東方怪獣録   作:怪獣好き

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賽の河原紛争

 これは迷い人の物語。幻想郷という異空間に飛ばされた彼らはその目で何を見、何を為すのか。

 

 時はパワードザンボラーが幻想郷に出現する前の事だった。幻想郷と彼岸の間にある三途の川の河岸。そこに隕石でも落ちてきたかの如き音と地響きと共に巨大な何かが落ちてきた。それは赤と銀色をした、塩と十字を組み合わせた形をしていた。

 その内部、様々な機器が並ぶ部屋で一人の男が目を覚ました

 

「う、うううう……なんだ、俺は、どうなったんだ。」

 

 青と赤の奇妙な服を着た男……佐野は目を覚ました。しばらく頭の痛みに苦しんでいると、一人の男が入ってきた。

 

「隊長!ご無事でしたか!」

「む、東原隊員……ああ。無事だ。」

 

佐野は痛みを振りきり、部屋で倒れている者たちを起こす。全員が何が起こったかわかっていない状態である。いや、一つだけ分かっている事があった。それは、自分達は死んだはずだと言う事である。

自分達はZATステーションNo1ごとベムスターに捕食されたはずだ。

だが、自分達は生きている。ステーション内部を調査してみると、半分はつぶれ、かなり破損していたが、多少の武装は無事だった。

 

「どうなっているんだ……」

 

佐野達がをひねっていると、隊員のうち一人が慌てて走ってきた。

 

「た、隊長!」

「どうした。」

「外を、外を見てください。」

 

そう言われ外を見ると、我が目を疑った。何と、大地があり、川が流れているではないか。

 

「どういう事だ。我々は宇宙で死んだのではないのか。」

「とにかく、無線で本部に通信してみましょう。」

「ああ、そうだな。」

 

通信してみるが、返信が無い。これもおかしな話だ。ZATの技術はTACの時代よりも格段に上がっているはず。なのになぜ……隊員達の疑問は尽きない。

 

「隊長。どうやら、外には有害な物質は無く、酸素濃度も地球とほぼ一致します。」

「うむ、このまま首をかしげていても始まらない。この際、外に出てみよう。」

 

佐野は4人の部下を引き連れ、外に出てみる。佐野にとっては何年ぶりかの自然の空気、自然の重力である。中々に気分がいい……はずだったが、外の光景に佐野は言葉を失った。

子供たちが、石を積んでいる。

何十という子供が石を積んでいるのだ。その光景に他四人の隊員も言葉が出ない。

 

「何なのだ、ここは……」

「隊長。」

「なんだ。」

「聞いた事があります。三途の川、賽の河原では親より先に死んだ子供が石を積んでいると。」

「三途の川、賽の河原だと。」

 

何を馬鹿なと思う佐野であったが、目の前の光景は確かにこの世のものではない。とにかく先に行ってみようとする。その時であった、もう少しで石が積み上がる子供の所に、頭に角の生えた人間が現れ、それを崩したのだ。

 

「何をするんだ!」

 

 隊員の一人が叫ぶと、頭に角の生えた人間……まるで鬼のような存在が睨みつけてきた。

 

「なんだ、霊はちゃんと渡しの場所並ばなければ……」

 

途中で言葉を切り、臭いをかいでくる鬼。

 

「何だ、生きてる人間じゃないか。此処は生きている人間が来る場所じゃない。とっとと失せろ。」

「そんなのはどうでもいいだろう!なぜその子が積んだ石を崩す!」

「仕方がないだろう。それが仕事だ。」

「何を……」

「待て、笹野。賽の河原ではこれがルールなんだ。」

「何?」

「賽の河原で子供達が石を積むのは親の供養のため、だがそれは鬼に邪魔をされる。彼らを救えるのは地蔵菩薩だけだ。」

「そんな……そんな事って……」

「笹野、落ち着くんだ。」

「隊長。」

 

笹野は佐野を見る。佐野は表面上平静を保っていた。だが、彼の手が震えていた。握りしめられ、震えていたのだ。

 

「私の部下が失礼した。」

「解ればいい。此処は生きている者が来ていい場所じゃない。とっとと消えな。」

「解った。行くぞ。」

「「「了解。」」」

「っく!」

 

笹野一人は納得していなかったが、彼らはZATステーションに戻る。

 

ステーション内部では隊員達が復旧に全力を尽くしていた。佐野は彼らに作業をやめさせ、現在の状況を説明した。此処が三途の川、賽の河原であるという事を。

当然隊員達は混乱し、信じられないという。だが、これは事実である。

 

「みんなが混乱するのも無理はない。だが、ここが三途の川であることは事実なのだ。解ってほしい。」

 

 佐野の言葉で、混乱は少し収まる。そして佐野は口を開く。

 

「さて、我々はベムスターに捕食され、なぜか死後の世界に来てしまった。だが、我らは生きている。我らの行うべき行動は一つ、元の世界に帰る事だ。この世界に来れたのだ、帰れないはずがない。我らの当面の目的はここから出る方法を探す事。……だが、みんな自分では気がついていないと思うが、かなり疲労しているはずだ。あんな事があったんだ。無理はない。だから今日はみんな一日休憩をとれ。ただし、外には出るな。これは隊長命令だ。」

 

了解という言葉と共に、隊員が解散する。それを確認して佐野がステーションを出ようとすると、呼び止められる。

 

「隊長。」

「む、東原隊員。どうした。」

「隊長だけ作業するのはだめですよ。隊長も休憩してください。」

「ふ、ばれたか。」

 

佐野は皆の代わりに調査をしようとしていたのだ。だが、東原に止められたので、素直に従う事にした。

 だが佐野は忘れられなかった。賽の河原で石の塔を崩された子供の絶望した顔を。子供がいる身としては、子供にあんな真似をさせる神を初めて呪った。

 だが、自分達にはどうしようもない。そう自分に言い聞かせ、奇跡的に無事だった自分の部屋へと向かう。

 

 それから数時間たっただろうか。佐野が自分の部屋で家族の写真を眺めていると、地響きが聞こえる。

 何事かと外に出ると、倒れた笹野隊員と、怒りの表情で棍棒を振り上げている鬼の姿であった。

 

「待て!」

 

 佐野は慌てて二人の間に入る。笹野は頭を殴打され気絶していた。

 

「私の部下に何をする!」

「貴様がこいつの上司か。ならば良く言い聞かせておけ、ここでは鬼に逆らわない方が身のためだとな。」

 

そう言うと、鬼は棍棒を担いで歩いて行く。佐野は笹野を抱えると、ステーションに戻り、治療させる。数時間して笹野は目を覚ます。

 

「笹野隊員。」

「隊長。」

 

 笹野は悔しそうに顔を顰めていた。

 

「外で何をしていたんだ。」

「……石を、積んでいました。」

「石を?」

「はい。何とかあの子たちに成仏してほしくって……」

「そうか。」

 

 そう言うと、佐野は笹野の頬を殴りつける。

 

「バカ野郎!!貴様は私の命令を無視し、三途の川のルールを無視したのだ!命があるだけありがたいと思わんか!」

「しかし、隊長!」

「黙れ!お前には3日間の謹慎を命じる。営倉は破壊されているから、自分の部屋でじっとしていろ!」

「……はい。了解しました。」

 

 笹野は自分の部屋に戻る。そして、壁を殴りつけた。

 

「くそ!」

 

壁を殴りつける手を休めない。彼が許せないのは何か。子供の霊を救えない自分にか、こんなルールを作った神にか。彼らを助けようとしない隊長にか。それは彼にしか分からない。

しばらくして、扉が開く。

 

「おい、笹野。」

「……東原か。」

「右手が血まみれじゃねえか。まあこんな事だろうとは思ったが。ほら、消毒と包帯だ。」

「……ありがとよ。」

 

 笹野は包帯を自分の右手にまく。その間、東原は話す。

 

「笹野、まさかお前、あれが隊長の本心だと思うのか。」

「……そうじゃないと、信じたいよ。」

「全く、バカ一直線だな。」

「何だと!」

「そう興奮するな。まだ頭、完治してないだろ。」

「……ッチ!」

 

笹野は腰を下ろす。東原は話し続ける。

 

「隊長はな、苦しんでいるんだよ。」

「苦しんでる?」

「そうだ。隊長だってな、あの子たちを救いたいんだ。」

「ならあの子たちを救ってからでも。」

「馬鹿、そんな事してみろ、俺達はどうなる。」

「どうなるって……」

「確実に地獄に落ちる。それも神のルールに逆らったんだ。無間地獄に堕ちるだろうな。」

「そんな……」

「隊長は俺達がそんなことにならないよう、ああやって厳しくしているんだ。」

「……」

「お前は地獄に落ちてでも、ここの子供たちを救う気があるのか?」

「それは……」

「ま、よく考えてみるんだな。」

 

そう言って東原は部屋から出ていく。笹野は自分の考えの甘さに吐き気がした。だが、どうしても、あの子供たちが不憫でたまらなかった。自分は、どうしたらいい。

 それを考えていた時、ある思いが頭をよぎった。こんな時、自分の尊敬するウルトラマンならどうする?ウルトラセブンならどうする?

 彼らなら、命を懸けて守るんじゃないか?救うんじゃないか?

 それに、俺は何のためにZATに入隊したんだ。

 ならば、俺がするべき事は……

 

4日後、佐野のもとに笹野は来た。ある書類を持って。

 

「何の用だ。」

「隊長。これを見てください」

「……これは!」

 

 その書類にはZATステーションの隊員全員の署名と、血印が押されていた。内容は、賽の河原にいる全ての子供を成仏させる作戦への参加決意表明だった。

 笹野は、一日中駆ずり周り、隊員達全てと話をして、署名させたのだ。もちろん渋る者もいた。嫌がる者もいた。だが、笹野は必死に頼み込んだ。その熱意は、ZAT隊員としての使命に、誇りに火をつけた。

 佐野が気がつくと、ここにZATステーションの隊員全員が集まってきていた。

 

「お前達……解っているのか!これはとても危険な事なんだぞ。この作戦を行えば、お前たち全員……」

「解っています。ですが、我らはZATです!我らの任務は人を守る事です。苦しむ人を見つけたら、それを救うのが我らの仕事です。例え神が敵でも、救う相手が死者でも変わりません。」

「お前達……」

「我らはベムスターによって一度、何も出来ずに死にました。ならば、たとえ地獄へ落ちようと、誇りを持て戦い、死のうと思います。」

「お前達……!」

 

 佐野は思わず涙が流れそうになる。自分の部下が、そこまでの誇りと覚悟を持ってZATの隊員となったのかと。

 

「お前達は……バカだ!!」

 

 佐野は叫ぶ。泣きながら叫ぶ。

 

「いいだろう。お前達の提案した作戦を実行することを許可する!みんな、作戦会議だ。」

 

 ZATステーションの戦闘隊員数は30人。彼らは鬼と戦うためにフル装備で臨み、非戦闘員は石を積む手伝いをすることになった。

 まずは、賽の河原で子供がいる場所の周囲にステーションの残骸でバリケードを組み、鬼が侵入できないようにする。それが突破されたら、戦闘部隊が鬼と戦う。こうして時間を稼いでいる内に石を積み上げさせる。

 単純な作戦。だが、鬼の強さは未知数。戦えば死ぬかもしれない。

だが、命を捨てる覚悟をした彼らはそんな物は恐れない。ただ、守る。そして、成仏させる。それだけだ。

 

 賽の河原、そこではZATステーションの隊員が必死にバリケードを張っていた。だが、子供達はそんな物は気にせず石を積み続ける。彼らはただ石を積むだけの存在。周りがどうなろうと、ただ石を積み続ける。まさに地獄だ。

 

いよいよ作戦が開始されようとする。佐野は、全隊員の前に出て話す。

 

「諸君。いよいよ作戦を決行する。念のために言うが、逃げたい奴は逃げていい。地獄行きがかかっているんだ。誰も攻めない。」

 数秒経つが、誰も動かない。

「わかった。これから行う作戦は神の作ったルールに反する行為だ。もちろん、成功しようと失敗しようと我らは死に、地獄へ行くだろう。だが、我らがZATに入隊した時心にあった誇り、信念をここで出しきるんだ。そして、誇りを持って地獄へ行こうじゃないか!」

―――――オオオオオオオオオオ!

「次に会う時は地獄でだ。各員、全力を持って防衛せよ!」

―――――了解!

 

バリケードから少し離れた場所、そこでZATブラスターとZATガンを抱え待ち構える笹野に東原が話しかける。

「これが、お前の決意なんだな。」

「ああ。思えば俺達はウルトラマン達に守られてばっかりだった。だがら、今度は俺達が守る者たちになる。」

「くっくっく……お前の信念には負けたよ。地獄行ったら、お前の分の罰を少しは引き受けてやるよ。」

「ふ、ありがとうな。」

 

賽の河原はしんとする。ただ、石を積み上げる音が鳴るだけである。そして、一人の積み石が完成しそうになったその時、バリケードが吹き飛ぶ。戦闘部隊は武器を構え、鬼と対峙する。

「何だテメエら。」

「我々はZATステーションNo1に所属する者だ。これ以上、この子たちの邪魔はさせない。」

「……ハ、ハハハッハ、アーハハハハハハハハ!まさか人間て言うのは馬鹿なのか?お前ら、そいつらが成仏すれば、お前達は地獄へ落ちるんだぜ。」

「そんな覚悟はとっくにできている。さあ、ハチの巣になりたくなければここから消えろ!」

「……何だとぉ!!」

 

鬼が棍棒を振りかざす。それに対抗し、隊員達は手に持つZATガンやZATブラスター、大型機関砲を鬼に放つ。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁ!」

 

 鬼は、想像以上のダメージに驚いていた。その攻撃の一発一発が体を吹き飛ばしそうなほどの威力なのだ。対怪獣・超獣・大怪獣用の武装である。効かないはずがない。

 

「人間どもが……舐めるなぁ!」

 

鬼は棍棒を回転させ弾をはじきつつ、隊員の一人の頭を棍棒でつぶす。鬼の力ならば、棍棒で人を粉々にするなど造作もない。だが、ZATも負けていない。

 

「角だ。角を狙え!」

 

ZATガンが火を吹き、鬼の顔面を直撃する。これが一発なら耐えたであろう。だが、まるで女どもにはやっている弾幕のように撃たれてはたまらない。

 

「っち!」

 

 鬼は形勢が不利である事を察知し、逃げていく。一回戦はZATの勝利である。

「真……」

「気を抜くな明石。まだまだ鬼は来るぞ。」

 

鬼の襲撃からしばらく間が空いた。非戦闘員達はその石積みを手伝っている。そして、最初の一人が完成した。

「やった、やった!」

「よくやったな坊主!」

「えへへ、ありがとう。知らないおじさん。」

「俺達はZATさ。」

「ザット……う~ん知らない。」

「まあいいさ。来世は幸せに暮らせよ。」

「うん!」

そして男の子は消えていく。

その時だった、バリケードが次々と破壊され、鬼達がやってきた。

 

「あらら、団体様のご到着ってわけか。」

「貴様らか。三途の川のルールを破る者は。」

「そうだ。親より先に死んだ子供は確かに親に深い悲しみを与えただろう。だがな、この子たちだって辛いんだよ!なのになぜこんな地獄のような事をする!」

「それが是非曲直庁の定めたルールだからだ。」

「そんな物、くそくらえだ。この子たちには、早く天国に行ってもらう、そのために俺達は戦うんだよ。」

「ならば貴様たちを殺し、騒ぎを鎮めようではないか。」

 

ここから、鬼十体と戦闘部隊29人の激戦が始まる。射撃に関してはZATに分がある。だが、一旦接近されればZAT隊員の命は無い。

 激しい打ち合い、殴り合いが続く中、非戦闘員の手伝いで子供たちの石の塔が次々と完成して、成仏していった。

 ZAT側は少しずつ数を減らす。だが、鬼はダメージを受けながらも健在だった。このまま押し切られるかという時、基地からビームが放たれ、鬼を吹き飛ばす。

 

「な、何だ。」

「あれは……」

 

技術班がマゼランやアンドロメダの武装を外し、それで攻撃してきたのだ。

 

「隊長、援護しますよ!」

「よし、みんな、気を引き締めろ。死んでも石の塔を崩させるな!」

 

そう言いつ、ZATガンで鬼の角をへし折る佐野。

まさに紛争状態だった。鬼も想像外に強い武器に苦戦し、人間のほうは一撃一撃が死に直結している。

時間にして2~3時間経っただろうか。ZAT隊員は半分まで減り、鬼は3体行動不能となった。

 だが、石を積んでいる子供で残っているのは3人だけ。いける!そうZAT隊員は思った。

 

「貴様ら……ゆるさぁぁぁぁん!」

 

鬼の隊長クラスが巨大な棍棒を振り、三人の隊員の命を狩る。この鬼にはハイパーミサイルなどをぶち込んでもびくともしない。こいつから三人の子供を助ければミッション達成だ。

だが、もう弾薬が無い。彼らが持っているのは弾が切れそうな武装とZAT手榴弾が数発。こうなれば……

 

「笹野。」

「何だ東原。」

「地獄で会おうぜ。」

 

東原は全ての手榴弾の安全ピンを抜き、鬼に抱きつく。

 

「ウオオオオオオオオオ!!」

 

そして、東原の命と共に鬼の命も消える。

 

「東原!!……くそ!」

 

笹野は両腕の武装をZATバズーカに変え、鬼に撃ちまくる。

 一人の霊が積み終わり、成仏する。

 佐野は死んだ隊員が持っているZATブラスターを持ち、鬼の口に突っ込み、放つ。

 一人の霊が積み終わり、成仏する。

 笹野と佐野は鬼の隊長クラスに同時攻撃を放つ。

 一人の霊が積み終わり、成仏する。

 これで全ての子供が成仏する権利を得、消えた。

 それを鬼が許すはずがなかった。

 

「貴様ら……キサマラァァァァァァァァ!」

 

鬼の隊長は叫び、棍棒で次々と非戦闘員を殺していく。そしてZATステーションを持ち上げると、三途の川に放り込む。何という怪力!

 

「………」

「貴様ら、死ぬ覚悟はいいか。」

「そんなもん、とっくに持っている。」

「ならば死ね!そして地獄に堕ちろ!」

 

笹野と佐野はそれぞれ叩きつぶされた。

 

 この事件は後に、賽の河原紛争として地獄の鬼達の記憶に刻まれる事となる。

 

四季映姫は浄玻璃の鏡を見る目を動かし、目の前の男を見降ろす。

 

「佐野。あなたは生前、立派な功績を残しています。これだけなら迷いなく白なのですが、あなた達賽の河原で行った事は前代未聞の大事です。あなた達はそう、正義感が強すぎた。」

「…………」

「是非曲直庁は大混乱です。あなたが行った事は死後の世界のルールを破る事だった。なので判決は黒。地獄送りです」

 

佐野は、鬼達に抱えられ、地獄の門へと連れられて行く。そこで佐野は口を開く。

「あの子供達はどうなった。」

「あの子たちですか。あの子たちは白。天国へと送られましたよ。」

「そうか……よかった。」

 

そして地獄の門に放り込まれる寸前、四季映姫が一言いった。

 

「ありがとう。あの子たちを救ってくれて。」

 

そして佐野は地獄に投げ込まれた。

 

 彼らが取った行動が正しかったのか、間違った事だったのかは分からない。だが、彼らは誇りを持って子供らを救ったのだ。その誇り、覚悟は、僅かに四季映姫の心に響いた。なので彼らは無間地獄でなく、比較的浅い地獄で罰を受けてもらう事となった。

 ZATの誇りは、消えない。例えそこが地獄であっても。そして罰が終わり、彼らが天国へと来た時、子供たちがきっと歓迎してくれるだろう。

 

 そして幻想郷にはもう一つ巨大な要塞が落ちてくるのだが、それはまた別の話し。

 

 

 

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