魂魄妖夢は剣の鍛錬に励み、それを傍らから西行寺幽々子が見つめる。修行の合間に話すのは魂魄妖夢の決め台詞の話。▼特にオチがないです。全体的にのんびりしてます。一話完結です。▼pixivとのマルチ投稿となっております。

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どうもはじめまして、綿道スゥと申します。初投稿ですが、pixivには前々から投稿していたものです。前書きに長々と書くこともありませんので、本編をどうぞ。


魂魄妖夢の台詞の話

彼女、白玉楼の庭師兼剣術指南役である魂魄妖夢は目をつぶり、意識を自らの得物と目の前の竹に集中させる。

刹那、彼女は背中の得物―楼観剣を横に一閃。一瞬にして目の前の竹をまっぷたつにする。

「ふぅ…」

ぱちぱちと音がする。一息ついた妖夢に拍手を贈るのは、縁側に座る白玉楼の主、西行寺幽々子である。

「流石妖夢、と言ったところかしら」

「やめてください幽々子様、私はまだまだ未熟者です」

幽々子は傍らに置いてあるお茶を軽くすすりながら言う。

「ねぇ、決め台詞とか言わないの?」

「え、決め台詞…ですか?」

「そうそう、ほら前に言ってたじゃない。斬れぬものなどナントカって」

「…それは」

恥ずかしさからか、俯いてぷるぷる震える妖夢。それに気づいているのかいないのか、幽々子はさらに続ける。

「ねぇねぇ、言ってみて!」

幽々子にキラキラした目で言い寄られ、白玉楼の庭師兼剣術指南役(幽々子の世話役兼苦労人)である妖夢はいよいよ断れない。

「1回だけ、1回だけですよ!?もう2度と言いませんからね!?」

そう早口で言うと、妖夢は息をすぅっと吸い込む。そして

「斬れぬものなど、あんまり無い!」

…………しばし訪れる沈黙。

まるで子を見守る親のようにニコニコと妖夢を見つめる幽々子。

「あーっ!だから言いたくなかったんですよ!!」

恥ずかしさのあまりに顔を手で覆い隠し、

「ふふっ…妖夢はいい子だものね…」

と追い討ちをかけられ顔を真っ赤にしながらしゃがみこむ妖夢。

「幽々子様…あんまりからかうのはよしてください…」

「ふふふっ……ねぇ妖夢、少しお茶にしない?」

どうにかこの場から離れて体勢を立て直したかった妖夢は

「…そうですね、そうしましょう」

と答え、いつもより素早い動きで台所に引っ込む。

しばらくすると、妖夢がお茶とお茶請けの団子を持って縁側に戻ってきた。

「…ねぇ妖夢」

「はい、なんでしょう?幽々子様」

「貴女のさっきの決め台詞…」

口に含んでいたお茶を盛大に吹き出し、むせ返る妖夢。

「もう、汚いわねぇ…」

「幽々子様!!その話はもうしないと言ったじゃないですか!!」

「あら、私は言ってないわよ?妖夢が、2度と言わないとは言ってたけどね」

「ぐぬぬ…」

何も言い返せない妖夢は見事にぐぬぬの表情である。

「それでね、さっきの台詞なんだけど、どうして『あんまり』なの?『まったく』とかでもいいじゃない」

「まだその話を続けるんですか…?まあいいですよ…」

と妖夢は軽くため息をはく。

「本当は、私と楼観剣に斬れないものなんてないんですよ。鉄はおろか、ダイヤモンドだって斬れますし、形の無いもの…炎や水、実体の無いもの…霊魂や気といったものだって…。でも、昔お師匠様に言われたんです。『妖夢よ、鞘を持て。でなければ皆全てを斬り捨ててしまう』って…」

幽々子は微笑をたたえ、黙って聞いている。

「最初、私にはその意味がさっぱりわかりませんでした。だって鞘を持てって…いつも持ってますからね」

と苦笑する妖夢。

「ただ、あの巫女さんと戦う直前に閃いたんです。私は全てを斬れますが、絶対に斬ってはならないものがある」

そこで唐突に幽々子に質問を投げかける。

「…幽々子様、弾幕ごっこについてどう思われますか?」

「え?どうって…そうね…博麗の巫女さんはなかなか面白いものを考えたのねと思ったわ。妖夢はどう思ったの?」

投げかけられた質問の意図を読み取り、逆に質問する幽々子。

「…私は、なぜこのようなもので勝負を決める必要があるのかと思っていました。だって、斬ってしまえばいい…そう思ってましたから」

「でも、今はそんなことはないのよね?」

「はい、勿論」

妖夢は深く頷く。

「真剣での勝負は、斬ればそれだけ相手を傷つけます。そして命を奪うまで勝負は終わりません。でも弾幕ごっこは違いました。多少怪我を負うことはあっても、命までは奪いません。それでわかったんです。何故あの巫女は弾幕ごっこを作ったのか。そして、お師匠様の言葉の意味とはなんだったのか。それは、刀は抜きっぱなしでむやみやたらに斬りつけるものではないということ。そして相手から奪うためではなく、自分を…大切な人を守るためにあるのだということ。おそらくお師匠様はそうおっしゃいたかったのでしょう」

幽々子は相槌代わりに頷く。

「だから私は、全てを斬れても全ては斬らない。それで咄嗟に出た台詞が…アレ…だったんです」

やはり少しだけ恥ずかしいのか、妖夢は台詞の部分は小さな声で濁して話す。

「思ったより深い意味があったのね… 私はてっきり妖夢がかっこよさの演出の1つとして言ったのかと思ってたわ」

「そんなことはありません!」

と口では断定するものの、その側面があったことは否めないな…妖夢はと考える。

「ふふっ…まあいいわ、追求はしないであげる。そしたら…妖夢、このお団子もっと作れるかしら?」

「えっ?ええ…まあ材料はあるので」

「じゃあこれをもっともっとお願いするわ」

「幽々子様!その食欲少しはどうにかできませんか!?」

主の割と酷な要求に涙目で抗議する庭師兼剣術指南役(幽々子の食欲を出来るだけ満たせるよう全力でご飯を作り続ける人)。

「無理ね」

「幽々子様ぁ…!」

さらっと言い放つ幽々子に諦めがつきつつあるのか、背中に悲哀を滲ませ、妖夢は台所へ向かうのだった。

 




かなり拙い文章ではありますが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。よければ今後ともよろしくお願いします。

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