打つ。

ロゥリィはふとみほの肩に下げられた銃に目をやり、

 

「随分とおっきな鉄砲かついできたわねぇ。邪魔じゃない?」

 

『重くない?』と聞かないあたりが、さすが身体能力人外の亜神様である。

 

「多少大きいし重いですけど、徒歩行軍しなければ問題ないです。それに火力と信頼性は抜群ですから♪」

 

みほが持ってきたのは、分隊支援火器の先駆け的な使い方をされる”チ26式軽機関銃”だった。

『特地』配備の日本陸軍の場合、1個歩兵分隊に1丁の割合で配備されている代物で、いわゆる『特地専用装備(トクチ・スペシャル)』の一つだ。

 

みほは南南西32番陣地(S.S.W/32)で補給を受けたとき、補給車に予備として積んであったチ26式軽機を見つけ、30連マガジン3個入りのポーチ二つと共に借り受けてきたようだが……

この時代の機関銃というジャンルの武器の中では軽いほうだが重量は10kg近くあり、おまけにご丁寧なことに銃剣まで装着してるのだから、確かにみほの体格で持ち歩くのは少々辛い……筈。

だが、何故だろう?

嬉々とした表情のみほが軽々と振り回す姿しか思い浮かばないんだが……

 

「それにチ26式(この子)より遥かに大柄で大重量のハルバート振り回してるロゥリィに言われるのは、なんだか微妙な気分かな?」

 

しかし、ロゥリィは愛用のハルバートを撫でながら、

 

「だってこれは亜神の証、わたしの体の一部みたいなものですもの。みほだって自分の多足に重さなんか感じないでしょ? それと一緒よぉ」

 

 

 

戦闘中とは思えない和やかな調子(内容はいささか物騒だが)で雑談していたみほとロゥリィ。人生……というか亜神歴が800年越えのロゥリィはともかく、それに順応してるみほも肝っ玉太すぎだろう。

というか、まるで自室で寛いでいるようなリラックスムードなのだが……

 

だが、森まで1kmを切ったところで、さしものみほも表情をがらりと変える。

凛とした装甲将校の顔で、

 

「中隊第1射用意……ファイヤ!」

 

上空から降り注ぐ砲弾に加え、更に8発の「横から飛び込んでくる砲弾」が、司令部に突き刺さった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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みほ達が森まで500mを切るまで近づき停車砲撃を始めた頃、杏の中隊長車に航空無線(くうでん)が入る。

 

『こちら”コゲラ・リーダー(航空攻撃隊隊長機)”。郵便を届けに来た。送れ』

 

通信符丁からすぐに陸軍航空隊の九九式襲撃機だとわかった。

注文どおりなら2個飛行小隊、8機で来てるはずだ。

 

「やあ、配送ごくろーさん。配送車は8台でいいかい? 荷物はなんだい? 送れ」

 

『8台で間違いない。荷物は【60kg集束粉末焼夷弾(クラスター・テルミット)】。繰り返すクラスター・テルミット。数量は1台あたり4個、飛行隊合計32個だ。送れ』

 

「随分と気が利いてる郵便屋だねー。了解した。今、煙が上がってる森の一角を囲むように配達して欲しいな。敵に有効な対空兵装は確認できず。送れ」

 

『了解した。以上、通信修了』

 

 

 

「アンズ、【クラスター・テルミット】って何?」

 

知的好奇心の赴くままに聞いてくるレレイに、

 

「ああ、それはさ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、ご愛読ありがとうございました。
前回のラストから落差の激しいエピソード(笑)でしたが、如何だったでしょうか?

しかし、ヘルム君が哀れな(^^
早馬を狙撃兵や騎兵に殲滅されて耳や目を奪われた後に奇襲砲撃に戦車隊の近接砲撃、おまけに空から焼夷弾(テルミット)……
これで攻撃はほんの触りなんですから、次回はどんな地獄が待ち受けていることやら。

それでは皆様、また次回にてお会いしましょう!


***



設定資料



九九式七十五粍自走榴弾砲


主砲:九〇式野砲(口径75mm、38口径長)
機銃:武1919式車載機関銃(7.62mm)×2(砲塔上、車体前面)
エンジン:統制型九〇式発動機AC型(空冷V型12気筒ディーゼル、240馬力)
車体重量:23t
サスペンション:独立懸架+シーソー式連動懸架装置
最高速:38km/h
乗員:定員5名(車長が通信手を兼ねることで4名運行が可能)

備考
簡単に言えば、九〇式野砲とその砲弾や砲撃に必要な装置一式を収めた史実の巨大な旋回砲塔を乗せた自走砲。
そのコンセプトはシンプルで「九〇式野砲を自走化させ、装甲戦力として成立させること」である。
九〇式野砲にはそもそも【機動九〇式野砲】という自動車化部隊の牽引砲として再設計されたヴァリエーションモデルが存在する。
しかし、牽引砲とは軍用車両に牽引され前線の砲撃ポジションに到着、牽引をといて設置し砲撃準備作業に入るというプロセスがいる。
まあ、これはこれで九〇式野砲を含めた従来の野砲に比べ遥かに勝る機動力を発揮するのだが、高速化が予想される将来の戦場において、移動から砲撃までのタイムラグを極小にするのが必然として考えられた。
そこで「砲撃に必要な一切合財の機材と砲弾を詰め込んだ大型砲塔」を場所を選ばず走行でき発展著しい戦車の車体に乗せてしまえという発想はきわめて自然な流れであろう。

そこで九〇式野砲の長大な射程を生かせるように大きな仰角……理論上、理想放物線である最遠投射仰角の45度を取れるように設計され、反面砲塔装甲は薄く、銃撃や敵榴弾の破片に耐えられる程度とされた。

実際に生産が始まったのは皇紀2598年(1938年)で制式配備されたのが翌年だった。


また同時期、同じ九七式中戦車をベースに九〇式野砲より射程は劣るが威力に勝る【九一式十糎半榴弾砲】の改良型をオープントップの旋回砲塔に搭載した【一〇〇式十糎半自走榴弾砲】というバリエーションの開発が修了し、1939年中に量産が始まっている。







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