祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた 作:ボストーク
感謝御礼です♪
さて、今回は声だけですがアンジーが出てきたり、実はガネっ娘の無線手やら家元のお嬢なんかが出演予定です。
後書きには懲りずに設定資料を搭載してたりします。
えっ? まこぴー?
多分、居眠りぶっこいてるのではと……
1939年11月、大日本帝国『特地』、保護領”イタリカ”郊外野戦陣地、戦車隠蔽壕
それは大日本帝国【特別地域攻略機甲軍】……通称【特甲軍】の【遣イタリカ増強師団】麾下戦車連隊、第6戦車中隊第1戦車小隊の小隊長と中隊副隊長を兼任する”西住みほ”少尉が、車内で地図を確認しているときだった。
『西住ちゃん、聞こえるー?』
「みぽりん、会長……じゃなかった”中隊長”から通信入ってるよー」
そうどこか呑気な声で告げたのは、ウェーブがかった性格同様明るい髪とアンダーフレームのメガネがチャームポイントの通信手を務める”
「はいはーい。ありがとう、沙織さん」
こちらはこちらで気楽な雰囲気で沙織からヘッドセットを受け取るみほである。
現在の大日本帝国において戦車兵は一種の技能職であり、戦車徽章を取ればそれなりに階級は優遇され、一兵卒から始まることは無い。
例えば、みほや沙織の出身校である「大洗女子戦車学校」を卒業(=戦車徽章を得る)できれば最低でも下士官の一番下である兵長の階級が与えられる仕組みだ。
みほの場合は短期士官養成課程を終えてるので、その時点で准尉(少尉の一つ下の階級)の階級資格を保有していたのだがだったのだが、戦車徽章を得ることによって士官学校卒業者と同じ少尉からの任官となっていた。
ただみほは除くとしても、前話に出てきた”秋山優花里”や沙織、そして同じく小隊長車に乗るまだ名前が出てこない残り二名も同期の桜なのだが、なぜか階級が少し異なる。
実はこれ、「大洗女子戦車学校」在学中に取った資格や履修した課程による差なのだ。
つまり、大洗女子を卒業できるだけでも兵長の資格は得られるが、任官時に少しでも階級を上げておきたければ戦車に関係する(あるいは陸軍が推奨する)資格や課程を取っておけということなのだ。
例えば、沙織は国家資格でもある二級通信士の資格を取ったことが考慮され任官時には兵長より一つ上の伍長の階級が与えられている。
それより1階級上の優花里は、更に色々取っているようだが……
「こちら”
『あー、
いつもどおりの中隊長、かつては大洗女子で生徒自治会長を務めた1年先任で才媛と名高く上層の覚えもめでたい”
『師団司令部から連絡入ってね。司令部偵察機が南下する敵大規模集団を捉えたみたいだよ。まあ、間違いなく毎年恒例の”アレ”だろうねー』
「例の”農閑期の大攻勢”ですか……」
みほは溜息を突きながら、
「いい加減、懲りるとか諦めるって言葉を学んで欲しいですね」
『それ言っちゃあ駄目でしょう。アチラさんだってお仕事なんだからさー。鍬を武器に持ち替えただけで簡単にできるお仕事ですってね』
「それはそうなんですけど……初めての大規模陸戦が、オークやトロルやゴブリンっていうのは戦車乗りとしてどうなんだろうなーと」
ちなみにみほたちが任官したのは今年の4月で、本国での九八式重戦車の慣熟訓練を終えて『特地』に赴任したのが7月、部隊の入れ替えで同期と共にアルヌスからイタリカに中隊単位で再編/配置転換されたのが9月であり、この間まだ大規模な陸戦には遭遇していない。
今まで戦闘と言えば散発的な戦いで、射程ギリギリの距離で榴弾を数発打ち込めば勝手に敵が撤退するような戦いが大半だった。
『あっはっは♪ 大丈夫、それは私も思ったから』
「そんな
『違いないねー』
しかし、杏は一頻り笑い終えると真面目な声になり、
『確認だけど、戦闘が始まると私は前線砲撃統制官と前線航空統制官もやんなきゃならないからさ、悪いけど手が回らなくなったら中隊指揮は頼んだよー』
ちなみに杏、在学中から二つの前方統制官資格の習得と短期士官養成課程を受講していたためにまだ服役2年目だというのに陸軍士官学校卒業者と同等以上の中尉という階級を得ていたりする。
この元会長、現中隊長はかなり優秀である。
「了解。任せてください」
新米少尉に戦車中隊指揮をまかせるなど本来なら無茶振りもいいとこだが、階級的には別におかしなことではない。
この第2戦車中隊における士官は中尉の杏と少尉のみほしかおらず、杏の次の先任がみほとなるのだ。故にみほは第1小隊の隊長に合わせて中隊全体の副隊長も兼任しているのだった。
残るメンバーは下士官ばかりで、中隊の全員が大洗女子だけでなく各地の女子戦車学校出身者で固められていた。
それもそのはずで今年の9月まではイタリカ増強師団には第5中隊までしかなく、先に述べた再編で新設されたのがこの第6戦車中隊だった。
***
余談ながらこの世界の帝国陸軍の戦車連隊の編成の説明をしよう。
基本的に戦車4両で1小隊を組み、それが3個小隊が集まると同時に中隊長車と付随車を合わせた計14両で1個中隊を編成する。
その他の兵科ならこの上に2~3個中隊編成の大隊という単位があり、その大隊が2~3個集まり連隊となるのだが、大日本帝国陸軍師団の場合は少々特殊で大隊ではなく4~6個中隊+連隊長直轄小隊の4両が集まり連隊を形成する。
師団というのは戦車だけでなく各諸兵科連隊/大隊が集まり司令部を持つ規模の将兵の集団を指す。
というわけで戦車連隊定数は通常60両、最大で88両編成(ただし司令部直轄の機甲予備や他の兵科所属の戦車もあるため師団全体の戦車保有数はそれ以上)となることが多い。
普通、最大数の6個中隊を持つ装甲戦力増強師団は特に”機甲師団”と呼ばれることが多いが、イタリカ駐留師団の場合は他にも色々と増強され、帝国陸軍の最小編成師団の倍近い人員規模(総兵力約4万4千人)を持つために”増強師団”と呼ばれている。
現在、『特地』に配備されてる帝国陸軍/空軍……【特甲軍】の総兵力が19万人強なので実に総兵力の1/4がイタリカに集結してる計算になる。
蛇足ながら特甲軍の規模は、モデルとなった史実の”関東軍”と比べるならずっと小さいことがわかる。
関東軍の最大兵力は85万人とされているので、実に1/5程度でしかない。
これはまず、この世界の大日本帝国が現状を『戦争状態として認定してない』……他国の干渉を防ぐために『内戦状態に対する治安活動』という方便を建前にしてるゆえに大規模な徴兵は行なわれておらず、予備役や通常徴兵人員を除く帝国三軍合計の正規根幹戦力が90万人程度しかいないことが理由だ。
その大雑把な内訳は、正規軍人は陸軍で48万人規模、海軍は30万人規模、空軍が12万人規模というところだろう。
もっともこの世界では極端な火力偏重主義の大日本帝国陸軍だけあって、特甲軍の総火力は関東軍の総火力に劣りはしないだろう。
詳細を語れば長くなるが……要は史実と異なり大陸や半島からの撤兵と望む望まないに関わらない英米との関係強化で、モータリゼーションに代表されるような国家の近代重工業化/重商主義化がなされてしまったために国力維持/発展のために大量の中産階級と良質な労働者が必要となり、そのしわ寄せが軍部に来たという訳だ。
今の日本の産業界にとり「平時から100万人以上の優良な労働力を引き抜かれるなど冗談じゃない」ということなのだろう。
ただでさえ、日清/日露戦争に1905年(明治38年)9月5日の【日比谷『門』異変】から始まる『門』外勢力との戦闘や関東大震災で徴兵された成人男性が消耗してるのだから尚更だ。
もっとも、この「兵員供出忌避の風潮」があったからこそ少人数でも大軍を相手取れる陸軍の「火力至上主義」が生まれ、みほ達のような【婦女子志願兵】の台頭があったのであるが……
基本、『特地』には徴兵員は配属されず職業軍人や志願兵のみで構成されるので、特に陸軍(19万人中16万人が陸軍軍人)は正規戦力の実に半分近くを『特地』に傾注させていることになる。
少ないようだが、現在の帝国軍の規模を鑑みれば、帝国陸軍は本土防衛以外の機動的運用可能な戦力の大半を『特地』に注ぎ込んでいる熱の入れようなのだ。
これも英米ともめておらず、今のところ海外派兵の予定が無いからこそできる荒業なのであろう。
「みぽりん、中隊長なんだって?」
「敵の大規模軍勢が南下を始めたって。遅くても数日以内に会戦になると思うよ」
「うわー、やっぱり来るのか」
心底嫌な顔をする沙織だったが、
「仕方ないよ。季節の風物詩だと思って、諦めるしかないんじゃないかな?」
「そんな物騒な風物詩なんていらないわよ!」
「そうですねぇ。どうせなら風流に季節の花便りなどにして欲しいものです」
そう話に乗ってきたのは砲手を務める”
ちなみに彼女は近年制定された陸軍の技能資格、【戦車砲手技能検定】の二級に合格しており伍長任官になった。
見た目、典型的な大和撫子で容姿を裏切らず有名華道一門家元の一人娘だったりするのだが、おっとりとした見かけや口調に反して幼少期に大正デモクラシーを経験したせいか性格は活動的で「これからの時代、女性の価値観は良妻賢母だけではありません。めざせ職業婦人です」と一念発起。
どこをどう間違えたのか職業軍人になってしまった女の子だった。いやまあ、確かに女性軍人も職業婦人であることは間違いないのだが……
「残念ながら風流はこの土地に馴染みが薄いみたいだねー」
「まったくです。ここでも咲き誇る花はあるというのに……軍靴で踏みにじるなんて無粋ですよ」
ぷんぷんと憤慨するような華だったが、
「あのー……それは言うなら自分達は、履帯で花を踏み潰してるんじゃあ。重さ31tで」
すると華、笑顔のはずなのに何故か凄味を感じさせる表情で、
「優花里さん、わたくし達はお国に仇なす敵を踏み潰してるだけです。躯はやがて大地に吸収され、新たな花を咲かせる養分になります。
「は、はい……」
中隊随一の砲撃番長の言葉に、優花里はおもわず漏らしそうになるぐらい縮みあがってしまったのはご愛嬌。
放尿プレイは西住隊長の前だけと心に誓っていた優花里はなんとか実際には漏らさず耐えたが。
もっとも、みほがスカ系のプレイを好むかは全く別問題だったりする。
「まあまあ。華さんは戦車砲と同軸機銃の試射点検、特にライフリングの磨耗の確認ね。優花里さんは砲弾の確認をよろしく。今回の戦いも榴弾多めになるだろうから」
宥めながら矢継ぎ早に指示を出すあたり、みほも一端の隊長と言えよう。
「私は地図の確認と小隊への伝達、
乗車各員から了解の返事が来るが、
「ねえ、みぽりん……」
「ん? なに?」
「わたし達、勝てるよね?」
「みんながいて、いい戦車もある……とりあえず、」
少し心配そうな沙織にみほは柔らかく微笑み、
「負ける要素は見当たらないかな?」
少女達の正念場は、もうすぐそこまで来ていた。
皆様、ご愛読ありがとうございました。
自分で書いてて、丸投げする元会長とちょっと怖い華ちゃんが妙に気に入ってしまった作者です(^^
次はいよいよ戦闘ステージかな?
ご意見ご感想をいただけたら幸いです。
***
設定資料
九四式七十五粍戦車砲
口径:75mm
砲身長:2,883mm(38口径長)
貫通力:500mで垂直100mm(
搭載車両:九五式重戦車、九八式重戦車など
備考
大日本帝国陸軍の傑作火砲の一つに数えられる九〇式野砲をベースに後座長を短縮するなど戦車砲としての最適化を狙い再設計、1934年(昭和9年、皇紀2594年)に正式化された砲である。
元々は九五式重戦車用に開発された……というより九五式自体がこの砲を搭載するために重戦車として開発されたというほうが正しい。
開発者によれば「最初に砲ありき。次に砲に合わせて車体が出来上がった」とのこと。
そもそも、対『門』外勢力(開発当時はまだ『特地』という言葉はなかった)からの帝都奪還に燃える帝国陸軍にとり、高威力の近代火砲の開発は急務であった。
前身の様々な失敗を経て完成した九〇式野砲であり、それを米国牽引のモータリゼーションの影響を受け、陸上装備の機甲化に尽力してた陸軍が戦車砲に改造し、それを搭載できる戦車を開発するのは必然であった。
また、この砲は米陸軍の同じ75mm砲であるM2/M3戦車砲などの薬室サイズやライフリングが完全に一致していて各種砲弾の完全互換が可能である。
一番の理由は1924年(大正13年)、前年の関東大震災で製造施設の破壊などにより不足気味だった砲銃弾を補うためにに締結された『日米砲弾/弾薬相互間協定』によるものだが、実は90式の原型となった野砲も米国が協定締結当時に主力野砲としてライセンス生産していてM2/M3戦車砲の原型となったほうも、そのオリジナルは仏製の”M1897野砲”であったのだ。
もうお察しかと思われるが、戦車砲に再設計される前の野砲の時代から、実は砲弾は共通化されていたのだった。
そのため、この砲は日米の多種多様な砲弾が使用可能となり、その砲弾のバリエーション故に第二次大戦全期を通じて、中盤までは主力対戦車砲として後半は火力支援砲として主力砲の一角になりえた。
また、1939年(昭和14年、皇紀2599年)には八八式七糎野戦高射砲を参考に、九八式重戦車や一式中戦車に無改造で搭載できるぎりぎりの長さまで砲身を伸ばした”軽量45口径長砲身”を採用して初速を引き上げ貫通力を増し、