東方怪獣録   作:怪獣好き

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 注意事項は1と同じです。


幻想のセブン2

 アリスは久々にゆっくりと一人で紅茶を楽しんでいた。多少時間はかかっているが、まあ許容範囲だろう。きっとあの二体ならお使いを完ぺきにこなしてくれると信じている。その時、ドアが激しくたたかれる。

 

「……?どうしたのかしら。」

 

アリスがドアを開くと、上海が飛びついてきた。

 

「上海、どうしたの。セブンは?」

「セブンガ、セブンガ!セブンガカイブツニナッタ!!」

「……!何ですって。」

 

アリスは慌てて外へと出る。すると人里の方向へ向かおうとする巨人を見つけた。

 

「あれがセブンなの?」

「ソウ。アヤシイヤツニナニカサレタ!」

「まずいわね、あんなのが人里に入ったら大惨事よ。上海、行くわよ。」

 

 アリスは空高く飛び立ち、ウルトラセブンの前に出る。

 

「止まりなさい!セブン!」

 

 だが、ウルトラセブンは止まらない。腕でアリスをたたき落とそうとする。

 

「くっ!やってくれるじゃない。」

 

アリスは人形を呼び出し、迎撃態勢に入る。

 

「注力{トリップワイヤー}」

 

人形達がセブンの体の周りを飛び回り、縛り上げる。セブンは引きちぎろうとするが、なかなか切れない。

 

「魔界の紐の強度をなめないでよね。まだまだ行くわよ。咒符{上海人形}。咒詛{蓬莱人形}。」

 

二体の人形、上海人形と蓬莱人形達が出てきて、セブンの顔面に光線を打ち込む。

爆音と共にセブンは数歩後ろに下がる。だが、セブンは紐を力ずくで引きちぎると、両手の指二本を立てて額の光っている部分に当てる。すると、青色の光線が放たれた。アリスは寸での所でかわす。

 

「やっぱり効いてない、全く、火力勝負は苦手なのに……」

 

自分は魔理沙のような力技は好きではないし、巨大な敵に効果的に攻撃する術がない。とにかく、霊夢か早苗のような異変解決の専門家が来るまで足止めをしなくてはならない。だが、あの光線はまずい。あれ一発で人里の人間が何人死ぬだろう。何とか、額のランプだけはつぶさないと。そう考えていると、上海が勝手に前に出る。

 

「上海!」

 

 セブンが腕をL字型に組もうとした時だった、上海が、セブンの前に出て、話しかける。

 

「セブン!コンナコトシチャダメ!イツモノセブンニモドッテ!」

 

 その言葉は、闇に支配されたセブンの心を揺り動かす。セブンの腕が、組まれる寸前で止まったのだ。そして、頭を抱え苦しみ出す。

 

「上海の言葉が、効いている?」

 

 上海は話しかけ続けた。まるで、自分の意志を持っているがの如く。そして、その言葉は、セブンを支配する闇を切り開いていく。

 セブンは闇に閉ざされた空間でもがいていた。このまま暴れては、直人君の信じた、正義の味方ではなくなってしまう。そして、自分と仲良くなってくれたアリスや、上海達を傷つけてしまう。それは、それだけは、いやだ。

―――――わたしは・正義のヒーロー・ウルトラセブンの人形だ!!

セブンは理解した。自分は人形であり、同時にウルトラセブンなのだ。それを悟ったセブンは光となった。本物のセブンに比べたらマッチの光ほどに小さな光、だが、それでも光となったのだ。そして、心の闇を吹き飛ばした。

 

頭を抱え苦しんでいたウルトラセブンの体から闇が飛び出た。そして、ウルトラセブンの体は小さくなっていく。

 

「闇が……!」

 

闇はどこかに逃げ居ていこうとした、だが、それを止める者がいた。

 

「霊符{夢想封印}」

 

札が闇を取り囲み、その博麗の秘術の詰まった札の効果で闇は封印された。

 

「全く、こないだの怪獣騒動から少ししか経ってないのに異変なんか起こさないでよ。」

「霊夢。」

 

 そう、我らが博麗霊夢が来たのだ。セブンのうめき声は幻想郷中に響いていたらしい。

 

「で、何でこんな事が起こったの。」

「分からないわ。何でも、妖しい奴がセブンに何かしたらしいんだけど……」

「セブン?」

「ああ、そうだ!セブンは無事かしら。」

 

アリスは慌ててセブンが消えた場所へと向かい、霊夢もそれに続く。

そこには、地面に倒れこんだセブンと、黒づくめの子供がいた。その男がセブンに触れようとする。

 

「偵符{シーカードールズ}」

 

 人形から放たれた光線は黒ずくめの子供の周りに着弾し、男は後ろに下がる。

 

「ふん、魔法使いに巫女か。」

「ええ、そうよ。あんたは?」

「私か、我が名はヤプール人バキシム。」

「セブンをおかしくして……何が目的なの。」

「そんなことを貴様ら下等生物が知る必要はない。なぜなら貴様らはここで死ぬからだ」

 

その瞬間、空がきしみを上げ、ひび割れる。

 

「な、なに?」

「空が割れる?」

 

男の嘲笑が響き渡る。空のひび割れは酷くなり、ついに音を立てて割れる。

 

「さあ現れよ、蛾超獣ドラゴリーよ!」

 

そう言うと、黒づくめの子供は笑いながら創りだした空間のひび割れに入って行き、消えた。

 

「なんて事、また怪獣と戦う事になるなんて……」

「あいつも人里を目指してる。何とか倒さないと大惨事よ。」

「とにかく、攻撃を仕掛けるわよ。」

「ええ!」

  アリスと霊夢は超獣ドラゴリーに向かっていき、札やレーザーで弾幕を張る。だが、ドラゴリーにはまるで効かない。

 

「やっぱり通常攻撃じゃ歯が立たない以前の問題ね。」

「大技を叩き込まなくては……」

「皆さん、お待たせしました。」

 

そこに助っ人が来た。

 

「早苗。ちょうどいいわ。あいつの事知ってる?」

「あいつは確か超獣の内の一体だったと記憶しています。たしか、超獣は怪獣より強いですよ。」

「最悪の情報ありがとう。でも、三人で同時にスペルカードを使えば……」

 

話していると、ドラゴリーが炎を放ってくる。

 

「くっ!話している暇はないわね。一気にたたみかけるわよ」

 

「大結界{博麗弾幕結界}」

「グランギニョル座の怪人」

「大奇跡{八坂の神風}」

 

三人が持つ高火力の弾幕がドラゴリーを襲う。さすがのドラゴリーも三人から攻撃を受ければひるみ、後ろに下がる。だが、根本的な対処法が無い。

 

「っち!相手が大きすぎて攻撃があまり効かないか……」

「霊夢さん、紫さんたちなら何とかできるかもしれないですよ。」

「生憎あいつは冬眠中よ。」

 

 少女達がドラゴリーとの戦いで苦戦する中上海は倒れたセブンのそばにいた。

 

「セブン……」

「うっく……」

「オキタ!セブン、ダイジョウブ?」

「はい、大丈夫です。」

 

セブンは立ち上がると、ドラゴリーのほうへ向かおうとする。それを止める上海人形。

 

「ダメ、イッチャダメ」

「上海さん。私は、やるべき事に気がつきました。それは、人の命を、この命を懸けて守る事。そう、僕のオリジナルのウルトラセブンのように。それに、このままではアリスさん達がピンチなんだ。」

 

セブンは体内の光の力をすべて使い、巨大化した。ウルトラセブンとして。

いきなり現れた巨人。それに目を丸くする霊夢。そして、本物のウルトラセブンを見れた嬉しさに目を輝かせている早苗、そして、セブンを心配そうに見つめるアリス。

 

「皆さん、セブンです。ウルトラセブンが来てくれたんです!」

「ウルトラセブン?何よそれ。」

「M78星雲からやってきた光の巨人。かつて地球を守り続けた正義のヒーロー。それがウルトラセブンです。」

「へえ、じゃあ、異変解決に協力してもらいましょうか。」

 

セブンは、ドラゴリーの顔を殴りつける、何度も何度も殴りつける。そして、偽エメリウム光線の発射態勢に入り、光線はドラゴリーの腹部に直撃、爆発を引き起こす。

少女達も、弱点と思われる部分、つまり顔や関節部を攻撃し、隙を作る。

ここまですれば、通常の怪獣なら倒れていた可能性がある。だが、相手は怪獣を超えた存在、超獣なのだ。ドラゴリーは炎を吐き少女達を追い払うと、セブンの腕に掴みかかり、おそるべき怪力で腕を引きちぎろうとする。それに苦しむセブン。少女達の援護があり、何とか手を外す。だが、ドラゴリーの猛攻は止まらず、大きく吹き飛ばされる。

そして気がつくと、ビームランプが点滅を始めていた。早く倒さなければ、人里は大惨事になる。

だが、もはやセブンに戦う力は残っていなかった。万事休すかと誰もが思った時、セブンの精神世界に声が響く。

「諦めるんじゃない。お前は、俺と同じウルトラセブンなのだろう!」

「あ、あなたは?」

「超獣は強い。命をかけて戦わねばならん。だが、今の君には難しい。」

「……」

「我らも君のいる世界に行きたいが問題があって行けない。だから、君にこの力を託す。」

「これは?」

「ウルトラアイだ。それを目に装着するんだ。」

「はい……デュア!」

「頼んだぞ、幻想郷のセブンよ。」

 

ドラゴリーが今にもセブンの体を八つ裂きにしようとした時、セブンの体が光り、ドラゴリーを吹きとばす。

そして、ビームランプから緑色の光線、エメリウム光線が放たれ、顔を半分吹き飛ばす。さらに、腕をL字に構え必殺のワイドショットが決まり、ドラゴリーは大爆発を引き起こす。

ドラゴリーの絶命を確認したセブンは光となり、人の姿に戻る

 

「勝った……の?」

「凄い、凄いです!生でウルトラセブンの雄姿が見られるなんて。」

「たしかに圧倒的だったわね。……そう言えばアリスは?」

 

アリスはセブンの元に駆け寄る

 

「セブン。」

「すいませんアリスさん。ご迷惑をおかけしました。」

「いいのよ。結果人里はあなたが守ったようなもんだし。」

 

上海は、セブンに抱きついた。

「セブン、モトニモドッタ。ヨカッタヨウ……」

「上海さん……」

 

なにやら、いい雰囲気が漂ってきている。もしかしたら、上海は自律人形へ一歩進化したのではないだろうか。

 

「さて、今日は少し贅沢な夕飯にしましょ。」

「そうですね。」

 

こうしてマイナスエネルギーと人形から生まれた闇の巨人は、たった一体の人形の力で光になる事が出来た。だが、彼は幻想郷唯一のウルトラマンとして、身を削って戦う事となるが、それはまた、別の機会に話そう。

 

 

異次元、そこは赤紫にゆがんだ不気味な世界。そこで様々な黒装束が集まっていた。

「ドラゴリーがやられたか。バキシムよ。」

「は、申し訳ない。妄想セブンが思いのほか強敵で……」

「だまれ!ザンボラーによる幻想郷灼熱作戦、ゾンバイユによる冥界の壊滅作戦、そして今回の妄想ウルトラセブンによる人里の破壊まで失敗するとは……無能は要らぬ。消えろ。」

「ぐ、も、申し訳ありませんでした。」

「ここ幻想郷を前線基地にするのに裂ける時間は長くない。皆の物。早急に作戦を実行するのだ。」

「はは!」

 

こうして、侵略者たちは新たな牙をといでいる。幻想郷の住民は、この悪にどう対抗していくのか……

 

 

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