黒雪のコモリオム  --What a beautiful Fakes --   作:ジンネマン

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 見つけた。見つけた。見つけた。

 

 (わたくし)の止まり木。私の浮き木。私の癒し。私の憩い。

 

 その身に宿す灼熱。その身を焼く烈火。その身を焦がす業火。その身を滅ぼす劫火。

 

 この灰色雲の極寒、この白でも黒でもない雪降る寒冷の地、すべてを拒絶し世界を暗く染める大地、ある種の原生にして永遠を体現する極北。

 

 私は、私を見つける。私の見つける。

 待っていた。この者を――

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 ――失態だ。また、失態を繰り返した。

 ――駄犬の追撃を防ぐためとは言え、あれだけ近くにいたのに、またアンナを見失うなんて…………

 

 ――ソウジ。彼の、彼との時のようにはならない。

 ――救うんだ。今度こそは、必ず。だから、ペルクナス、ハヤト、力を貸してほしい。

 

 歯を食いしばり、険しい表情で、口角を鋭く。

 

 アンナがいるであろう方向へ向かう。まだ遠くには行っていないはず、まだ微かに鼓動するアンナとの繋がりを懸命に探りながら――

 あの日の誓いを、数限りなく契約した自身への悔恨を、今度こそ違えなくないこの思いを――

 自身の不甲斐なさに対する怒りを押し込めて、いっそすべてを灰塵と帰したくなる狂気(◼◼)を封じ込めて――

 

 アンナの元へ駆ける――

 自分が、今どのような顔をしているか――

 知らずに――

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 私はシューホフ先輩と逃げている。二人で逃げている。痛いくらいに私の手を強く握るシューホフ先輩と一緒に走る。

 途中黒い雪が突然降りだして、気付けばタマーラとコンスタンチン先輩とウラジミール先輩を見失った。

 以前にも、似たような状況にあった。

 しかし、以前とは違う。違うのは私の手を握る人がタマーラではない、シューホフ先輩だということだけではない。

 

 違うのは、顔だ。

 

 私の手を握るシューホフ先輩の顔は、笑顔だ。

 アノ二人から逃げているというこに(・・・・・・・・・・・・・・・)、その顔には恐怖はなかった。直前まで共感していた命の危険からの離脱はできた。しかし、まだ五分と走っていないのにあの感情が消えるはずがない。いや、一時間や二時間走り続けても消える気がしない。それこそ黒き海の深淵、灰色雲を突き抜けた彼方まで行かなければ安心できない。

 違う。たとえ、どこまで遠くに逃げても、どれだけ速く逃げても、あの鋼鉄の男の人からは、決して逃げれない。なぜだか、そう思えて、そうとしかわからない。

 

 けれどもシューホフ先輩は違った、恐怖なんて微塵もなく、なにか焦燥に駆られている。何処かに向かっている。何処かに。

 私はシューホフ先輩に問いかける。

 

「シューホフ先輩、ど」

 

「なにも心配はいらないよアンナ。俺が、必ずや叶えるから!」

 

「――――」

 

 返事はしてくれた。してくれたが、そこ思考も、意思も私には向いていない。ただ、《目的》のために走っている。背中がぞわりとする。アノ二人の時とは違う悪寒が走る。

 今私の手を握り、引っ張るように走っているシューホフ先輩は、いつもの役者さんみたいな立ち振舞い、私やタマーラに優しいシューホフ先輩じゃない。あの時、私に夢を熱く語った。夢に向かって直向(ひたむ)きなシューホフ先輩じゃない。

 今の先輩と一緒にいたくない。

 

 だから――。一瞬、ここでシューホフ先輩の手を振り払って、別々に逃げたい。ほんの一瞬、そんなことが思考に横切った。

 ――ダメだ。そんなこと絶対に、ダメだ。今の先輩は混乱しているだけだ。そうに違いない。

 ――だから、そう。だから、私が止めなきゃ、止めなきゃいけないんだ。

 

「ッシューホフ先輩!」

 

「アンナこっちだ」

 

 私の声に気づきもせず、目的地に着いたと告げると、扉を開けて地下へと進む階段を下る。暗く狭い階段をところどころ足元がもつれて転びそうになるのをどうにかして付いていく。その間もシューホフ先輩を呼び続ける。でも、帰ってくる返事は、「もう直ぐだよアンナ」と言うばかりで私の声が届かない。目が暗闇に慣れた始めると、降りる先に鉄の扉があった。

 シューホフ先輩は扉を勢いよく開けて、私を中に引き入れる。

 

 瞬間、サウナに入る時のような熱気と、嗅いだことのない臭気が鼻腔を突き抜け、脳を激しく揺さり、反響し、残響する。同時に意味がわからないくらいの吐き気に涙目になり、全身の鳥肌が立って足から力が抜けて膝を着きそうになるのを堪える。本当は膝を着いて、うずくまってしまいたいのに、吐き気を催した時に下を涙目越しに見た時――

 

 見えてしまったのだ。

 

 地面に浮かぶ赤い染みと白い油(・・・・・・・・)と、近くに落ちていた何かの内臓と、黒く爛れた人の一部(・・・・・・・・・)、すべて腐乱した嘗ての人間の残骸を――見てしまったのだ。

 全身から暑さによる汗とは別の、とても冷たい、雪降る帝都の日のような冷や汗が吹き出る。

 黄金の眼とは別に、いや、それらすべてを通り越して、すべての感覚が、危険信号を鳴らす。

 なによりも、私を揺さぶったのが、部屋に入っても、平然と進み、踏みつぶし、私の手を引き続けるシューホフ先輩だ。

 

「さあ、ここだよアンナ。これだよアンナ」

 

 聞きなれたはずの声が、とても高揚して異質で別人のように聞こえる。

 初めて話した時も握った手は、骨が折れてしまいそうな程に強く握られている。

 いつも真っ直ぐな瞳は、私を見ているはずなのに何処か別の人を見ているようにビントが合ってない。

 

 手を離したシューホフ先輩が振り向く。声を高らかに、腕を目一杯に広げ、爛々とした瞳が私を射貫く。

 その後ろに、人に似た、成人男性に似たシルエットのソレ(・・)見た瞬間。

 

 

 

 それは響いた。

 

 

 

 ──数■◼域(ク■■■ン◼◼◼◼ールド)展開──

 

 ──◼式■域(◼◼ッキン■■■ィールド)構築──

 

 ──数◼■■(ク◼◼キ■■■■■■■■)顕現──

 

 何かが聞こえた。違う、網膜に響かないが何かが聞こえた。

 それは一度聞いたことのあるようで、聞いたことないほど濁ったそれだ。

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

「ふ――ははは――アハハハハ。ハハハハハハハハハ

 遂に! 遂に追い詰めたぞ小娘!

 ああ、これで、やっと、あの方は、私をみてくれる。あんな小娘ではなく私を頼ってくれる。私を――」

 

 冷たく、鋭く、女性にしては低い声が、場に響く。

 赫いドレス身に纏ったきれいな女性だ。

 大きな赫い傘と深めの帽子で顔隠した女性だ。

 

 彼女は一人、哄笑する。すべては事象は自分の掌で踊っていると。鋼鉄の男も、黄衣の王も、白く小く儚い小鳥も、何もかも、すべては自分の掌の上の演者と――

 彼女の演出した歌劇は滞りなく、前回のような不測の事態もなく、すべては計画通りに回る悲劇、回転悲劇――

 

「そうだ。そうだ! そうだ!

 ここまできて、失敗はあり得ない! そうだとも、たとえ黄衣の王が小娘の元に来ようとも、いや、そうなる前にあの小僧が小娘を燃く! わがメスメルは強固! あの小僧はなんの躊躇なく必ず小娘を灰にしている。

 ああ、さすれば黄衣の王は我々に干渉できん! いや、たとえ新たな契約者が出来たとしても、その頃には、閣下が、我々が、すべてを終わらせている――」

 

 哄笑する。

 哄笑する。

 哄笑する。

 

 誰憚ることなく、一人嗤い続ける赫い女。

 

 されど、女はしらない。嘗て、ある碩学がとある少女に人造心理を施すも、最後には破れたことも、人にそれほどの力があることも――

 人の誰もが持つ輝きを――

 人の強さを――

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 景色が変わっていた。以前と同じ街並みの、壁という壁に大小様々な時計が刻まれた街だ。

 そして、景色が変わって、シルエットしか見えなかったソレ(・・)が、明確な情報として、脳に襲いかかる。

 

 顔はプラナリアのように真ん中から割けて、額に書かれている奇妙な図形は半分にされた五角星形。

 普通ならそれで動けるはずないのに、その異形は人間の造形はしていなかった。

 なによりも、その両腕が、左腕がない代わりなのか右腕が酷く異状だ。肩から手首にかけて太い蛇のような鉄線で雁字搦めにするように、皮膚どころか肉を巻き込んでさえいる。其ほどまでに厳重に縛ってある。それは歪に膨らんでいて、赤く点滅している何かを(・・・)落とさぬように縛ってる。

 そして、その右側から焼ける不快な異臭が立ち込めている。まるで、機関(ヴィーガチリ)埋め込んで(・・・・・)いるかのように。心臓が鳴動するように点滅する。

 左右に割れた喉元から異臭交じりの排気された湯気が、周囲の温度をただ上げている。

 

 ――いや、人の体温だけで、呼吸だけであんな白い息が出る筈がない。だったら、アレは――

 

「驚いたかいアンナ、これは《ハボリム》。

 僕の最高傑作だよ!」

 

 シューホフ先輩は嬉々として笑顔で誇り。

 シューホフ先輩は鬼気とした笑顔で叫び。

 シューホフ先輩は高らかに号する(謳う)

 

「ああ、アア、嗚呼! そうだ!

 ついに俺は夢をひとつ叶えた! この国から凍えを殺し、この国から氷轍を揮発させ! この国から飢えを抹消する!

 その為に、その為に、その為に、その為に、その為に、その為に、その為に、その為に、その為に、その為に! これを完成させた! この機関(ヴィーガチリ)を! 夢の機関を!

 

 君との約束のために!

 

 シューホフ先輩が手舞足踏と語る。

 夢。

 約束。

 叶うと。

 

 ――約束、夢、それって……

 思い至る。シューホフ先輩の約束とはなんなのかを。初めて話した時のことだと。

 そう想起すればするほど、目の前のシューホフ先輩が、以前のシューホフ先輩と、著しく乖離している現実に震えが止まらない。

 そんな私に、震える私にシューホフ先輩が気付いた。

 

「ああ、ごめんなアンナ。かわいいアンナ。素敵なアンナ。愛しいアンナ。

 きみがそんなに寒がっているのに気づきもしないで、そうだよな。今日のモスクワは冷えるからな。

 だが、心配するな。ハボリムで暖めてやるよ。その為の()なんだから」

 

 シューホフ先輩は笑顔で命令する。《ハボリム》に、異形にして異状なソレに。元々は人であったソレを、(モノ)と称して。

 《ハボリム》は肉を、皮膚を、鉄線で破裂させながら、腕を持ち上げ、私に向ける。

 向けられた手のひらの中心に黒い円形が、円形の穴が穿たれていた。穿た穴を視覚に捉えた刹那、ナニかが訴えかけた。『右に跳べ』と、それは本能かもしれないし、他の感覚かもしれない。

 

 穴の奥が明るくなる、その僅か前。

 

 訴えが聞こえた時には思考することなく、右に勢いよく、受け身も何もなく必死に跳んだ。

 直後、右肩と背中に激痛が走った。

 受け身もとれず、地面に滑り込むように跳んだため、掌から肘にかけて皮膚がボロボロになった痛みより、ずっと強い痛み。

 肩と背中に比喩ではなく焼けつく痛みが全身を駆け巡る。少しでも動かしたら皮膚が裂け、血と体液が溢れる。

 

 《ハボリム》が放たれた。圧倒的な熱を纏った線。すべてを焼き尽つす熱量光線。

 この時の私は知らなかったことだが、熱線を放った機関は、先進国の軍に配備されているこの世に壊せぬモノ無しと言われる圧縮蒸気砲、それを小型化し、人に埋め込んだ。それが《ハボリム》なのだ。

 感覚も、認識も、意識も削ぎ落とした。人を入れ物にした人型兵器。故に頭蓋を切り開き、中身を入れ替え、従順とした。そうしなければ兵器として扱えないから。

 

 裂ける皮膚と、火傷による激しい痛み。それらが骨を伝わり脳に、鐘を乱暴にガンガンと鳴らすように、思考を痛みという赤色に染め上げる。

 今までに味わったことのない痛みに悲鳴を上げてしまいそうになる。それでも、悲鳴は上げない、あげてしまえばその場から動けなくなってしまいそうだから。

 だから、歯を食い縛り、全身に、脳に、あらゆるところに(ほとばし)る痛みに耐えて走り出す。

 ――今は、逃げないと。シューホフ先輩を助けるために――

 

「おいおい。どうしたんだアンナ? 寒いんじゃなかったのか?

 あ~~そうかそうか。遠慮しているんだな、そんな謙虚にならなくってもいいよ。

 俺が、君を、芯の底まで暖めてやるよ。絶対に――」

 

 笑顔。凄絶な笑顔。凄惨な笑顔。

 今のシューホフ先輩のレンズに私は場どう写っているのか?

 笑っているの?

 泣いているの?

 怒っているの?

 

 少なくとも、私が苦痛に喘いでいるのも、焼かれた肩と背中には気付いていない。

 悲鳴を圧し殺し、吐き気を堪えて、覚束ない足取りでいるのにも気付いていない。

 

 痛みと吐き気、動揺による酩酊感にも似たふらつき。

 そうしている間にも、《ハボリム》は最初よりも小規模ながら、熱線を放ち続けている。

 冷却のため、大質量エネルギーを放ち続けるのは不可能だというのは用意に想像がついたし、構造上の問題で機敏には動けないこともわかっていた。証拠に次第に連射速度も落ちてきた。

 ――なら、路地を曲がり続ければ逃げ切れる。シューホフ先輩を説得する機会も

 

 刹那、右前方の壁が橙色になるのに気付き、右足にありったけの力を込めて後ろに跳ぶ。無理な体制からの急制動で足に僅に痛みが走ったが、あと少しでも遅ければ熔解した壁が自分に降り注いでいた。

 ――連射が少なくなっていたのは充填するため!?

 

「――!!」

 

 咄嗟に立ち上がろうとして、足に先程よりも強い痛みが走る。

 足首に触れると再度は痛みが走る。先の急制動で足を捻ってしまったようだ。走るどころか立ち上がることさえ困難なほどの痛み。

 それでも逃げなければならないから、悲鳴ならぬ悲鳴をあげ、叫びたくなるほどの痛みに耐えて、立ち上がる。

 ――本当のシューホフ先輩に戻ってきてほしいから……

 

 歩く。歩く。歩く。壁に体重をかけて歩く。

 移動速度が歩くよりも遅くなってしまったが、痛みに声が出そうになるが、それでも歩き続ける。

 が――

 

「見つけたよアンナ。さあ、その震えを止めてあげるよ」

 

 後ろからシューホフ先輩の声と《ハボリム》の右腕を引き摺る音がする。《ハボリム》は四足の獣のような低い姿勢で近づいてくる。

 動きを止めて、腕を上げる。鎌首をもたげる。

 立ち込める臭気、人の焦げる不快に臭い。十ヤードほど離れているにも拘らず臭うその異臭。

 腕が、赤く染まり、駆動音が一体に反響する。

 

「やめてシューホフ先輩! 先輩の研究は、そんなことのためにやってきたではないでしょ!」

 

「ああ、そうだよなアンナ、これが終わったらみんなに見せないとな。この機関はあの人に貰った設計図を元に小型化した試作型でまだ出力は安定しないが、それでもこれだけ動くなら成功だ。俺の研究は成功したと、これからは誰も凍えることのない、失われた春が訪れるって――

 だから、アンナ。君には、寒い思いは、させないよ」

 

「!」

 

 聞こえてない。聴こえてない。届かない。

 私の声が、思いが、伝わらない。

 無力さに、至らなさに、弱さに、震える。

 

 ――どうすればいいの…………このままじゃ、シューホフ先輩が…………

 道を違えようとしている人を止めたい。夢が歪んでしまったあの人を止めたい。いつものあの人に戻ってほしい。

 

「さあ、アンナ。行こう。

 俺と君の夢へ。楽園へ」

 

 告げられる宣告。別れの言葉。()げられる言葉。

 

 もう、私の知っているシューホフ先輩はいないのかもしれない。

 もう、私の尊敬するシューホフ先輩はどこかに行ってしまったかもしれない。

 もう、私の大好きなシューホフ先輩は死んでしまったかもしれない。

 

 ――いえ、そんなことない。

 

 

――それはなぜ?――
    

 

 ――違う。そんなわけない。

 

 

――それはなぜ?――
    

 

 ――だって、いつか見た。いえ、あの日見たシューホフ先輩の輝きは、そう簡単に色褪せるものではない。無くなるものでもない。ましてや死んでしまうものでもない。

 

 

――何でそう思うの?――
         

 

 ――だって、シューホフ先輩は『諦めない』って言ったから。その言葉に宿っていた熱量は、私は覚えがある。

 ――それは、タマーラ、コンスタンチン先輩、ウラジミール先輩、マリインスキーのみんなや飛空艇研究会のみんな、アカデミーので出会った多くの人たちが同じ熱を持っていた。

 ――だから、私は、以前のシューホフ先輩に戻ってほしいから。

 

 

――でも、君は何もできないよ――

 

「そんなこと……」

 

 何処からか響く声に、私は反論ができず、しぼんでしまう声、意思、思い。

 

 私の声――

 思いを――

 気持ちを届けたい――

 

 目が涙で滲む。諦めたくない。諦めないけど。でも、このままじゃ届かない。

 ――シューホフ先輩にそんなことしてほしくない

 

 進む、一歩よりも短く、儚い距離を、

 ――あの時の私の感じた。この国の人の為に、誰かの為になりたいと言ったシューホフ先輩の、《きれいなもの》を《うつくしいもの》を、あの感動を

 

 手を伸ばす。

 ――この気持ちをシューホフ先輩に知ってほしい

 

 ふっと、右手のほんの先に何かある。

 

瞳が何か訴えかける。

 ――なに? あれ? 

 

 私は手を伸ばす。滲む視界にはなにかはわからないが、手を伸ばす。

 

それはある王との契約。

 ――これは?

 

 私は固い感触のソレ(・・)を強く握りしめる。

 

狂気に魅入られた王との契約。

 

 ――これは、あの時の――

 

 

 

「シューホフ先輩!」

 

「アンナ――」

 

 無我夢中の叫び、シューホフ先輩が私に応えるように私の名前を呼ぶ。でも、その瞳は私ではない私を見ている。私には見えない私に微笑みを絶やさない。

 そして、《ハボリム》が、その右腕から、圧縮蒸気を、致死の炎を、放つ。

 出力の大きい一撃は、迫り来る熱と共に、まばゆい光で私の瞳を貫く。

 

 

――だが、その一撃は届かなかった――

 

 私はいつまでも来ない致死の焔に、まばゆさに閉じた瞳を開く。

 

 

――そこには少年がいた――

 

 

 

――着古した黄色とも緑ともとれる外套をした少年が――

 

「ごめんねアンナ、待たせちゃって――」




と言うわけで、次回はテンプレ戦闘回。

それと、スチパンとは関係ありませんが、皆さんは何かに癒されていますか? 私は、毎週月曜日に癒されています。
え? なんの話かって、もちろん『月曜日のたわわ』の話です!
原作者の比村奇石さんは昔からのファンで、初期の同人誌の一本を除き全部(会場限定除き)揃えているくらい大好きな作家さんなのです!今はプロとしても活躍していて、SAO本編の前日譚となるソードアート・オンライン プログレッシブの漫画版を執筆されているのです!なお、アスナの胸は原作より大きいいです!

まあ、これ以上は長くなるので、近況についてですが、というか、今年中にはヴァルーシアを買う予定でしたが、予定外の出費のせいで、買えなくなりました。マジで悲しいです。
うん。来年こそは買ってやる!

それと、前回の話でニコライ・エジェフが自虐ネタを言ったのは、誰か気付いてくれましたかな? これはロシア史を知ってないとわかりずらかったかもしれないので仕方ないんですけどね。

そんなこんなんで、今年もあとわずか、どんどん寒くなってい参りましたが皆さん体調には気をつけてください。
では、親愛なるハーメルン読者の皆様方。良き青空を。
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