稚拙な文章ではありますが、ごゆっくり見ていってください
―光もない影もないのなら
―なら 俺は何になろう
―俺は…鬼となろう!!!
―俺であるために!!
――彼は兄の胸を黄金の鎧ごと己が拳で貫きながら誓う
◇
―隠された存在のお前が俺の修業を眺めて一人必死になって拳を磨いていたのは知っていた
―だが、いつからだ?お前の視線が俺を脅かすのは
―どんなに走ってもお前は影のように俺に近い力をつけてくる
―わからん
―それは隠れて生きる境遇への恨みか?
―俺たち二人の約束への期待か?失望か?
―俺への憧れか?妬みか?
―お前は…俺になり替わりたいのか…?
――彼は弟に疑念と脅威を抱く、それが芽生えたものではなく悪意を持って植え付けられたものだとは知らずに
◇
―「影」
―「傀儡」
―「模造品」
―「二番目」
ー何とでも言え大した言葉ではない
―別に俺たちは光でも影でもなかったのだから!!!
――彼は兄の呪縛から解放されると同時に彼を縛っていた呪詛からも解放された
◇
―そうだ、この命もはや貴様の思い通りになるものではない
―貴様の仮初の命ではここまで馴染まん!熱くならん!!
―どんな命でも我が弟の命以上にはな!!!
――彼は弟と一つとなれた喜びと悲しみ、怒りを込めて叫ぶ
◇
―もっと己の輪郭を強く…強靭に!!
―鬼の如く!!!
―そうだ その時まで俺は力を求め続ける
―半身であり宿敵!!!この男のために
――彼は兄といずれ再び会いまみえることを予見していた。それは兄が最期に残した遺言でありながら予言でもあると確信していたからだ
◇
―それはこの聖衣自体が俺の半身だからよ
―俺たちはやっとあるべき姿になれたのだ
―光と影と相反し続けた俺たちだ
―もうこれで争うことも自分を守るために罪を犯すこともない
―同じ敵に拳を向けられる
――彼は弟と過ごした時間について思いをはせ、構えをとる。銀河をも砕く最強の技を
◇
―もう己の輪郭を崩しはしない!!
―何を前にしても揺るがない自我!!
―全てを 己を 屈服させる自我の力!!!
―俺にとっての力は自我!!!
―俺はもう ただ俺だ!!!
――彼は兄との決別と決戦と時の為に己の我を肥え太らせ、鍛え研ぎ澄ませ磨き続ける
◇
―俺はそいつらがどうなろうが、お前があの悪魔にどれだけ恨みがあるかなど知ったことじゃない
―俺は目的のためならこの世で唯一の弟を 己の半身である弟をも殺せる男よ
―俺も弟も鬼よ
ー俺たち双子は殺し合う宿命を課せられた
―そこの悪魔の一滴に狂わされてな!!!
――彼は弟との宿命が仕組まれたものであることを知り、悪魔の前に鬼は立つ
◇
―確かに…これが光だ影だと過ごした俺たちの宿命よ
―全く馬鹿げた兄弟よな
―こうなってやっと、俺たちは互いの目を見て語れる
―あの頃以来の穏やかさで…
―これでいい
―俺の一撃は確実にお前の芯を貫いた
――彼は兄と最期に語る。その眼はどこまでも穏やかであった
◇
― 一興よな
―たった一つのはずの命を野心のために死人となって蘇って、こうして人知れず消えてゆく…
―だが俺は俺の生きたいように生きた
――彼は弟との因縁を始めとした己が業を振り返り、こう評した
◇
人知れず天上で散って逝った戦士の魂は聖戦の後、次元を超え世界を超え、再び地上に降り立つ。二人の宿命を、因縁を、約束を、果たすために