祝☆劇場版公開記念! ガルパンにゲート成分を混ぜて『門』の開通を100年以上早めてみた   作:ボストーク

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皆様、こんばんわ~。
ようやく本格的に戦闘開始です。
それにしても、空爆と砲撃の中を進軍する”帝国”の紳士諸兄には同情しますねー(笑)


後書きには相変わらずの設定資料付き。今回は架空戦闘機だったりします。


第04話 ”初弾、発射です!”

 

 

 

その日、イタリカの街周辺に鳴り響いたのは、「人工的な雷轟」ともいえる数々の大音声だった……

 

 

 

イタリカを守備する大日本帝国軍からの最初の攻撃は、航続距離の短さゆえにイタリカ近郊の大日本帝国空軍管轄の野戦飛行場から駆け上がる防空戦闘機【九七式重局地戦闘機】と、後方にあるアルヌス空軍基地から飛び立った空軍保有の最新鋭爆撃機【九七式重爆撃機】と実質的に急降下爆撃機によって【九七式軽爆撃機】の”トリオ・ザ・97”による空軍のアンサンブルから始まる。

 

真っ先に駆けつけた重局地戦闘機が翼竜(ワイバーン)を集中的に狩ってる間、重爆撃機が敵に満足な地対空火器が無いからこそできる”低高度からの密集水平爆撃(フライパス・カーペットボミング)”で爆弾を撒き散らしつつ面攻撃を行い、軽爆撃機の急降下爆撃で敵の密集地点を精密爆撃で切り崩していく。

イタリカからまだ距離があり、味方も民間人も巻き込む危険の無いこの環境だからこそ、総勢114機の航空隊は「へへっ! どこに落としても敵の上だぜ!」という感じで好き放題に攻撃できた。

 

蛇足ながら翼竜相手に空中で大立ち回りを演じた戦闘機は、同じ九七式という名前は付いていても史実の、あるいは本国で配備されている【九七式戦闘機】とは全くの別物だ。

貴方が第二次世界大戦の軍用機ファンならば、現在の『特地』上空で起こってる情景に目を疑いであろう。

何しろ【九七式重局地戦闘機】という聞きなれない戦闘機の正体は、「陸軍機迷彩に日の丸を描いた”初期型スピットファイア戦闘機”」なのだから。実に眼福である。

正確には『特地』のみに配備されている輸入されたスピットファイアのライセンス生産モデルなのだが……詳しい説明は長くなるので詳細は設定資料に譲るとしよう。

 

ともかく空軍部隊のある意味無双ではあったものの、実は”帝国側”軍勢にとってはイタリカ攻略を諦めるほど致命的なダメージとはなっていなかった。

度重なる戦闘で実は”帝国”側は日本人の航空攻撃になれていて、最初から一つの大集団ではなく複数の集団に分かれ行軍することにより目標を分散させていたうえ、”帝国人”が言う「金属の翼竜(メタル・ワイバーン)」の接近を確認するとその場に伏せるか分散するかの行動を取るよう徹底されていたのだ。

故に片っ端から最優先で撃墜されて事実上壊滅した翼竜や、身動きの取れない馬車/荷車/牽引砲を除いては、まだ十分な戦力を残していた。

 

まだこの時代の航空機の兵器搭載量は低く、また大日本帝国も空中で円錐状に対人子弾を散布したり、あるいは地表で炸裂し球体散弾を水平に爆散させる対人/対怪異掃射に効率的な拡散航空爆弾類はまだ開発段階で、実戦配備にはもうしばし時が必要だろう。

現在、標準的に使われている破片と爆風でダメージを与える従来型の航空爆弾では、どうしても効果は限定的だったことも原因だろう。

 

 

 

***

 

 

 

空爆が終わりようやく隊列を組み上げようとする軍勢に襲い掛かったのは、みほが見上げていた【九九式襲撃機】の編隊だった。

同じイタリカ近郊でも、今度は陸軍の野戦飛行場から飛び立ったそれらは、敵に見つからぬよう地表すれすれを駆け抜けるように飛行し、軽量故に数がつめる60kg爆弾を投網でも投げるように投射、更には両翼に収めた2丁の50口径機銃で人間や怪異を、地面に縫い合わせるミシンのように弾がなくなるまで機銃掃射を行い飛び去ったのだ。

 

しかし、”帝国側”の軍勢はホッとしていた。

今回の36機で行なわれた空襲は、先程の苛烈なまでな爆撃に比べれば遥かにダメージは少なかったのだ。

だが同時に、九九式襲撃機の本当の恐ろしさをわかっていなかった。

九九式襲撃機の隠れた特徴は既存の技術で作られたゆえの整備性の良さや稼働率の高さ、堅牢さ、何より燃料弾薬を補給するまでの”再出撃までの時間(リアクション・タイム)”の短さだ。

爆弾搭載重量の低さ(九九式襲撃機は九七式軽爆撃機の半分の搭載量)や陸軍の機体保有数の少なさゆえに九九式襲撃機は反復攻撃を重視して設計されており、また搭載爆弾はその小ささゆえに威力も低いが、逆に言えばそれだけ味方を巻き込む危険も少ない。

実際に”帝国”軍勢はイタリカに着くまでに数度の空襲に合い、一回あたりの被害は少ないとはいえボディーブローのようにじわじわとダメージが蓄積されることに頭を抱えることになる。

 

 

 

しかし、”帝国”軍勢の困難はまだピークに至ってなかった。

それは、1回の大規模な空爆と数回の空襲を受けながらも、なんとか街まで20kmを割った時だった……

 

”Zvoooooom!!”

 

「なっ、なんだあっ!?」

 

「落ち着け! ”ニホン”の砲撃だっ!! イタリカから撃ってきてやがる!」

 

「畜生! あいつらなんて距離で弾飛ばしてきやがるんだよっ!!」

 

今度こそ、その射程距離と威力に度肝を抜かれる”帝国”軍勢。

この時、かの軍勢に向けて放たれたのはイタリカ防衛陣地網の奥深くに設置された重砲、長射程を誇る【九六式二十四糎榴弾砲/九六式十五糎半榴弾砲】や【九六式十五糎半加農砲】のつるべ撃ちだった。

 

その阻止砲撃を効率的に行なうため、上空に弾着観測機の役割を担った【九八式直接協同偵察機】が数機、空中に円を描くようにゆっくりと遊弋していた。

眼下の情景が平和なものなら遊覧飛行のように見えなくもないが、彼らは決して一定の高度より下がらない。

その一定の高度とは、「”帝国”製の小銃弾や魔導師の攻撃魔法が届かない」高度だ。

基本、小銃はともかく魔導師が呪文を唱え終わる前に高速フライパスする爆撃機や攻撃機はいいが、弾着修正任務をこなすためにゆっくり飛ぶ観測機は敵弾や魔法が届く距離ならいい的でしかない。

 

 

 

実は九七式重駆逐戦闘機が最優先で翼竜を最優先で落として制空権を確保したのは、爆撃機への攻撃排除や味方への空爆を警戒していただけではない。

この敵上空にしつこく張り付き、敵情偵察と弾着修正をこなす観測機を守るためでもあった。

 

まだ日比谷公園が占拠されていた頃から、おそらくは帝国陸軍からの鹵獲品であろう小銃を竜騎兵が装備し、地上銃撃を行なっていたという事例が数多く報告されていた。

そして近年、竜騎兵が同じく鹵獲したと思われる軽機関銃を装備してる例が出現し始めたのだ。

軽機関銃は基本的に小銃と同じ弾丸を使うものであり、防弾装備がない機体になら例え軍用機でも十分に脅威になる。

いや例え防弾装備があったとしてもこの時代にはまだ完璧な防弾ガラスや他の防弾透明素材は開発されておらず、風帽(キャノピー)に直撃を食らえばパイロットもただではすまないだろう。

こうして翼竜は、帝国陸軍に辛酸を舐めさせた空対地攻撃力以外にも限定的ながら空対空能力をも獲得した。

もともと「軽戦車並みの装甲といかなる戦闘機を上回る最小回転半径を持つ」と言われる翼竜に対し、50口径のM2ブローニング機関銃の登場まで満足にダメージを与えられる地対空火器はなかった。

高射砲も当たれば有効だったが運動性の高い翼竜に命中させるのは極めて難しく(高射砲の本来の目的は高高度を飛ぶ鈍重な爆撃機対策)、未だ地上部隊の有効な対翼竜用対空火器は弾幕を張れる機関銃や機関砲だった。

 

また、現状の航空機技術では運動性において翼竜に拮抗するのは難しいと考えた帝国空軍は「運動性や航続距離を犠牲にしても、翼竜に対して優勢な速度/高度性能を生かして高火力を集中させる一撃離脱で一気に葬る」という戦術を考案し、その”翼竜殺し(ワイバーン・スレイヤー)”の具現化第一弾が先にあげた【九七式重局地戦闘機】だった。

 

 

 

***

 

 

 

空を押さえられ砲弾の雨に晒されながらも、それでも”帝国”側の進軍は止まらなかった。

 

(チッ! 去年より更に守りが堅くなってやがる!!)

 

今年度の遠征の指揮官を勅によって賜った”帝国”子爵の【ヘルム・フレ・マイオ】は歯噛みする。

しかし、ここで諦めるわけにはいかない。

自分に任された軍勢は亜人や怪異を含めれば11万を超えている。情報によればイタリカのニホン軍は去年より多少は増えてるとはいえ4万人を少し越える程度だ。

竜騎兵(ドラグーン)が全滅したのは手痛いし、砲撃の激しさが去年以上だとも思ったが、それは即撤退を意味するものではなかった。

 

当然である。去年は後詰め部隊の一つを任されたに過ぎないので自分はお咎め無かったが、遠征軍の指揮を任された貴族将軍は、壊走の責を取らされ処刑にはならなかったものの爵位剥奪の憂き目を見ている。

 

「俺はアイツとは違う!」

 

勅である以上は断ることは叶わずだったが……逆に言えばイタリカ制圧は無理でも、「まともに戦う前に逃げ帰った、イタリカを遠目に観ただけの壮大な演習」と酷評された去年以上の成果さえ出せば、さほど糾弾されることはあるまいとたかをくくっていた。

 

(いや、それどころか……)

 

数年前に『門』の向こう側から叩き出されて以来、戦争という側面に関してはいいとこがない”帝国”であればこそ、ちょっとした成果さえあげれば戦意鼓舞のため主戦派が大いに喧伝してくれるだろう。

 

(そうなれば、伯爵の地位と領地の拡大も夢ではない)

 

立身出世のためには有象無象の命など知ったことではない。

平行世界(げんさく)と違って日本の捕虜になることは今までなかったが、良くも悪くも”帝国”貴族的な発想をするヘルムは、「被害軽微」を理由に侵攻作戦の継続を決断する。

そもそも後詰めにいた自分の率いる部隊は、空襲以外は目立った損害はなかった。

去年との比較も実際には着弾の数と音で大雑把に「去年より激しい」と判断したに過ぎない。

 

(それに秘策だってある……!)

 

だが、ヘルムは知らない。

今は爵位を失った去年の司令官が、想定以上のイタリカからの火力で凄まじい勢いで自軍の前衛が磨り潰され、本隊の損耗を恐れて早めに撤退したということを。

だからこそ、今年の行軍では去年を上回る10万人超の軍勢を動員できたということを。

 

そしてこの時点で、戦死者数が去年を上回る勢いだったということを……

 

「全軍! ”分散合撃”用意っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************************

 

 

 

 

 

 

「西住隊長殿、会戦直前になんですが……この”粘着榴弾(HESH)”って砲弾はなんなんでしょう?」

 

第1小隊の小隊長車である九八式重戦車の装甲板に囲まれた車内で、初めての大規模戦の緊張を紛らわすためだろうか?

秋山優花里はそんなことを言い出した。

彼女が話題にしたのは、弾薬庫の片隅に収納された”試作品”とでかでかと書かれた封印紙が貼り付けてある得体の知れない砲弾だった。

自他共に認める戦車マニアの優花里がまだ知らないそれは、つい先日に配給された真新しい代物なのだが……

 

「ん? 英国人が開発した”対戦車榴弾”だよ。確か中身はヘキゾーテル(RDX)トロチル(TNT)のB配合(コンポ)プラスチック爆薬とワックスの混合物……だったかな?」

 

みほは戦車長以上が集められて受けたレクチャーの内容を思い出しながら告げる。

 

「へっ? プラスチック爆弾で装甲を撃ち抜けるんですか?」

 

きょとんとする優花里にみほは小さく笑いながら、

 

「ちがうちがう。発射された砲弾は敵戦車の表面にべっちゃって張り付いてから爆発するんだよ。え~と、”ホプキンソン効果”だったかな? その時の衝撃波が装甲板を伝わって内側を剥離、飛散させるの。その破片が戦車自体じゃなくて乗員にダメージを与えるみたいだよ?」

 

「な、なんか割とえげつない砲弾ですね……」

 

若干引き気味の優花里だったが、それを聞いていた沙織はゲンナリしながら、

 

「粘着して爆発してダメージを与えるなんて、なんだかタチの悪いストーカーみたいな砲弾だよねー」

 

あまりに的確な物言いに、つい隊長車の中は笑い声に包まれるが、

 

『中隊各員聴こえるかーい。傾聴せよだ』

 

無線機越しに聴こえてくるのは、中隊長の杏の声だ。

みほをはじめ小隊の面々は表情を『戦車乗り』の顔に変え、互いにうなずきあった。

 

『そろそろ敵の先発隊がワタシらの射程に入るよ。各車、榴弾を装填して待機だ』

 

そしてちょっとだけ間をおいて、

 

『大日本帝国を差し置いて”帝国”を詐称する野蛮人どもに、「大洗女子」名物の中隊統制射撃をお見舞いしてやろーぜー』

 

その言葉と同時に中隊計14両の全車から、異口同音の雄たけびが上がる!!

 

 

 

***

 

 

 

そして無線で方向と距離が伝えられる。

指示されたのは、本来の戦車同士の交戦距離として考えればかなりの遠間合いだが、一種の自走砲として扱う今なら妥当なところだ。

射程の上限は砲の性能というより照準機の性能と言えるかもしれない。

そして九四式七十五粍戦車砲に最大の仰角がかけられ……

 

『ほんじゃあ、中隊全車砲撃よーい。いっくよー……()っ!』

 

「ファイヤ!」

 

みほの号令と共に、ついに初弾が放たれた!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





皆様、ご愛読ありがとうございました。
今回のお気に入りは、沙織の粘着榴弾に対するコメントだったりします(^^

あっ、それと今回初めて「GATE」側のキャラが出てきました。思い切り敵側ですけど(笑)
どういうわけかヘルム君には幸せな結末というものが予想できませんね~。

それでは皆様、また次回にてお会いしましょう。


***



設定資料



九七式重駆逐戦闘機

エンジン:三菱マーリン11型(過給機付き液冷V型12気筒、1030馬力)
最高速:570km/h
航続距離:785km
固定武装:武2式航空機関銃×4(12.7mm。主翼内。M2ブローニングの航空機搭載型AN/M2のライセンス品)
オプション:落下式増槽(1939年生産モデルから一部試験的に導入)

備考
簡単に言えば「大日本帝国でライセンス生産された初期型スピットファイア」。
そもそもなんでこの英国を代表する戦闘機が日本で生産される運びとなったかといえば、やはり根本にあるのは翼竜(ワイバーン)対策だ。
翼竜の硬い鱗を撃ち抜くには最低でもM2重機関銃の50口径弾以上の威力の弾が必要なのはいくつかの資料が述べてるとおりだが、それを翼竜と同じ空に駆け上がり近距離から機銃弾を撃ち込める航空機に搭載しようと考えるのは、帝国空軍としては必然だった。
そもそも空軍設立時の役割の一つが「翼竜を駆逐すること」なのだから。

しかし、空軍が設立された20年代当時から30年代に入っても、中々に50口径機銃を搭載できる戦闘機は日本を含めても開発されなかった。
例えば同時代に空軍に採用された【九七式戦闘機】は、30口径の武1919式航空機銃(M1919の航空機搭載モデルのライセンス生産版)2丁にすぎない。

そこで白羽の矢が立てられたのは、1936年6月3日に英国により310機が発表された「スピットファイア」であった。
実は日本空軍が「50口径機銃を複数搭載できる戦闘機」を欲してることは有名であり、特に同盟国である英国/米国の航空機メーカーは大いに食指を動かしていた。
実は、「スピットファイア」という正式名が与えられる前の試作機「タイプ300」の頃から開発元のスーパーマリン社から売り込みがかけられていたのだ。
実際、英国政府に売り込まれたその同時期にAN/M2を4丁主翼内に装備した性能評価用の試作機が組み上げられ、日本空軍に引き渡される。
その試作機の性能に満足した空軍は、英国と時をおかずにスーパーマリン社への発注とマーリン・エンジンを含むライセンス生産契約を結ぶことになる。
また、ライセンス生産はエンジンが三菱、機体が川崎が行なうことになった。
英国から最初の機体が届いたのが1937年(皇紀2597年、昭和12年)だった為に【九七式重局地戦闘機】と命名されることになったが、実際に日本国内で生産が始まったのは1938年からで、実戦配備も同年からである。
また生産数がまだ多くは無いために『特地』のみに配備されているのも特徴だろう。

【重局地戦闘機】とは聞きなれない名だが、運動性や航続距離より速度/火力/防御力を優先して設計される「重戦闘機」と、防空が主任務の航続距離の短い戦闘機を示す「局地戦闘機」を合わせた新造語である。
制定された理由は同時に採用された空軍の【九七式戦闘機】と区別するためだろう。

また、ライセンス生産の時点で初期型スピットファイアではプロペラが木製だったが金属製に切り替えられられたり、39年モデルからは試験的に落下式増槽(ドロップ・タンク)が導入されるなど細かい改良が続けられている。

ただ用兵側にまったく不満がなかったわけではなく、特に航続距離や滞空時間は深刻な問題とされていたし、また本国英国の技術的フィードバックも取り入れたいという空軍側の要望もあり、後の本格的な改良型でスピットファイアMk. V準拠の【一〇〇式重局地戦闘機】が開発されることになる。





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